放射性物質を含む廃棄物に関する情報を、Q&Aの形式で分かりやすくご紹介しています。解答をご覧になりたい問を選択してください。このQ&Aは以下のサイトからPDF版をダウンロードすることもできます。
また国立環境研究所では、放射性物質を含む廃棄物の適正処理について、以下のような資料も作成していますので、併せてご活用ください。
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半減期とは、放射性物質が壊れて元の半分の量になるまでの時間のことをいいます。
例えば、ヨウ素131の半減期は8日で、8日で元の半分の量になります。
セシウム134の半減期は2年、セシウム137の半減期は30年です。
焼却主灰とは、焼却炉でごみを焼却した際に、焼却炉の下方から排出される燃えがらのことです。
焼却飛灰とは、焼却炉でごみを焼却した際に発生する排ガスに巻き上げられた細かい粒子や、高い焼却温度で揮発した後に排ガス温度の低下とともに固体化した粒子などで、集じん装置で捕集されたものを言い、ばいじんとも呼ばれます。
さらに、焼却排ガスは塩化水素などの酸性ガスを中和するために吹き込まれた消石灰を含む場合があり、その場合は高いアルカリ性を示します。
バグフィルターとは、焼却炉から出た排ガス中のばいじん(細かい煤)を除去するために設置された設備です。ろ布と呼ばれるフェルトやガラス繊維を使った布が筒状になったものです。大規模な施設ではこれが数百本も設置されています。
排ガス中のガスはろ布を通過しますが、ばいじんはろ布表面に堆積します。これがばいじん除去の原理です。ろ布表面にはばいじんが厚く堆積していくので、定期的に堆積したばいじんを払い落とします。
詳しくは「放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(技術資料:概要版)」の6ページをご覧ください。
仮置場とは、大量に発生したがれきや、放射性物質に汚染された土など、すぐに本来の処理ルートにのせることができない廃棄物を、処理の準備が整うまで一時的に保管する場所のことです。
ただし、仮置場であっても、廃棄物が飛散・流出したり、放射性物質が外部に漏れ出たりすることがないよう、きちんとした対策を講じることが大切です。
粉状、粒状の廃棄物(灰や土など)を保管・運搬するのによく使われる袋です。丈夫な化学繊維もしくは防水シートで作られており、大型土のうと呼ばれることもあります。
浸出水とは、埋立処分場に降った雨が埋め立てられたごみの層に浸透し、染み出してきた水のことです。
通常は、処分場から外に流れ出さないように集水され、専用の施設で処理された後、各項目の基準値を下回った状態で放流されます。
詳しくは「放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(技術資料:概要版)」の14ページをご覧ください。
ゼオライトは鉱物の一種で、様々な物質を吸着する性質を持っています。この性質を利用して、浸出水に含まれる放射性セシウムを取り除くことができます。
ただし、ゼオライトは一定量のセシウムを吸着すると、それ以上は吸着しなくなるので、定期的に交換する必要があります。
詳しくは「放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(技術資料:概要版)」の14ページと、「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第三版」の84~87ぺージをご覧ください。
RO(Reverse Osmosis)膜とは、海水から塩類などを除いて真水にするなどの目的で用いられる膜の一種です。この膜は非常に目が細かいため、水だけを通し、放射性セシウムやその他の不純物は通しません。
これによって水中の放射性セシウムを分離・濃縮することができますが、処理後に、高濃度の放射性セシウムを含む「濃縮水」が発生しますので、この濃縮水から放射性セシウムを吸着などの作用で取り除くことになります。
詳しくは「放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(技術資料:概要版)」の14ページと、「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第三版」の87~88ページをご覧ください。
「放射線」とは、不安定な原子核が壊れるときに放出される、エネルギーを持った粒子線、または電磁波のことです。「放射性物質」とは、放射線を出す物質のことです。「放射能」とは、放射線を出す性質、または能力のことです。
詳しくは、「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第三版」の10ページをご覧ください。
放射線には、アルファ線(ヘリウムの原子核で陽子2個と中性子2個からなる)、ベータ線(電子)、ガンマ線(原子核の内部から出る電磁波)などがあり、種類により物を通り抜ける力が異なっています。
詳しくは、「放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(技術資料:概要版)」の19ページと、「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第三版」の10ページをご覧ください。
種類 | 特徴 |
---|---|
α(アルファ)線 | 空気中では数センチしか飛ばず、紙1枚で止めることができる。ただし、体内に入ると周りの細胞に影響を及ぼす。 |
β(ベータ)線 | アルミ箔や、厚さ数センチのプラスチックで止めることができる。 |
γ(ガンマ)線 X(エックス)線 |
透過力が強く、止めるには10センチ程度の鉛やコンクリートが必要。 |
中性子線 | 透過力が強く、水やパラフィンなどで進む速度をおとすことができる。 |
ベクレル(Bq)は、放射性物質が持つ放射能の強さを表す単位です。放射性物質が壊れる割合が毎秒1回であるときの放射能が1Bqです。
シーベルト(Sv)は、放射線が人の体に及ぼす影響の強さを表す単位です。内部被曝を考える場合、体内に取りこんだ放射性物質の放射能(ベクレル)に、放射性物質ごとに定められた換算係数をかけることによって人体への影響(シーベルト)を求めます。
詳しくは、「放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(技術資料:概要版)」の19ページと、「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第三版」の11ページをご覧ください。
セシウムはナトリウムやカリウムと同じ仲間です。食塩(塩化ナトリウム NaCl)と同じように、塩素とセシウムがくっついた「塩化セシウム(CsCl)」という状態では水に溶けやすい性質があります。また、土(特に粘土質の土)に吸着しやすく、一度吸着するとなかなかとれないことが分かっています。
詳しくは「放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(技術資料:概要版)」の20ページと、「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第三版」の3章(18ページ~)をご覧ください。
大地にはウランやラジウムなどの放射性物質が含まれていますし、空からは宇宙線と呼ばれる放射線が降り注いでいます。このような、自然界にもともと存在する放射線のことを「自然放射線」といいます。
日常生活で浴びる放射線の量と影響については、資源エネルギー庁の以下のウェブサイトを参考にしてください。
放射性セシウムの水への溶け出し方は、廃棄物などの種類によって大きく異なることが明らかになっています。
ごみを焼却すると、焼却主灰(燃えがら)と焼却飛灰(ばいじん)が発生しますが、このうち、焼却飛灰に移行した放射性セシウムは、とても水に溶け出しやすく、国立環境研究所の実験では、飛灰中のセシウムの64~89%が6時間で水へと溶け出すことが分かりました。したがって、焼却飛灰を埋立処分する際には、水に触れさせないように措置することが重要です。
一方で、焼却主灰や、下水汚泥の焼却灰、浄水発生土、災害ごみ、土壌に含まれる放射性セシウムは、水にはほとんど溶け出さないことが分かっています。
詳しくは「放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(技術資料:概要版)」の10ページと、「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第三版」の28~34ページをご覧ください。
水への溶け出しやすさの違いは、放射性セシウムの廃棄物等の中での存在形態が異なるためと推測しています。
存在形態としては、例えば、塩化セシウムは水へ極めて溶けやすい一方、アルミノケイ酸化合物に結合したセシウムはほとんど水に溶け出しませんし、少し強い酸によっても溶け出さないと考えられています。
焼却飛灰中の放射性セシウムの存在形態は塩化物が主であり、焼却主灰の場合はアルミノケイ酸塩が主ではないかと考えられます。また、浄水発生土や土壌は鉱物に強固に吸着されて溶出しないことが考えられています。
詳しくは「放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(技術資料:概要版)」の5、11ページと、「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第三版」の34~36ページをご覧ください。
国立環境研究所が行った吸着実験では、ゼオライト(鉱物の一種)が最もよくセシウムを吸着し、次にベントナイト(粘土鉱物の一種)、埼玉で採取した土壌(粘性土質を含む土)と続きました。
放射性セシウムを含むごみを埋め立てる際には、これらの吸着材や複数の土を配合して作られた理想にちかい土をごみの下部に敷けば、放射性セシウムの外部への漏洩を防ぐことができると考えられます。
詳しくは「放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(技術資料:概要版)」の12~13ページと、「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第三版」の第5章(41ページ~)をご覧ください。
一度土に吸着した放射性セシウムには、主に、土との静電気的な力による引き合わせによってひっついているものと、土の微細な結晶構造の隙間に挟まって動けなくなっているものがあると考えられています。
静電気的な力によって土に引き寄せられている放射性セシウムは、より強い力をもつ化学物質にさらされると、土はその化学物質を引き付けるかわりに、ひっついていた放射性セシウムを放す恐れが考えられます(イオン交換)。しかし、私たちが身近に存在する化学物質の中でセシウム以上の強い力をもつもの(セシウムよりもイオン半径が大きいもの)はほとんど無いので、一度土にひっついたセシウムがイオン交換で再溶出する可能性は少ないと考えられています。
また土には、数nmの厚さの薄い板が積み重なった構造をもつものが多く、その板と板の隙間に放射性セシウムが入り込むと、その隙間の間隔によっては放射性セシウムをぴったりと挟みこみ、固定させることができます。特に、雲母鉱物にはこのような放射性セシウムの固定能をもつと考えられています。
このように一度土に吸着した放射性セシウムは容易に土から離れることはありませんので、土に留まった放射性セシウムは、自身の自然減衰性によって放射能が少なくなっていきます。
Cs137 及びCs134によるγ線測定(放射線量及び放射能濃度)に用いられる各種計測機器について示します。
まず、放射線量測定用として持ち運びの容易なサーベイメーターでは、NaI(Tl)シンチレーション式が一般的です。計測値としては、μSv/h 単位で表すことができます。
γ線放出核種の放射能濃度測定に用いられる検出器としては、NaI(Tl)シンチレーションカウンター(NaI(Tl)シンチレーション検出器)とゲルマニウム(Ge)半導体検出器がなどが挙げられます。ゲルマニウム(Ge)半導体検出器は、エネルギー分解能に優れ、核種同定と放射能の精密な定量には現在、ほとんどGe半導体検出器が用いられています。
放射線量や放射能濃度の単位の意味するところは、「放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(技術資料:概要版)」の19ページと、「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第三版」の11ページをご覧ください。
また、放射線量や放射能濃度の測定機器は「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第三版」の13~14ページをご覧ください。
ガイガーミュラー(GM)計数管式サーベイメーターやシンチレーション式サーベイメーターが一般的に市販されている線量計です。
GM計数管式サーベイメーターはγ線だけでなくβ線も検出するので、γ線の精度のよい測定をする場合には十分に注意する必要があります。
市販品には測定値のばらつきが大きいものや、正確ではないものもあるため、繰り返し測定を行って精度を確認し、線量の相対的な高低を確認する目安の機器として使用するのがよいと思われます。
放射性物質の環境中の存在分布は、通常は均一ではないと考えられます。代表的な試料を採取しようとすれば、例えば場所や時間を決めて複数箇所のサンプリングや連続的なサンプリングを行って混合した試料を調製する必要があります。
また、濃度の高い箇所のサンプリングを行うこともあり、目的に応じて試料採取方法を決定します。
廃棄物や排水排ガスなどの各種試料の採取方法については、環境省のガイドラインに定められていますので、そちらをご覧ください。
「第五部 放射能濃度等測定方法ガイドライン(平成25年3月)第2版」
下の地図は、文部科学省の航空機モニタリングによって測定された空間の放射線の量を色で表わしたものです(2011年11月時点)。
地図を見て分かるとおり、福島第一原子力発電所の事故で環境中に放出された放射性物質(主に放射性セシウム)は、風に流されて遠くまで運ばれ、雨などと一緒に地上に落ちました。
私たちの生活の中で、放射性物質がついた樹を剪定したり、放射性物質を含む土がついた雑草を除去するなどしたものが、ごみとして排出されるため、ごみから放射性物質が検出されていると思われます。
詳しくは「放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(技術資料:概要版)」の2ページと、「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第三版」の2ページをご覧ください。
現在、ごみに含まれている放射性物質は放射性セシウムと呼ばれる物質です。
この放射性セシウムは、焼却炉で800℃以上の高温で燃やされ、多くは揮発、もしくは液滴となって排ガスへ移行します。排ガスへ移行した放射性セシウムは、排ガス中で凝縮して他の物質とともに細かい煤(ばいじん)という固体の粒になります。そのばいじんは、200℃程度に冷やされたバグフィルターという筒状の布のフィルターで捕まえられるので、放射性セシウムも同時に取り除かれます。
一方で、焼却炉内で排ガスに移行しなかった放射性セシウムは、ごみの燃えがら(主灰)に留まります。
詳しくは「放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(技術資料:概要版)」の4ページと、「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第三版」の58ページをご覧ください。
ごみの焼却施設には、排ガスを処理するためにバグフィルターというという排ガス処理装置が設置されています。
排ガス中に含まれる放射性セシウムは、ここで200℃以下まで冷やされますが、この温度では、放射性セシウムはガス状ではなく、ばいじん(細かい煤)に固体として含まれていると考えられます。
バグフィルターは、ガスは通しますが、ほとんどのばいじんは大きすぎてバグフィルターを通れません。従って、放射性セシウムはばいじんと一緒にバグフィルターで取り除かれます。
仮に、一部の放射性セシウムが煙突から漏れ出たとしても、私たちのもとに届くまでに、空気中に広がって、相当程度薄められるので、無視できるレベルになります。
詳しくは「放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(技術資料:概要版)」の4、6ページと、「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第三版」の55~62ページをご覧ください。
バグフィルターが、付着したばいじん(細かい煤)の重さで破れることがないよう、定期的にばいじんが払い落される仕組みになっています。
また、ほとんどの施設には、バグフィルターと煙突出口の間にはダストモニターが設置されており、バグフィルターがきちんと機能しているか、常に監視されています。さらに、点検などの際に、バグフィルターの状態を確認し、事前に交換するという予防措置も講じられています。
詳しくは「放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(技術資料:概要版)」の6ページと、「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第三版」の62ページをご覧ください。
放射性セシウムの排ガス規制値は、同じ人が0歳~70歳まで、毎日その空気を吸っても、被ばく量が許容値(年間1mSv)以下になるように設定されています。
具体的には、セシウム134が20ベクレル/m3以下、セシウム137が30ベクレル/m3以下です。セシウム134とセシウム137の両方が空気中に存在する場合は、以下の式を満たすこととされています。
セシウム134の濃度/20 + セシウム137の濃度/30 ≦ 1
この基準値は排ガスが大気で希釈された後の大気中濃度の基準ですが、実際には排ガスが煙突から出るところで、既にこの基準を満たすように施設は管理されています。
詳しくは「放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(技術資料:概要版)」の4、6ページと、「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第三版」の55~56ページをご覧ください。
これまで環境省、国立環境研究所等が行った排ガス測定調査では、バグフィルターを備えた焼却施設の排ガスから、放射性セシウムが検出されたことはありません。
排ガス処理設備が、バグフィルターではなく電気集塵機である施設では、微量の放射性セシウムが検出されたことがありますが、いずれも基準値を大きく下回っています。
詳しくは「放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(技術資料:概要版)」の7ページと、「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第三版」の56~58ページをご覧ください。
海水に浸かったごみの焼却処理を実施する際の課題として、有害物質の環境排出がないか、また、焼却施設の運転操業に影響を及ぼすような不具合を生じないかということがあります。
この点で、塩分を含んだ廃棄物を焼却する際に特に考慮すべき生成物質としてはダイオキシン類と塩化水素が挙げられます(塩化水素は、プラントの腐食を引き起こすおそれがあります)。
実は、私たちが日常出しているごみの中にも一定量の塩分(最大で%程度の含有量)は含まれています。津波を被ったごみの中の塩分濃度もほぼ同じレベルですが、災害ごみに含まれる塩分がどのような挙動をするか燃焼試験を実施して確認を行っています。
その結果、実験炉や通常の焼却炉での試験を通じて、これらの物質は十分低く排出をコントロールできることを確かめています。被災地では実際に仮設焼却炉を用いた災害ごみの燃焼処理も始まっており、排ガス性状やダイオキシン類のデータが公開されています。
詳しくは 以下の資料をご覧ください。
埋め立て処分場は、必要でなくなったもの(ごみ)を埋め立てる施設です。
埋め立てるごみの特徴に応じて、「安定型」、「遮断型」、「管理型」の3種類がありますが、我々の生活からでるごみ(一般廃棄物)の焼却灰などは「管理型」の処分場に埋め立てられます。
管理型処分場では、ごみから有害な物質が染み出して周囲の土や水を汚染しないよう、底面に水を透さない遮水シートやベントナイトが設置されています。また、染み出してきた水(浸出水)を集めて適切に処理する設備(水処理施設など)も備えられています。
詳しくは「放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(技術資料:概要版)」の8ページをご覧ください。
放射性物質を含むごみは、含まれる放射性物質の濃度やごみの種類によって、埋め立て方法が異なります。
例えば、放射性物質を含む飛灰を通常の方法で埋め立てると、飛灰に含まれる放射性物質は水に溶けやすい性質があるので、しみ込んできた雨と一緒に浸出水に溶け出す恐れがあります。
埋め立て処分場には、浸出水を集めて処理する設備がありますが、従来の処理方法では放射性物質を完全に取り除くことは難しいので、特別な処理設備を用意する必要があります。
このような浸出水の処理には手間とコストがかかるので、まずは放射性物質を含むごみと水を接触させないように、水を通しにくい土やシートをかぶせたり、しみ出てきた浸出水に含まれる放射性物質を除去する土壌等の吸着層を設置して、埋め立て処分場の中に放射性物質を封じ込めることが重要です。封じ込めるための技術は十分に揃っています。
放射性物質を含むごみを埋め立てる際には、放射性物質を含むごみの上部と側面に水を透しにくい土の層や遮水シートを、下部に放射性物質を吸着しやすい土や吸着材の層を設け、放射性物質が外部に漏れ出さないよう配慮されています。
また、管理型処分場の底面には水を透さない遮水シートやベントナイトが設置されており、ごみから染み出してきた水(浸出水)は集めて適切に処理されることになっています。
さらに、放流水、周辺の土、地下水などを定期的に検査して、周辺の環境を汚染していないかどうか確かめることも行われています。
詳しくは「放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(技術資料:概要版)」の8ページと、「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第三版」の72~73ページをご覧ください。
通常、集められた浸出水は、砂を取り除いたりpHを調整したりした後、生物処理(硝化・脱窒など)や物理化学処理(活性炭やキレートによる吸着処理など)が施されます。
しかし、放射性セシウムは、このような処理方法では除去できないため、別の方法を検討する必要があります。
国立環境研究所では、ゼオライトなどの吸着材を用いた処理方法や、RO膜という特殊な膜を用いた処理方法などを検討しています。
詳しくは「放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(技術資料:概要版)」の14~15ページと、「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第三版」の84~88ページをご覧ください。
放射性物質特別措置法の対象となる廃棄物の最終処分場において、浸出水の処理水を自然界に放流する際には、排水口において放射性セシウムの濃度を月1回以上測定し、公共水域の放射性セシウム濃度が3ヶ月の平均濃度で以下の式を満たすこととされています(排水口での基準ではなく、放流後の公共水域での基準であることに注意)。(特措法施行規則(平成23年環境省令第 33号))
セシウム134の濃度(Bq/L)/60 + セシウム137の濃度(Bq/L)/90 ≦ 1
この基準は、同じ人が0歳から70歳まで毎日その水を飲んでも、被ばく量が許容値(年間1mSv)以下になるよう設定されたものです。
詳しくは「放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(技術資料:概要版)」の14ページと、「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第三版」の80ページをご覧ください。
多くの施設のホームページで測定結果が報告されています。それらの結果では、公共水域に流れ込む前の放流水自体がQ33で示した基準を十分満足している結果となっています。
なお、一部の施設では放流水が基準を一時的に上回る結果が報告された事例がありましたが、万全を期すために直ちに放流を停止してゼオライトなどによる対策が取られ、基準以下となりました。
PCB含有廃棄物(トランスやコンデンサ、安定器など)は他のがれきと分けて、特別な管理が必要となります。
破損や漏洩箇所がないかどうか確認した後、屋根のある建物内で必要に応じて防水性のビニールシートで全体を覆って保管するか、密閉性のある容器に収納します。その後、適切な時期にPCBの広域処理を行っているJESCO事業所等で処理されることになります。
一方、津波で流失したPCB含有廃棄物もあることが分かっており、継続的な環境モニタリングが必要となっています。環境省では、土壌や海洋等の環境モニタリングにおいて、PCBの環境中濃度の調査を行っていますが、2011年10月末の時点では、 海洋、土壌、公共用水域、地下水について、環境基準等を超過した地点はありません。
被災場所や一時保管場所では、飛散性のアスベスト(吹付け石綿等の廃石綿)や付着・混入が疑われるがれきは、飛散防止のために散水等で十分に湿潤化します。
また、アスベストを除去回収したものは、プラスチック袋で梱包し、フレコンバッグ等の丈夫な運搬容器に入れ、他の廃棄物とは区別して保管、運搬します。
その後、飛散性しやすいアスベストは適切に処理できる施設で処分します。アスベストが付着・混入していないものについてはリサイクルが認められますが、そうでないものは飛散防止措置のある焼却施設で焼却処理されるか、埋立処分されます。石綿スレート板など、非飛散性のアスベストについても、同様に扱うことが望ましいとされています。
また、被災建築物の解体においては、大気汚染防止法上の作業基準に従うことが求められている他、解体現場や廃棄物処理施設の一部で大気モニタリングを実施しています。
モニタリングの結果は次のURLから参照できます。