報道発表資料
環境省では、平成24年度に第4次レッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)を取りまとめていますが、今回、哺乳類の一部の種(ゼニガタアザラシ、カモシカ)についてカテゴリー(ランク)を見直しましたのでお知らせします。
平成27年度からは、生息状況の悪化等によりカテゴリーの再検討が必要な種については、時期を定めず必要に応じて個別に見直しを行うこととしています。今後、他の分類群についても必要に応じて見直しを進める予定です。
1 環境省版レッドリストについて
環境省版レッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)とは、日本に生息又は生育する野生生物について、専門家で構成される検討会が、生物学的観点から個々の種の絶滅の危険度を科学的・客観的に評価し、その結果をリストにまとめたもの です。
レッドリストへの掲載は、捕獲規制等の直接的な法的効果を伴うものではありませんが、社会への警鐘として広く社会に情報を提供することにより、様々な場面で多様な活用が図られるものです。レッドリストは、分類群ごとに専門家による検討会を設けて評価しています。
動物では、①哺乳類 ②鳥類 ③爬虫類 ④両生類 ⑤汽水・淡水魚類 ⑥昆虫類 ⑦貝類 ⑧その他無脊椎動物(クモ形類、甲殻類等)の分類群ごとに、植物では、⑨植物Ⅰ(維管束植物)及び ⑩植物Ⅱ(維管束植物以外:蘚苔類、藻類、地衣類、菌類)の分類群ごとに、計10分類群について作成しています。
見直しの経緯や検討体制(哺乳類)は別添資料1に、レッドリストのカテゴリー(ランク)の詳細な定義については別添資料2に、哺乳類の評価対象種の基本的条件は別添資料3に示すとおりです。
10分類群の新レッドリストの掲載種の総数(亜種を含む)は、表1のとおりです。
新レッドリスト(分類群順)は別添資料4のとおり、また、レッドリスト掲載種の新旧のカテゴリー(ランク)の対照表(五十音順)は別添資料5のとおりです。
なお、ゼニガタアザラシを準絶滅危惧(NT)と評価したため、10分類群の絶滅危惧種の合計種数は第4次レッドリストの3,597種から3,596種となっています。
○カテゴリー(ランク)の概要
絶滅 (EX) |
我が国ではすでに絶滅したと考えられる種 |
野生絶滅 (EW) |
飼育・栽培下、あるいは自然分布域の明らかに外側で野生化した状態でのみ存続している種 |
絶滅危惧Ⅰ類 (CR+EN) |
絶滅の危機に瀕している種 |
絶滅危惧ⅠA類(CR) |
ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの |
絶滅危惧ⅠB類(EN) |
ⅠA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの |
絶滅危惧Ⅱ類 (VU) |
絶滅の危険が増大している種 |
準絶滅危惧 (NT) |
現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種 |
情報不足(DD) |
評価するだけの情報が不足している種 |
絶滅のおそれのある 地域個体群 (LP) |
地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの |
2 ゼニガタアザラシとカモシカのカテゴリー(ランク)とその変更理由
ゼニガタアザラシ 絶滅危惧Ⅱ類(VU) → 準絶滅危惧(NT)
海棲哺乳類のゼニガタアザラシは、北海道の襟裳岬から根室半島にかけて分布し、第4次リストでは絶滅危惧Ⅱ類(VU)であった。しかし、最近の調査によって個体数の増加傾向が認められており、環境省が設置しているゼニガタアザラシ科学委員会が、襟裳地域の個体群を対象として数量解析により絶滅の可能性を計算した結果、今後100年間における絶滅確率が10%以上とはならないことが示された。こうした状況から、準絶滅危惧(NT)と評価した。
四国地方のカモシカ 新規 絶滅のおそれのある地域個体群(LP)
カモシカは本州、四国、九州に分布しており、第4次リストでは「九州地方のカモシカ」を絶滅のおそれのある地域個体群(LP)に掲載していた。四国地方では、徳島県教育委員会・高知県教育委員会による調査が実施されており、その結果、2003年から2011年の間に生息密度が1.4頭/km2から0.1頭/km2に減少していた事が明らかになった。この減少の要因としては、人工林の高齢林化およびニホンジカの増加による食物資源量の減少が考えられる。生息個体数が減少傾向にあることは明らかであるため、「四国地方のカモシカ」について、新たに絶滅のおそれのある地域個体群(LP)に選定した。
表1 環境省レッドリスト2015掲載種数
3 レッドリストの入手方法
以下のいずれかの方法で入手可能です。
① 環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室で直接配布。
② 環境省ホームページよりダウンロード。
③ 返送用封筒(A4版、全10分類群のリストの場合は切手400円分、哺乳類のリストのみの場合は切手92円分を貼り宛先を記入)を同封し、下記に送付。
〒100-8975
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館
環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室 宛
添付資料
- 別添資料1)見直しの経緯と検討体制 [PDF 195 KB]
- 別添資料2)環境省レッドリストカテゴリー(2015) [PDF 362 KB]
- 別添資料3)対象種の基本的条件 [PDF 90 KB]
- 別添資料4)レッドリスト(2015)【哺乳類】 [PDF 201 KB]
- 別添資料4)レッドリスト(2015)【鳥類】 [PDF 215 KB]
- 別添資料4)レッドリスト(2015)【爬虫類】 [PDF 178 KB]
- 別添資料4)レッドリスト(2015)【両生類】 [PDF 164 KB]
- 別添資料4)レッドリスト(2015)【汽水・淡水魚類】 [PDF 243 KB]
- 別添資料4)レッドリスト(2015)【昆虫類】 [PDF 421 KB]
- 別添資料4)レッドリスト(2015)【貝類】 [PDF 465 KB]
- 別添資料4)レッドリスト(2015)【その他無脊椎動物】 [PDF 222 KB]
- 別添資料4)レッドリスト(2015)【植物Ⅰ(維管束植物)】 [PDF 680 KB]
- 別添資料4)レッドリスト(2015)【植物Ⅱ(蘚苔類)】 [PDF 322 KB]
- 別添資料4)レッドリスト(2015)【植物Ⅱ(藻類)】 [PDF 133 KB]
- 別添資料4)レッドリスト(2015)【植物Ⅱ(地衣類)】 [PDF 190 KB]
- 別添資料4)レッドリスト(2015)【植物Ⅱ(菌類)】 [PDF 127 KB]
- 別添資料5)新旧対照表(2012との比較) [PDF 271 KB]
- 連絡先
- 環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室
直通:03 - 5521 – 8353
代表:03 – 3581 – 3351
室長:安田 直人(6677)
室長補佐:徳田 裕之(6685)
室長補佐:三宅 悠介 (6687)
関連情報
過去の報道発表資料
- 平成24年8月28日
- 第4次レッドリストの公表について(お知らせ)
- 平成25年2月1日
- 第4次レッドリストの公表について(汽水・淡水魚類)(お知らせ)