シニア猫と暮らす-高齢期ケアを2期に分けて考えよう

ペットの長寿化に伴ってシニア猫が増加中、今はまだ若い愛猫もいずれは通る道。今回は、加齢とともに現れる健康課題と対策について、「7歳から」と「10歳から」に分けて、考えてみましょう。

2013年7月16日RSSRSS

猫の世界にも、高齢化社会が進行中?

飼い猫の約半数が「7歳以上」のシニア世代

平成24年度の「全国犬猫飼育実態調査」(一般社団法人ペットフード協会調べ)によれば、猫の平均寿命は14.5歳、外に出ない室内飼育の猫だけなら15.7歳。一般に犬より長寿で、20歳ぐらいまで生きる猫も珍しくない時代です。また、7歳以上の猫は41.7%、10歳以上は25.6%を占めています。現在の日本の60歳以上人口が30%ですから、猫の世界も人と同様、着々と高齢化が進んでいるようです。

猫の「高齢」は何歳から?

ところで、猫の「高齢」って何歳から? 一般に「7歳以上」が高齢期とされ、キャットフードも、7歳からを「シニア用」とするメーカーがほとんどです。しかし、実際には「7歳はまだまだ若い」が飼い主さんの実感ではないでしょうか。
猫の7歳は、人で言えば44~45歳、猫の平均寿命からみても “猫生”まだ半ばです。獣医師の間でも「7歳は中年。本格的な老化は11~12歳(人で言えば60歳)頃から」というのが一般的な見解のようです。
ただし、7歳が体に変化が訪れる、健康上の大きな節目であることも事実。猫の高齢期の健康管理は、「7歳から」と、老化が本格化する「10歳を過ぎてから」とに分けて考える必要がありそうです。

7~10歳頃は、「肥満」にも注意が必要

なぜ太る?

7歳からの高齢期の入口は、基礎代謝が急激に低下してきて、太りやすくなる時期です。人が中年太りに悩むのと同様、「肥満予防」が一番の健康課題に。基礎代謝とは、生命維持のために最低限必要なエネルギーのことで、じっとしていても消費されていくものです。基礎代謝が低下するということは、これまでと同じだけ食べていると、肥満しかねないということです。
猫は、犬と違い、「与えただけ食べる」習性がないため、かつては肥満が問題になることはあまりなかったのですが、最近は、避妊・去勢の普及や室内飼育による運動不足などから、猫の肥満も増加しています。

肥満はさまざまな生活習慣病の引き金

肥満が怖いのは、泌尿器系疾患、関節疾患、心臓疾患、糖尿病、腫瘍など、高齢期に増加するさまざまな生活習慣病の引き金となるからです。猫に多い尿石症や膀胱炎なども、中年になって運動不足や肥満になると、発症しやすくなります。ここで愛猫を肥満させないことが、この後、高齢期を長く健康に過ごしてくための第一関門と言えるでしょう。

摂取カロリーを抑え、基礎代謝を上げる

肥満を防ぐには、まずおやつを控えたり、シニア用の低カロリーフードに切り替えるなどして、摂取カロリーを抑えること。ただし肥満猫の急激なダイエットは厳禁です。肝リピドーシス(脂肪肝)を起こして、命に関わることがあります
同時に、適度な運動によって筋肉をつけることも大切です。基礎代謝の40%は筋肉で消費されるので、筋肉をつければ基礎代謝がアップし、太りにくい体がつくれます。愛猫をおもちゃなどで積極的に遊びに誘い、運動不足を防ぎましょう。(編集部)

プロに聞く「7歳からのケア」のポイント!

7歳からはシニアの準備期間、体重管理を中心に、悪いところが出てくる前に備えたいもの。この時期のケアについて、ホリスティックケア・カウンセラーの青根未佳さんがお答えします!

 

Q.ホリスティックケアって、どんなもの?

「お薬反対」なケアと誤解されがちですが、ホリスティックケアは、必要であればお薬も使いながら、そのコにベストな方法を探しましょうという考え方です。例えば、すごく痛いときに、効き目の緩やかなサプリメントを使っていくより、お薬で早く痛みを鎮めてあげたほうが、そのコもハッピーだと思うんです。その代わりお薬で負担のかかる肝臓のケアを、サプリメントやハーブでサポートしていきませんか、というスタンスです。

 

Q.肥満予防のための「食事の見直し」ポイントとは?

食事の見直しをするときは、原材料に注目! カロリーの低いフードを選んでいるのに太ってしまう場合は、中身が問題かもしれません。糖質は、脂肪として体に蓄積されやすいので、糖質を多く含む炭水化物の割合の低いもの。そして、低脂肪かつ良質なタンパク質を含むものがおすすめです。良質とは、猫が消化・吸収しやすい動物性タンパク質です。

 

Q.ダイエットでの注意点を教えて!

猫の場合、絶対に絶食をさせないでください。飢餓状態が続くと、エネルギーを作るために、蓄えられていた脂肪がどんどん肝臓に送られてきて蓄積し、肝リピドーシス(脂肪肝)を引き起こします。太った猫ほど危険で、数日間の絶食で命を落とすことも。

 

Q.泌尿器の病気予防でできることは?

おしっこが濃くなると、尿石症や膀胱炎を起こしやすくなるので、十分に水分を摂取しているか、よく観察を。猫はあまり水を飲まない動物なので、飲ませる工夫も必要です。ささみのゆで汁でドライフードをふやかして食事から水分を摂らせたり、いつでも飲めるように水飲み場所を増やしたり。寒い日には部屋の室温を上げるのもひとつの方法としてお勧めです。

 

Q.シニア期の健康維持におすすめのサプリメントって?

意識して摂りたいのは、オメガ3脂肪酸。酸化しやすい性質がありますが、アマニなどの植物性オイルなら飼い主さんと一緒に使えて早く消費できるのでお勧めです。ただし、植物性オイルのαリノレン酸は、体内でDHAやEPAに変換する必要があり、消化機能が衰えてくる10歳以降では、より動物性オイルが望ましいです。一番のおすすめはサーモンオイルです。

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