地球温暖化研究プログラムトップページ > 中核研究プロジェクト1トップページ > 平成22年度の成果の紹介
本プロジェクトでは、航空機や船舶、そして地上におけるアジア太平洋地域の大気観測を行っています。 波照間や落石岬モニタリングステーションにおける大気の酸素濃度変化を基にCO2の収支を求めています。これらの仮定をもとに、海洋へのCO2取り込み量が約2Pgであることが推定されました。CO2の陸域の吸収量変動は大きいものの現在はまだ吸収が持続しているようです。 CO2以外の温室効果ガスとして重要なメタンの最近の濃度上昇が船舶観測で検出されています。アジアの観測も強化され、中国からの影響なども波照間ステーションでは見えはじめています。 これまでCO2のデータのなかったインドや鉛直分布の調査も進んでいて、全球的なCO2の動きが調査されています。
CO2の吸収量はここ15年に上下はあったにせよ、ここ数年は顕著に増加しているように見えます。陸域の吸収量は、エルニーニョなどの高温時に減少していますが、ここ数年は吸収傾向か大きいことがわかります。
陸域の二酸化炭素吸収量は、地域の植生や、土壌有機物の蓄積量、年々の気象条件の違いなどにより大きく変動します。富士北麓の森林フラックスデータを解析しその挙動を研究しています。同時に、ネットワークとして行われている中国、韓国、日本のサイトでの年変動のパターンの地理的違いなども共同して調べています。 一方では、実験的に土壌を加温し温暖化を人工的に引き起こした場合の、土壌有機物の分解速度の変化を、自然に近い状態で観測する野外実験が開始されています。
北太平洋の長期的な吸収量変動を調査しています。吸収量は全体的には徐々に増加がみられますが、北太平洋の西側での吸収量の相対的な増加と、東側での相対的な減少が見られました。 この原因について検討を行っています。
新たに開発された結合型の濃度シミュレーションモデルにより、詳細な時系列データへの適用性が向上しました。これを用いてインバースモデル化によりCO2などの発生源の強度分布解析を行っていきます。
結合型フォワードモデルを開発(オイラー型とトラジェクトリー型) 細かな時系列データの再現性が向上