【症状】ぼんやりすることが増え、夜鳴き、徘徊などが見られたら・・・
認知症(痴呆)の症状には様々なものがありますが、すべてが一気に現れるのではなく、個々の症状が1つ、2つとゆっくり現れます。おもな症状としては、ぼんやりすることが増える、飼い主の呼びかけに反応しない、昼夜が逆転した生活になる、食欲旺盛でよく眠り下痢もしないのにやせる、トイレを失敗する、徘徊、夜中に変な声で鳴き続ける、前に歩くが後ろに下がれない、狭いところや部屋のスミから出られない、円を描くように歩く(旋回運動)、などが見られます。認知症の症状は、平均すると11歳頃(早くて7〜8歳頃)から現れはじめるといわれ、犬種では柴犬や日本犬系の雑種がなりやすい傾向があります。
【原因】老化や遺伝による脳の変化によって起こる
認知症は、老化にともなう脳の委縮変化や神経に毒性のある物質が脳に沈着すること、などが発症に関係していると考えられています。しかし、いまだに不明な部分が多い病気です。
【治療】処方食やサプリメント、薬物などで症状改善を図る
認知症の治療として、EPAやDHAなどを含んだ高齢犬用フード(処方食)やサプリメント(栄養補助食品)を与えたり、薬物を投与したりする方法があります。これらによって症状の改善や進行の抑制が期待できます。また、飼育環境の改善(十分な空間と安全な足場の確保)や、十分な栄養管理と規則正しい食事・運動(トレーニング、遊びを含む)、できるだけ声を多くかけるといったことも症状の改善のためには大切です。
部屋のスミで動けずにいるようなことが多い場合には、エンドレスケージ(円形のやや広めのケージ)を利用すると良いでしょう。エンドレスケージ内で、犬はぐるぐる回り続け、歩き疲れれば眠るようになるため、夜中に鳴き騒ぐといったことが減少します。
【予防】早期発見・早期治療が大切。規則正しい生活を
認知症の予防は難しいため、早期発見・早期治療が大切です。少しでも認知症と疑われる症状が現れはじめたら、動物病院の診察を受けるようにしましょう。また、日常的に規則正しい生活を送らせるとともに、積極的に遊んだり、日々のトレーニングを行うことも、この病気の予防につながります。
「犬の認知症(痴呆/認知機能障害/認知障害症候群)」のポイント
犬は加齢にともない、いろいろな病気を患うようになります。認知症に似た症状を持つ病気を見過ごすことのないよう、定期検診を受けるようにしましょう。