627: :2008/05/05(月) 02:01:39 ID:
以前聞いた話で洒落にならないぐらい怖いのがあったので、流れぶった切って投下してみる。
漏れはサッパリなんだけど、漏れの母方の家系は、どうやら見える人が多いようだ。お袋は
ちょいちょい目撃談を語ってくれる。お袋の話は特に恐ろしいものではないので敢えて省く。
今日はじいさんの話だ。
漏れのじいさんは零戦乗りだった。今も存命で、飛行機好きの漏れは色々と影響を受けた
んだけど、ここに書く話は漏れが直接聞いたものは一つも無い。ほぼ全てお袋からの聞き
書きだ。個人的には聞きたくて仕方が無いが、とてもできそうに無い。その理由はまた後で。
そういうわけで、彼の詳しい戦歴はまるで分からない。東京周辺の基地に配属されて、特攻
命令を待ちながら空中退避する日々を送っていたということまでしか聞いていない。
ただ一度B-29を邀撃したそうで、目標があまりに大きくて距離の目測を誤り、機銃弾は命
中しなかったとだけ言っていたそうだ。ルーキーのじいさんが無事帰ってきてくれただけで
本当に良かった。
漏れはサッパリなんだけど、漏れの母方の家系は、どうやら見える人が多いようだ。お袋は
ちょいちょい目撃談を語ってくれる。お袋の話は特に恐ろしいものではないので敢えて省く。
今日はじいさんの話だ。
漏れのじいさんは零戦乗りだった。今も存命で、飛行機好きの漏れは色々と影響を受けた
んだけど、ここに書く話は漏れが直接聞いたものは一つも無い。ほぼ全てお袋からの聞き
書きだ。個人的には聞きたくて仕方が無いが、とてもできそうに無い。その理由はまた後で。
そういうわけで、彼の詳しい戦歴はまるで分からない。東京周辺の基地に配属されて、特攻
命令を待ちながら空中退避する日々を送っていたということまでしか聞いていない。
ただ一度B-29を邀撃したそうで、目標があまりに大きくて距離の目測を誤り、機銃弾は命
中しなかったとだけ言っていたそうだ。ルーキーのじいさんが無事帰ってきてくれただけで
本当に良かった。
628: :2008/05/05(月) 02:02:00 ID:
ルーキーばかりの部隊に旧式な機材があてがわれているもので、戦果はサッパリ。しかし
戦友はどんどん減ってゆく。空襲の折には戦力温存の名目で空中退避。
じいさんは思っただろう。爆撃機を落とせないで、一体何のためのパイロットだ?
挙句の果てに、じいさんは特攻に回されること無く終戦を迎えてしまった。後に残ったのは、
終戦の後に変節した上官と戦友の屍の山。
彼は戦友会にも顔を出さない。お袋によれば、じいさんは戦争の話をすると夜必ずうなされる
んだそうだ。大学の受験を、前日にいきなりドロップアウトさせられる悪夢だ。
漏れは一度だけじいさんが戦争を思い出した時の話を聞いたことがある。死んだ仲間の死
体を埋めるのは、本当に辛いもんだという彼の顔は、一生忘れることは無いだろう。
そんなわけで、漏れはじいさんに話を聞けないでいる。癒えることの無い傷に触れることは、
じいさんにとっても漏れにとってもあまりに酷だという気がするからだ。
戦友はどんどん減ってゆく。空襲の折には戦力温存の名目で空中退避。
じいさんは思っただろう。爆撃機を落とせないで、一体何のためのパイロットだ?
挙句の果てに、じいさんは特攻に回されること無く終戦を迎えてしまった。後に残ったのは、
終戦の後に変節した上官と戦友の屍の山。
彼は戦友会にも顔を出さない。お袋によれば、じいさんは戦争の話をすると夜必ずうなされる
んだそうだ。大学の受験を、前日にいきなりドロップアウトさせられる悪夢だ。
漏れは一度だけじいさんが戦争を思い出した時の話を聞いたことがある。死んだ仲間の死
体を埋めるのは、本当に辛いもんだという彼の顔は、一生忘れることは無いだろう。
そんなわけで、漏れはじいさんに話を聞けないでいる。癒えることの無い傷に触れることは、
じいさんにとっても漏れにとってもあまりに酷だという気がするからだ。
629: :2008/05/05(月) 02:02:24 ID:
そんなじいさんも、何度かそれらしいものを目撃したことがあるという。
東京大空襲の折、彼の基地からも燃える東京が見えたそうだ。じいさんは愛機の側で待機し
ていたんだろう、それを見ていたらしい。すると、さっきまでそばにいた相棒がいない。
おかしいと思ってあたりを見てみると、相棒は飛行場の端で呆然と突っ立って燃え盛る街を
見ていた。じいさんは不審に思って、相棒の側に駆け寄って何をしているのか問いただした
らしい。
「今、東京にいるおれの家族が死んだ」
と相棒がつぶやいた。
「何バカを言ってるんだ、貴様の家族ならとっくに防空壕に入って無事さ。心配するなよ」
じいさんはそう言って相棒を連れ戻そうとしたんだが、相棒は譲らない。
「いやそんなことは無い。あそこに来ている。貴様には見えないのか」
相棒の指差したほうを見て、じいさんは地獄の業火の下に、人魂がいくつか虚空を彷徨って
いるのを見た。きっと最期に別れを告げに来たのだろう。
この話を聞いたとき、漏れは切なくて何も言えなかった。
東京大空襲の折、彼の基地からも燃える東京が見えたそうだ。じいさんは愛機の側で待機し
ていたんだろう、それを見ていたらしい。すると、さっきまでそばにいた相棒がいない。
おかしいと思ってあたりを見てみると、相棒は飛行場の端で呆然と突っ立って燃え盛る街を
見ていた。じいさんは不審に思って、相棒の側に駆け寄って何をしているのか問いただした
らしい。
「今、東京にいるおれの家族が死んだ」
と相棒がつぶやいた。
「何バカを言ってるんだ、貴様の家族ならとっくに防空壕に入って無事さ。心配するなよ」
じいさんはそう言って相棒を連れ戻そうとしたんだが、相棒は譲らない。
「いやそんなことは無い。あそこに来ている。貴様には見えないのか」
相棒の指差したほうを見て、じいさんは地獄の業火の下に、人魂がいくつか虚空を彷徨って
いるのを見た。きっと最期に別れを告げに来たのだろう。
この話を聞いたとき、漏れは切なくて何も言えなかった。
630: :2008/05/05(月) 02:03:48 ID:
さて、前置きが随分長くなったけれども、ここからが洒落にならないぐらい怖かったのよ。
じいさんがやっとこ復員した頃、モノが窮乏する中闇市が活況を呈していた。でもって、
漏れの母方にはのん兵衛が多い。何しろ、お袋の曽祖父に当たるご先祖様などは、天に召される
前日まで、毎晩必ず一升瓶を開けてたぐらいだ。しかし酒は普通じゃ手に入らない。追っか
け、酒を闇から調達して飲むワケだ。
ある日漏れのメチャクチャ遠い親戚のおじさんが、闇からどぶろくを仕入れて友達と飲んだ。
まぁ、ここまでならよくある話だ。
当時の闇酒といったらメチル入りで目が潰れるってのが相場だけど、おじさんは最悪のアタ
リを引いてしまった。何とそのどぶろくはホルマリン入りだったのだ。生きてる金魚を溶液中に
放り込むと、あっという間に真っ白になって死んでしまうというアレだ。無論、二人とも無事で
は済まなかった。
おじさんと友達は宵の口からちょいちょいやり始めて、七転八倒の挙句に死んでしまい、大騒ぎ
の果てに集まった見舞いがすぐに通夜になってしまった。
じいさんは二人の見舞いに行く途中、人魂を見て家に転がりこんできた。漏れのひいばあさ
んによれば、かなりビビってたらしい。とにもかくにも、通夜が始まった。
じいさんがやっとこ復員した頃、モノが窮乏する中闇市が活況を呈していた。でもって、
漏れの母方にはのん兵衛が多い。何しろ、お袋の曽祖父に当たるご先祖様などは、天に召される
前日まで、毎晩必ず一升瓶を開けてたぐらいだ。しかし酒は普通じゃ手に入らない。追っか
け、酒を闇から調達して飲むワケだ。
ある日漏れのメチャクチャ遠い親戚のおじさんが、闇からどぶろくを仕入れて友達と飲んだ。
まぁ、ここまでならよくある話だ。
当時の闇酒といったらメチル入りで目が潰れるってのが相場だけど、おじさんは最悪のアタ
リを引いてしまった。何とそのどぶろくはホルマリン入りだったのだ。生きてる金魚を溶液中に
放り込むと、あっという間に真っ白になって死んでしまうというアレだ。無論、二人とも無事で
は済まなかった。
おじさんと友達は宵の口からちょいちょいやり始めて、七転八倒の挙句に死んでしまい、大騒ぎ
の果てに集まった見舞いがすぐに通夜になってしまった。
じいさんは二人の見舞いに行く途中、人魂を見て家に転がりこんできた。漏れのひいばあさ
んによれば、かなりビビってたらしい。とにもかくにも、通夜が始まった。
631: :2008/05/05(月) 02:06:40 ID:
皆故人の思い出話に花を咲かせた。死体を囲んでがやがややってたら、見舞い人に混じっ
てた大陸帰りの医者崩れが、大陸でやった手術や実験の話を延々続けてやりだして、みん
な腰が抜けて便所にいけなくなったそうな。
母方にはやたらと頭の回転が速い上、肝っ玉の据わってる人が多くて、宗教に日教組かか
って来いや的な人が多い。それが腰を抜かしたってどんな話だよ、と話を聞いた当時少年だ
った漏れは一瞬疑問に思ったんだが…。
大陸?
人体実験!?
ま・さ・か!!
その医者崩れの素性も行方も杳として知れない。
また、生命に微塵の敬意をも払えぬ人間などとはできれば関わりたくも無い。
ともかく漏れにとっては、身近なところに宅間なんかメじゃないぐらいの魔物がいたりする、
想像よりも極端に狭かった世界が本当に恐ろしかった。
漏れにとっては幸いといおうか、スレッドの皆様には生憎といおうか、漏れの一族が祟られた
の、呪われたのといった話は聞かない。
長文スマソ
てた大陸帰りの医者崩れが、大陸でやった手術や実験の話を延々続けてやりだして、みん
な腰が抜けて便所にいけなくなったそうな。
母方にはやたらと頭の回転が速い上、肝っ玉の据わってる人が多くて、宗教に日教組かか
って来いや的な人が多い。それが腰を抜かしたってどんな話だよ、と話を聞いた当時少年だ
った漏れは一瞬疑問に思ったんだが…。
大陸?
人体実験!?
ま・さ・か!!
その医者崩れの素性も行方も杳として知れない。
また、生命に微塵の敬意をも払えぬ人間などとはできれば関わりたくも無い。
ともかく漏れにとっては、身近なところに宅間なんかメじゃないぐらいの魔物がいたりする、
想像よりも極端に狭かった世界が本当に恐ろしかった。
漏れにとっては幸いといおうか、スレッドの皆様には生憎といおうか、漏れの一族が祟られた
の、呪われたのといった話は聞かない。
長文スマソ
636: :2008/05/05(月) 03:11:42 ID:
>>631
面白かった、乙
うちの父はむちゃくちゃ歳行ってから私を作ったんで
戦時中は航空隊で旧満州にいたような人だった
散々なことをしたみたいだが生前よく大陸に帰りたがってたな
あっちに顔もしらない兄弟がいるかもしれんと思うと少し怖い
面白かった、乙
うちの父はむちゃくちゃ歳行ってから私を作ったんで
戦時中は航空隊で旧満州にいたような人だった
散々なことをしたみたいだが生前よく大陸に帰りたがってたな
あっちに顔もしらない兄弟がいるかもしれんと思うと少し怖い
645: :2008/05/05(月) 07:59:10 ID:
>>631
そのおっさんがホルマリン酒を
作った本人なんじゃ?と気付いて
皆腰を抜かしたという話なのかな?
深読みしすぎ?
でもそうでないのなら
ちょっとスレチというか
死ぬ程怖い話とまではいかんね
そのおっさんがホルマリン酒を
作った本人なんじゃ?と気付いて
皆腰を抜かしたという話なのかな?
深読みしすぎ?
でもそうでないのなら
ちょっとスレチというか
死ぬ程怖い話とまではいかんね
632: :2008/05/05(月) 02:51:56 ID:
コメント
コメント一覧 (8)
漏れはまだ耐えたけど癒えることない傷に触れることが
爺さんに酷なのはわかるけどお前関係ないじゃんって思ってダメだった
バカのくせに一々自分に酔ってるし一々自分を大きく見せようとするしホントきしょい
普通に俺って言えない病気にでもかかってるのか?
俺って言えば氏ぬのか?
入ってこない
コメントする