こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
今回はドイツのヘッドホンメーカー「ULTRASONE(ウルトラゾーン)」より、3万円以下で買えるエントリーモデル「Signature PURE」をレビューします。
こちらの「Signature PURE」がいまけっこう話題になっています。
ULTRASONEは「SENNHEISER」や「beyerdinamic」と並び、ドイツのヘッドホン御三家と呼ばれるメーカーで、オーディオ界隈ではかなり有名です。
価格がかなり高価なモデルが多くて、Edition15に関しては約40万円もするほどのハイエンドなモデル。
そんなULTRASONEが急にエントリー価格のヘッドホンを出したもんだから、「逆にどうした!?」ってなっている状況なんですよ。
今回紹介する「Signature PURE」は、かつて販売していた「Signature DJ」という10万円ほどするヘッドホンのエッセンスを受け継ぎつつ、エントリー価格まで抑えたハイコスパモデルです。
Signature DJは10年くらい前のモデルですが当時もとても人気で、サカナクションが当時ライブパフォーマンスでも使っていたことで有名でした。
「ミュージック」のライブでよく使ってましたね。メンバー5人とも横一列に並んでゴーグル、Macbook、Sigunature DJを身につけてパフォーマンスをしていたのはよく覚えています。
当時サカナクションが好きすぎて手に入れようとした記憶が蘇ります。
その10万円くらいのヘッドホンのエッセンスを引き継いだヘッドホンが「Signature PURE」というわけですよ。コスパ高く感じるでしょ?
前置きが長くなりましたが、今回はこちらのSignature PUREをアユートさんから提供いただいたので、実機を使ってレビューしていきますPR:アユート
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Signature PURE 外観・付属品・概要
それではSignature PUREの外観や付属品、そして概要をお伝えしていきます。
パッケージ
Signature PUREのパッケージはダンボール調の箱に、製品名、メーカー名のみが記載されたシンプルなデザイン。
こういうシンプルでプロ向けっぽいパッケージ、けっこう好きなんですよね。
開封するとこんな感じです。
付属品
- 2m着脱式カールケーブル3.5mmプラグ
- 6.3mm変換プラグ(ネジ式)
- イヤーパッド(スエード製/装着済み)
- キャリングバッグ
- マニュアル
本体
Signature PUREの本体はマットな素材感と、スエードとメッシュを使用したパッドが特徴のオールブラックデザイン。
この価格なのに、すべて自社工場でハンドメイドで制作されているらしい。すごい。
ハウジングには「Signature PURE」とUltrasoneのロゴが浮き出るように印字されています。
DJモニターということもあり、90度に曲げて水平にもできますし、
折りたたんでコンパクトに持ち運ぶこともできます。
アームの付け根には黒でL/Rと表記されていますが、実際にDJモニターで使う場合はもう少し派手な配色じゃないと、暗がりだと右か左かわかりにくそう。
アーム部分には「S-Logic3」のロゴがあしらわれています。
このS-Logic3という独自技術がすごいのですが、また音質の項目であらためて紹介します。
made in Germany。この価格でハンドメイドでmade in Germanyってやばくね?
イヤーパッドにはスエード素材の超肉厚なパッドを採用。
ヘッドバンドの内側はメッシュ素材になっていますね。めっちゃ汗吸い込みそう。
ドライバーにはSIGUNATURE DJにも採用されていた50mmマイラードライバーを採用しています。
ケーブル着脱端子には2.5mmのロック機構付き着脱ケーブルを採用。
激しいDJプレイ中でもケーブルが抜けないような仕様になっています。
ケーブルはDJモニターらしくカールコードを採用。
プラグは6.3mmプラグが標準で付いていますが、ネジ式の変換プラグになっており、外すと3.5mmで使えます。
最後に重さですが289gとDJモニターとしては平均的。
Signature PURE レビュー
装着感|DJモニターとして適した側圧感
Signature PUREの装着感ですが、DJモニターということもあり側圧が超強めです。
1時間装着していたら耳が痛ってぇ。
実際に装着してみるとこんな感じ。ハウジングも目立ちすぎず、デザイン的にはおしゃれな感じ。
前から見ても意外と飛び出しは少なめです。
側圧が強い分、遮音性がノイズキャンセリング非搭載モデルとしてはかなり高く、フロアでガンガン音楽が鳴っていてもモニタリングがしやすい仕様になっています。
さすがに通勤用として使うにはゴツすぎる気はしますが、自宅でもMIX作業にも集中できます。
長時間の編集作業には向いていませんが、DJモニターという用途であればピッタリの側圧感かと思います。
装着感 | (4.0) |
音質|聴きやすくまとめられたULTRASONEサウンド
Signature PUREの音質ですが、メリハリ感のある音でありつつまとまり感もあり、そしてULTRASONEらしい広大なサウンドが特徴のように感じました。
まず、外観でも述べた「S-Logic3」というULTRASONEの独自技術が凄くてですね。
密閉型のヘッドホンなのに、開放型のヘッドホンのように自然に広がるような空間表現を実現できるのですよ。
また、S-Logic 3テクノロジーの一部となる独自の最新技術「DDF (ダブルデフレクターフィン)」も採用しており、S-Logic効果がさらに向上させているようです。
Signature PUREの音の特長は次のとおりです。
※5万円以下の有線ヘッドホンを評価軸としています
4.5
高音
4.4
中音
4.6
低音
- 高音:鋭くも伸びつつも、刺さりや刺激感が抑えられいて、ULTRASONEにしてはまろやかな高音ですね。シンセサイザーのキラキラとした残響感の演出が得意で、電子音の一音一音の素材を見事に再現してくれます。逆にストリングスの自然に伸びていくような生感のある音は苦手。
- 中音:弱ドンシャリ型でありつつもボーカルラインもしっかり埋もれずに前に出るような印象で、同帯域の音も定位を定めつつ分離もできていて、解像度感もとても高めです。
- 低音:DJモニターということもありキック音がとても把握しやすく、どんな状況でもリズムを追いやすい印象です。低音自体はブーミーになりすぎず、かといってスッキリもしすぎず、ほどよく中低域ラインにも厚みがあってノリ良く楽しみやすいチューニングですね。ただ上位モデルと比べるとすこし締まりが甘めでポワンとした印象も受けます。
- 音場:密閉型としては超広めですね!S-Logic3の恩恵が大きく、密閉型なのに広いホールで演奏しているかのような広大なフィールド感と程よい残響感をもたらしてくれます。その広い音場の中で楽器ごとの定位感もビシっと定まっているので、MIXにも使いやすそうです。
- 傾向:弱ドンシャリ型でULTRASONEらしい硬さもありつつ、昔のULTRASONEからは想像できないバランスの整った音作りですね。Signature DJとか数年前のULTRASONEの音を想像している人からすれば、びっくりするくらいまろやかになって聴きやすく感じると思う。
得意なジャンル
- エレクトロ
- EDM
- テクノ
- ヒップホップ
- ロック
- ポップス
キックやシンセサイザーの音をノリ良くも煌びやかに鳴らすのがとても得意なので、エレクトロ系の楽曲は全般得意ですね。
とくに相性の良さを感じたのは「DE DE MOUSE」。
シンセサイザーでキラキラとした幻想的な世界感を作るのが得意なエレクトロアーティストなのですが、その幻想的かつ浮遊感のある音がSignature PUREの広大な音場と煌びやかなサウンドがめちゃくちゃマッチします。
もはやDE DE MOUSEホン。
というかデデさんは、たしかPUREの上位モデルの「PULSE」を使っていたはず。
他にもPerfumeやサカナクション、tofubeats、ESNO、Sweet Wiliamなどエレクトロ、テクノ、ヒップホップ系のサウンドは全般得意ですね。
DJヘッドホンといえば低音ゴリゴリ系を想像してしまうかもしれませんが、バスの音を強調するだけであって、他の帯域はバランス良く鳴らすので、ポップス全般もいけますよ。
3万円台のヘッドホンはあまり所持していないですが、分離感や空間表現力に長けており、同価格帯のヘッドホンのなかでもコスパの高さは十分感じられる製品だと思います。
ヘッドパッドを変えれば音が激変する
アユートの営業さんに「イヤーパッドを変えたら音が結構変わるので試してみて!」と言われたので、おすすめのイヤーパッドを購入してみました。
今回購入したのが、YAXIのFIX90。
内径部分にPUウレタン素材を採用したイヤーパッドで、余分な反響を抑え内径のマチはドライバから伝わる音をダイレクトに耳に届けてくれるパッドとのこと。
純正パッドと比べるとこんな感じ。
パッドの厚みはだいぶ薄くなりましたね。
実際にSignature PUREに装着すればこんな感じです。
使ってみた感想としては、音が全体的に近くなったように感じました。
ボーカルラインなど中域が前に出るようになり、低域が少し薄くなってフラット無特性に近づいたように感じましたね。
DJモニターから通常のモニターヘッドホンに変わったような感覚です。付け心地もモニターヘッドホンっぽい感じ。
ただ、音場も狭くなってしまうので、S-LOGIC3の効果が薄くなってしまうような感覚もありました。
エレクトロを中心に聴いたりDJモニターとしてメインで使う場合は純正パッドでも良いと思いますが、ロックやポップスを聴いたりモニターヘッドホンとしても使ったりしたい場合はFIX90でも良いかなーと思いました。
Signature PURE まとめ
Signature PUREをまとめると以下のとおりです。
総合評価
4.7/5
Signature PURE
- 3万円以下で上位モデルのエッセンスを感じられる
- 空間表現力が素晴らしい
- エレクトロ系サウンドとの相性抜群
- DJモニターだけでなく、リスニングやDTMでも使える
- オールブラックのイカしたデザイン
- リスニング用に使うには側圧がキッツイ
4.5
高音
4.4
中音
4.6
低音
4.5
解像度
4.7
迫力
4.0
装着感
Signature PUREはこんな人におすすめ
- 予算3万円ほどで有線ヘッドホンを探している
- リスニングからDJモニター、MIXでも使えるマルチなヘッドホンがほしい
- エレクトロなど電子音を多用した楽曲が好き
ボクがDJするなら、まちがいなくSignature PUREか他のシリーズを使います。
DJせえへんけど。再生ボタン押すくらいしかでけへんけど、
やっぱりサカナクションが使っていたとか、DE DE MOUSEも使っているとか、ボクが好きなアーティストが使っているという憧れ的なものは強いですね。
憧れだけではなくて、単純にDJモニターとしての完成度もめちゃくちゃ高いんですよね。ホントエントリーモデルとは思えないくらい。
なんだったら、元となったモデルのSignature DJよりも個人的には好きでしたね。あれの高域の鋭さはエグすぎた。
昔のUltrasoneファンからすると落ち着きすぎた印象を受けるかもしれませんが、昔聴いてみて刺さりがちな高音が苦手だと感じていた人は、むしろ今作を聴いてみてほしいです。
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