夜の寝覚(よわのねざめ)
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■夜の寝覚(よわのねざめ)あなたの寝息を聞きながら冴えてゆくもうひとりの私冷蔵庫を細目に開けて残りのワインを注いでいる私の気持ちがどこにあるのかあなたは知らない愛してる 花咲く匂いに満ちて愛してる ふたり愛しあったあと愛してる しずかな夜のまどろみに手に掛ける あなたは 眠る 夜の寝覚(よわのねざめ)夜咲く花は 朝にしぼむため息も 飾りにする私笑いすぎて不気味ね私ぜい沢な暮らしに胸が渇く愛しさ余りに憎...
御荷鉾の三束雨 (みかぼのさんぞくあめ)
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■御荷鉾の三束雨 (みかぼのさんぞくあめ)口答えするなと 頬を打たれ帯解かれ 絹が流れたぼっと私灯った一夜のことなのに 私には一生の ことと感じてそうねあなたに呆(ほう)けてる着物被(かぶ)せて かくれんぼいっそ朝まで かくれんぼそぼろ濡れて 雨足はやく鬼のいぬ間に かくれんぼ想いかくせず かくれんぼ夜にまぎれて かくれんぼ哀し雨音 頬ぬらしどちらが鬼か かくれんぼ檀(まゆみ)の木の下で 女が呼ぶ同じ夜露に そ...
バッタとトロイメライ
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■バッタとトロイメライ殺人予告を聞いたようなサイレンに引き裂かれる空不安が街にたれこめている誰かが不意にセキをする割り勘で君とわかれた領収書は僕が持っててなさけなかった片方羽を捥(も)がれたバッタは空を飛べるのかそんなこと毎日 僕は自問自答して生きてゆくのか 君の背に灯(ひ)が灯りますようにやがて僕たちも立ち上がるアニメの登場人物ならこんな時なんて言うかなひとつだけ明白なことは水道橋にはもう二度と来ない...
Enta El Hob
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■Enta El Hob 火という字がふたつで炎まさに今この胸に燃えるどこまで愛せば気が済むのあなたのあごを手で包む聖域を冒したのは誰戒律をやぶったのは誰そうよ 過去も未来もいらないわ今があるために 愛は開かれる扉Enta El Hob よりによって なぜまたあなたとなの?Enta El Hob 二度と会わないそう決めたはずなのにあなたと今いる 私は誰よこころかわすことがいちばんふたりには罪なことなのにわからないのよ 女になど生まれて...
ワルツはもう誰とも踊らない
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■ワルツはもう誰とも踊らないもう思い出はふりむかない抱きしめてもきみはいないヴァーチャル3Dゴーグルを装着(つ)け恋の亡霊の手を取るブロンズ像だけが抱擁してる痛みだけが生きてるということ愛したことさえ 百も嘘ふたりはアイロニーワルツはもう誰とも踊らない時は絹ずれの音 molto allargandoワルツはもう誰をも愛さない からっぽなサロンを 静けさが満たす死神はきっと生きている1ペソの価値すらない今さかさまな愛着...
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