【4月9日 AFP】国際通貨基金(International Monetary FundIMF)は8日、日本の2014年の経済成長率見通しを下方修正し、安倍晋三(Shinzo Abe)首相に対し景気回復を盤石にするために約束した改革を実行するよう忠告した。

 IMFは「世界経済見通し(World Economic Outlook)」の中で、日本の14年の成長率予測を1.7%から1.4%に下方修正。さらに15年には1.0%に鈍化すると予測した。

 IMFはこれまで、安倍政権が推進する、財政支出の拡大と金融緩和による経済政策「アベノミクス(Abenomics)」に好意的だった。だがアベノミクスの「第3の矢」と呼ばれる労働市場の柔軟化と自由貿易協定などを含む改革は、これまでのところ行動よりも話し合いの段階にある。

 安倍首相は財政再建を行いつつ、改革を行い経済成長を実現させることを約束している。IMFは、「アベノミクスの他の2本の矢である2015年以降の財政再建計画と構造改革はインフレターゲットと高い持続的な成長を達成するために不可欠だ」と述べた上で、「依然としてアベノミクスは、強い国内民間需要に転換しなければならない」と指摘した。

■日本には「長期の景気低迷リスク」

 またIMFは増税による景気鈍化見込みに対する補正予算が不十分な可能性があると述べ、「最近承認された景気刺激対策のプラス効果は、消費増税のマイナス効果と、復興支出や過去の刺激策の縮小により相殺される以上の影響を受ける見通し」と忠告した。

 IMFは「長期の景気低迷リスクが存在する主な理由は、急速に高齢化する社会において長期的に持続可能な財政状況に移行するために今後10年ほどで必要な大規模な財政再建にある」と分析している。(c)AFP