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この一歩

　東日本大震災から３年。新たな一歩を踏み出した人、踏み出そうとしている人がいる。この一歩がなお遠い人もいる。被災地で取材を重ねる記者たちが訪ねました。

（この一歩）ヒデを捜した消防士、兄ちゃんはめざす(3/11)
　宮城県石巻市の高校３年生、鈴木利英（としひで）さん（１８）が２日、石巻西高校（宮城県東松島市）のグラウンドに久しぶりに立った。　３年生部員を１、２年生が送り出す野球部の引退試合だ。左手に着けた外野手用グラブの内側には…[続きを読む]
（この一歩）立ち止まること　あなたと町に教わった(3/10)
　言葉をのみ込んで周りを見る。急がば回れ、だ。　２０１１年４月、上野（旧姓神谷）未生（みお）さん（３８）は支援団体のスタッフとして岩手県大槌町にやってきた。名古屋市生まれ。高校卒業後、米国に渡って看護師をしたり、青年海…[続きを読む]
（この一歩）おやじ母さん帰ったよ　カフェの夢見つけたんだ(3/9)
　心配をかけ通しだった２人に見られるのは、少し落ち着かない。だから、部屋に遺影を置いていない。　岩手県陸前高田市に戻ってカフェで働く熊谷（くまがい）幸（こう）さん（２８）が大学進学で故郷を離れたのは１０年前。埼玉県で小…[続きを読む]
（この一歩）原発事故が壊した家族関係　１８歳向き合う(3/8)
　あれから家族はふつうではなくなり、私はそれに慣れてしまった。　両親の間の溝が決定的に深まったのは、震災の年の夏。暑い日だった。　４カ所目の避難先だった福島県郡山市のアパートで、泣き叫ぶ母（４９）が父（５１）をなじっ…[続きを読む]
（この一歩）花束買って家にかえろう　役場勤め上げたら(3/7)
　仏壇の前で畳に両手をつき、体を折り曲げて深々と頭を下げる。３秒ぐらいか、５秒だったろうか。　３月いっぱいで宮城・南三陸町役場を退職する元総務課長、佐藤徳憲（とくのり）さん（６３）は、ざらついた畳の感触が忘れられない。…[続きを読む]