AWARDS[2011年] |
2011年の総括企画のPart3です。今回は「ミュージックビデオ」をテーマに、最優秀の10作品とワースト3作品を発表します。
全体的には、2011年は不作の年だったと思います。2010年はArcade Fireのインタラクティブ(=視聴者参加型)ビデオ「We Used To Wait」や、アイデアとアート性とチャレンジ精神の結晶と言えるOK Goの「This Too Shall Pass」(⇒Youtubeで観る)などすばらしい作品が多かったので、これからもっとインタラクティブな作品がたくさん出てくると期待していたのですが…。それはさておき、2011年の発表です。
AWARDS[2011年] |
2011年の総括企画のPart2です。Part1では最優秀アーティストや最優秀アートワークなど計7部門を発表しましたが、今回は男女ごとのクールリスト、最優秀新人賞など計7部門について、当ブログが独自に選出した受賞者を発表します。
AWARDS[2011年] |
2011年の総括企画。アーティスト、ライブパフォーマンス、ジャケットアートワークなど、様々な部門で最も素晴らしかったアーティストや作品を、当ブログが独自に選出した結果を発表します。
複数部門あるので全3回に分割して発表していきます。
フリートーク |
某BS局で「MUSIC SOUP -45r.p.m.(revolution per man)-」という番組をやっていて、これは毎回ミュージシャンが自分の人生を変えた45曲を紹介するっていう内容なんですけど、なかなかその人の歴史というか人となりがわかって面白いのでたまに観ています。以前Twitterのフォロワーさんが同じ趣旨で自分の人生を変えた45曲を紹介していて大変興味深かったので、自分も自己紹介的な意味を込めて45曲を選んでみました。
一応、時系列で出会った順です。一部エピソードも軽く付記。
-------
まずは小学生時代から8曲。エレポップ/ユーロビートから始まり、TM~B'z(最近の人は知ってるか不明ですが、松本孝弘はTMの元ツアーギタリスト)というのは自然の流れ。
01. Pet Shop Boys - Domino Dancing
最初に好きになったアーティスト。特にこの曲にハマりました
02. Kylie Minogue - I Should Be So Lucky
03. TM Network - Beyond The Time
最初に好きになった日本人アーティスト
04. TM Network - Seven Days War
05. B'z - Bad Communication
06. ユニコーン - 大迷惑
最初に好きになったいわゆる「ロック的な」サウンド
07. すかんち - 恋の1,000,000$マン
08. X Japan - Silent Jealousy
中学最初の音楽の授業で「好きな曲」の発表があり、この曲を選んだら先生に驚かれました。
続いて中学生時代から8曲。レイヴ、テクノ、レゲエ、ユーロダンスなど好んで聴いていました。
09. L.A. Style - James Brown Is Dead
レイヴ・ミュージック、ダンスミュージックに対する愛着が増すきっかけ
10. The Carpenters - Superstar
最初に好きになった「自分が生まれる以前」の音楽。英語の授業がきっかけ
11. The Beatles - Yellow Submarine
12. Blankey Jet City - 冬のセーター
13. Pet Shop Boys - Go West
14. Prodigy - Out of Space
15. trf - Ez Do Dance
最初に買ったCDシングル
16. Ace of Base - All That She Wants
最初に買ったCDアルバム
本格的にロックに目覚めた高校生時代から9曲。意外にも、BjorkやPortisheadとの出会いはLUNA SEAのSUGIZO氏のラジオから。
17. LUNA SEA - Rosier
高校1年の時、初めて組んだバンドの初ライブ1曲目
18. 電気グルーヴ - N.O.
高校1年の時、初めて行ったカラオケで最初に歌った曲
19. Flipper's Guitar - Aquamarine
シューゲイザー初体験
20. Green Day - Basket Case
高校2年の時、初めてライブで演奏した洋楽
21. Bjork - Yoga
この曲と出会わなかったら今の自分はいません
22. Portishead - Cowboys
23. Radiohead - No Surprises
最初に「イギリスのロックバンドっていいな」と思った曲
24. Underworld - Born Slippy Nuxx
25. Aphex Twin - Come To Daddy
いろいろ衝撃過ぎて、価値観がひっくり返りました
音楽一筋だった大学生時代からはちょっと多めの12曲。音楽サークルの仲間からの影響で、60's~90'sまでいろんな時代の音楽を聴きました。
26. The Smashing Pumpkins - Behold! The Night Mare
27. Pre-School - Hole
初めて単独ライブに行ったアーティスト
28. Weezer - Tired of Sex
人生で一番再生回数が多い曲(推定)
29. My Bloody Valentine - Loomer
初めて聴いた時、CDにもかかわらずカセットテープが伸びてしまっているのかと勘違い
30. ナンバーガール - 透明少女
31. スーパーカー - White Surf Style 5
32. Daft Punk - One More Time
33. Grandaddy - Summer Here Kids
34. The Avalanches - Since I Left You
この曲きっかけで、オリジナルの映画サントラコンピ作りにハマりました
35. The Ronettes - Be My Baby
オールディーズ好きになったきっかけの曲
36. My Bloody Valentine - You Made Me Realize
37. The Strokes - Hard To Explain
バイト先のレコ屋で初めて聴いて衝撃。ロックの価値観が覆りました
社会人になってからは少なめで8曲。はっぴぃえんどを入り口にYMO、あがた森魚、シュガーベイブ、遠藤賢司、金延幸子などいろいろ拡がりました。2007年以降は人生変えるような出会いはないですが、そういうのってだいたい後から気付くものなんですよね。だから今現在好きな曲も、数年経ったら「この曲が人生変えたなあ」と思えるのかもしれないですね。
38. The Music - The Dance
39. The Rapture - House of Jealous Lovers
ロックで踊ることの楽しさを教えてくれた曲
40. はっぴぃえんど - はいからはくち
日本の70年代ロックやフォークを開拓するきっかけ
41. Outkast - Hey Ya!
アメリカのメインストリームポップスを聴くきっかけ
42. Justin Timberlake - My Love
43. The Postal Service - Such Great Heights
44. Justice - Waters of Nazareth
ダンスミュージック系のエレクトロサウンドに対してマンネリ感を抱いていた頃、再び目覚めさせてくれた曲
45. M.I.A. - Birdflu
こんな感じの人生を歩んで今に至ります。やっぱり音楽を好きになった最初のきっかけであるPet Shop BoysやTM Networkは今でも大好きで、それらは現在のエレポップとか80's風のシンセの音が入ったインディロック趣味に脈々と受け継がれています。こうやってあらためて時系列にすると、結構必然性があるというか聴いてきたものに繋がりがあるように思えます。
あと、ついでに。
これら45曲を初めて聴いた時、衝撃を受けはしたけど最初から好きだったわけじゃないものもいくつかあります。ネット試聴だとそのまま「ヘンな音楽だな、もういいや」とスルーしてしまいがちだけど、ネット試聴がない時代は音を聴いたことないアーティストの作品を買うこともしばしば(試聴機に入ってなければ、気になったものは買わない限り聴けない)。「失敗したー」と思っても意地でも何度か聴いて、そうこうしてるうちにだんだんとハマってくる、ということが多いのです。自分も最近ではすっかり、ネットで試聴してから「第一印象が良かったもの」だけを買うのが主流になったのでこういう経験も減ってきました。2007年以降の曲が入っていないのはそれが要因だと思います。ネットでの音楽ストリーミングによって好きな音楽には以前よりもたくさん出会えているけど、違和感を消化してハマるとか、新しいジャンルを開拓するということは減ってきました。そう考えると若い世代にとってはこういう人生を変える曲との出会いの機会って少なくなってきてるんじゃないでしょうか?だから敢えて苦手なジャンルを聴いてみたり、過去の音楽に遡ったり、ジャケ買いしたり、レーベルや音楽サイトのフリーコンピとか積極的にDLして聴いたりすることをオススメします。きっといい出会いがあるはず。
自己紹介のつもりがなんだか説教じみてきたのでこの辺で。最近はもっと邦楽ロックを掘り下げたいと思ってます。いい出会いがあるといいな。
一応、時系列で出会った順です。一部エピソードも軽く付記。
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まずは小学生時代から8曲。エレポップ/ユーロビートから始まり、TM~B'z(最近の人は知ってるか不明ですが、松本孝弘はTMの元ツアーギタリスト)というのは自然の流れ。
01. Pet Shop Boys - Domino Dancing
最初に好きになったアーティスト。特にこの曲にハマりました
02. Kylie Minogue - I Should Be So Lucky
03. TM Network - Beyond The Time
最初に好きになった日本人アーティスト
04. TM Network - Seven Days War
05. B'z - Bad Communication
06. ユニコーン - 大迷惑
最初に好きになったいわゆる「ロック的な」サウンド
07. すかんち - 恋の1,000,000$マン
08. X Japan - Silent Jealousy
中学最初の音楽の授業で「好きな曲」の発表があり、この曲を選んだら先生に驚かれました。
続いて中学生時代から8曲。レイヴ、テクノ、レゲエ、ユーロダンスなど好んで聴いていました。
09. L.A. Style - James Brown Is Dead
レイヴ・ミュージック、ダンスミュージックに対する愛着が増すきっかけ
10. The Carpenters - Superstar
最初に好きになった「自分が生まれる以前」の音楽。英語の授業がきっかけ
11. The Beatles - Yellow Submarine
12. Blankey Jet City - 冬のセーター
13. Pet Shop Boys - Go West
14. Prodigy - Out of Space
15. trf - Ez Do Dance
最初に買ったCDシングル
16. Ace of Base - All That She Wants
最初に買ったCDアルバム
本格的にロックに目覚めた高校生時代から9曲。意外にも、BjorkやPortisheadとの出会いはLUNA SEAのSUGIZO氏のラジオから。
17. LUNA SEA - Rosier
高校1年の時、初めて組んだバンドの初ライブ1曲目
18. 電気グルーヴ - N.O.
高校1年の時、初めて行ったカラオケで最初に歌った曲
19. Flipper's Guitar - Aquamarine
シューゲイザー初体験
20. Green Day - Basket Case
高校2年の時、初めてライブで演奏した洋楽
21. Bjork - Yoga
この曲と出会わなかったら今の自分はいません
22. Portishead - Cowboys
23. Radiohead - No Surprises
最初に「イギリスのロックバンドっていいな」と思った曲
24. Underworld - Born Slippy Nuxx
25. Aphex Twin - Come To Daddy
いろいろ衝撃過ぎて、価値観がひっくり返りました
音楽一筋だった大学生時代からはちょっと多めの12曲。音楽サークルの仲間からの影響で、60's~90'sまでいろんな時代の音楽を聴きました。
26. The Smashing Pumpkins - Behold! The Night Mare
27. Pre-School - Hole
初めて単独ライブに行ったアーティスト
28. Weezer - Tired of Sex
人生で一番再生回数が多い曲(推定)
29. My Bloody Valentine - Loomer
初めて聴いた時、CDにもかかわらずカセットテープが伸びてしまっているのかと勘違い
30. ナンバーガール - 透明少女
31. スーパーカー - White Surf Style 5
32. Daft Punk - One More Time
33. Grandaddy - Summer Here Kids
34. The Avalanches - Since I Left You
この曲きっかけで、オリジナルの映画サントラコンピ作りにハマりました
35. The Ronettes - Be My Baby
オールディーズ好きになったきっかけの曲
36. My Bloody Valentine - You Made Me Realize
37. The Strokes - Hard To Explain
バイト先のレコ屋で初めて聴いて衝撃。ロックの価値観が覆りました
社会人になってからは少なめで8曲。はっぴぃえんどを入り口にYMO、あがた森魚、シュガーベイブ、遠藤賢司、金延幸子などいろいろ拡がりました。2007年以降は人生変えるような出会いはないですが、そういうのってだいたい後から気付くものなんですよね。だから今現在好きな曲も、数年経ったら「この曲が人生変えたなあ」と思えるのかもしれないですね。
38. The Music - The Dance
39. The Rapture - House of Jealous Lovers
ロックで踊ることの楽しさを教えてくれた曲
40. はっぴぃえんど - はいからはくち
日本の70年代ロックやフォークを開拓するきっかけ
41. Outkast - Hey Ya!
アメリカのメインストリームポップスを聴くきっかけ
42. Justin Timberlake - My Love
43. The Postal Service - Such Great Heights
44. Justice - Waters of Nazareth
ダンスミュージック系のエレクトロサウンドに対してマンネリ感を抱いていた頃、再び目覚めさせてくれた曲
45. M.I.A. - Birdflu
こんな感じの人生を歩んで今に至ります。やっぱり音楽を好きになった最初のきっかけであるPet Shop BoysやTM Networkは今でも大好きで、それらは現在のエレポップとか80's風のシンセの音が入ったインディロック趣味に脈々と受け継がれています。こうやってあらためて時系列にすると、結構必然性があるというか聴いてきたものに繋がりがあるように思えます。
あと、ついでに。
これら45曲を初めて聴いた時、衝撃を受けはしたけど最初から好きだったわけじゃないものもいくつかあります。ネット試聴だとそのまま「ヘンな音楽だな、もういいや」とスルーしてしまいがちだけど、ネット試聴がない時代は音を聴いたことないアーティストの作品を買うこともしばしば(試聴機に入ってなければ、気になったものは買わない限り聴けない)。「失敗したー」と思っても意地でも何度か聴いて、そうこうしてるうちにだんだんとハマってくる、ということが多いのです。自分も最近ではすっかり、ネットで試聴してから「第一印象が良かったもの」だけを買うのが主流になったのでこういう経験も減ってきました。2007年以降の曲が入っていないのはそれが要因だと思います。ネットでの音楽ストリーミングによって好きな音楽には以前よりもたくさん出会えているけど、違和感を消化してハマるとか、新しいジャンルを開拓するということは減ってきました。そう考えると若い世代にとってはこういう人生を変える曲との出会いの機会って少なくなってきてるんじゃないでしょうか?だから敢えて苦手なジャンルを聴いてみたり、過去の音楽に遡ったり、ジャケ買いしたり、レーベルや音楽サイトのフリーコンピとか積極的にDLして聴いたりすることをオススメします。きっといい出会いがあるはず。
自己紹介のつもりがなんだか説教じみてきたのでこの辺で。最近はもっと邦楽ロックを掘り下げたいと思ってます。いい出会いがあるといいな。
映画 |
去年も「2010年に観た映画 BEST15」という特集をやったので、今年も「2011年に観た映画」のランキングを発表します。観た本数が少なかったので、今回はベスト10+次点1の合わせて11作品で。レンタルで観た旧作も含め、2011年に観た映画が対象です。
まずは惜しくもベスト10に入らなかった「次点」から。映画のコメントはうまく書けないので、短く簡単に書きます。
次点 「ブラック・スワン」
Black Swan - 2010年
監督:ダーレン・アロノフスキー
全体的にはスリリングな展開と巧みな心理描写で楽しめた。キャスティングはよかったし、ナタリー・ポートマンの演技も素晴らしかったけど、幻覚(?)部分の描写だけは少しチープに感じた。
No.10 「ペルシャ猫を誰も知らない」
No One Knows About Persian Cats - 2009年
監督:バフマン・ゴバディ
自由な表現が禁止されているイランでインディロックバンドをやろうとする若者たちの夢追い物語、という設定が新鮮だったし、何よりも現地のミュージシャンたちの演奏シーンなど音楽的な部分はかなり見応えあり。ただラスト・・・、いや、この先は言うまい。
No.9 「アップサイド・ダウン」
Upside Down: The Creation Records Story - 2010年
監督:ダニー・オコナー
2011年に観た中で唯一のドキュメンタリー映画。90年代のUKロックが好きならリアルタイム世代でも後追いでも、これからという人でも間違いなく楽しめる。いろいろ勉強になった。
No.8 「シャーロック・ホームズ」
Sherlock Holmes - 2009年
監督:ガイ・リッチー
自分はドイルの原作のファンだけにちょっと不安を覚えてたんだけど、それを吹き飛ばすほど面白かった。ホームズとワトスンのキャラが原作とはまったく異なることはあらかじめ知っておいた方がいいですね。19世紀末のイギリスの風景とかもよかったし、ロバート・ダウニー・Jrとジュード・ロウはやはりかっこいい。
No.7 「シングルマン」
A Single Man - 2009年
監督:トム・フォード
最初、何の予備知識もないまま観て、あんまりストーリー的には面白くないなと思った。それからネットでいろいろ調べて、もう一度観たら非常に面白かった。大まかな設定を知らないとちょっと判りづらい点もあると思うけど、その奥ゆかしさもこの作品の魅力かも。あと家、ファッション、アングル、音楽、色など細部にまでこだわりが感じられて、映画というよりも究極の美学に貫かれたアート作品だと思った。
No.6 「キック・アス」
Kick-Ass - 2010年
監督:マシュー・ヴォーン
「痛快」という言葉がぴったりなバトルシーンも、展開のテンポ感も、クロエ・グレース・モレッツのかわいさもよかった。続編が楽しみだけど、この頃と比べてクロエちゃんは成長し過ぎな気もするが大丈夫なのでしょうか。
No.5 「127時間」
127 Hours - 2010年
監督:ダニー・ボイル
何か書くとネタバレになるので、書きません。とにかく素晴らしかった。
No.4 「ゾンビランド」
Zombieland - 2009年
監督:ルーベン・フライシャー
ゾンビ映画とか普段観ないし、そもそもグロイの苦手なんですけどね。でもそんな人にこそオススメ。随所で笑えつつ、登場人物それぞれのキャラも立ってて、4人の関係性や心情の変化も楽しめる。タラハシーのキャラが大好きになった。あとやっぱりアレが最高(←書けません)。
No.3 「スラムドッグ$ミリオネア」
Slumdog Millionaire - 2008年
監督:ダニー・ボイル
これはアカデミー賞やゴールデングローブ賞を受賞しただけある。クイズ番組云々という大枠のストーリーは観ていない人でも知っていると思うけど、実はクイズ番組は話の一部でしかなく、貧しさの中で生き抜くことや信じることが描かれたヒューマンドラマであり、ラブロマンスでもある。さすがダニー・ボイル監督。音楽も時間軸の構成も素晴らしかった。
No.2 「ミッション:8ミニッツ」
Source Code - 2011年
監督:ダンカン・ジョーンズ
以前ブログで「2011年に観た映画のダントツナンバーワン」と書いたのに!いや、つい数日前までは1位のつもりでした。でもやっぱりこの記事を書くときにあらためて考え直してみたら、1位と2位が入れ替わりました。けれどもとにかく面白いし、ちょっと不思議な世界観にあっという間に引き込まれます。ダンカン・ジョーンズ監督の前作「月に囚われた男」と併せて観るのがオススメ。詳しい感想はこちらにあります。
No.1 「ソーシャル・ネットワーク」
The Social Network - 2010年
監督:デヴィッド・フィンチャー
1位に内定していた「ミッション:8ミニッツ」と、この記事を書く段階で土壇場で入れ替わったのはこの作品でした。やっぱり、より現実的なストーリーの方が気持ちが入り込めたし、事実に基づいた話(相当脚色されているけど)というのも大きかった。起承転結がしっかりしているだけでなく、物事の起こる因果関係が明確に描かれていることでより一層リアリティに溢れた作品になっていました。
と、こんな感じでした。実はこれ以外はあんまり観ていなくて、全部で20作も観ていないんじゃないかな。音楽と映画って同時に鑑賞できないので、どうしても時間とお金を音楽にかけてしまう。HDにはCS放送を録画したまま観ていない映画がたくさんたまっているし・・・というわけで、2012年はもっと映画観るぞ、と軽々しく宣言できないくらいには音楽中毒です。たぶん今年も20本くらいしか観れないんじゃないかな。とりあえずHDの中の「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と「いまを生きる」は早く観たい、と思う今日この頃です。
まずは惜しくもベスト10に入らなかった「次点」から。映画のコメントはうまく書けないので、短く簡単に書きます。
次点 「ブラック・スワン」
Black Swan - 2010年
監督:ダーレン・アロノフスキー
全体的にはスリリングな展開と巧みな心理描写で楽しめた。キャスティングはよかったし、ナタリー・ポートマンの演技も素晴らしかったけど、幻覚(?)部分の描写だけは少しチープに感じた。
No.10 「ペルシャ猫を誰も知らない」
No One Knows About Persian Cats - 2009年
監督:バフマン・ゴバディ
自由な表現が禁止されているイランでインディロックバンドをやろうとする若者たちの夢追い物語、という設定が新鮮だったし、何よりも現地のミュージシャンたちの演奏シーンなど音楽的な部分はかなり見応えあり。ただラスト・・・、いや、この先は言うまい。
No.9 「アップサイド・ダウン」
Upside Down: The Creation Records Story - 2010年
監督:ダニー・オコナー
2011年に観た中で唯一のドキュメンタリー映画。90年代のUKロックが好きならリアルタイム世代でも後追いでも、これからという人でも間違いなく楽しめる。いろいろ勉強になった。
No.8 「シャーロック・ホームズ」
Sherlock Holmes - 2009年
監督:ガイ・リッチー
自分はドイルの原作のファンだけにちょっと不安を覚えてたんだけど、それを吹き飛ばすほど面白かった。ホームズとワトスンのキャラが原作とはまったく異なることはあらかじめ知っておいた方がいいですね。19世紀末のイギリスの風景とかもよかったし、ロバート・ダウニー・Jrとジュード・ロウはやはりかっこいい。
No.7 「シングルマン」
A Single Man - 2009年
監督:トム・フォード
最初、何の予備知識もないまま観て、あんまりストーリー的には面白くないなと思った。それからネットでいろいろ調べて、もう一度観たら非常に面白かった。大まかな設定を知らないとちょっと判りづらい点もあると思うけど、その奥ゆかしさもこの作品の魅力かも。あと家、ファッション、アングル、音楽、色など細部にまでこだわりが感じられて、映画というよりも究極の美学に貫かれたアート作品だと思った。
No.6 「キック・アス」
Kick-Ass - 2010年
監督:マシュー・ヴォーン
「痛快」という言葉がぴったりなバトルシーンも、展開のテンポ感も、クロエ・グレース・モレッツのかわいさもよかった。続編が楽しみだけど、この頃と比べてクロエちゃんは成長し過ぎな気もするが大丈夫なのでしょうか。
No.5 「127時間」
127 Hours - 2010年
監督:ダニー・ボイル
何か書くとネタバレになるので、書きません。とにかく素晴らしかった。
No.4 「ゾンビランド」
Zombieland - 2009年
監督:ルーベン・フライシャー
ゾンビ映画とか普段観ないし、そもそもグロイの苦手なんですけどね。でもそんな人にこそオススメ。随所で笑えつつ、登場人物それぞれのキャラも立ってて、4人の関係性や心情の変化も楽しめる。タラハシーのキャラが大好きになった。あとやっぱりアレが最高(←書けません)。
No.3 「スラムドッグ$ミリオネア」
Slumdog Millionaire - 2008年
監督:ダニー・ボイル
これはアカデミー賞やゴールデングローブ賞を受賞しただけある。クイズ番組云々という大枠のストーリーは観ていない人でも知っていると思うけど、実はクイズ番組は話の一部でしかなく、貧しさの中で生き抜くことや信じることが描かれたヒューマンドラマであり、ラブロマンスでもある。さすがダニー・ボイル監督。音楽も時間軸の構成も素晴らしかった。
No.2 「ミッション:8ミニッツ」
Source Code - 2011年
監督:ダンカン・ジョーンズ
以前ブログで「2011年に観た映画のダントツナンバーワン」と書いたのに!いや、つい数日前までは1位のつもりでした。でもやっぱりこの記事を書くときにあらためて考え直してみたら、1位と2位が入れ替わりました。けれどもとにかく面白いし、ちょっと不思議な世界観にあっという間に引き込まれます。ダンカン・ジョーンズ監督の前作「月に囚われた男」と併せて観るのがオススメ。詳しい感想はこちらにあります。
No.1 「ソーシャル・ネットワーク」
The Social Network - 2010年
監督:デヴィッド・フィンチャー
1位に内定していた「ミッション:8ミニッツ」と、この記事を書く段階で土壇場で入れ替わったのはこの作品でした。やっぱり、より現実的なストーリーの方が気持ちが入り込めたし、事実に基づいた話(相当脚色されているけど)というのも大きかった。起承転結がしっかりしているだけでなく、物事の起こる因果関係が明確に描かれていることでより一層リアリティに溢れた作品になっていました。
と、こんな感じでした。実はこれ以外はあんまり観ていなくて、全部で20作も観ていないんじゃないかな。音楽と映画って同時に鑑賞できないので、どうしても時間とお金を音楽にかけてしまう。HDにはCS放送を録画したまま観ていない映画がたくさんたまっているし・・・というわけで、2012年はもっと映画観るぞ、と軽々しく宣言できないくらいには音楽中毒です。たぶん今年も20本くらいしか観れないんじゃないかな。とりあえずHDの中の「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と「いまを生きる」は早く観たい、と思う今日この頃です。
ライブレポート |
東京2公演+大阪、合わせて3公演全てソールドアウトとなった、Foster The Peopleの初来日公演に行ってまいりました。
※画像はこの日のライブとは無関係です
1月17日、恵比寿リキッドルーム公演。開演10分前に会場入り。すでに場内は「いま最も勢いのあるバンド」をひと目見ようと駆け付けた人たちでいっぱい。それでも人と人との間をくぐり抜けて、なんとか一番手前のゾーン(ステージから4メートルくらいのところにある手すりバーより前方)まで来た。周りは女性ばかりだったこともあり、十分すぎるほどに視界良好でした(後ろの人ごめんなさい)。
ステージはMutemathやFriendly Firesのように、向かって右側にドラムセットを横向きに配したセッティング。これはドラムやパーカッションがバンドのグルーヴの中核を担う、リズムコンシャスなバンドで最近よくみられる形ですね。
開演の19時きっかりに暗転して、まずはMark Pontius(ドラム、パーカッション)、Cubbie Fink(ベース、バッキング・ヴォーカル)と、サポート2人(ギタリストとパーカッション&キーボード)が登場。この時点で場内はものすごい歓声に包まれ、あらためて彼らの人気の高さを知る。4人がゆったりと音を奏で始めると、やがてジャケットにハット姿のキレイめファッションに身を包んだMark Foster(ヴォーカル、キーボード、ギター、プログラミング、パーカッション)が登場。歓声も俄然大きくなる。
1曲目は「Houdini」からスタート。なんと、僕が予想というか望んでいた通りだったのでこれはめちゃくちゃうれしかった。観客は前方へと押し寄せ、体と体をぶつけ合いながらジャンプして笑顔でシンガロング。音楽自体は体育会系のノリではないのに、昨年同じ場所で観たThe Go! Teamの時のような運動量の多いノリ方だ。音響的にはスネアドラムの音が「ベシャッ」という感じだったのが気になったけど、それでもアルバムにおける多彩なエレクトロニックな音やパーカッシヴなビートを、フォスター君やサポートメンバーが楽器を自在に持ち変えながらしっかりと再現できていたのには正直驚いた。おかげで音源にあるようなグルーヴや煌びやかな部分が、ライブで全く損なわれることはなかった。
2曲目にはアッパーな「Miss You」。先程まではまだ冷静だったオーディエンスも、ここではついにタガが外れたように踊り狂っていた。この曲はバスドラが8部で連打されていて、踊るにはかなりリズムがとりにくいんだけど、前方はとにかくもみくちゃで、ビートに合ってるのかすらもはやわからないほどみんな小刻みに体を揺らしていた。なんかもうこの時点で、彼らのオーディエンスも普通のバンドのライブのクライマックスのようなテンション。そしてこの時はっきり確信したことは、彼らは紛れもない「ライブバンド」であるということ。それこそ、MutemathやThe Mars Voltaのライブを観ている時と同じような興奮を覚え、体は勝手に動いていた。
続いての「Life On The Nickel」「I Would Do Anything」では、サビでのオーディエンスのシンガロングもバッチリ。やっぱり非英語圏の人にもわかりやすいフックがあると、歌いやすさに比例して盛り上がる。それにしてもフォスター君の歌声は、ふやけた感じの脱力ボーカルからソウルフルなファルセットまで変幻自在だ。初めてアルバムを聴いた時、僕はこのバンドはボーカルが2人いるのだと思ってしまったほど。3、4曲目が終わる頃にはフォスター君はハットも取りジャケットも脱いで、マッターホルンのイラストがプリントされたグレーのTシャツ姿に。彼だけでなく他のメンバーもそうだけど、オシャレなんだけど全くチャラさを感じさせないところがすごい。まるでGAPの広告モデルのような清涼感のあるいでたちで、とても好感が持てた。
さて、ここまでは普通にいつもの「楽しいライブ」のノリで観ていたのだけど、続いての「Broken Jaw」、これはヤバかった。強烈なダンスビートにより、場内は週末のクラブ・パーティーのような熱狂に包まれ、その後もさらに「Call It What You Want」「Don't Stop」という、これまたシンガロング可能なシングル曲2連発をたたみ掛ける構成はまさに圧巻。ライブの流れの作り方が非常に上手い。「Don't Stop」では、フォスター君はここで初めてギターを持ち、ステージ上を駆け巡っていた。
ここで短いMCののち、Weezerのファーストアルバムから「Say It Ain't So」のカバーを披露。Weezerのカバーをやるという話は事前に聞いていたけど、勝手に「Buddy Holly」だろうと思っていた(あの曲の楽しげなサビのメロディは、とてもFTPっぽいと思ったから)。こちらは特に彼ら流のアレンジをすることなく、ほぼ完コピに近い形。なんでも、フォスター君は幼い頃にWeezerのリヴァースから直接弾き方を教わったことがあるのだそうだ。つまりあのカバーは、彼なりのWeezerへのリスペクトの念が入ってるんですね。最近Weezerは「Pumped Up Kicks」をライブでカバーしてるけど、なんかそういう相互にリスペクトし合っているところも「イイハナシダナー」と思ってしまう。
本編ラストは、個人的にアルバムの中で一番好きな「Helena Beat」。イントロのちょっと複雑なエフェクトも見事に再現していた。さらにあのシンセリフに合わせて「オーーーオーオーー」の合唱も起きるほど、オーディエンスの興奮も最高潮に達し、そのテンションが途切れることのないまま本編終了。
ここで一度メンバーがハケると、ものすごいアンコールの拍手の嵐。最近のライブでここまで熱狂的なアンコール拍手はちょっと体験してないってくらい。やがてフォスター君が一人で登場しキーボードの前に座ると、アルバム未収録のスローなナンバー「Ruby」を披露。これまでの熱狂が嘘のように、ここではしっとりとした雰囲気でオーディエンスもこの聴きなれない曲に熱心に聴き入っていた。続いての曲は、入手したセットリストでは「Warrant」となっていたけど何か全然違う曲に聴こえたんだけど・・・。知ってる人、情報求む。
そんなわけで大ラスは大ヒット曲「Pumped Up Kicks」。前の曲のアウトロでシガー・ロス的な空間系ノイズのまま、なだれ込む形で始まった。が、これは非常に不安だった。正直この曲は有名であることを除くと、曲調的にはライブで盛り上がるタイプの曲ではなく、他の曲と比べてもスカスカだし地味な曲だ。それに先ほどのスローな曲2連発の後ということもあり、案の定歌のパートが始まってもオーディエンスはいまいち「Helena Beat」までのノリが取り戻せないまま。もちろんサビではシンガロングが起きるんだけど、他の曲の方が断然盛り上がっていた。「この曲が最後だとなんか尻すぼみだなあ・・・」なんて思っていると、後半のブレイク部分で突然四つ打ちエレクトロ・パートが挿入されて場内再び熱狂のダンスモードへ。フォスター君もカウベルをぶっ叩いてところ狭しと動き回る。終盤には客席前方に飛び込んで、オーディエンスに支えられながらもそこにいた全員を見渡すように直立していた。そして拍手喝采の中、ライブ終了。なんだか最後の方は記憶がおぼろげになるほど踊りまくってしまったが、去年観たどの単独公演よりも素晴らしいと感じるほどだった。
"Pumped Up Kicks (Live Version)"
この日のライブアレンジはこれとほぼ同じでした
今回のライブで一番強く感じたのは、彼らはけっしてポッと出の新人バンドではないということ。本人たちも予想していなかったであろう、「Pumped Up Kicks」の大ヒットのプレッシャーなど、ハナから感じていないように感じるほど、堂々としていて地に足のついたパフォーマンス。オーディエンスを楽しませたい、踊らせたいという気概がガンガン伝わってきたし、有名バンドになってしまったことに対する気負いとか肩肘張った感じは微塵も感じさせなかった。それどころか、長かった下積み時代の活動によって強固になった百戦錬磨のバンドアンサンブルや、オーディエンスに対する見せ方や盛り上げ方なども完全に掌握しているかのような、パフォーマーとしても完成されたライブだった。彼らは草食然としたインディ畑から現れたが、実は経験に裏打ちされた肉体的グルーヴをスマートかつクールに体現する、センスも技術力もアイデア力も総じて高い「ライブバンド」なのだ。彼らはきっと次作で、プレッシャーを感じることなくさらに素晴らしい傑作を届けてくれる予感がしてならない(まさにMIKAやMGMTがセカンドでそうであったように)。そう確信することができたライブだった。
■2012/1/17 恵比寿LIQUIDROOM set list
Houdini
Miss You
Life On The Nickel
I Would Do Anything
Broken Jaw
Waste
Call It What You Want
Don't Stop
Say It Ain't So (Weezer Cover)
Helena Beat
-encore-
Ruby
Warrant(?)
Pumped Up Kicks
※画像はこの日のライブとは無関係です
1月17日、恵比寿リキッドルーム公演。開演10分前に会場入り。すでに場内は「いま最も勢いのあるバンド」をひと目見ようと駆け付けた人たちでいっぱい。それでも人と人との間をくぐり抜けて、なんとか一番手前のゾーン(ステージから4メートルくらいのところにある手すりバーより前方)まで来た。周りは女性ばかりだったこともあり、十分すぎるほどに視界良好でした(後ろの人ごめんなさい)。
ステージはMutemathやFriendly Firesのように、向かって右側にドラムセットを横向きに配したセッティング。これはドラムやパーカッションがバンドのグルーヴの中核を担う、リズムコンシャスなバンドで最近よくみられる形ですね。
開演の19時きっかりに暗転して、まずはMark Pontius(ドラム、パーカッション)、Cubbie Fink(ベース、バッキング・ヴォーカル)と、サポート2人(ギタリストとパーカッション&キーボード)が登場。この時点で場内はものすごい歓声に包まれ、あらためて彼らの人気の高さを知る。4人がゆったりと音を奏で始めると、やがてジャケットにハット姿のキレイめファッションに身を包んだMark Foster(ヴォーカル、キーボード、ギター、プログラミング、パーカッション)が登場。歓声も俄然大きくなる。
1曲目は「Houdini」からスタート。なんと、僕が予想というか望んでいた通りだったのでこれはめちゃくちゃうれしかった。観客は前方へと押し寄せ、体と体をぶつけ合いながらジャンプして笑顔でシンガロング。音楽自体は体育会系のノリではないのに、昨年同じ場所で観たThe Go! Teamの時のような運動量の多いノリ方だ。音響的にはスネアドラムの音が「ベシャッ」という感じだったのが気になったけど、それでもアルバムにおける多彩なエレクトロニックな音やパーカッシヴなビートを、フォスター君やサポートメンバーが楽器を自在に持ち変えながらしっかりと再現できていたのには正直驚いた。おかげで音源にあるようなグルーヴや煌びやかな部分が、ライブで全く損なわれることはなかった。
2曲目にはアッパーな「Miss You」。先程まではまだ冷静だったオーディエンスも、ここではついにタガが外れたように踊り狂っていた。この曲はバスドラが8部で連打されていて、踊るにはかなりリズムがとりにくいんだけど、前方はとにかくもみくちゃで、ビートに合ってるのかすらもはやわからないほどみんな小刻みに体を揺らしていた。なんかもうこの時点で、彼らのオーディエンスも普通のバンドのライブのクライマックスのようなテンション。そしてこの時はっきり確信したことは、彼らは紛れもない「ライブバンド」であるということ。それこそ、MutemathやThe Mars Voltaのライブを観ている時と同じような興奮を覚え、体は勝手に動いていた。
続いての「Life On The Nickel」「I Would Do Anything」では、サビでのオーディエンスのシンガロングもバッチリ。やっぱり非英語圏の人にもわかりやすいフックがあると、歌いやすさに比例して盛り上がる。それにしてもフォスター君の歌声は、ふやけた感じの脱力ボーカルからソウルフルなファルセットまで変幻自在だ。初めてアルバムを聴いた時、僕はこのバンドはボーカルが2人いるのだと思ってしまったほど。3、4曲目が終わる頃にはフォスター君はハットも取りジャケットも脱いで、マッターホルンのイラストがプリントされたグレーのTシャツ姿に。彼だけでなく他のメンバーもそうだけど、オシャレなんだけど全くチャラさを感じさせないところがすごい。まるでGAPの広告モデルのような清涼感のあるいでたちで、とても好感が持てた。
さて、ここまでは普通にいつもの「楽しいライブ」のノリで観ていたのだけど、続いての「Broken Jaw」、これはヤバかった。強烈なダンスビートにより、場内は週末のクラブ・パーティーのような熱狂に包まれ、その後もさらに「Call It What You Want」「Don't Stop」という、これまたシンガロング可能なシングル曲2連発をたたみ掛ける構成はまさに圧巻。ライブの流れの作り方が非常に上手い。「Don't Stop」では、フォスター君はここで初めてギターを持ち、ステージ上を駆け巡っていた。
ここで短いMCののち、Weezerのファーストアルバムから「Say It Ain't So」のカバーを披露。Weezerのカバーをやるという話は事前に聞いていたけど、勝手に「Buddy Holly」だろうと思っていた(あの曲の楽しげなサビのメロディは、とてもFTPっぽいと思ったから)。こちらは特に彼ら流のアレンジをすることなく、ほぼ完コピに近い形。なんでも、フォスター君は幼い頃にWeezerのリヴァースから直接弾き方を教わったことがあるのだそうだ。つまりあのカバーは、彼なりのWeezerへのリスペクトの念が入ってるんですね。最近Weezerは「Pumped Up Kicks」をライブでカバーしてるけど、なんかそういう相互にリスペクトし合っているところも「イイハナシダナー」と思ってしまう。
本編ラストは、個人的にアルバムの中で一番好きな「Helena Beat」。イントロのちょっと複雑なエフェクトも見事に再現していた。さらにあのシンセリフに合わせて「オーーーオーオーー」の合唱も起きるほど、オーディエンスの興奮も最高潮に達し、そのテンションが途切れることのないまま本編終了。
ここで一度メンバーがハケると、ものすごいアンコールの拍手の嵐。最近のライブでここまで熱狂的なアンコール拍手はちょっと体験してないってくらい。やがてフォスター君が一人で登場しキーボードの前に座ると、アルバム未収録のスローなナンバー「Ruby」を披露。これまでの熱狂が嘘のように、ここではしっとりとした雰囲気でオーディエンスもこの聴きなれない曲に熱心に聴き入っていた。続いての曲は、入手したセットリストでは「Warrant」となっていたけど何か全然違う曲に聴こえたんだけど・・・。知ってる人、情報求む。
そんなわけで大ラスは大ヒット曲「Pumped Up Kicks」。前の曲のアウトロでシガー・ロス的な空間系ノイズのまま、なだれ込む形で始まった。が、これは非常に不安だった。正直この曲は有名であることを除くと、曲調的にはライブで盛り上がるタイプの曲ではなく、他の曲と比べてもスカスカだし地味な曲だ。それに先ほどのスローな曲2連発の後ということもあり、案の定歌のパートが始まってもオーディエンスはいまいち「Helena Beat」までのノリが取り戻せないまま。もちろんサビではシンガロングが起きるんだけど、他の曲の方が断然盛り上がっていた。「この曲が最後だとなんか尻すぼみだなあ・・・」なんて思っていると、後半のブレイク部分で突然四つ打ちエレクトロ・パートが挿入されて場内再び熱狂のダンスモードへ。フォスター君もカウベルをぶっ叩いてところ狭しと動き回る。終盤には客席前方に飛び込んで、オーディエンスに支えられながらもそこにいた全員を見渡すように直立していた。そして拍手喝采の中、ライブ終了。なんだか最後の方は記憶がおぼろげになるほど踊りまくってしまったが、去年観たどの単独公演よりも素晴らしいと感じるほどだった。
"Pumped Up Kicks (Live Version)"
この日のライブアレンジはこれとほぼ同じでした
今回のライブで一番強く感じたのは、彼らはけっしてポッと出の新人バンドではないということ。本人たちも予想していなかったであろう、「Pumped Up Kicks」の大ヒットのプレッシャーなど、ハナから感じていないように感じるほど、堂々としていて地に足のついたパフォーマンス。オーディエンスを楽しませたい、踊らせたいという気概がガンガン伝わってきたし、有名バンドになってしまったことに対する気負いとか肩肘張った感じは微塵も感じさせなかった。それどころか、長かった下積み時代の活動によって強固になった百戦錬磨のバンドアンサンブルや、オーディエンスに対する見せ方や盛り上げ方なども完全に掌握しているかのような、パフォーマーとしても完成されたライブだった。彼らは草食然としたインディ畑から現れたが、実は経験に裏打ちされた肉体的グルーヴをスマートかつクールに体現する、センスも技術力もアイデア力も総じて高い「ライブバンド」なのだ。彼らはきっと次作で、プレッシャーを感じることなくさらに素晴らしい傑作を届けてくれる予感がしてならない(まさにMIKAやMGMTがセカンドでそうであったように)。そう確信することができたライブだった。
■2012/1/17 恵比寿LIQUIDROOM set list
Houdini
Miss You
Life On The Nickel
I Would Do Anything
Broken Jaw
Waste
Call It What You Want
Don't Stop
Say It Ain't So (Weezer Cover)
Helena Beat
-encore-
Ruby
Warrant(?)
Pumped Up Kicks
Fuji Rock & Summer Sonic |
米カリフォルニア州で毎年5月に開催されるコーチェラ・フェス(正式にはCoachella Valley Music and Arts Festival)出演アクトのフルラインナップが先日発表されましたね。今年ももうそんな季節です。去年書いたブログ記事【「Coachella 2011」から占う2011年フジロック&サマーソニック出演アクト】は思った以上の反響をいただいて、出演者予想の結果としては当然外したものやフジとサマソニが逆だったりというものも多かったんですが、多少なりとも予想が的中しているものもあったし、なによりあれこれ予想するのは(それ自体の重要性や意義を差し置いても)やってる側としてはかなり楽しいので、今年もやらせていただきたいと思います。フジロックとサマーソニックはそれぞれ異なるカラーを持つフェスなので、去年と同様どっちのフェスに出るか?も予想してみました。
個人的な希望に基づいた予想なので大いに外れるとは思いますが、今からフェス気分を盛り上げて寒い冬を越せるように、軽い気持ちで楽しんで見てって下さい。
個人的な希望に基づいた予想なので大いに外れるとは思いますが、今からフェス気分を盛り上げて寒い冬を越せるように、軽い気持ちで楽しんで見てって下さい。
ピックアップアーティスト |
2012年にデビューアルバムがリリースされる予定の注目アーティスト12組をピックアップのつもりでしたが、1組忘れてたので全13組に変更します(汗)。前編ではすでにアルバムタイトルやリリース日がアナウンスされている6組をご紹介しましたが、後編では公式アナウンスはまだないものの、おそらく2012年中にデビューアルバムが出るであろう7組のアーティストを紹介します。
Dom
Passion Pit、MGMT好きはハマること間違いなし、すでに2枚のEP「Sun Bronzed Greek Gods」と「Family of Love」でインディロックファンの心を鷲掴みにしている米マサチューセッツ出身のバンド。キラキラのシンセ、ひたすらキャッチーなボーカル、そして陽性のメロディが魅力です。
Dom
Passion Pit、MGMT好きはハマること間違いなし、すでに2枚のEP「Sun Bronzed Greek Gods」と「Family of Love」でインディロックファンの心を鷲掴みにしている米マサチューセッツ出身のバンド。キラキラのシンセ、ひたすらキャッチーなボーカル、そして陽性のメロディが魅力です。
ピックアップアーティスト |
2012年にデビューアルバムがリリースされる予定の注目アーティスト13組をピックアップ。今回はその前編として、すでにアルバムタイトルやリリース日がアナウンスされている6組をご紹介します。選出基準は完全に自分の趣味です(笑)。
Team Me / To The Treetops
2月8日リリース(国内盤:Hostess)
Mew、Los Campesinos!、Arcade Fire、The Go! Teamなどが引き合いに出されるノルウェーのインディ・ポップ・バンド。明るいメロディーと壮大なサウンドが魅力です。
Team Me / To The Treetops
2月8日リリース(国内盤:Hostess)
Mew、Los Campesinos!、Arcade Fire、The Go! Teamなどが引き合いに出されるノルウェーのインディ・ポップ・バンド。明るいメロディーと壮大なサウンドが魅力です。
Fuji Rock & Summer Sonic |
フジロック2012、Radioheadの出演が決定しました!
2010年のAtoms For Peace、今年のフジ直前の台湾公演発表など、いくつかの伏線があったにしても、これは驚きとともになんとも嬉しいニュース。おそらく、グリーンステージを超満員の観衆が埋めつくし、トムの歌声が苗場の山に鳴り響くでしょう。
The Stone Rosesもすでに発表されているので、今年のフジロックフェスティバルは過去最強レベルのヘッドライナーになりそうな予感。残り一枠が気になりますね。2011年に新作をリリースしたBjorkという説や、2011年再結成(フッキー抜きで)したNew Orderなどの噂が飛び交っていますが、あれこれ予測して発表までの時間を楽しむとしましょう。
フジロックフェスティバル オフィシャルページ
軽ーく予習。
Radiohead - Bloom (live From the Basement)
The Stone Roses - I Am The Resurrection
個人的にはArcade FireとPulpをお願いしたいんですけどね・・・。