2024-08-09 Fri
Moi!今日もいいお天気に恵まれました。最高気温は25度で、洗濯物もすぐに乾いてくれます。これがやがてテラスに置いているだけでは乾かなくなるのですよね。そうなったら私の中で夏の終わりの合図です。もう少し頑張ってほしいこのお天気。
さて日本帰省の旅行記、今回は芦屋の隠れ家的懐石料理のお店、香琳庵についてです。香琳庵は
とのことで、1日1組のみ予約を受け付けているそうです。なかなか予約が取れないところ、従姉が半年前に予約してくれこの度行くことができました。お店の方によると近くの方はもちろん、全国各地からお客様がお越しになるとのこと。行ってみてその理由がわかりました。お料理もさることながら、亭主のお母様?の興味深いお話の数々に惹かれてリピートされる方が多いのではと思ったのです。御茶事の勝手元(ご依頼先の台所で料理を出す出張)の仰せつけを業として先代から引き続き、又、御客様の声もあって料理教室も開講するようになり、気楽に香琳庵の料理を食べたいと言う有り難い声もあって、芦屋にて御茶事の出来る場としても 7~ 8年前から行っております。
庭には何鉢も蓮の葉っぱがありました。この蓮はですね、2000年前の種が3つ見つかり、そのうち2つが生き延び、お寺で育てられていたのを分けてもらったのだそうです。そして蓮の真ん中に溜まった朝露、これがまた格別に美しい形をしているのですが、毎朝これを集め、この露で墨をすっているのだそうです。なんという手が込み、風流なことでしょう。
掛け軸には”水急不流月”と書かれているそうです。水は急だが月は流れず、という意味とうかがい、頷く私達。
こちらのお花、沙羅双樹だそうです。平家物語でおなじみの沙羅双樹です。これも庭に咲いていたものとのことでしたが、毎日咲く訳ではなく、ちょうど咲きかけのこれを前日から準備してくださったそうです。
障子ですが、継ぎ目がありますよね。通常の障子は1枚ものですが、こちらには特別な和紙を継いで貼っているのだそうです。京都の職人さんにお願いしているとのこと。そして障子は古いほど障子を通る光がよいのだそうです。私は一体どんな世界に紛れ込んでしまったかと思うぐらい細部に至るこだわりにくらくらしたのです。
うまく写真に撮れなかったのですが、御簾のこだわりにもほう、と驚くばかり。
お部屋のあれこれをうかがった後に料理が運ばれてきました。
まずは胡麻豆腐。説明してくださった亭主のお母様、ご自身で80歳を超えているとおっしゃっていたのですが、お茶の先生をされているだけあり、居ずまいも美しく、肌もつやつや。その方がですね、”私の祖母の祖母によると…”とこのお皿の説明をしてくださったのです。どれだけ歴史のあるお皿なのか…。肝心の胡麻豆腐は丁寧に作られていてその優しさが伝わってきました。
私は下戸なので遠慮したのですが、日本酒を出されたのがこちらのグラス。茶托(でいいのですかね?)と合わせるのも素敵です。
懐石料理は御椀で決まるのだそうです。はも葛叩き、蛇の目胡瓜に柚子が添えられていました。夏にぴったりのさっぱりとした味。
焼き物、4人分が涼し気な大きなお皿に載せられてやってきました。(これ、洗うの絶対大変ですよね。)
お品書きによると鮎、酢みょうが、くだ牛蒡、茄子そうめん、海老寿司、きぬかつぎ、水胡瓜とのことです。
鮎と茄子そうめんです。カラッと揚がった鮎。魚が苦手な私でも美味しくいただきました。そして簡単に茄子そうめん、と言っちゃってますが、これを作る手間暇を考えるといやはや。手間暇といえばくだ牛蒡。牛蒡の中をきれいにくり抜いているのですよ。水胡瓜も蛇腹状になって中に詰め物が。もう芸術の域です。
お造りも美しい。器もしゃれてます。
焚き物は手前から冬瓜、小茄子、蓮根団子。ええ、どれもあっさりしていながら味が沁みていて絶品。
蓮根団子は穴子の代わりに見立てているのだと。
うりと笹身。結構な量を食べていますが、どれも味があっさりしているので問題なく胃に収まっていきます。この後にご飯もいただきましたが、何か?
デザートは桃とゴールデンキウイのコンポート。この器、レトロモダンとでもいうのでしょうか。今年は帰省が早かったために白桃を食べるチャンスがなかったのですが、こちらでいただけました。
ただの氷の浮かんだお水ではありません。仄かに香る梅の風味。
今更ながら歴史、文化の知識、美を愛でる心、漢文や書道の嗜み等あって邪魔になるものなどないのだと実感。もう少し勉強を熱心にしておくべきでした。(今からでも遅くはない?)同時に日本に受け継がれてきた素晴らしい伝統、何よりもたとえ気付かれなかったとしても抜かりのない細部にまで至るおもてなしを直接見たり聞いたりまた味わうことができよい経験になりました。
ということで皆様、よい一日をお過ごし/お迎えください。
大きなお皿を洗うのが得意な方も、できれば遠慮したいという方も
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