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金属柵点検のススメ~イノシシ、シカ対策用金属柵の補修作業~ | 鳥獣害対策の知恵袋

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金属柵点検のススメ~イノシシ、シカ対策用金属柵の補修作業~

金属柵点検のススメ~イノシシ、シカ対策用金属柵の補修作業~

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こんにちは「鳥獣被害対策.com」の小野です。

先日、鳥獣被害の対策業務で、イノシシ、シカ用の金属柵の補修を行ってきました。

金属柵が設置されている場所は、急斜面に広がるミカン畑で、収穫期になるとみかん狩りが行われる、観光客でにぎわう地域です。

急斜面に広がるミカン畑

この地域は、20年くらい前からイノシシやシカによる被害が顕著となり、その対策として、行政によって地域一帯を囲う広域柵(金属柵)が設置されました。

地域一帯を囲う広域柵(金属柵)

金属柵の設置当初は、イノシシやシカによる被害が減ったものの、設置して10年を過ぎた頃から再び畑への侵入が起き始め、ここ数年、被害は顕著になっています。

イノシシ掘り起こし

(イノシシによる掘り起しの跡)

実際に、事前の確認調査で金属柵沿いを少し歩いてみると、イノシシやシカが潜り抜けそうな地際の穴など、柵の補修が必要な箇所が見つかりました。

また、穴の空いた箇所に

  • 長めのペグ
  • 鉄筋
  • トタン
  • 周辺に落ちている木の枝

などを使って補修されている箇所がある一方、これらの補修箇所でも徐々に劣化し、すでにイノシシが侵入している箇所もみられました。

補修箇所
補修箇所
補修箇所

今回、この地域に入ったのは、イノシシやシカの被害を軽減させるための生態調査や、捕獲講習の業務のためでした。

しかし、イノシシやシカの被害を減らすためには、調査や講習を行うとともに、現在設置されている
金属柵の破損箇所をきちんと把握し、イノシシやシカが侵入してきそうな破損箇所を補修することも必要と考えられたため、急遽、行政の担当者の方と調整をさせていただき、金属柵の破損箇所調査と部分補修を行うことになりました。

補修作業は、地元猟友会の方々とともに行いました。

金属柵と地面との間に、少し隙間があれば、イノシシはその下を掘って、耕作地に侵入してきます。

地盤が軟らかい場所では、長さ数10㎝のペグを地面に打って補強しても、イノシシに地際を掘られてしまい、ペグがすぐに抜けて侵入を許してしまいます。

そのため、今回の補修では、以下の資材を準備しました。

  • ワイヤーメッシュ:線径5mm・目合10㎝
  • ワイヤーメッシュ:線径3.2mm・目合10㎝
  • 鉄筋:長さ1.5m・直径13mm
  • 番線
  • 針金

準備した補修資材のうち、線径5mmのワイヤーメッシュは大きめの穴をふさぐために用い、柔らかい線径3.2mmのワイヤーメッシュは、最後に補修箇所全体をカバーし、細かな隙間を埋めるために使用しました。

また、軟らかい地盤に対応するために、長さ1.5mで、直径13mmの鉄筋を準備しました。

この鉄筋を表層の粘土質の土壌の下の、堅い地層まで深く打ち込めば、イノシシでもそうそう突破できるものではありません。

それでは、実際に行った補修の手順について、ご説明します。

この箇所では、金属柵が地面と接する場所に、横50cm、縦30cm程度のが空いていました。

大きな穴

ここの補修には、鉄筋を活用しました。

まず、鉄筋を深く打込みます。

写真のとおり、地上に出ているのは60cm程度なので、地中には90cm程度を打ち込んでいることになります。

鉄筋の打ち込み
ワイヤーメッシュで塞ぐ

次に、線径の太いワイヤーメッシュで大まかに穴をふさぎ、太い線径のワイヤーメッシュと鉄筋を番線でしっかり結びます。

大きな補修が完了した後は、細い線径のワイヤーメッシュは外側の地面に沿わせて、隙間をなくしていきます。

補修箇所

これで補修は完了です。

補修完了

また、ほかの箇所では、コンクリートブロックの地際で金属柵が曲げられ、侵入路になっていました。

進入路

ここでは、外側に鉄筋を打ち、太めの線形のワイヤーメッシュを設置しました。

ワイヤーメッシュを設置

この箇所については、番線でしっかりと固定し、3.2mmのワイヤーメッシュは用いることなく、補修完了しました。

他の箇所も、同様に一つずつ、丁寧に補修を行っていきました。

-補修前-

-補修後-

-補修前-

-補修後-

金属柵補修のコツは、直径13mm程度の鉄筋を、堅い地盤までしっかりと打ち込むことです。

この鉄筋があることで、それ以上地面を掘ることができず、また設置するワイヤーメッシュもしっかりと固定することができます。

半日×10名の作業で、13か所の穴をふさぐことができました!

獣害対策において長距離の防護柵は、複数の耕作地や地域をまとめて防護できるため、個別柵に比べ費用対効果の高い方法です。

しかし、長距離になるほど、定期的な維持管理は難しくなり、補修されず穴の空いたままとなっている事例は全国各地に見受けられます。

そのため、設置時に行政や地域住民による維持管理体制が作られていることが大切です。

補修を定期的に、適切な方法で行うことで、被害を長く防ぐことができます。

イノシシやシカは、常に柵で空いている箇所や弱くなっている箇所を探しているので、きめ細かな点検と維持管理を行い、防護柵の効果を長持ちさせましょう。

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この記事を書いた人

小野 晋

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