地域住民を対象にした仕事から活動の場が全国に
類家 万里(Release.2021.02)
■お名前:類家 万里 年齢:57歳(令和3(2021)年2月現在)
秋田県大仙市(旧大曲市)生まれ
1985年3月 宮城学院女子大学 卒業
1985年5月 管理栄養士取得
1985年6月 結婚を機に栃木県に
2012年 日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士資格取得
実るほど頭を垂れる稲穂かな
フリーランス管理栄養士、公認スポーツ栄養士として活躍されていますが、具体的には、どのようなことをしていますか。
多方面で食と栄養のアドバイス関係のお仕事をさせていただいております。
ホテル関係では、食品衛生、アレルギー・糖尿病・腎臓病等特別食対応、アスリート受入れ、地産地消の食育推進、宗教的配慮などのシステムづくり、従業員教育を担当しています。
スポーツ栄養では、スポーツ選手の栄養サポートや指導、競馬学校にてスポーツ栄養学の講師をしています。
最近は多忙のためできていませんが、乳幼児から高齢者までを対象に、食生活相談・食育料理教室なども行っています。
今のお仕事に携わろうと思ったきっかけは何ですか。
栄養学を学んでいた大学3年生の頃、日々の生活を送る中で、気軽に自分に合った健康的な食べ方を相談できる場をつくりたいと考え、フリーランス管理栄養士になろうと思いました。
フリーランスでの大変さはありますか。
一人での仕事なので代わりを勤めてくれる人がいないため、常に自身の健康管理には気を使います。子どもが小さい頃は、子どもが病気をしたときでも仕事を休めないことが一番辛いと感じました。
仕事で達成感を感じるのは、どんな時ですか。
今までなかった分野にも仕事の場を広げ、そこに管理栄養士として関わることでより良くなることを肌で感じられるときに達成感を感じます。
大切にしていることは、何ですか。
謙虚さ。座右の銘でもある“実るほど首を垂れる稲穂かな”。常に相手の立場に立って寄り添う気持ちを持つこと。
その一方で、新しいことにチャレンジすることを怖がらないこと。
キャリアアップにつながる3回の転機
社会人10年目32歳頃。
出産・育児を経て仕事を再開し始めた頃、5年ほど心理学やカウンセリングを勉強しました。
食と心は直結していますし、相手の気持ちに寄り添い、必要なアドバイスができ、行動変容につなげるためには心理学やカウンセリングの技法が必要と考えました。これにより、自分の心理状態を客観的に捉えることもできるようになり、その後の人生が生きやすくなりました。
社会人15年目37歳頃。
スポーツ栄養と出会い、食がアスリートにとって目標達成の一助を担うことを知りました。スポーツ栄養の知識を深め、より効果的なサポートができるよう、49才のときに公認スポーツ栄養士を取得しました。
社会人20年目42歳の頃。
地域での食育活動つながりで栃木県内のリゾートホテルからお声をかけていただきました。ここで、今までの経験(離乳食・食物アレルギー・糖尿病・腎臓病・嚥下摂食・妊婦・アスリート等の方の食生活相談)が活かされホテルに管理栄養士がいる利点を評価していただきました。その後、全国規模のホテルマネジメント会社と業務契約することができました。
3回の転機を経て仕事の内容が広がりましたか。
“地域の人”を対象にして始まった仕事が、アスリートやプロ選手育成など、より高みを目指す方にも関わることが出来ました。また、仕事の場を栃木県内から全国に広げることになり、食を通して、業務内容も対象者も活動エリアも広くなってきました。
今後の展望や目標を教えてください。
今まで関係してきた仕事を活かして、外国人観光客を対象とした、食と健康とスポーツと観光と文化と農と宿泊を融合させたような事業をやってみたいです。
外国人は2週間くらいの長期旅行をされるので、その2週間を例えば栃木県内に滞在してもらい、そこでいろいろな体験をして過ごしてもらえるような。そこに私の今までの経験を活かし発展させられたら面白いだろうなあと思います。
仕事と家庭の両立のために、大切にしていたことは、ありますか。
子ども達が小さい頃は、時間が少なくても“子育ての気持ち”は手を抜かないように意識していました。
何か問題が発生したときに、あの時、自分が手を抜いていたためにこんなことになってしまったんだ、と後悔することのない働き方をしたいと思っていました。
具体的には、洗濯やゴミ出しは夫任せ、掃除などの家事は手を抜くことも多々あったのですが、子ども達の心にそっと寄り添い見守ることを大切にしたかったので、学校や部活の送迎の車中ではよく話を聴くようにしていました。食事面では、仕事で時間がないときは『とても残念な手抜きの食卓』になってもよいと自分にルールを決め、頑張り過ぎないようにしていました。ただ、子ども達がスポーツをやっていたこともあり、朝食と高校のお弁当だけは栄養バランスも彩りもしっかり考えて毎日つくっていました。(笑)
子ども達が巣立った現在は、夫と二人暮らしですが、あまり干渉せず各々の時間を大切にしています。
家庭との両立で大変だと感じること、それを乗り越える方法はありますか。
ありがたいことですが、今はいろいろな仕事が重なり、休日も睡眠時間も十分に取れないことが多く体力的にも精神的にもしんどいと感じることがあります。またフリーランスですから何の保証もないため、この先どうなるか見えないという不安がないわけではありません。
しかし、根がプラス指向で、『今やれることをやる』とさっさと割り切れるタイプですし、小さな気分転換もうまくできていると思います。
ご家族からのコメント
結婚してからもう35年になります。
この間、家事・育児・仕事の両立で大変だった時期が長かったことでしょう。
特に子ども達が小さかった頃は、僕(夫)の仕事も忙しくなかなか子育てに協力できなかったように思います。
そんな忙しい中でも、いつも上手に時間を使って楽しそうにいきいきと家事も育児も仕事もこなしていましたね。あのパワーはやはりしっかりした栄養管理からでしょうか。(僕よりも食欲旺盛で1日5食でした)
子ども達が巣立った今は、24時間を自分なりに構成できると思います。仕事が好き過ぎるくらい好きでたまらないようなのでどんどん自由にやってほしい、一方で、睡眠時間を確保した方がよいと思うことと、全国を転々として行方不明(迷子)にならないよう気を付けてほしいと思います。
後輩女性へのメッセージ
どんな状況に置かれても、そこで新しい発見があるから、人生は楽しいです。
今は『ない』ものでも、『あったらいいな』と思ったら、自分が切り開いてつくり出せばいいと思います。
加川 由佳さん
類家さんとの出会いは、とちぎスポーツ栄養研究会でした。はじめて会った時の印象は「美人でバリバリ仕事をするフリーランスのすごい先駆者」でした。
とちぎスポーツ栄養研究会の会長でもあり、出会ってから数年のお付き合いですが、今でも印象は変わらず、プラスして芯の強さと優しさを教えてもらっています。一緒にお仕事をさせてもらうことや、公私共に教わることも多く、ただただ尊敬の一言です。
類家さんは、常に相手の声に耳を傾け、出会った人へプラスを与える方であり、良い方向へヒントをくれる方です。
人生の、管理栄養士の、そして、公認スポーツ栄養士の先輩である類家さんのように、私も、「自分の道」を歩んでいきたいです。
ウーマンズデータ
完全休日はほとんどありませんが、、、
ウォーキングやスポーツジムで身体を動かすことが、休日の優先順位第一
ふだん出来ない家事をまるで趣味のように楽しくこなし、庭のお花の手入れも楽しみ
出張先でご当地のお料理を食べたりお土産を買ったりするのが楽しみ
スポーツジムで汗をかくと身体も心も元気に
時々自分へのご褒美にエステにいって贅沢な気分を満喫