鳥類、爬虫類、両生類及びその他無脊椎動物のレッドリストの見直しについて | 報道発表資料 | 環境省

報道発表資料

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2006年12月22日
  • 自然環境

鳥類、爬虫類、両生類及びその他無脊椎動物のレッドリストの見直しについて

環境省では、平成14年度よりレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)の見直し作業を進めてきました。今般、鳥類、爬虫類、両生類及びその他無脊椎動物について、新たなレッドリストを取りまとめましたので公表します。
 鳥類レッドリスト(別添資料1)については、
  ○絶滅のおそれのある種の数:89種(旧リスト)→92種(新リスト)。
 爬虫類レッドリスト(別添資料2)については、
  ○絶滅のおそれのある種の数:18種(旧リスト)→31種(新リスト)。
 両生類レッドリスト(別添資料3)については、
  ○絶滅のおそれのある種の数:14種(旧リスト)→21種(新リスト)。
 その他無脊椎動物レッドリスト(別添資料4)については、
  ○絶滅のおそれのある種の数:33種(旧リスト)→56種(新リスト)。
 環境省としては、新リストの周知に努めるとともに、必要な保護対策を検討することとしています。

1 環境省版レッドリストについて

 環境省版レッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)とは、日本に生息又は生育する野生生物について、生物学的観点から個々の種の絶滅の危険度を評価し、絶滅のおそれのある種を選定し、リストにまとめたものである。
 今回改訂されるレッドリストは、動物では、[1]哺乳類[2]鳥類[3]爬虫類[4]両生類[5]汽水・淡水魚類[6]昆虫類[7]貝類[8]その他無脊椎動物(クモ形類、甲殻類等)の分類群ごとに、植物では、[9]植物I(維管束植物)及び[10]植物II(維管束植物以外:蘚苔類、藻類、地衣類、菌類)の分類群ごとに作成している。
 見直しの経緯や検討体制については、別添資料5に、またレッドリストのカテゴリーの詳細な定義については別添資料6に示すとおりである。
 今後、今回発表した分類群以外についても順次公表する予定としている。

2 鳥類レッドリストについて

 対象となる種の生息状況等を評価した結果、新しい鳥類のレッドリストを別添資料1のとおり取りまとめた。レッドリスト掲載種の新旧のランクの対照表は別添資料7のとおり。
 なお、レッドリストに掲げられた種数(亜種を含む)は表1のとおり。

*鳥類の評価対象種の基本的条件
  • 分類上亜種に細分される場合は原則として亜種を評価の対象とする。
  • 生涯の大部分を海域で過ごす種であっても、定期的に日本近海に現れる種は対象とする。
  • 外来生物及び国内他地域から導入された種は対象から除く。
  • 迷鳥(本来の渡りのコースや分布域から外れて渡来した鳥)は対象から除く。

鳥類レッドリスト見直しで明らかになった点

[1]
絶滅のおそれのある種の総数は前回の平成10年公表(平成14年一部変更)のレッドリスト(注)では89種であったが、今回3種増加し92種となった。鳥類の評価対象種の約700種のうち、13%の種に絶滅のおそれがある。
(注)平成14年のレッドデータブック刊行時に89種に変更。(平成10年の公表時には90種。)
[2]
絶滅のおそれのある種の総数は3種の増加であるが、より詳細に見ると、前回リストよりランクが下がった種が11種であるのに対し、今回新たに絶滅のおそれのある種と判定された9種(注)を含め、ランクが上がった種が26種あり、多くの種がより上位のランクへ移行していた。ランクの上がった種の多くが草原、低木林や島嶼部を生息地としていた。
(注)前回リストでランク外、準絶滅危惧種又は情報不足とされていた種。
[3]
沖縄本島北部地域に生息するヤンバルクイナや小笠原に生息するアカガシラカラスバトのランクが、ともに絶滅危惧IB類から絶滅危惧IA類に上がり、生息環境の悪化や外来生物による影響により、絶滅のおそれがさらに高まっていることが示唆された。
[4]
奄美地方に生息するオオトラツグミ、アマミヤマシギ、オーストンオオアカゲラ、アマミコゲラ等のランクは下がった。これは、森林植生の回復による生息環境の改善傾向という要因とともに、信頼のできるデータが多く集積されたという面が大きい。
[5]
草原や低木林に生息するシマアオジ、チゴモズ、アカモズ、ヨタカや、里山を生息地とするブッポウソウのランクが上がった。その要因としては生息環境の悪化が示唆された。
[6]
猛禽類では、里山を中心に生息するサシバがランク外から絶滅危惧II類に新たに入った。オオタカについては絶滅危惧II類から準絶滅危惧(生息条件の変化によっては絶滅危惧に移行する可能性があるもの)となった。

3 爬虫類と両生類のレッドリストについて

 対象となる種の生息状況等を評価した結果、新しい爬虫類と両生類のレッドリストを各々別添資料2及び3のとおり取りまとめた。レッドリスト掲載種の新旧のランクの対照表は別添資料8及び9のとおり。
 なお、レッドリストに掲げられた種数(亜種を含む)は表2のとおり。

*爬虫類・両生類の評価対象種の基本的条件
  • 分類上亜種に細分される場合は原則として亜種を評価の対象とする。なお、学名は伴わなくとも、和名によって明確に識別できる分類群は対象とする。
  • 純海産種は対象から除く。
  • 外来生物及び国内他地域から導入された種は対象から除く。

爬虫類レッドリスト見直しで明らかになった点

[1]
絶滅のおそれのある種の総数は、前回見直しを行った平成9年に18種だったものが、今回31種となり、絶滅のおそれのある種が増加した。爬虫類の評価対象種は98種であり、今回、その31%に絶滅のおそれがあることが明らかとなった(前回は19%)。今回ランクが上がった種の多くは、生息環境の悪化や外来生物による影響が示唆された。
[2]
クメトカゲモドキ、ミヤコヒバァ、シュウダ、ヨナグニシュウダ、ミヤコカナヘビなど、南西諸島に生息する爬虫類のランクが上がった。結果として絶滅のおそれがある爬虫類31種のうち、30種が南西諸島に生息するものとなり、南西諸島の爬虫類の多くが危機的状況にあることが明らかとなった。多くの種で、生息環境の悪化やイタチ・クジャクなど外来生物による影響が示唆されたが、一部の種では、ペット用の捕獲による影響も示唆された。

両生類レッドリスト見直しで明らかになった点

[1]
絶滅のおそれのある種の総数は、前回見直しを行った平成9年に14種だったものが、今回21種となり、絶滅のおそれのある種が増加した。両生類の評価対象種数は62種であり、今回、その34%に絶滅のおそれがあることが明らかとなった(前回は23%)。今回ランクが上がった種の多くは、小規模な開発または外来生物による影響が示唆されたが、一部の種ではペット用の捕獲による影響が示唆された。
[2]
南西諸島に生息するカエルのうち、前回ランク外だったヤエヤマハラブチガエルが新たに絶滅危惧II類となった他、ホルストガエル、オットンガエル、ナミエガエルなどのランクが上がった。結果として、両生類の絶滅のおそれのある種、21種のうち、8種が南西諸島に生息するカエル類となった。
[3]
サンショウウオ類(小型サンショウウオ類及びオオサンショウウオ)もランクが上がった種が多く、その要因としては生息環境の悪化が考えられる。サンショウウオ類は国内に19種生息するが、そのうち11種に絶滅のおそれがあることが分かった。

4 その他無脊椎動物のレッドリストについて

 対象となる種の生息状況等を評価した結果、新しいその他無脊椎動物のレッドリストを各々別添資料4のとおり取りまとめた。レッドリスト掲載種の新旧のランクの対照表は別添資料10のとおり。
 なお、レッドリストに掲げられた種数(亜種を含む)は表3のとおり。

*その他無脊椎動物の評価対象種の基本的条件
  • 種又は亜種が評価の単位。分類学的に未確定のものは原則として対象外。但し、種又は亜種の学名が確定しなくとも、明確に特定でき、報告されたものは評価の対象とする。
  • 純海産種は対象から除く。
  • 海外から導入された種及び他地域から導入された種は対象から除く。

その他無脊椎動物レッドリスト見直しで明らかになった点

[1]
絶滅のおそれのある種の総数は、前回見直しを行った平成12年に33種だったものが、今回56種となった。これはザリガニミミズ類、サワガニ類等についての情報が蓄積されたことが主たる要因であるが、[2]に示すように生息環境の悪化もその要因と考えられる。
[2]
干潟等に生息するシオマネキ及びハクセンシオマネキは各々準絶滅危惧から絶滅危惧II類となり、小笠原の小河川に生息するオガサワラヌマエビは新たに絶滅危惧I類となった。また、南西諸島産のサワガニ類については、分類変更により新たな評価対象となった多くの種で、絶滅のおそれがあると評価された。

5 今後の対応

 環境省では、レッドリストについて広く普及を図ることで、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存への国民の理解を深めるとともに、関係省庁や地方公共団体等に配布することにより各種計画における配慮等を促す予定である。
 また、レッドリストの掲載種の中で特に保護の優先度が高い種については、更に生息状況等に関する詳細な調査の実施等により情報収集を行い、その結果に応じて「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づく国内希少野生動植物種に指定する等、必要な保護措置を検討する。

6 レッドリストの入手方法

以下の何れかの方法で入手可能である。
[1]
環境省自然環境局野生生物課で直接配布。
[2]
環境省ホームページよりダウンロード。
[3]
返送用封筒(A4版、切手140円分を貼り宛先を予め記入)を同封し、下記に送付。
〒100-8975
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館
環境省自然環境局野生生物課 保護増殖係 宛

添付資料

連絡先
環境省自然環境局野生生物課
課長:星野 一昭(6460)
 課長補佐:堀上 勝(6475)
 課長補佐:曽宮 和夫(6464)
 担当:中島 治美(6469)
 直通 (03) 5521-8283
 

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