プログラマブルなインフラ、Ruby、JavaScriptなどが重要なテクノロジと評価される。ThoughtWorksのレポート
オブジェクト指向やアジャイル開発などを広めてきたMartin Fowler氏が所属し、アジャイル開発のコンサルティングなどを行っている企業としても知られているThoughtWorks。同社は、IT業界内のさまざまなテクノロジーの中から、重要性を増しつつあるテクノロジーや、逆に影響力を失いつつあるテクノロジーなどを紹介するレポート「Technology Radar」を不定期に公開しています。
そのTechnology Radarの2011年1月号が公開されました。いままでPDFバージョンしかなかったのですが、今回はHTML版も公開され、より見やすくなっています。
Technology Radarは、開発技法を対象とした「Techniques」、ツールを対象とした「Tools」、プラットフォームを対象とした「Platforms」、プログラミング言語を対象とした「Languages」の4章からなっています。この中からツールとプログラミング言語の部分を見てみましょう。
プログラマブルなインフラ
分析結果はレーダーチャートのような図で表され、いちばん内側が「Adopt(受容)」で、外側にいくほど「Traial(試験)」、「Assess(要調査)」、「Hold(保留)」といった状態を示しています。また、三角の印は新しく登場したテクノロジーを示しています。
以下がツールの分野のチャートです。
Adoptの領域に、いきなり「Infrastructure as code」が飛び込んできているのが分かります。Infrastructure as codeとは何でしょうか? 次のように説明されています。
Infrastructure as code is an approach whereby infrastructure configuration is scripted or described by files that are stored in version control, and changes are pushed out to the datacenter in a controlled manner.
Infrastructure as codeは、インフラストラクチャのコンフィグレーションがスクリプトやファイルによって記述され、バージョン管理されており、その変更が自動的にデータセンターに反映されるやり方を指す。
つまり自動化されプログラミング可能になったデータセンター、ということでしょう。
Trialの領域に新しく登場したSplunkは、SyslogやIIS、Log4jなどさまざまな種類のログを解析してレポートするためのツール。その近くにはNoSQLも位置していますし、Mercurial、Gitといった分散バージョン管理ツールもあります。ESB(Enterprise Service Bus)は様子見のようですね。
Ruby、JavaScriptはエンタープライズ用途に認められる
続いて、プログラミング言語のチャートを見てみましょう。
Adoptに入っているのは、C# 4.0、Ruby、JRuby、JavaScriptの4つ。ThoughtWorksはRubyとJavaScriptをエンタープライズ用途のプログラミング言語として認めていますね。
Trialの領域には、HTML5、Scalaといった最近話題の技術に混じってHAMLが入っています。HAMLとはHTML/XHTMLを生成するためのの簡易なマークアップ言語で、HAMLをプリプロセッサに通すことでHTML/XHTMLへと変換されるというもの。Ruby on RailsやMerb、SproutCoreといったフレームワークで採用されはじめています。
Javaは言語としての寿命を迎えようとしていると評価され、Assessの領域に。レポートでは、Javaからすぐに逃げ出すよりも状況を見守ることを勧めています。
1年前とどこが変わった?
ちょうど1年前にもこのTechnology Radarを取り上げていますので、ぜひ見比べてみてください。
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