535
昔、まだ自分の祖母が存命だった頃の話なんだけど
当時ばあちゃんは身体が弱ってて
うちの近所に住んでる伯母宅でほぼ寝たきりだったんだ

自分はまだ小学2年か3年くらいの頃で
時々見舞いに行っては
「ばあちゃん長生きしてな」って言ってたんだけど
いつも「ありがとうありがとう」って泣くんだよ

暑い夏で、クーラーなんて無かったから窓も玄関も網戸にしてて
ばあちゃん用の扇風機はゆるい風を送りながら、いつも首を振っていた




536
伯母宅は玄関を上がるとすぐ前に階段があって、台所が隣接している
だから誰か入ってきたらすぐにわかるようになっている

その日、昼ごはんを用意していると
誰かが入って来て、階段をとんとんと上がって行った様な気がしたそうだ
声も掛けないで入ってくるなんて、一体誰だと思い
慌てて階段を覗きに行ったが、もう誰もいない
階段を上がってすぐの部屋には、ばあちゃんが寝ている
なんだか心配になって、伯母はばあちゃんの様子を見に行ったんだそうだ


537
二階には、いつもと変わらずにばあちゃんが寝ていて、他には誰もいなかった
誰か来なかったかと、伯母が訊くと
ばあちゃんがなんだか嬉しそうに
「じいちゃんが来たよ」と言ったそうだ
祖父は、自分が産まれるよりもずっと前に亡くなっているので
もう鬼籍に入ってから随分と経つ
伯母はさっきの気配を思って、少しぞっとしたらしい
「お前はまだ来ちゃいけないって言うんだ。
見舞いにスイカを持ってきてくれたんだよ。ほら、そこにあるだろう?」
けれど、そこには何もない
ばあちゃんはさらに続けた
「なんでスイカなんだろうねえ、じいちゃんの好きなものじゃないか」
そう言って、笑った


538
伯母は急いでスイカを買いに走ったらしい
かなり食が細くなっていたばあちゃんだったんだが
このスイカは良く食べてくれたと、伯母は言っていた
そして驚いたことに、その日からばあちゃんは見る見る元気になって
外に散歩できるくらいにまで回復した

じいちゃんの仏前には、夏の間だけだが
毎日スイカが供えられるようになった

怖くなくてすまん
常駐スレがここなもんで…
ちなみに伯母は普段からすごく視える人ですww


539
心があったかくなったじゃないか…


556
レスありがとう

この話は実際にばあちゃんからも伯母からもよく聞いたし
じいちゃんやばあちゃんの法事のときにもよく話題になっていた話です
「絶対にじいちゃん、自分の好きなものはみんな好きとか思ってるで!」とか
「スイカ以外に何がうまいねん!思てるねんで!」とか
かなりいじりネタになっていました…じいちゃん…(遠い目)
ちなみに、ばあちゃんは桃派でした…じいちゃん…(遠い目)

うちの母方の家系は(伯父以外)みんな視るのでwww
また、お話になりそうなのがあったら投下します


603
>>538
いい話だねえ...

ちなみにワシもスイカ派。


564
>>535
なんか泣きそうになったじゃないか





引用:ほんのりと怖い話スレ その87