生活再建:朝日新聞デジタル

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11月15日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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  • 【災害大国】あすへの備え

    公費、遠い住宅再建 費用試算

     災害で住宅が被災した後、元の生活を取り戻すにはお金がかかる。被災後の生活再建にどのくらいのお金が必要なのか。保険や国や自治体からの支給金で、どこまでまかなえるのか。地震保険の保険料が7月に値上がりするのを前に、必要な費用と受けられる資金を想定した。

【1】建て替え2563万円、支給最大300万円

 住宅再建に必要な費用と得られるお金を、保険会社「SBI少額短期保険」の協力を得て試算した。

 全壊した戸建ての建て替えの場合、壊れた家の解体・撤去、家電や衣類などの家財、仮住まいの家賃もかかる。内閣府の被災者アンケートをもとに計算すると、住宅再建に必要な費用は2563万円。保険や支給金など被災後に得られる資金では足りず、新たな借金を抱えることもある。

 宅地の復旧も必要だと、さらに費用がかさむ。

 東日本大震災では、千葉県浦安市などで宅地が液状化した。「NPO浦安液状化復旧相談室」の高階実雄代表によると、傾いた家を元に戻すのに数百万円が必要で、再発防止策には追加資金が必要だ。

 造成地の地すべり被害が起きた仙台市では、国の公共事業などで復旧が進められた。復建技術コンサルタントの佐藤真吾さんによると、1宅地あたり約1100万円の費用がかかった。

 ■共用部は合意で

 マンションの被害は、東日本大震災時の仙台市内の例では外壁や受水槽の損壊が多かった。こうした補修は共用部分は1世帯あたり65万円ほど、水回りや内装は220万円ほどかかる。共用部分の大規模修繕には所有者の合意が必要だ。

 管理組合で入った地震保険では、柱や梁(はり)などの構造部分は対象となるが、エントランスなど生活に関係する部分だけでは支払われないことがある。

 ■義援金まちまち

 被災後、国や都道府県から被害を受けた世帯への被災者生活再建支援法による支給金は「全壊」の場合で最大300万円。募金から自治体を通じて給付される義援金もあるが、寄付総額と支給世帯数で配分額はまちまちだ。2003年の宮城県北部地震では全壊で20万円、東日本大震災では百数十万円程度だった。

 半壊以上の住宅の修理は、災害救助法により、最大54万7千円を負担する国の制度もある。

 ただ、これらだけでは必要額には遠く及ばない。地震保険に加入していれば、契約に応じて火災保険の保険金額の半額まで保険金が支払われ、建物だけでなく家財も対象になる。地震保険に加えて、共済や生活再建費を補償する保険に加入する人も増えている。

 被害の程度や場所に応じて再建方法を考えれば、費用も抑えられる。被災地調査の経験が豊富な匠(なる)建築(東京都世田谷区)の保坂貴司さんは「半壊でも建て直す例をよく目にするが、基礎がしっかりしていれば補修で対応できることが多い。見た目であきらめずに相談してほしい」と話す。

 (北林晃治)

【2】地震保険、震災のたびに値上げ

 ■巨大被害では受け取り減額も

 地震保険ができたきっかけは50年前の1964年6月16日に起きた新潟地震。当時の田中角栄蔵相が被災地を視察し、創設を表明して、66年に発足した。

 加入率は阪神大震災直前の20年前には7%だったが、大地震が起きるたびに伸び、12年度は27%となった。

 国と保険会社が共同運営し、保険料を準備金として積み立てる。大地震で支払総額が一定額を超えると、国費が投入される。東日本大震災では、阪神大震災の15倍以上の約1兆2千億円が契約者に支払われ、準備金は2・3兆円から1・3兆円に半減。7月から保険料が値上げされることになった。保険料は阪神大震災後にも値上げされている。

 政府が想定する南海トラフ巨大地震で、建物倒壊などによる直接被害は約169兆円、首都直下地震は約67兆円に上る。

 1回の地震での支払総額は7兆円が上限で、それを超えると加入者の受取額が減らされる。財務省によると、この額は最大となりそうな関東大震災クラスの地震が発生した場合の支払総額として見込む7兆円から算出している。

 今回の地震保険料の改定は、全国平均15・5%、最大で30%の大幅値上げとなる。地震によるリスクを反映して地域によって保険料は異なる。南海トラフ巨大地震の津波被害が想定される太平洋沿いの値上げ幅が大きいのが特徴だが、免震や耐震性の高い住宅やマンションは割引される。受け取った保険金はローンを返済したり、車を買って仕事を再開したりと被災者の生活の安定や再建に役立てることも可能だ。

 一方、自然災害で家を失った人を支援する国の被災者生活再建支援制度は、95年の阪神大震災をきっかけに、必要性が叫ばれ、98年に支援法が成立した。都道府県が基金を積み立て国が半額を補助する。04年には、それまで最大100万円だった支給額が、300万円に引き上げられた。

 内閣府のまとめでは13年度末までに、56件の災害に適用され、約21万世帯に約3186億円が支給された。このうち9割の2900億円が東日本大震災で支給されている。

 (高橋淳)

【近畿】住まいを守ろう 自分でみんなで

 災害で壊れた家をどう再建するか。自治体の支援策が広がりつつあるが、被害の程度によっては「公助」だけでは賄いきれない。南海トラフ巨大地震のような広域災害にも備え、保険や共済など「自助」や「共助」の活用も必要だ。

2013年9月の台風で敷地が崩落した鎌倉崇さんの自宅。補修に約2700万円かかった=滋賀県栗東市、鎌倉さん提供
2012年5月の竜巻で屋根と天井が吹き飛ばされた住宅=栃木県真岡市、添谷清一さん提供
2013年の淡路島地震では多くの家の屋根瓦が落ちたり、塀が崩れたりした=2013年4月13日、兵庫県洲本市
2013年の地震の6日後、被害判定に訪れた県職員ら=2013年4月、兵庫県淡路市、田又さん提供

 ■100%支援「行政もたぬ」

 《公助》

 「また崩れないだろうか」。近畿地方が梅雨入りした今月4日。滋賀県栗東市の会社員鎌倉崇さん(33)は、崖の上に立つ自宅を不安げに見上げた。

 昨年9月の台風18号の豪雨で、盛り土造成地の自宅敷地はえぐり取られるように半分近く崩落し、大規模半壊と認定された。

 再造成と擁壁工事、隣地に流れた土砂の撤去費は計2700万円。国の被災者生活再建支援制度の要件「1市町村で全壊10棟」を満たさなかったが、県と市の独自支援策で195万円が支給された。「ありがたかった。工事に踏み切るきっかけになった」

 ただ、新たに35年で組み直したローンの残額は3700万円。「もうこれ以上の負担は無理」。地盤が再び崩れないか、大雨のたびに気が気ではない。

 自治体の独自支援に先鞭をつけたのは鳥取県だ。2000年の鳥取県西部地震の後、最大300万円を支給する制度を創設。当時は被災者生活再建支援法も住宅を支給対象にしておらず、片山善博元知事は「(国から)猛然と反対の圧力がかかってきた」と振り返る。だが、ただでさえ人口減が進む中山間地で被災者が再建を諦めれば「地域が成り立たなくなる」と押し切った。

 全半壊が570棟に上った日野町では、住民から「再建を後押ししてもらった」との声が寄せられた一方、財政負担に苦しんだ。予算規模が年30億円前後の町が、03年度までに計約11億円の借金を重ね、破綻を意味する財政再建団体になりかけた。返済は14年経った今も続き、18年度までかかる見通しだ。

 こうした事態を避けるため、鳥取県は01年に基金を創設。県と19市町村で毎年拠出金を積み立て、12年度に目標の20億円に達した。災害時は再建支援制度の費用の8割をここから払う。

 日野町の稲田正純総務課長は「再建を100%行政が担うのではなく、一定の受益者負担もお願いしなければ、自治体ももたない。住民と町それぞれで備えておくことが必要」と話す。

 ■加入の有無 分けた明暗

 《地震保険》

 行政による支援から抜け落ちるケースも多い。

 栃木県真岡市の添谷清一さん(66)は12年5月、竜巻で屋根を吹き飛ばされ、自宅が全壊した。だが市内は全壊6棟で国の制度の対象外。89棟が全壊した茨城県つくば市は最大300万円が支給された。「同じ災害なのに」。老後の備えだった退職金をほぼ切り崩し、3千万円で再建した。「また災害が起きたらと考えると不安です」

 こうした公助の隙間や不足を補う手立ての一つが地震保険だ。東日本大震災の被災地では、国と損保会社が共同運営する地震保険への加入の有無で明暗が分かれている。

 仙台市の70代の自営業男性は津波で自宅を流されたが、「保険が生きる気力を与えてくれた」と話す。

 知人に勧められ震災2週間前に加入した地震保険が満額の1300万円おりた。国の制度の支援金100万円と義援金も加え、自宅を再建できた。「思い出詰まる品々は失ったけど、自分の家にまた住めることが希望につながった」

 ただ、地震保険は火災保険とセットで契約する必要もあり、加入者にとって負担は小さくない。

 宮城県東松島市の自営業中井政義さん(49)も津波で自宅を流された。支援金など約300万円は受け取れたが、保険には未加入。ローンを今年2月に完済したばかりで貯蓄もほとんどなく、再建は諦めた。「お金の面での備えももう少ししておけばよかった」

 ■兵庫の制度 加入率9%

 《共済》

 東日本大震災では、国の支援制度が基金540億円なのに対して支給額が4千億円にのぼり、国が急きょ負担金を増やした。地震保険も支払い準備金が2・4兆円から半減した。公的資金に頼るばかりではない仕組み作りも進む。

 兵庫県が05年に作った住宅再建共済制度(フェニックス共済)は、年5千円の負担金で住宅再建に最大600万円、補修に同200万円を支給する。

 兵庫県淡路市の農業、田又俊夫さん(78)は、昨年4月に最大震度6弱を記録した地震で瓦の3分の1が落ち、壁が割れた。被害判定は共済の給付対象外の「一部損壊」。大がかりな補修はためらったが、共済から特例の見舞金として5万円が出た。約200万円かかった修理費用からすればわずかだが、「お金が出るなら頑張ろうと背中を押された」と語る。

 創設以降、共済は家財や共同住宅にも給付対象を広げるなど拡充してきた。今年8月からは一部損壊も正式な支給対象に含め、500円の負担金上乗せで、家屋の10%以上が壊れたと認定されれば、25万円を給付するよう改める。

 共済制度は加入者が多いほど安定する。県は、国への要望や、全都道府県に賛意を問うアンケートを通じて共済の全国化を提唱するが、加入率はまだ9%。担当者は「南海トラフ巨大地震などの大災害が起きたら共助の仕組みは不可欠」と訴える。

【九州】わが家 自分が守る

 災害で壊れた住宅の再建には、国や自治体の公的支援が力を発揮する。だが、被災の程度によっては、再建費用のすべてはまかなえない。保険や共済など、多様な「自助」や「共助」の仕組みと組み合わせた備えが求められている。

九州北部豪雨で全壊した自宅を再建した森永宣義さん。川の左側の自宅があった場所には、ユズとカボスを植えた=熊本県阿蘇市

 ■公的支援では足りなかった

 「年齢を考えてもローンや借金は無理。保険がおりたから再建できた」

 死者・行方不明者32人を出した2012年7月の九州北部豪雨で、自宅が全壊した森永宣義さん(72)=熊本県阿蘇市=はそう話す。昨年9月に仮設住宅を出て、もとの住宅の場所から数百㍍のところに建てた新居で一からの生活を送っている。

 全壊のため、被災者生活再建支援法による国の支援策が適用され、300万円が支給された。さらに、火災や水害などの被害に対して補償されるJA共済の建物更生共済の支払い1800万円のうち、1500万円を住宅再建に充てた。

 自宅の脇を流れる川が豪雨の際にすぐに水かさが増すため、20年以上前に「いつ災害が起こるかわからない」と共済に入っていたことが役に立った。

 新居の建坪は以前の3分の2ほどだが、土地のかさ上げや流失した車や家財の購入にもお金がかかった。「公的資金だけでは(再建は)おぼつかなかった」と、森永さんは「自助」の大切さを口にする。

 ■地震保険加入 軽くない負担

 東日本大震災の被災地では、地震保険が資金繰りの支えとなった。仙台市の70代の自営業男性は津波で自宅を流されたが、「保険が生きる気力を与えてくれた」。震災2週間前に加入した地震保険が満額の1300万円おりた。国の制度の支援金100万円と義援金も加え、自宅を再建できた。「思い出が詰まる品々は失ったけれど、自分の家にまた住めることが希望につながった」

 一方、津波で自宅を流された宮城県東松島市の自営業男性(49)は、支援金と義援金計300万円ほどは受け取れたが、保険には未加入だった。ローンを今年2月に完済したばかりで貯蓄もほとんどない。再建はあきらめ、市が仮設住宅として借り上げたアパートで暮らし続ける。「お金の面での備えも、もう少ししておけばよかった」

 地震保険は国の保証があるとはいえ、自ら加入する「自助」の仕組みだ。火災保険とセットで契約する必要もあり、加入者にとって負担は小さくない。

 多様な制度と資金の組み合わせが重要と考える兵庫県は05年、新たな「共助」の仕組みをつくった。県住宅再建共済制度(フェニックス共済)で、年5千円の負担金で住宅再建に最大600万円、補修に同200万円を支給する。担当者は「南海トラフ巨大地震などの大災害が起きたら、共助の仕組みが不可欠。地道に制度を広めていきたい」と話す。

 ■九州北部豪雨 独自助成の県も

 九州北部豪雨では、土砂災害などによって大きな被害が出た。このため、住宅の再建を支援する独自の制度を設けた自治体もある。

 熊本県では、死者・行方不明者計25人と犠牲者が最多だった。県の資料によると、被害は全壊169棟、半壊1293棟、床上浸水547棟。国の支援制度は、全壊世帯には最大300万円が支給されるが、大規模に至らないなどの半壊や浸水は対象外。そこで、「被災者の痛みを少しでも軽減したい」と半壊や床上浸水の世帯に上限10万円を支給した。

 補正予算に1400世帯分の1億4千万円を計上。ただ、実際の支給は822世帯、計8千万円にとどまった。「申請に必要な修繕工事などの領収書をなくした人もいたのでは」と担当者。今後は申請が罹災証明だけで済むようにするなど手続きを簡単にしたいという。

 3人が亡くなった大分県は、半壊や床上浸水などの1025世帯に計5億500万円を、市町村と折半する形で支給した。台風被害が相次いだことなどを受けて06年度に設けられた制度を適用した。「住宅全壊10棟以上の市町村」といった国の支援制度の適用要件を満たさない市町村の世帯に最高300万円(全壊の場合)を出すものだ。

 毎年1億円を一般会計予算で計上。使わなかったり不足したりした際は補正予算でやり繰りしている。

【東海】「行政の支援金では家建て直せない」

 ■三重県の台風被災者 育った土地に愛着

 災害で壊れた家をどう再建するのか。国の支援だけでは足りず、自治体の独自の救済制度も広がる。それでもすべての費用をまかなえない。地震保険や共済制度など、多様な「自助」や「共助」の備えが求められている。

父親らの家があった場所をパワーショベルで整地する鈴木正人さん=17日午後、三重県紀宝町

 2011年9月の台風12号で大きな被害を受けた三重県紀宝町。鈴木紀生さん(78)は毎日、避難先の同県熊野市の県営住宅から、自宅のあった場所へ車でやって来る。

 9月3日夜、鈴木さん方の裏山が大きく崩れた。約30㍍離れた高台に避難していたため命は助かったが、一帯は土石流にのまれ、自宅は跡形もなくなった。

 国の被災者生活再建支援制度の適用を受けて、支援金150万円を受け取ったが、業者からは土砂を撤去し、宅地に戻すだけで500万円かかると言われた。保険に入っておらず、自宅再建のめどは立てようがなかった。

 それでも、生まれ育った土地への愛着は消えなかった。自宅のあった場所のすぐそばにつくった畑に来て、作業するのが日課になった。鈴木さんは「近くには先祖代々の墓もある。家のあった場所で死にたい」と話す。

 長男の正人さん(47)は知人から買った重機で、土砂の撤去を始めた。父親の家のすぐ近くの自宅兼店舗でバイクショップを営んでおり、同じ台風12号では自らの家も半壊。商品のバイクなどが水につかり、借金を抱えている。

 仕事の合間に作業を続け、ようやく整地を終えたが、父親の家を建てる資金は残っていない。今は、せめて自宅のあった場所に父親が寝泊まりできるようにと、中古のキャンピングカーを購入して置いている。正人さんは「行政からの支援金だけでは生活を立て直すだけで精いっぱい。家を建て直すどころではない」と話す。

 ■助成 各県で濃淡

 国の被災者生活再建支援制度では、全壊世帯に最大300万円、大規模半壊に最大250万円が支給される。しかし、半壊や床上浸水は対象外で、同じ市町村内に全壊が10棟以上ないと適用されない。

 東海3県では、岐阜県が国の支援制度を補うために独自の制度を設けている。全国で98人、県内で8人の死者・行方不明者が出た04年10月の台風23号がきっかけだった。

 国の制度の対象から漏れた被災者に、住宅の補修費や生活用品の購入費、医療費などを支給することにした。市町村の負担分と合わせて全壊世帯に最大100万円を支給。半壊や床上浸水の世帯にも30万~50万円を渡す。10年7月の豪雨災害では、県内56世帯に約1400万円が支給された。

 県防災課の担当者は「国の制度が適用されない程度の災害でも、住民を救済できる」と話す。

 三重県は大きな災害に限って、そのつど条例をつくり、被災者を支援している。国の制度の対象外になった場合、被害に応じて一世帯に25万~300万円が支給される。

 これまでに04年の台風21号と11年の台風12号の豪雨災害で被害を受けた市町村に適用された。県災害対策課の担当者は「国の支援制度は、適用、不適用の線引きに不公平感がある」と指摘する。

 愛知県には、全壊世帯に10万円、死者1人につき20万円を災害見舞金として支給する制度がある。

 ■独自の住宅再建支援制度を持つ都道府県と最大支援額(円)

県名 全壊 大規模
半壊
半壊 床上浸水
栃木県 300万 250万 支給なし
埼玉県 300万 250万 支給なし
静岡県 300万 250万 50万 支給なし
岐阜県 100万 100万 50万 30万
鳥取県 300万 250万 100万 支給なし
島根県 300万 250万 支給なし
広島県 300万 250万 支給なし
山口県 300万 250万 支給なし
徳島県 225万 112.5万 112.5万 支給なし
福岡県 300万 250万 支給なし
大分県 300万 130万 130万 5万
熊本県 300万 150万 10万 10万
鹿児島県 20万 20万 20万 20万

国の住宅再建支援制度で対象外となる世帯が支給対象。徳島は国制度の支給対象にも上乗せで支給

【3】公助の限界、多重防御で備えて

京都大防災研究所教授
林春男さん

 東日本大震災は、公助の限界が示された災害だった。被災者生活再建支援法による支給金の負担に自治体が耐えられず、特例を設けて国が肩代わりした。大規模災害に備えた制度づくりをする必要がある。一方で、しばしば起きる小さな災害まですべて「公助」でまかなうのにも限界がある。自分にどのようなリスクがあるかを知り、自己責任で備えるべきだ。

 健康の問題だったら、生活習慣病のリスクが高まれば、多くの人は食生活を気にしたり、運動をしたりする。健康や老後の生活資金づくりは考えても、災害はめったにおきず、自分にはふりかからないと特別視しがちだ。

 災害も私たちを取り巻くリスクの一つだ。起きてしまったときに大きなダメージを受ける。自分に原因や過失がないと思うかもしれないが、例えば市町村が配布するハザードマップを見れば必要な備えを考える助けになる。

 支援法、保険、堤防、避難計画、どれも完璧ではない。多重防御という言葉があるように、自分にとって必要な対策を組み合わせて備えることが被害を減らし、被災後の生活再建につながる。

 それでも、被災すればすべてを取り戻すことはできない。家を再建することは、復興に至る手段にすぎない。新しい生活の中で人と人のつながりを通して、喜びや生きがいを見つけることこそが復興につながる。

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◆ 地震動予測地図

地震調査研究推進本部の資料から

◆ 女子組版「災害時連絡カード」

印刷して切り抜き、財布などに入れてお使いください

 鹿児島県・口永良部島で29日、噴火があった。箱根山では火山性地震が増え、噴火警戒レベルが引き上げられた。昨年は御嶽山が噴火、桜島や西之島は活発に噴火を続け、蔵王山でも地震が増加、日本が火山列島だと痛感している。…[続きを読む]

著者:朝日新聞社 価格: ¥1,680

 朝日新聞のシリーズ企画「災害大国 迫る危機」が本になりました。活断層、津波、地盤、斜面災害、インフラ、火山のリスクを地域ごとに示した大型グラフィックや対策の現状などを収録。書籍化のために各地域の災害史を書き下ろしました。いつ見舞われるか分からない災害の備えとして役立ちます。B4判変型(縦240ミリ、横260ミリ)でオールカラー、120ページ。

日本列島ハザードマップ 災害大国・迫る危機

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