| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-217 (Poster presentation)
東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故から約8年が経過し、避難指示区域のうち、かなりの範囲が比較的線量が低くなったため避難指示が解除された。その一方で、避難指示が解除された場所では必ずしも営農等の震災前の人間活動が再開されているとはいえない状況にある。また、依然として線量が高いため避難指示が解除されていない地域もある。筆者らは、避難指示とその解除に伴う人間活動の変化が、従来の里地里山的環境の生物多様性や生態系サービスに影響しうるという仮説の下、避難指示区域のハチ・ハエ類等の益虫・害虫を含む飛翔性昆虫のモニタリング調査を実施している。全57地点の調査地点の内、2016年度までは22地点が避難指示区域内に含まれていたが、2017年度の大幅な避難指示解除によって6地点を除き避難指示が解除された。2017年の5月中旬から7月上旬にかけて、衝突板トラップとマレーズトラップを用いた調査を行った所、それぞれ55地点(うち避難指示区域内6地点)、15地点(うち避難指示区域内3地点)で調査期間を通してサンプルを得ることができた。得られた両トラップのサンプルのデータをベイズ統計モデリングによって統合して解析した結果、ハナアブ科の密度が避難指示区域内で高い可能性等が示唆された。本発表では2016年以前の避難指示状況や昆虫のデータも参照しながら、避難指示とその解除に伴う飛翔性昆虫の動態に関して考察する。