実業の世界 2007年09月
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2007-09-12 14:56

2001年9月の日記・欧州篇

2001年9月11日午前(日本時間12日午前)、米国国内線の飛行機4機が同時にハイジャックされ、そのうち3機がニューヨークの世界貿易センタービル、ワシントンのペンタゴンなどに突入するという、史上まれに見る大掛かりな同時多発テロ事件が発生し、多くの死傷者を出した。

世界貿易センタービルには、米国企業のみならず、世界の様々な国の企業の出張所や支店があった。

ハイジャックされ墜落させられた旅客機の乗客・乗員は全員死亡している。

この事件のあった9月に、私は欧州・米国へと長期出張の予定であった。多くの企業が欧米への出張を自粛していたが、私の場合は先方からの招待のため中止ができなかった。
国際ビジネスにとって最も重要なのは「信義」であるからだ。

今日、パソコンの中を整理したら、当時の日記が出てきた。
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早朝、6時に自宅を出て成田空港へ。
テロ対策で警備が厳しいと予想されるので、早めに出る事にした。成田空港の警備は思った程ではなかった。
というと誤解を招くが、ここは、もともと厳しいので特に大きな変化がないという事です。
予想が外れたのは「なんで、こんなに混んでるの」という事。
ハワイなんて、旅行者がこなくて困ってるのに、欧州便の混雑はなぜ。
まさか、米国に遊びに行く人が欧州に旅行を振り向けたのではないでしょうね?
航空会社はルフトハンザ。かつてマドリッドへの直行便があったのに、現在はなし。
日本からの観光客が減少しているので消えたのだという。
そこで、フランクフルトでイベリア航空に乗り換えてマドリッドに行くことになった。
私の乗るの飛行機はルフトハンザとイベリア航空と日本航空との共同運行便。
最近は乗客が少ないと、この手の共同運航便となる。
ありがたいのはANAのスチワーデスも乗っている事。
ドイツ、日本、スペインのスチワーデスが共同で面倒見てくれるのが嬉しい(それほどでもないか)。
それから荷物も、フランクフルトでピックしないでOK。これも共同運航便のいいところだ。
今回は初めてビジネスクラスを使う。
自分の会社では、当然、無理だが、今回は依頼されて講演に行くのだから、先方が持ってくれたのだ。
エコノミーのように行列しないでも、ビジネスクラスのカウンターで直ぐにチエックインできる。ちょっとした優越感に浸る。
チエックインは早かったが、手荷物検査と出国審査は大混雑。今年の夏頃から出国カードがなくなったので、手続きは簡略化しているが、出発する人が多くて。
それでも、なんとか出発時間に間に合い一安心(ああ、腹減った。コーヒーが飲みたい)。

毎日運行している10時5分初のルフトハンザ711便、成田発フランクフルト行きに乗り込む。
フライト時間は11時間45分。到着時間は現地時間の14時50分である。
機体はボーイング707-300。はじめてのビジネスクラスなのに、なぜかちょっと狭い気がするが、サービスは満点。お絞り、新聞、雑誌のサービス後にウエルカム・ドリンクはシャンペンである。
シートベルトサインが消えたと思ったら、隣の席では、もうパソコンを取り出し仕事を始めた人がいる。おっと、斜め前方の紳士もパソコンを取り出したぞ。斜め後ろでもやってるぞ。
やっぱりビジネスクラスのエグゼクティブの雰囲気はエコノミーとは違うようだ。
私はシャンペンをお代わりして、新聞に眼を通す。座席に取り付けられた専用のTVで、ニュース番組を見る。
しばらくすると昼食のメニューが配られる。和食と洋食のフルコースだ。
洋食を選べば、食前酒、ワインの種類、前菜、メインを選ぶことになる。
メインは洋食は魚と肉が選べる。肉の牛肉と羊が選べ、さらにベジタリアン用のメニューもある。
なお、牛肉は狂牛病の心配のない米国豪州産を使用と記されている。(注・当時は米国で狂牛病が見付かる前である)
食後はチーズのデザート、食後酒、ケーキか果物、最後にコーヒーで締めくくる。
ワインはスペインかフランスの選択で、フランスはボルドーかブルゴーニュの選択だ。
なぜかドイツワインの選択はない。欧州では高級ワインはフランススペインだ。スペインの方が味が鮮やかで飲みやすく、日本人の味覚に合うように思う。
一休みすると着陸前に夕食が始まる。とはいえ、現地時間は午後3時頃なので、ちょっと軽い夕食だ。飛行時間12時間のうち、4時間近くは食事に費やしていることになる。

フランクフルトに到着すると、まず入国審査である。
フランクフルトは中継点でドイツには入国しない。
かつてならマドリッドで入国審査のはずである。
ところがEUはひとつの国なのだ。EUとしての入国審査を到着した空港で行うのである。
テロの影響で入国審査は厳しいかも知れない。
仕事できたと言うと「何の仕事だ」とか「お前の肩書きはなんだ」とか聞かれるかなあ?とか思っていると「ヤー」の一言でお終い。大丈夫か?
次のマドリッド便が出るまで空港内で約3時間も時間を潰す。ところがマルクが無いのでコーヒーも飲めない。
あと2か月でEUの通貨がユーロに統合される。
ここでユーロの両替すれば、欧州内はどこでも使えるのだ。今、ここでコーヒーのためにマルクに両替しても意味が無いと悩みながら時間を潰す。
マドリッド便は午後6時発のイベリア航空。
元の国営航空でスペイン人には評判が悪いが、先入観を無くせばまあまあだと思う(ノースウエストに比べれば何でも良い)。
飛行機はやっぱりエアバス300。
欧州諸国の共同開発機なので多用されている。
ここでも夕食が出て、ビジネスクラスはスペインの発泡酒から始まるフルコース。食事が終わったらマドリッドに到着だ。
マドリッド空港は標識が解りにくく、バゲッジクライムが解らずに迷った。
それでもなんとか、お迎えのS次長に対面でき、ホテルに送ってもらった。スペインはやはり遠い。西の果てに来た感じだ。早く眠りたいとひたすら思う。
(続く)

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2007-09-04 01:07

大戸屋の日々

出張がなく、事務所で日は、殆どが、わが街の大戸屋で食事をしている。
大戸屋も、いまや全国チェーンであるが、私は学生時代から世話になっている。
当時は、池袋東口にある一軒の定食屋であった。
それも、朝から晩まで24時間やっている定食屋であった。
世話になったのは早朝だ。

学生時代、月末になると金欠病になる。
こうした時、手っ取り早く、確実に金を入手する方法がある。
日雇い労働だ。
早朝、池袋西口公園に行けば、手配師が待っていて、人数が集まれば車で仕事場に連れて行ってくれる。
仕事はキツイが終われば、夕方には現金が貰える。
通常のアルバイトは、月払いや週払いである。
これでは、明日の食事代には間に合わないのである。

西口公園に行く日は、ちゃんと朝食を取らないと午前中が持たない。
そこで、早朝、大戸屋で食事をするのである。
他に開いている店がないので、早朝の大戸屋は繁盛している。

この店は大衆食堂、駅前食堂、定食屋である。
ご飯、味噌汁、お新香、納豆、海苔、おかず、なんでも自由に組み合わせる事が出来る。
安くあげようと思えば、カレーライスが50円。
納豆と海苔だけでも、ご馳走だ。
人々は黙々と食べ、終わると出て行った。
夕方、時々、隣で浮浪者が食事をしていた。
今で言うホームレスであるが、誰も気にしない。別にどうと言うことのない風景であった。

当時、あらゆる街に定食屋があった。
水道橋の旭屋食堂も懐かしい。昼食時には店の前に行列ができた。

こうした食堂が消えた後、大戸屋の若旦那が、そのノウハウを生かしてチェーン化をはじめた。

現在の大戸屋は、とてもお洒落で、もはや浮浪者や日雇いは似合わないかも知れない。
しかし、昔と同じように、栄養に配慮した食事の組み合わせができるのである。

http://www.ootoya.com/

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