犬は暑いのが苦手
「気温22℃・湿度60%」以上で、熱中症の危険性あり
以前、「熱中症対策は大丈夫!?「節電」の夏を乗り切る法」という記事のなかでご紹介したとおり、比較的暑さに強い猫はともかく、犬は「気温22℃・湿度60%」以上で、熱中症の危険性が出てくるとも言われています。昨年にPetwellの会員のみなさんへお聞きしたアンケートでは、犬・猫の飼い主さんの60%が「節電を意識した対策を考えている」とお答え頂きました。節電意識の向上で、ペットの熱中症対策に関心のある飼い主さんが増えていることは確か。室内犬を飼われている方(特に共働きの方)は、ペットを留守番させる際の暑さ対策に悩まれている方が多いと思います。
熱中症は命に関わる病気
急激に体温が高くなり、よだれを出し、息苦しそうにすると危険
まず犬・猫の熱中症について簡単におさらいしましょう。熱中症は、夏の暑い日に閉め切った室内や車内での留守番、犬の場合は暑さが厳しいなかでのお散歩やお出かけなどが原因で発生します。急激な体温の上昇で、ハァハァ…というあえぎ呼吸(パンティング)、よだれ(流涎)といった症状が現れ、ひどい場合には呼吸困難や吐血、血便などを起こし、命に関わることもあります。
人間でも夏場は熱中症がニュースになりますが、ほとんど汗をかかない犬は体温調節が難しく、熱中症になりやすい傾向があります。私たちの感覚で「大丈夫!」と思っても、ペットにとっては命取りになる場合があり、注意が必要です。犬・猫の熱中症の症状や、発症してしまった場合の応急処置、予防対策など、もっと詳しく知りたい飼い主さんは、当サイト「犬・猫の病気事典」に詳しく載っています。そちらをご覧ください。
犬の熱中症(熱射病、日射病)
猫の熱中症(熱射病、日射病)
クーラーや換気扇、扇風機などが動かない…
計画停電時の熱中症対策とは?
さて、ここからが本題です。停電した場合の暑さ対策、クーラーなどに頼らない対策について、考えられることをまとめたいと思います。
カーテンを締めて、ケージは直射日光の当たらない場所へ
カーテンを締めて直射日光が部屋に入ることを避け、ケージはなるべく窓から遠い場所に移動しましょう。高窓や格子つきの窓、通気口は開けるようにして室内の風通しを良くしておくこと。防犯上の問題がなければ、窓はなるべく開けておくと効果的です。(財)省エネルギーセンターによれば、「風上は狭く開け、風下は広く開ける」のが上手な通風のポイントとか。さらに、風下側の窓を1カ所ではなく2カ所開けると、風速が2倍以上になるそうです。
市販のクールマットを活用する
クールマットを敷いてあげましょう。最近は、金属ボードやジェルの保冷剤が入ったタイプ、大理石タイプなど、様々なクールマットが市販されています。マットをちゃんと使用してくれるかどうかはペット次第ですが、「ひんやりして気持ち良い」と理解すれば気に入ってくれることが多いようです。なるべく用意してあげましょう。
凍らせたペットボトル、保冷剤などを活用する
凍らせたペットボトル(タオルなどでくるんだもの)や濡れた冷たいタオルをケージに入れてあげましょう。噛み癖のない犬であれば、アウトドア用品として市販されている保冷剤を使うのも効果的。噛み癖がある犬の場合は、スノコの下に保冷剤を敷くといった工夫をされる飼い主さんもいるようです。
水はたっぷり用意。排尿で体温調節できるように
水を多めに入れて、絶対に切らさないようにしてください。水分を摂取すれば、排尿することで体温を下げられます。多すぎるくらいにたっぷり用意して、(ペットがトイレをしやすいように)トイレも清潔にしておきましょう。
ペットをなるべく自由に移動させるようにしておく
ペットを室内の好きな場所に行けるように部屋を開放しておくと、留守番時に部屋が予想外の暑さになってしまったときなど、ペットが自分で涼しい避難場所を見つけられるメリットがあります。ただし、飼い主さんが不在のときは、ペットが誤って浴槽に転落したり、危険なものを口にしないよう事故の防止対策をしっかりしてください。
いかがでしょうか?これらはあくまで工夫例の1つに過ぎません。熱中症対策は、いずれかだけやっておけば大丈夫というものではなく、これらを組み合わせて対策を練ることが大切です。熱中症という病気を正しく理解して、計画停電の夏を健康に乗り切りましょう。