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高野山一日観光-帰宅(4月24日)
四国札所の宿坊には朝のお勤めがあります。
同じ時間に宿泊者全員が一斉に動き出すので、水回りが混雑すると思いました。
そしてお勤めが終わってから朝食ですから、何時頃に出発できるかわかりません。
お勤めのために、スケジュールが狂ってしまうのがいやで、四国遍路中には一回も宿坊に泊まりませんでした。
しかし、お勤め自体に興味はありました。
高野山に来て、時間の制約がなくなり、初めてお勤めに参加できました。
不動院宿坊のお勤めは、お寺で行っている本物のお勤めではなく、宿泊客用の体験プログラムです。
お勤め体験という感じなので、かなり遅い時間に始まります。
まず経本がくばられ、お坊さんに合わせて、般若心経を一緒にお供えします。
30人ほどの宿泊客の中で自分の経本を持っていたのは私だけでしたが、般若心経を覚えていて、経本を見ずに唱えている人もいたようです。
お経はこれで終わり、そして、講話がありました。
講話の後が、”阿字観(あじかん)”体験です。
私は”あじかん”に関してまったく予備知識がありませんでした。
なんとなく、”ア”の字を一日中じーっと眺めていて悟りを開く、仏教の修行だと思っていました。
そして、なぜ”ア”なのだろう、”イ”じゃいけないんだろうか、まあ修行だからそんなものかなと、想像していました。
体験した阿字観は”ア”の字をじーっと見つめる修行ではありませんでした。
まず、阿字観の”あ”とは、”あ”でも”ア”でも”阿”でもなく、梵字のアでした。
梵字の”ア”は大日如来を現わしていて、真言宗では宇宙の中心という意味があります。
阿字観とは、この梵字のアの絵を自分の前に置いて、見るでもなく見ないでもなく、大宇宙を感じる瞑想法の事でした。
意識を遠くまで広げていくために、腹式呼吸を繰り返し、心拍数をどんどん落としていきます。
この心拍数を落とすメソッドが素晴らしく、言われたようにやっていくと、自然に心拍数が落ちてゆき、大自然に意識がむけられるようになります。
”阿字観”の初歩の初歩、ガイダンスのようなものでしたが、それでもなかなか面白い体験でした。
高野山とは山でもなく、一箇所のお寺でも無くて、壇上伽藍という巨大な寺と奥の院というお大師さまの墓所の間に広がる一つの町です。
真ん中を抜ける道路は国道480号、消防署も電話局も、この中だけで走っているバス路線も2系統あります。
ガイドブックによると、奥の院の他、壇上伽藍、金剛峯寺、霊宝館がメインの観光施設です。
一通り見るには2500円のセット券(霊宝館は別料金)がお得とパンフレットに書いてあったのでセット券を買いました
歩き始めて、セット券をよく見ると、大師教会は見るところではなくて、”お授戒”という体験プログラムです。
体験なので、一日の催行回数も、各回の参加人数にも制限があります。
これが参加料1000円なので、体験しないと元が取れ無ません。
幸いコロナでガラ空きなので、特に待つこともなく、丁度よい時間に参加できました。
”授戒”を一口で説明すると、真っ暗な部屋で、壇上にいる阿闍梨様に合わせてお経を復唱するプログラムです。
どんな内容を復唱しているのかは全く説明がありません。
お遍路をする前なら全く意味の判らない、一つの長いお経だと思ったでしょう。
お葬式や法事の時のお経も、知識が無いと切れ目のない、長くて退屈なものに聞こえます。
阿闍梨様に合わせて復唱したお経は、どれもお遍路さんならとてもなじみ深いものでした。
お経お経と書いてきましたが、実は阿闍梨様は本来のお経を一つも唱えていません。
お授戒で阿闍梨様が唱えたのは、
1)開経偈(とても入手困難な教えを手に入れることができたので、習得できるように願っています、という漢文の音読みです)
2)十善戒(菩薩になるため10種類の悪いことをしません、という誓いの言葉です。殺生とか不倫とか、嘘をつかないとか。これも漢文の音読みです)
3)光明真言(このブログで何度も出てきた、最高にパワーのある、”光あれ!”っていう呪文です。呪文なので音だけを、カナで書きます。ここだけ漢文ではなくて呪文です)
4)南無大師遍照金剛(遍照金剛はお大師様の法号です。南無は敬愛しています、といった意味なので、お大師さまが大好きです、という意味の音読みです)
真っ暗の中、書いたものを読むわけではないので、あまり長いのは覚えられません。
阿闍梨様は、この4つを覚えられる程度の分量毎に一塊にして、最初から最後まで一気に唱えました。
これが終わると、コロナの世界をどうやって生きるか、っていうお話があったような気がします。
残念ながら、暗くて寝てしまったのでよくわかりません。
幸い、十善戒の10の悪いことの中には居眠りは入っていません。
帰り際に、”菩薩戒牒”というお守りをいただきました。
お守りの中身は先ほど復唱した十善戒を印刷したものでした。
”菩薩になるために、悪いことはしません”、というお守りです。
”お授戒”とは、菩薩になるための素晴らしい方法(十善戒)などを口伝えで教えていただく、という体験でした。
朝の阿字観、昼のお授戒、どちらも手軽にできる密教体験だと思います。
午後は霊宝館に行きました。
仏教美術の宝庫です。
撮影禁止とそうでない部分があり、どの作品は映していいのかわからず迷いました。
平安時代当時、中国でも日本でも絶賛された、お大師さまの自筆もありました。
納経帳などに描かれている、お大師様のお姿の元となった掛け軸と、高野山の地主の神様たちの軸も一緒に展示してありました。
明日は、太陽の塔と国立民族学博物館の予約券を持っていたのですが、三度目の緊急事態宣言のためキャンセルになりました。
蓬莱の豚まんを買って帰ります。
お遍路日記、長い間お付き合いありがとうございました。
読まれた方がお遍路を歩いている気分になれたら、著者としてとてもうれしいです。
不動院の 朝ごはん |
昨日と同じ |
廊下の外 のお庭 |
書院の襖絵 も見放題 |
沢山あります | 山科別院 宮様の席なので 特別な畳です |
山科御陵 | 不動院入口 | 桜 |
壇上伽藍入口 | 根本大塔 中は大きな柱と 壁画が沢山 |
金堂 |
御社の祭神 は地主さんの 女神と男神 |
さくら | 大伽藍 |
金剛峯寺 お寺という よりもお屋敷 |
玄関 | お庭 |
台所の様な 部屋の仏壇 |
千住博画伯 の瀧の絵 |
徳川家霊台 |
お大師様 | 丹生都比売大神 | 狩場明神 |
本屋さん お大師様の 関連書籍 |
靴屋さん 下駄と雪駄 |
ケーブルで |
駅 | 電車 | 帰り支度 |
豚まん | 百舌鳥古市 古墳群 |