温室効果ガスってどんなもの?
- 初版公開日:[2020年04月01日]
- 更新日:[2024年8月15日]
- ID:779
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地球温暖化の原因
地球の表面は主に窒素や酸素などの大気におおわれています。大気の中には二酸化炭素などの温室効果ガスがわずかに含まれており、この気体は赤外線を吸収し再び放出する性質があります。
このため、太陽からの光で温められた熱(赤外線)は、地球の表面から地球の外に向かって放出されます。赤外線の多くは熱として大気に蓄積され、再び地球の表面に戻ってきます。戻ってきた赤外線が地球の表面付近の大気を温めることを温室効果といいます。
温室効果がないと、地球の表面温度は-19℃となってしまうと考えられていますが、温室効果のため地球の平均気温はおよそ14℃に保たれています。温室効果をもたらす気体は、主に水蒸気、二酸化炭素、メタン、フロン類で、なかでも二酸化炭素は大気中の約0.04%とわずかですが、もっとも温暖化への影響度が大きいガスです。
- 人為起源温室効果ガス総排出量に占めるガス別排出量の内訳(CO2換算ベース)出典:IPCC第6次評価報告書Fig.SPM.1各種ガスの排出量2019年の割合。二酸化炭素(CO2)75.0%。内、化石燃料起源CO2は64.0%、森林減少や山火事などによるCO2は11.0%。メタン18.0%。一酸化二窒素4.0%。フロン類2.0%。
![人為起源温室効果ガス総排出量に占めるガス別排出量の内訳](./cmsfiles/contents/0000000/779/chart01_03_2022r.jpg)
温室効果ガス総排出量に占めるガス別排出量
出典)温室効果ガスインベントリオフィス
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より
18世紀後半頃から、産業革命に伴い人類は人間の生活や産業活動にエネルギーをたくさん消費するようになり、エネルギーをつくるため、石炭や石油、ガスなどの化石燃料を大量に消費するようになりました。これにより大気中の二酸化炭素の量は産業革命前(1750年頃)と比べ40%程度増加しました。
大気中の二酸化炭素などの濃度が増えてくると、温室効果が高まり、結果として地球の平均気温が上昇していきます。これが地球温暖化です。
IPCC第4次評価報告書によれば、温室効果ガスに占めるガス別排出量の割合は、二酸化炭素が76.7%を占めます。石油や石炭などの化石燃料の燃焼などによって排出される二酸化炭素が最大の温暖化の原因になっています。
二酸化炭素の排出量と世界平均地上気温の上昇変化はおおむね比例関係にあるとされています。
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地球温暖化の影響
![写真提供:2002年元旦アルゼンチンにて栗林浩撮影](./cmsfiles/contents/0000000/779/iceberg12.jpg)
アンデスから崩落する氷河
「全国地球温暖化防止活動推進センターホームページより (http://www.jccca.org/)」
![Photo credit:Masaaki Nakajima](./cmsfiles/contents/0000000/779/sea10.jpg)
ツバル、フナフチ島(首都)
環礁のため内陸から沸き上がった水によって浸水している町(浸水後)
「全国地球温暖化防止活動推進センターホームページより (http://www.jccca.org/)」
地球温暖化の影響(IPCC第6次評価報告書特設ページより)
IPCC(補足1)第6次報告書によると、人間活動が大気・海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がなく、気候システム全般にわたる最近の変化の規模と、気候システムの側面の現在の状況は、何世紀も何千年もの間、前例のなかったものであるといいます。
現状(観測事実)として、2019年の大気中のCO2濃度は410ppmであり、工業化前(1850~1900年)より約47%高くなっているとし、世界平均気温(2011~2020年)は、工業化前と比べて約1.09℃上昇しているとしています。
また、陸域では海面付近よりも1.4倍~1.7倍の速度で気温が上昇し、陸域のほとんどで1950年代以降に大雨の頻度と強度が増加、強い台風(強い熱帯低気圧)の発生割合は過去40年間で増加し、世界の平均海面水位は1901~2018年の間に約0.20m上昇したとしています。
今後の将来予測として、今世紀末(2081~2100年)の世界平均気温の変化予測は、工業化前と比べて1.0~5.7℃の上昇、年平均降水量は、1995~2014年と比べて、最大で13%増加すると予測されています。
また、世界規模では地球温暖化が1℃進行するごとに、極端な日降水量の強度が約7%上昇するとし、2100年までの世界平均海面水位は、1995~2014年と比べて、0.28~1.01m上昇すると予測されています。
二酸化炭素の累積排出量と気温上昇量の変化は比例関係にあるとされており、工業化前からの気温上昇を1.5℃に抑える(67%以上の確率で抑える)ためには、残りの排出量上限はあと4000憶トンであると示されました。
もし、これからの数十年でより多くの排出を行えば、その後はより多くの排出削減が必要となります。
(補足1)国連気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Changeの略)。人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、1988 年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立された組織です。
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温室効果ガスの種類
温室効果ガスの種類 | 地球温暖化係数 | 性質 | 用途・排出源 |
---|---|---|---|
二酸化炭素(CO2) | 1 | 代表的な温室効果ガス | 化石燃料の燃焼など |
メタン(CH4) | 23 | 天然ガスの主成分で、常温で気体。よく燃える。 | 稲作、家畜の腸内発酵、廃棄物の埋め立て。 |
一酸化二窒素 | 296 | 数ある窒素酸化物の中で最も安定した物質。他の窒素酸化物(例えば二酸化窒素)などのような害はない | 燃料の燃焼、工業プロセスなど。 |
オゾン層を破壊するフロン類 CFC、HCFC類 | 数千から1万程度 | 塩素などを含むオゾン層破壊物質で、同時に強力な温室効果ガス。モントリオール議定書で生産や消費を規制。 | スプレー、エアコンや冷蔵庫などの冷媒、半導体洗浄など。 |
オゾン層を破壊しないフロン類 HFC(ハイドロフルオロカーボン類) | 数百から1万程度 | 塩素がなく、オゾン層を破壊しないフロン。強力な温室効果ガス。 | スプレー、エアコンや冷蔵庫などの冷媒、化学物質の製造プロセスなど。 |
オゾン層を破壊しないフロン類 PFC(パーフルオロカーボン類) | 数千から1万程度 | 炭素とフッ素だけからなるフロン。強力な温室効果ガス。 | 半導体の製造プロセスなど。 |
オゾン層を破壊しないフロン類 SF6(六フッ化硫黄) | 22200 | 硫黄とフッ素だけからなるフロンの仲間。強力な温室効果ガス。 | 電気の絶縁体など。 |
- 地球温暖化係数とは、温室効果ガスそれぞれの温室効果の程度を示す値です。
- ガスそれぞれの寿命の長さが異なることから、温室効果を見積もる期間の長さによってこの係数は変化します。
- ここでの数値は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第3次評価報告書の値(100年間での計算)になります。
出典:全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト http://www.jccca.org/