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近代日本メディア議員列伝・2巻
降旗元太郎の理想
名望家政治から大衆政治へ
井上 義和 著
内容紹介
普選実現に尽くした謎多き生涯を繙く意欲作
中村太八郎と木下尚江が主唱して始まった普選運動を、陰に陽に支え続け、実現のそのときまで政治過程のど真ん中で力を尽くした降旗元太郎。総選挙で長野県選出歴代最多の当選11回を誇り、普通選挙法案を最初に帝国議会に提出した一人であるにもかかわらず、政治史的に目立った存在でなかったこともあり、これまで本格的に研究がなされてこなかった。『信濃日報』社長の傍ら、信州松本を中心とした開明的な名望家ネットワークのハブ的存在として活動した元太郎の人生を通して浮かび上がる「謎」や「問い」を手掛かりに政治史を捉え直す、意欲的な評伝。普選実現100年(2025年)に向けて注目が高まるメディア議員の生涯と激動の時代を丹念に描く。
〈近代日本メディア議員列伝〉
明治から戦後にかけて〈政治のメディア化〉を体現したメディア議員を取り上げ、一人一冊で深掘りする、佐藤卓己氏単独編集による完全書下ろしの新シリーズ。国会議員がこぞってSNSで発信し続ける現代政治への向き合い方に自省を迫る、これまで無かった人物列伝。もっと見る
目次
序章 遅れてきた世代
1 「普選実現運動発祥の地」記念像
2 降旗元太郎の再評価
3 『井戸塀二代』と病床手記
4 二つの世界、二つの世代を媒介する者
第一章 蚕種製造と自由民権
1 信州の二つの文化圏
2 浅間温泉の名望家――旅館業と蚕種製造業
3 明治一〇年前後の教育環境――浅間学校と武居塾
第二章 武居用拙の漢学塾から東京専門学校へ
1 漢学者・武居用拙に民権論を学ぶ
2 松本安曇野の自由民権運動
3 慶應義塾から東京専門学校へ
第三章 草創期の東京大学と私立学校
1 法律青年と政治青年――明治一〇年代の上京遊学ブーム
2 「日本語による政治学教育」の誕生
3 政治青年と文学青年――明治二〇年前後の知識青年
第四章 青木貞三と松本親睦会
1 政治青年から政治家へ
2 青木貞三の仲介――太政官文書局と同郷四天王
3 松本親睦会から地方政治へ
第五章 取次役・世話役・顔役――地方名望家の条件
1 新しい公共圏の創出
2 新しい名望家の誕生
3 東京帰りの青年たち
第六章 地方新聞と地方政治――メディア政治家の誕生
1 「政治の季節」再来――大同団結から分県運動へ
2 矛盾を引き受ける「器」
3 メディア政治家の誕生
終章 理想の行方
あとがき
病床手記
引用・参照文献
降旗元太郎 略年譜もっと見る
著者紹介
※著者紹介は書籍刊行時のものです。[著]井上 義和(イノウエ ヨシカズ)
1973年長野県松本市生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程退学。京都大学助手、関西国際大学を経て、現在、帝京大学共通教育センター教授。専門は教育社会学、歴史社会学。著書に『日本主義と東京大学』(柏書房、2008)、『未来の戦死に向き合うためのノート』(創元社、2019)、『特攻文学論』(創元社、2021)、編著に『深志の自治―地方公立伝統校の危機と挑戦』(信濃毎日新聞社、2023)など。もっと見る
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メディア情報
2023/12/21 信濃毎日新聞で紹介