今回は新型のスペーシアギアについて、レビューしていきます。この車は、キャンプやアウトドアを楽しむためにオフロード仕様として進化してきましたが、今回はよりワイルドなスタイルに変化しています。現役のカーデザイナーとして、他のレビューでは触れられないようなポイントも含めて詳しく解説していきます。
エクステリアの特徴:ワイルドな顔つき
まずはエクステリアの顔回りからです。ボディ全体が少し大きく、迫力あるワイルドな顔立ちが印象的です。注目すべきはヘッドライトのデザインで、スズキの代表的なSUV「ジムニー」の丸目ヘッドライトを取り入れていることが特徴です。しかし、見た目は同じでも内部のプロジェクター部分など細部が新規に作られており、こだわりが感じられます。
さらに、グリル部分にもジムニーの影響が見られ、特にJB23型で使用されていた5スロットのメッキが施されたグリルを採用しており、非常にワイルドな印象を与えます。このように、スズキは自社のアイコニックなデザインを他車種にも取り入れることが多く、スペーシアギアにもそれが生かされています。
デザインのこだわり:ボンネットとクリアランス
次に気になるのが、ボンネットとグリルのクリアランスです。離れて見ると、この隙間が大きく見えるため、視覚的に広がりのあるデザインに見える工夫がされています。特に、この部分のデザインが丸みを帯びて奥に引っ込んでいるため、実際よりも大きく見える仕上がりになっています。車好きの方からすると、少し違和感を覚えるかもしれませんが、これはスペーシアギア特有のデザインとして、個性的な一面を表しています。
また、グリルとヘッドライトカウルの間にラインが入っており、デザイン的には分断された印象を与えますが、これもあえて取り入れられたデザイン処理です。将来的なカスタムやマイナーチェンジの際に、グリルが変更される可能性が考えられ、特別仕様車などで更に個性的な見た目になることが期待されます。
グリルと六角パターン:シンプルながらも深みのあるデザイン
今回の新型スペーシアギアのグリルには六角パターンが施されており、シンプルながらも立体感のあるデザインが特徴です。この六角形のパターンは、見る角度によってはチップが残るような効果があり、遠くからは横線が入っているように見えますが、近くで見ると六角形に見えるという工夫がされています。こうした細かいディテールが、スペーシアギアのワイルドでアウトドア感を演出しています。
パーツのフィッティングと品質のこだわり
一方で、フェンダーとバンパーのつなぎ目のR(丸み)が完全には一致していなかったり、パーツ間の隙間感が一定ではないといった点が見受けられ、N-BOXと比較すると若干気になる部分があるかもしれません。しかし、スズキは全体的なデザインの統一感よりも、オフロードらしい荒々しさやワイルドさを強調することを優先しているようです。この点も、アウトドア志向の強いスペーシアギアにおいては味わいとして楽しめる部分です。
新型スペーシアギアの総評
新型スペーシアギアは、従来のスペーシアとは違ったワイルドでオフロード感のある車に仕上がっています。ヘッドライトやグリルなど、スズキがジムニーの要素を取り入れたデザインは、アウトドア愛好者にとって魅力的なポイントです。細かな隙間やディテールの工夫も見どころで、スペーシアギアの個性が際立っています。
もしアウトドアやキャンプなどで活用できるKスーパーハイトワゴンを検討しているなら、スペーシアギアはぜひ一度チェックしてみてください。その独自のデザインと工夫は、日常のドライブにも冒険気分をもたらしてくれるはずです。