日経スペシャル「ガイアの夜明け」 6月3日放送 第317回
世界を救うニッポンの技術~企業が果たす社会貢献とは?~
世界で今、貧富の格差、疫病、飲み水の不足など、様々な諸問題が深刻化している。
こうした諸問題を解決するために、ODA(政府などによる国際援助)だけではなく
企業の果たす役割が期待され始めている。
なぜなら、社会問題を解決するような独自な技術を持っている企業ならば、
一時的ではない、持続的な支援活動を実現してくれる可能性があるからである。
今回番組で取り上げるのは、画期的な「浄化剤」で飲み水に困っている世界の人たちを救おうとしている大阪の浄化剤メーカーと、「薬剤を練りこんだ蚊帳」でマラリアから子供たちを救おうとしている大手化学メーカー、住友化学。
ある程度の利益を出し、ビジネスとして継続させながら、どうやって自分の会社が持つ技術を社会に役立てていくのか?そうした取り組みを見せる企業を追った。
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大阪の浄化剤メーカー、日本ポリグルが開発した、画期的な水の浄化剤とは納豆のネバネバ成分使って開発したもので、汚れた水に入れると水分中に含まれるヒ素などの有害物質と結合し、下に沈殿し、水をきれいにするというものだ。
その日本ポリグル製の浄化剤の評判を聞きつけて、去年12月、バングラデシュの支援団体から支援要請が来た。
もともとバングラデシュは水の環境が悪く、水道施設は地方に行くと未整備で、普及率は
約10%程度である。多くの人が井戸水を飲んでいるが、1億3千万人の人口のうち3千万人以上の人たちが基準値を超える濃度のヒ素を含む井戸水を飲み続けていて、さらに3万人以上の人がヒ素中毒になっていると言われている。
そもそも、安全な飲み水が手に入らない人は世界の約15%、11億人にも上り、
環境汚染や、人口の増加でますます飲み水に困っている人は世界で増えていく一方だと予想されている。
そこで汚れた池や川の水も、日本ポリグルの浄化剤を使えばきれいになるし、
煮沸かろ過をすれば、飲み水として使えるということで注目されているのだ。
支援要請を受けた、日本ポリグルの小田兼利会長(67歳)は早速、浄化剤を
バングラデシュに寄付することを決定。それだけではなく、自ら乗り込み、
村々を回って浄化剤の使い方を教え、さらに「ろ過装置」を作って行こうと考えたのだ。
果たして、バングラデシュの水危機は救えたのか?そして生まれた始めてきれいな水を見た子供たちは・・・?
さらに、小田会長は、持続的に浄化剤をバングラデシュに流通させるために、ある考えも持っていた。ビジネスと支援は両立できるのか?
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世界のマラリア患者は3億人以上、そして年間100万人以上がマラリアで死亡しており、しかもその多くが5歳以下の子どもたちだという。
そこで、日本の大手化学メーカー、住友化学では画期的な蚊帳(かや)を開発。
それは殺虫効果のある薬を繊維に練りこんで作った蚊帳だ。
これに触れると蚊は死んでしまい、効果は5年以上だという。
住友化学ではこの蚊帳を、WHO(世界保健機関)やユニセフ、そしてアフリカ各国の政府などに1セット5ドル(約500円)程度の安価で供給している。
また、アフリカ・タンザニアの地元企業にも技術も無償で提供し、現地の工場で生産を開始。タンザニアでの雇用にも貢献している。
しかし、住友化学ではこれをタンザニアだけではなく、アフリカの全土に普及させたいと考えている。そのために住友化学の中西さんはアフリカ全土を走り回っていた…。
*以上の2社を通して、ある程度の利益を確保しながら、一時的ではない持続的な支援を目指す、企業なりの社会貢献活動を見ていく。
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