【症状】全身もしくは体の一部に痙攣(けいれん)
てんかん発作は、発作が起こる数日から数分前によだれを流したり、落ち着きがなくなったり、活動性が増加あるいは減少したりといった前兆が見られます。そうした前兆の後、痙攣発作を起こします。
痙攣は全身がこわばって震え、ときに意識を無くしたり失禁したりする「全般発作」のこともあれば、体の一部分(四肢や顔面の一部)が震える「部分発作」のこともあります。また、突然見えないものを追いかけるような奇妙な行動をとったり、攻撃的になったりといった発作を起こすこともあります。発作は、数秒で終わることもあれば、数分続くこともあります。しかし、なかには発作が治まる前に再び痙攣発作を繰り返す場合(重責発作)があり、これは脳などに深刻な障害を与え、時に命に関わるため、緊急処置が必要となります。
【原因】脳腫瘍などが引き金となるが、原因不明の場合も
てんかんは、脳を形成している神経細胞(ニューロン)に異常が起こることによって発症します。脳腫瘍や水頭症、犬ジステンパーによる脳炎などの脳になんらかの障害があるために起こる「症候性てんかん」と、検査をしても脳に構造的な異常が認められない原因不明の「特発性てんかん」とがあります。「特発性てんかん」は、なりやすい犬種があることから、遺伝的な要素が関係しているといわれています。
【治療】てんかんの原因を見極めての治療。できる限り
「症候性てんかん」の場合には、その病気に対する治療を行います。「特発性てんかん」の場合には、抗てんかん薬を用いて治療を行います。また、重責発作を起こしている場合は、痙攣を止めるための緊急治療が必要です。てんかんの原因や症状の程度を明確にするために、発作を起こした際の状況や病歴を、できる限りくわしく獣医師に伝えることが大切です。
【予防】予防は困難。定期検診などで早期発見に努める
てんかんの明確な予防方法はありません。「症候性てんかん」を引き起こす病気の予防や早期発見に努めるように定期的な健康診断を受けるようにしましょう。