歌詞のようなブログ(商標登録第6332108)／夏井くわみ

■僕の手 自分を鎧（よろ）うためだけにいつも　そうさ僕のこの手はかたく組まれていたきみの手に会うまで　僕の両手はそうあたま抱えるためだけにあった自分のことを祈るためだけにあった僕の手は誰の手も　拒んでいた君が手を差し出してくれて　握手して初めて僕は失くせたよ　僕のかたくなな生き方を僕の手ときみの手ができる手のしごとは思う以上にたくさんあるねこんなふうにたくさんのひとの手が結ばれていったらいいね今　き...

■グリーティング・カードいつも通る帰り道が一変したみたいよそよそしい空気に　僕の足取りも重いガード下も焼き鳥屋もコンビニもなぜだろう僕にすればすべてが絵空事みたいなんだ夕方じかにきみから打ち明けられた本心を冷静に今受け止めようとしてる襟足汗がつたう音がする夏の終わり　吹く風がすこし涼しいねきみを愛してやまないとあんなに毎日同じ言葉胸で綴りつづけたきみへのグリーティング・カード今日でさいごになるなん...

■恋してるだけじゃ恋じゃない命令口調は好きじゃない今日のあいつはとても変ただやらせてくれる女そう思われてるならいやねしょっちゅう　あいつのハートは出かける私はいちいち居どころを無くすさびしいときに限って　いてくれない　そんなときこそあいつの存在を強く感じるこれってつきあってるって言えるのかなぁ好き以外ないってことがあり過ぎるの可愛さあまって　憎さ百倍　あーこれもお互いさま恋してるだけじゃ恋じゃない...

■なんてことないさ　て、いうわけでもないさ上から下までなんでジロジロ見てるのよ　さっきから　あいつったら　ニタニタしてるのよもう絶交してやる　友だちのパパなのよ彼女を迎えに　車で門まで来てる黄色いジャケット　帽子に長めの髪目を合わさないようにしてラケットバッグで顔かくしてゆく雰囲気イケメンなだけじゃない？まなざしから　やな物質が出てるなんてことないさ　て、いうわけでもないさみょうに気になるあいつう...

■サル息をするのももどかしくて　それでも気づくときみのことばかり　かんがえているよ臭いものに蓋をしてきた　これまでのツケかな好きか嫌いだけじゃない　ことの顛末△　何のてらいもなく　物おじせずにいられたぼくは一瞬のうちに見事にサルに退化した　きみがぼくから盗んだ　あの日のキスには特別な意味不明コードが仕込んであって速い脈で甘い毒がまわるひとの敷地内で　無断で勝手に胸に幾つも上がる それは花火ではなく　...

■恋唄手折（たお）られた花の　物言わぬ　この夕べよあまりにかなしくて　ついくちずさむ恋唄彼を失くして　あなたはそんなにもひとりでいるその想い託（たく）し歌ってるあのひとがもう聞くことない恋唄をあなたは歌っているここでふたりよく　ふざけては抱きあったあのひとはあなたに告げたよあの娘と結婚するのだとあのひとはあなたに告げたよすまなそうに謝ったよあまりに胸砕け　つい微笑んでいる灰色に閉ざす胸でそんなにも...

■君と朝まであっち向いてホイ　今日はめずらしく酔っぱらってなんだかきゅうくつな気さえしてさっきから君とばかばかしくも真面目にあっち向いてホイしてるこんな夜更けどき 大のおとなが　ブランコにゆられてるよ ああ僕なら　ずっと　きみとくだらなく　素敵に生きたい愚かしくてもきみとといつまでも愛したいあっち向いてホイ　泣きながらまたあっち向いてホイ　大きくなろうあっち向いてホイ　こどもごころをふたり持ちながら...

■いとしい騒音ブレーキランプの赤がつづいてた信号が変わったら　加速しましょうこれが最後でもどうだっていいよ痛いぐらいしがみつくこのタンデムさまざまな光と影　交錯してわたしたちは　時をこえる速度で走り続けたさよならは変えられない　行きたい場所がない愛しさは募（つの）るだけ　涙の捨て場所がないどうしてふたり　別れなくちゃいけないの？耳の鼓膜に　胸の鼓動にあなたはひっかき傷をつける　いとしい騒音　　出来...

■わたしは飛べない飛んでる女がもてはやされたそんな時代もそういえばあったみんな負けぬように　とんがってた　　わたしも飛んでたつもりでいたわ口紅ひとつで別人になれるけれどうわついた気持ちで　いつまでも生きてはいられないわたしは飛べない　私は飛べない今は地に足をつけたまま私は飛ばない　私は飛ばないゆっくり歩いてくわ　マイ・ライフ作りかけのプラモデル　机に置いたままあなたはどこに行ったのこんなヘリコプタ...

■可愛いお婆ちゃん 頭を垂れる稲穂の美しさに かなうものは　他にはない 日本は思うよりもいいところだよ典型的な木造家屋が僕らの新居 可愛いお婆ちゃんになってよ 可愛いお爺さんになるから きみは受けてくれた そのプロポーズ特に何もない日　それが 僕らの特別になる 物語らしくないところに 物語はある 犬がちぎれるほど尻尾を振ってる 気圧配置はどうなっていようとも きみにあおぞらを届ける きみはそこから僕を見守ってて...