映画『ゲーテの恋 ~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~』★若者は恋して失恋して小説を書いた~雑感です。
公式サイトです。 http://goethe.gaga.ne.jp/
作品について http://cinema.pia.co.jp/title/157034/
ゲーテ作『若きウェルテルの悩み』の元になった出来事を見せています。
といっても、映画の中の出来事と、小説の内容と、実際にゲーテに起こったことと
少しずつ違うようです。
好きになった人に、婚約者がいたのと
付き合い始めたあとで、別の人と婚約したのでは、
後者のほうが、悲恋のショック度が大きいと想われます。
ゆえに、映画は、ゲーテのショック度を大きく演出していたかと。
法律家をめざしていた若者が、恋をして
熱烈に想い入れて
離れていても、いとわずに逢いに来て
彼女が喜んでくれそうなことを、せっせとして
相思相愛だと、信じて疑わなかったのに…………
いえ…………
愛する人は、相思相愛だったけれど
結ばれない運命があった………………
結ばれない運命があるとき、私は、少なくとも、そこに“相思相愛”があったのなら、
幸せだと思いたいほうです。
結果的に選ばれないなら愛されているとは言えない、という意見もありましょうが、
選ばれなかった、ということと、愛されていない、ということは同じではなかったと
劇中では、思わせてくれるので、それは良かったと思います。
別れても、捨てられても
そこに愛はあるのだと、思えるのと思えないのとでは、
心の支え方が違います。
しかし、選ばれずに、1人、放り出されてしまったと感じた寂寥と孤独には
やはり耐えられない、と想うもの。
愛する人が、わが命であったのなら、その人を失うコトは、
自らの死を意味するも同じということには賛同します。
ゲーテは悲しみを形にしたもの(小説)を、愛する人の好意のおかげで
世に出すことが出来、そこ(この世)で、自分を生かすことができました。
「若きウェルテル」の結末は、彼女への腹いせ?破れかぶれ?の気配もありますが
作品の中に、どんな形であれ、2人は留まれます。
(彼女だって、彼以上に辛かったと思いますよ。)
映画は、悲恋たらたらでなく、恋に元気なゲーテの姿がコミカルでもあり
ゲーテの恋にガンバレ!と応援しているような気持ちになります。
人物たちも、生き生きと、画面の前に出てきているように感じられ
テンポよく進みました。
注目したのは、ゲーテの恋敵になってしまった上司役のモーリッツ・ブライブトロイ。
映画『ミケランジェロの暗号』では、まじめなドイツ人青年。
映画『ソウルキッチン』では、主人公の兄で、前科者。
幅広く拝見していますが、今作でも、恋に不器用な青年だけれど、プライドの芯は強いゾという
彼には適役だったと思います。
ところで、原題は『Goethe!』
この!マークが、この作品語っているかも。
おお!という驚愕や賛美であり、ああ.!という嘆息でもある……かもしれませんが
ゲーテの恋の情熱を感じられるのが、イイ☆