Latest Entries
西国三十三カ所 大和路da6 近鉄天理駅から第九番 興福寺 南円堂経由 JR木津駅(奈良街道)
奈良県最終日。
今日は天理から真っすぐ北上し、奈良市中心部に入ります。
その後、さらに北上して京都府の県境を越えます。
駅を出てしばらくの間、道沿いに天理教関係の建物が並んでいます。
地方から天理市に来た信者の方たちが泊まる宿舎の様でした。
大通りから幅5mほどの伊勢街道に入ります。
江戸時代には”上街道(上ツ道)”呼ばれ、京都から長谷寺や伊勢に向かう、もっと幅の広い道だったそうです。
街道沿いに帯解というJRの駅があります。
安産祈願で有名な帯解寺の最寄り駅だそうです。
道沿いに”帯解安産地蔵尊””広大寺奥之院””開山行基菩薩”と額を掲げた龍象寺があります。
宮内庁腹帯献納所と書かれていて、由緒正しいお寺のようです。
ここが帯解寺の奥の院なのでしょうか。
門をくぐってみると、小さな古刹です。
絵入りの御朱印を何種類も売っているようですが、境内には参拝客もお寺の方もだれもいません。
寄進をお願いする手書きのポスターなどが何枚も貼ってあります。
こう言っては失礼なのですが、なんとなく補修が間に合っておらず、お金に困っている雰囲気があります。
大都市から離れていると、JRの駅名になるほど有名なお寺の奥の院でも、こんなに寂れるものなのかな、と思いながらお寺を後にしました。
5分ほど歩くと、もうひとつ別の帯解寺がありました。
同じように”帯解子安地蔵尊”の古い石柱が立っています。
先ほどの奥の院の本山でしょうか。
こちらは重要文化財の看板が立っていて、小さいが立派な山門には菊の紋が付いた几帳が下がっています。
平日の昼間ですが、境内は安産祈願の方で賑わっています。
もちろん手書きのポスターはありません。
祈祷受付もしている売店では、お守りの他に、腹帯を売っています。
東京の水天宮で見慣れた、安産祈願で賑わうお寺の風景です。
同じような名前で、同じような功徳があるお寺が二つのあります。
片方が賑わっていて、もう一つは寂れています。
不思議なので、帰宅してから調べてみました。
寂れた方は高野山真言宗、ご本尊は行基作、光明皇后が安産祈願をしたそうです。
750年頃の話です。
奥之院と言っていますが、今では無くなってしまった広大寺というお寺の奥之院で、もう一つの帯解寺の奥の院ではありませんでした。
賑わっている方は華厳宗、ご本尊は弘法大師作です。
開基はお大師様の師匠、勤操です。
お大師様作のご本尊ですが、真言宗ではないのが面白いです。
こちらは文徳天皇のお后が清和天皇を産んだ時に安産祈願をしたそうです。
850年頃の話なので、寂れている方から100年位後の話です。
江戸時代には、三代、四代将軍が安産祈願をしています。
徳川将軍がこちらを選んだのは、源氏の祖先、清和天皇に所縁があるからでしょうか。
そして現在の皇室の方々にも腹帯やお守りなどを献納したと書いてありました。
どちらもお大師様と所縁のあるお寺ですが、似たような功徳があるので、昔から仲がよくないようです。
賑わっている方の帯解寺のWEBには、”寂れている方は当寺の奥の院ではないので、間違えないようご注意ください”、と書かれています。
江戸時代には裁判沙汰になったようで、賑わっている方に訴状と沙汰書が残されているそうです。
そこには、”寂れている方が帯解奥の院と詐称して、帯解寺の奥の院と間違うような表示をしたので、今後は帯解の文字を使わないように”と書かれているそうです。
相変わらず、車がすれ違えないほどの狭い道ですが、少しずつにぎやかになってきました。
みると、狭い道の中に鳥居のある赤い囲いがはみ出していて、そこだけ車1台が通れるか通れないかの道幅になっています。
囲いの中は椚(くぬぎ)の木がご神体の椚神社です。
初代の御神木は、お大師様が挿していったクヌギの杖から発芽したそうです。
切ると罰が当たるそうなので道の真ん中にはみ出しているんですね。
観光地に入ったなと思ったころ、蚊帳会社の古い建物がありました。
とても良い色の暖簾が下がっています。
”お店を見せてください”、と声をかけると、”どうぞどうぞ”と、愛想がいいのです。
店内には極薄の麻布を染めた暖簾がたくさん吊るしてあります。
蚊帳生地を折りたたんで作った、タオルやふきんは吸水性がよさそうです。
店主の愛想の良さは、”うちの商品を一旦見てしまったら、買わずには帰れないはず”という自信でしょうか。
店主の思惑通り、久しぶりにお土産を買ってしまいました。
店主に蚊帳について話を伺います。
”子供の頃に蚊帳で寝たことがあるのですが、暑くて寝苦しかったのを覚えています”
”その蚊帳は普及品だったんですね”と言われました。
涼しい麻の蚊帳は超高級品で、一般的に使われていた化繊の蚊帳は風通しが悪くて暑かったんだそうです。
相変わらずの5m道路ですが、観光客が沢山います。
この辺りは奈良町という古い市街地だったそうで、古民家再生の店舗がたくさんありました。
視界が開けて明るくなったと思ったら、目の前に猿沢池がありました。
向こう岸の階段を登れば第九番札所 興福寺 南円堂です。
鹿がいる奈良公園から県庁や音楽ホールに向かう横断歩道を渡ると、あれほど多かった観光客は全くいなくなりました。
もうすぐホテルになる旧奈良監獄をすぎると、奈良街道に合流します。
国宝の般若寺楼門裏側に、”しぼりたて牛乳、ソフトクリーム、植村牧場”という看板があります。
道からは牛の姿も牧草地も見えません。
興福寺から2km30分ほどしか離れていない場所にある、町工場程度の敷地です。
ここに本物の牧場があるのでしょうか。
入口付近にソフトクリーム売店と食堂があります。
丁度おなかが空いてきましたが、近くにはほかに食べる場所もありません。
なんとなく疑心暗鬼で食堂にはいりました。
店内は田舎の喫茶店のような内装です。
大して期待もせずに、カツカレーと牛乳を頼みました。
牛乳はもちろん、驚くほど美味しいカツカレーです。
ここは明治時代から続く奈良県最古の牧場で、奈良ホテル出身のシェフが料理を作っているそうです。
ここから20分ほど北に歩くと、京都との県境です。
JR木津駅まで歩いて、大和編を終えました。
データ
2022年11月07日(月)
16.9km 4hr41min
0851 近鉄天理駅発
1008 龍象寺(帯解安産地蔵尊の奥の院)
1013 帯解寺
1050 椚(くぬぎ)神社
1103 吉田蚊帳店着
1110 発
1115 猿沢池
1120 第九番札所 興福寺南円堂着
1130 発
1135 興福寺北参道奈良公園入口
1155 奈良街道に合流
1159 奈良阪水道計量器室
1205 旧奈良監獄
1215 植村牧場
1236 発
1255 奈良ー京都県境
1331 JR木津駅着
0743 桜川駅発
阪神なんば線 快速急行近鉄奈良行
0816 大和西大寺駅着
0818 大和西大寺駅発
近鉄橿原線急行橿原神宮前行
0828 平端駅着
0832 平端駅 発
近鉄天理線 各停 天理行
0838 天理駅着
今日は天理から真っすぐ北上し、奈良市中心部に入ります。
その後、さらに北上して京都府の県境を越えます。
駅を出てしばらくの間、道沿いに天理教関係の建物が並んでいます。
地方から天理市に来た信者の方たちが泊まる宿舎の様でした。
大通りから幅5mほどの伊勢街道に入ります。
江戸時代には”上街道(上ツ道)”呼ばれ、京都から長谷寺や伊勢に向かう、もっと幅の広い道だったそうです。
街道沿いに帯解というJRの駅があります。
安産祈願で有名な帯解寺の最寄り駅だそうです。
道沿いに”帯解安産地蔵尊””広大寺奥之院””開山行基菩薩”と額を掲げた龍象寺があります。
宮内庁腹帯献納所と書かれていて、由緒正しいお寺のようです。
ここが帯解寺の奥の院なのでしょうか。
門をくぐってみると、小さな古刹です。
絵入りの御朱印を何種類も売っているようですが、境内には参拝客もお寺の方もだれもいません。
寄進をお願いする手書きのポスターなどが何枚も貼ってあります。
こう言っては失礼なのですが、なんとなく補修が間に合っておらず、お金に困っている雰囲気があります。
大都市から離れていると、JRの駅名になるほど有名なお寺の奥の院でも、こんなに寂れるものなのかな、と思いながらお寺を後にしました。
5分ほど歩くと、もうひとつ別の帯解寺がありました。
同じように”帯解子安地蔵尊”の古い石柱が立っています。
先ほどの奥の院の本山でしょうか。
こちらは重要文化財の看板が立っていて、小さいが立派な山門には菊の紋が付いた几帳が下がっています。
平日の昼間ですが、境内は安産祈願の方で賑わっています。
もちろん手書きのポスターはありません。
祈祷受付もしている売店では、お守りの他に、腹帯を売っています。
東京の水天宮で見慣れた、安産祈願で賑わうお寺の風景です。
同じような名前で、同じような功徳があるお寺が二つのあります。
片方が賑わっていて、もう一つは寂れています。
不思議なので、帰宅してから調べてみました。
寂れた方は高野山真言宗、ご本尊は行基作、光明皇后が安産祈願をしたそうです。
750年頃の話です。
奥之院と言っていますが、今では無くなってしまった広大寺というお寺の奥之院で、もう一つの帯解寺の奥の院ではありませんでした。
賑わっている方は華厳宗、ご本尊は弘法大師作です。
開基はお大師様の師匠、勤操です。
お大師様作のご本尊ですが、真言宗ではないのが面白いです。
こちらは文徳天皇のお后が清和天皇を産んだ時に安産祈願をしたそうです。
850年頃の話なので、寂れている方から100年位後の話です。
江戸時代には、三代、四代将軍が安産祈願をしています。
徳川将軍がこちらを選んだのは、源氏の祖先、清和天皇に所縁があるからでしょうか。
そして現在の皇室の方々にも腹帯やお守りなどを献納したと書いてありました。
どちらもお大師様と所縁のあるお寺ですが、似たような功徳があるので、昔から仲がよくないようです。
賑わっている方の帯解寺のWEBには、”寂れている方は当寺の奥の院ではないので、間違えないようご注意ください”、と書かれています。
江戸時代には裁判沙汰になったようで、賑わっている方に訴状と沙汰書が残されているそうです。
そこには、”寂れている方が帯解奥の院と詐称して、帯解寺の奥の院と間違うような表示をしたので、今後は帯解の文字を使わないように”と書かれているそうです。
相変わらず、車がすれ違えないほどの狭い道ですが、少しずつにぎやかになってきました。
みると、狭い道の中に鳥居のある赤い囲いがはみ出していて、そこだけ車1台が通れるか通れないかの道幅になっています。
囲いの中は椚(くぬぎ)の木がご神体の椚神社です。
初代の御神木は、お大師様が挿していったクヌギの杖から発芽したそうです。
切ると罰が当たるそうなので道の真ん中にはみ出しているんですね。
観光地に入ったなと思ったころ、蚊帳会社の古い建物がありました。
とても良い色の暖簾が下がっています。
”お店を見せてください”、と声をかけると、”どうぞどうぞ”と、愛想がいいのです。
店内には極薄の麻布を染めた暖簾がたくさん吊るしてあります。
蚊帳生地を折りたたんで作った、タオルやふきんは吸水性がよさそうです。
店主の愛想の良さは、”うちの商品を一旦見てしまったら、買わずには帰れないはず”という自信でしょうか。
店主の思惑通り、久しぶりにお土産を買ってしまいました。
店主に蚊帳について話を伺います。
”子供の頃に蚊帳で寝たことがあるのですが、暑くて寝苦しかったのを覚えています”
”その蚊帳は普及品だったんですね”と言われました。
涼しい麻の蚊帳は超高級品で、一般的に使われていた化繊の蚊帳は風通しが悪くて暑かったんだそうです。
相変わらずの5m道路ですが、観光客が沢山います。
この辺りは奈良町という古い市街地だったそうで、古民家再生の店舗がたくさんありました。
視界が開けて明るくなったと思ったら、目の前に猿沢池がありました。
向こう岸の階段を登れば第九番札所 興福寺 南円堂です。
鹿がいる奈良公園から県庁や音楽ホールに向かう横断歩道を渡ると、あれほど多かった観光客は全くいなくなりました。
もうすぐホテルになる旧奈良監獄をすぎると、奈良街道に合流します。
国宝の般若寺楼門裏側に、”しぼりたて牛乳、ソフトクリーム、植村牧場”という看板があります。
道からは牛の姿も牧草地も見えません。
興福寺から2km30分ほどしか離れていない場所にある、町工場程度の敷地です。
ここに本物の牧場があるのでしょうか。
入口付近にソフトクリーム売店と食堂があります。
丁度おなかが空いてきましたが、近くにはほかに食べる場所もありません。
なんとなく疑心暗鬼で食堂にはいりました。
店内は田舎の喫茶店のような内装です。
大して期待もせずに、カツカレーと牛乳を頼みました。
牛乳はもちろん、驚くほど美味しいカツカレーです。
ここは明治時代から続く奈良県最古の牧場で、奈良ホテル出身のシェフが料理を作っているそうです。
ここから20分ほど北に歩くと、京都との県境です。
JR木津駅まで歩いて、大和編を終えました。
近鉄天理駅 天理線の 終点です |
建物は全て 天理教関係 のようです |
上街道に 入ります |
上街道の 馬繋ぎが あった場所 |
天理と奈良 を繋ぐ 上街道 |
消防団倉庫 に火の見櫓 があります |
願うと汗を かく汗かき 地蔵様 |
上街道は 住宅街と ・・・ |
畑の間を 通って北上 していく |
龍象寺 寂れている 方のお寺 |
帯解安産 地蔵尊 の扁額 |
自殺防止の 手書きの ポスター |
帯解寺 賑わって いる方です |
売店では 各サイズの 腹帯がある |
上街道に 戻ります |
道路の中に はみ出した 椚神社 |
蚊帳会社の 入口の 暖簾 |
店内に展示 してある 暖簾 |
お客さんを 呼んでしま いました | 大阪万博の ネパール館 の飾り窓が |
お寺の壁に 埋め込まれ ています |
突き当たり が奈良町 |
右南円堂 猿沢池の 道標 |
突然 猿沢池に でました |
短い階段の 横には西国 札所の道標 |
興福寺境内 | 第九番札所 興福寺 南円堂 |
奈良公園 入口の反対 側は県庁 |
奈良街道 | 緑が多い |
奈良坂計量 器室は 産業遺産 |
説明板 | 旧奈良監獄 の壁沿いに 歩きます |
旧奈良監獄 ホテルが 買収した |
そうです | 車を並べて 撮影会を しています |
奈良街道 沿いの植村 農場入口 |
牛乳 | カツカレー |
国宝般若寺 楼門。見る のは無料 |
菊を育てて いる家庭が 多いです |
高札場です が復元した ものですね |
奈良県と 京都府の 県境 |
次回は 宇治に 向かいます |
JR木津駅 到着 |
駅の連絡 通路より |
蚊帳店での お買い上げ |
第九番札所 興福寺 南円堂 |
データ
2022年11月07日(月)
16.9km 4hr41min
0851 近鉄天理駅発
1008 龍象寺(帯解安産地蔵尊の奥の院)
1013 帯解寺
1050 椚(くぬぎ)神社
1103 吉田蚊帳店着
1110 発
1115 猿沢池
1120 第九番札所 興福寺南円堂着
1130 発
1135 興福寺北参道奈良公園入口
1155 奈良街道に合流
1159 奈良阪水道計量器室
1205 旧奈良監獄
1215 植村牧場
1236 発
1255 奈良ー京都県境
1331 JR木津駅着
0743 桜川駅発
阪神なんば線 快速急行近鉄奈良行
0816 大和西大寺駅着
0818 大和西大寺駅発
近鉄橿原線急行橿原神宮前行
0828 平端駅着
0832 平端駅 発
近鉄天理線 各停 天理行
0838 天理駅着
コメント
コメントの投稿
トラックバック
http://hurdygurdyman.blog.fc2.com/tb.php/81-1b2ec3dd