サツマ保存活動の回想!
ご主人様は、10年前に定年退職し、それまで系統繁殖して来ましたプーギー系アメリカンビーグル(以下、アメビと記す)に我々サツマビーグル(以下、サツマと記す)を加え、保存普及活動を開始しされました。
その頃から、猟場にはノウサギが激減し、逆に全く居なかったシカが増え出し、アメビはシカを追って帰らない日々が続き、犬探しが日常茶飯事となりました。
その後、GPSハウンドマーカーが登場し、犬探しも楽になりましたが、アメビでのシカ猟は断念せざるを得なくなりました。
そして、我々の保存活動を開始し、1年目に鹿児島で仔犬が生まれていると言う連絡(サツマ犬舎の奥様)を頂き、急遽飛行機(徳島⇔東京⇔鹿児島)で引取りに行きました。
初めて見る純血サツマビーグルの仔犬です・・
期待を胸に鹿児島まで行きましたが、その時の仔犬が上の写真のベン(牡)です。
ベンを見るなり、ご主人様の想像を上回る素晴らしいサツマの仔犬で、今もこの時のベンの体型はご主人様の目に焼き付いています。
そして、現在もサツマビーグルの体型は、このベン号を目標としています。
ベンは、残念ながらレプトスピラ病で、僅か5ヶ月で亡くなりました。
写真は、亡くなる前の元気な時のベンです。
ベンを引き取りに行った鹿児島のハンターが、ご主人様が「サツマ師匠」と呼んでおられるM氏であります。
M氏は、サツマ犬舎のH氏が亡くなる前に「何とかサツマを後世に残してもらいたい」と懇願されていた様で、当時誰も見向きもしなかったサツマをお一人で保存活動されていました。
M氏にとってご主人様は、自らの想いを引き継いでくれる唯一の助け舟に見え、ご主人様の存在をとても喜んでくれた様です。
ベンの兄妹も母親が高齢出産と言うこともあり、兄妹は僅か牡2頭と少なく、M氏が飼育されている犬も繁殖には使えない老犬と言うことで、M氏にとってベンは最後の仔犬だった様です。
・・・・・・・・・・・(中略)
その後はM氏にお願いし、鹿児島県内を始め、昔交流があった近隣の宮崎や熊本等にも手を広げ探して頂きましたが、半血(雑種)は居ましたが純血種は皆無でした。
ご主人様も、全国のアメビのトライアル仲間等に我々の生存情報を調べてほしい旨を依頼されましたが、全く手掛かりは見つかりませんでした。
・・・・・・・・・・・(中略)
もうダメかと諦めかけていた矢先、M氏よりハクとエスを見つけたとの連絡が入り、鹿児島空港から徳島空港に2頭を送ってもらい保存活動をスタートさせました。
しかし、この2頭と親子間の交配は極近親繁殖となり保存活動も息詰まると言うことから・・また、我々を探す長い旅が始まりました。
そこで、ダメもとでホームページ『 日本狩猟犬サツマビーグルの郷 』を立ち上げ、我々の生存情報を探すことにしました。
すると、若い愛犬家から「 探している様な耳の長い犬を散歩させている人がいます 」等の情報を頂き、純血と思われる犬の場合は直ぐに確認に行きましたが、みんな別犬種が入血された雑種でした。
我々の情報も途絶え出した時、ハクとエスの間に待望の仔犬が初めて生まれました。
ご主人様も、サツマの繁殖は初めてでしたので、鹿児島のサツマ師匠に度々電話をされ、色んな情報を習得されていました。
最初の質問とは?・・『 耳がとても小さいので雑種かも! 」でした・・(笑)(笑)(笑)
サツマ師匠からは、『 サツマは地犬「薩摩犬」に色んな犬種を掛けて品種改良して来たので、出産から成長するに従い色んな犬種の遺伝子により体型が変化してくる 』と教えて頂きました。
この様にして、繁殖や系統等についてサツマ師匠が嫌になるくらい色々とお聞きし、多くの逸話等も教えて頂きました。
その後、仔犬は順調に大きくなり、サツマ師匠にも牝1頭を送り、保存活動を手伝って頂くことになりました。
・・・・・・・・・・・・・・・(中略)
しかし、別系統のサツマを探す活動も継続して行っていましたが、中々有望な情報(手掛かり)は見つかりませんでした!
ところが、サツマ師匠の熱心なサツマ探しが徐々に人に知れるところとなり、鹿児島県内の各地から情報を頂きながら、最初にタローを見つけ、その手掛かりから、リュウ、ギンと・・立て続けに発見されました。
以下の写真は、その当時(10年前)に発見された純血サツマビーグルです。
何れも牡でしたが、ハクとエスの間に生まれた牝犬と交配し、多くの仔犬が誕生し、保存活動に協力して頂ける全国の愛好家に飼育を託しました。
ハク号
代表的な直仔=ハクオー(牡)
タロー号
代表的な直仔=シロー(牡)
リュウ号
代表的な直仔=ヤマト(牡)
ギン号
代表的な直仔=アサ(牡)
発見されたサツマは、タローとギンはサツマ師匠に飼育を委託し、我家にはリュウがやって来ました・・。
翌年にはテツも発見され、我家に送ってもらいました。猟芸は素晴らしかったですが、残念ながら3回交配を試みましたが何れも不妊に終わり、種牡としては不可と判断されました。
その後、我家にはタローの直仔「シロー(1才)」も発見され、ギンの直仔「アサ(生後60日)」と共に我家に送ってもらい、現在も種牡とし使用しています。
また同年には、鹿児島で牝犬、熊本で牡犬が発見され、サツマ師匠に繁殖をお願いし3頭の仔犬が生まれ、その内の牝犬のマレを我家に送ってもらい多くの直仔を残してくれました。
※ その後、我家の飼育頭数制限の関係で、リュウは栃木県、エスとシローは滋賀県、テツは滋賀県、マレは高知県、アサは福岡県のハンターに飼育を託しました。
※ リュウとテツは優秀な大物猟犬として活躍していましたが、大きな雄イノシシとの対峙で負傷し死亡しました。
現在は、ハク系、タロー系、リュウ系、ギン系の4系統の直仔が居ますので、交配を上手くコントロールすれば近親繁殖による絶滅は無いと考えます。
我々の保存活動における約10年間は多くの苦難が立ちはだかり、希望と絶望の繰り返しの連続でしたので、ここで全てを語ることは割愛させて頂きます。
本日は、我々の保存活動の一旦(概要)を搔い摘んでお話しさせて頂きましたが、最初にハクとエスの2頭から保存活動をスタートし、現在では国内での飼育頭数が157頭まで増えたことは、当時から想いますと夢のまた夢の様な快挙としか言いようがありません!
今では、当時いたベン、ハク、エス、ギン、リュウ、タロー、テツも亡くなっていますので、仮に10年前ご主人様が保存活動に着手していなければ、我々サツマビーグルは絶滅し、その存在は一部のハンターのみが知る昔話になっていたと思います・・(≧◇≦)
過去にも先人達が何ども経験した絶滅の危機を一部の熱心な保存家(有力者)によって回避されて来ましたが、平成の絶滅危機はご主人様が我々サツマビーグルを救って下さいました・・( 感謝に堪えません! )
今後は、ご主人様も高齢化で体力の衰えも進んで来ると思いますので、ご主人様がお元気な内に我々の貴重な情報を受け継ぐべく、若いリーダーの誕生が待たれます・・。
絶滅は、とても簡単にやって来ます・・(≧◇≦)
それは、昨年生まれたリリーの牝仔犬達も、今後7年余りが過ぎますと繁殖不能となりますので、万一オーナー様が繁殖をしなければその時点で我々は絶滅となります。
保存会員様には、上記の事情をしっかりと認識して頂き、一人でも多くの方が保存活動に参加して頂ける(ブリーダーになって頂ける)ことを願って止みません!
幸いにも、保存会員様より4名の方がブリーダー「第一種動物取扱業(販売)」資格を取得されましたので、とても心強く思っております。
しかし、4系統の情報をPCで一元管理されているのはご主人様のみで、現在は個人情報保護法の関係で全てのオーナー様と持ち犬情報を公開することは出来ません・・(@_@。
仮にブリーダー資格を沢山の会員様が取得されても、ご主人様が一元管理しています情報なくして適切な繁殖は不可能であります。
出来るならば、今後はNPO法人を立ち上げ、会員相互の情報共有化を進める必要がありますが、これだけは中心になる人物の存在無くして到底達成は不可能と考えます!
ご主人様も10年前にはNPO法人を計画していましたが、飼育頭数や会員数が少なく許可はできないと、却下された経緯があります。
しかし、現在は会員数も100名を超え、飼育頭数も150頭を超えましたので、当初の条件はクリアーしています。
・・が、法人を立ち上げるにはそのリーダーと多くの時間や経費の他、設立に賛同して頂ける会員様がどれだけいるかがキーとなります。
ご主人様は、もうお年なので法人の立ち上げは一歩下がって応援したいと申されています。
尚、大げさに考えなくても、ある地域(猟友会等)で協力して4系統を飼育できれば絶滅の危機は回避できますので、この方法が現実可能な方法と考えます。
何れにせよ、『 サツマを後世まで残してやるのだ! 』と言う強い意志と団結なくして達成は難しいと思います。
多くの仲間で共有することで、飼育管理の軽減や経費の分散が可能となり、持続可能な保存が出来ると考えます。
※ 発祥の地「鹿児島」では、集落や有力者の下、一丸となって系統保存して来たことを思い出します。
・・・・・・・・・・・( 本日のお話しはここまでとします! )
これから先のことを色々と考えますと、我々の心の内も暗くなるばかりですので、今日は国内で仲間が157頭まで増えたことを祝うことにしましょう!!!・・( おめでとうございます/拍手! )
※ 現在、我家ではソラの仔犬が7頭生まれていますので、みんな順調に育ちますと、全国で164頭となります。
では、本日はこの辺で失礼します・・(@^^)/~~~
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