神様と乗り物
ヒンドゥー教や仏教の神々は、しばしば動物や架空の生き物に乗って現われます。
この神々が乗る生き物は、「ヴァーハナ(神の乗り物)」と呼ばれます。
そしてこの乗り物は、それに乗る神の性質を象徴していると言われます。
孔雀に乗るムルガン神
ヒンドゥー教の神ムルガンの乗り物は孔雀です(*1)。
孔雀が大きく羽を広げた姿は、ムルガンの威厳と荘厳さを象徴するものです。
反面、孔雀の豪華絢爛さからは、自惚(うぬぼ)れや顕示欲も感じられます。
ムルガンが孔雀に跨(またが)るのは、これらの悪徳を支配することの象徴でもあります。
自惚れちゃダメ?
ある草原で、孔雀の雄と雌が出会ったお話しです。
雌が近づくと、雄はご自慢の羽根を思いっきり豪華に広げて、雌の目を惹(ひ)こうとしました。
しかし、雌はその姿には見向きもせず、ひたすら雄の前の餌をつまむと、そのまま立ち去ってしまいました。
ところで、孔雀に乗るムルガンは、自惚れでは無くて、本当に強い神様でした。
*** (次回に続く) ***
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(注記)
(*1) ムルガン(Murugan)は、ヒンドゥー教の三大最高神の1人である、シヴァの次男です。数多くの名前を持ち、スカンダ(Skanda)、カルティケーヤ(Kartikeya)とも呼ばれます。