最近又忙しくてなかなか更新できずにすみませんでした。
コメント欄もスルーでごめんなさい。追ってご返事いたしますので、気長にお待ち願います(~_~;)
前回の記事で、
「酪酸を産生する菌は、炭水化物食の為に存在しているのではないだろうか?」
「糖質摂取が原因と疑われる病気は、酪酸を産生してくれる菌がしっかりと働いていればその病気にならないという事が考えられるのです。」
と書きましたが、なんでやねん?と思われる方もいるかもしれないので、これらを考えるに至った事についてもう少し書いてみます。
自然界の生き物はほとんどの生物が共生関係を築いて生きてます。
それも、動物同士、魚同士といった同じ種の間だけでなく、植物と昆虫、植物と菌、動物と菌など、ありとあらゆる生き物は他の生物と相互に依存して生きています。
中には単なる片方だけが利益となって相手は害を受ける「寄生」という形態もありますが、相互に利益を受ける共生では、単独で生きるよりも共生することでより良い生命活動が出来るのです。
人間は、他人と全く関わりを持たずに1人で生きることは可能ではありますが、お互いの利益となる人と一緒に生活したり仕事をしたり、趣味のコミュニティーを築くことで、一人ぼっちでいるよりも、より良い生活や文化が発展するのだと思います。
人間と腸内細菌の関係もまさに共生関係であると考えられ、腸内細菌がいなくてもとりあえず人間は生きていける身体の仕組みですが、実際は腸内細菌がいなければ健康に生きられません。
簡単な例で言えばお母さんのお腹の中や、無菌室で無菌の食事をとれば腸内細菌や皮膚常在菌は必要ないですが、実際にはそんな環境で一生過ごすことは有り得ません。
普通に生活している限り空気中や食べ物に付着している様々な菌にさらされます。
腸内細菌や皮膚常在菌はそれらの外敵から身体を守ってくれるのです。
又、腸内細菌はビタミンB群やビタミンK等を産生します。
ビタミンB群やビタミンKは食事からも摂取出来ますが、食事だけで必要量を賄おうとすれば毎日食事のバランスを気をつけていないと何かしらのビタミンが欠乏してしまいますが腸内細菌のおかげでほとんどの必要量を賄えます。
新生児は病院で産まれるとビタミンKを投与されますが、それは腸内細菌がまだ発達していないのでビタミンK不足に陥りやすいからなのです。
腸内細菌の中には何をしているのか、身体に役立つのか良くわからない菌もいますが、酪酸菌が身体へ与える影響を考えると酪酸菌はまさしく人間と共生関係の菌であると考えられます。
良い共生関係では、相手に害となるようなことはしません。
宿主の身体の中で快適に生きようと思えば、相手が病気になっては困ります。
それどころか、相手が健康になるような働きをしてくれます。
回虫やサナダムシと同じです。
なので、酪酸菌は自分たちが増殖しやすい環境である炭水化物を人間に食べてもらう代わりに、特に糖質の害を消して人間が健康に生きる働きをしてくれるのであろうと考えたのです。
さらに、もうひとつ今まで腑に落ちない事がありました。
糖尿病患者の激増っぷりです。
是非こちらをご覧ください。
糖尿病患者数の増加グラフ(これは増加率というイマイチわからない単位なので下記も併せてご覧ください。
糖尿病疾患の推移(余談ですが、このデータを見ると、糖尿病学会なんて名前ばかりで、予防という観点では全く仕事していないよなぁと思ってしまいます。というか糖尿病の治療も出来ていないし、何の為に存在してるのか?もし私が医者なら患者に対する無力さと恥ずかしさで、決して糖尿病学会なんてものに属さないと思います)
以前から、この糖尿病患者の増加の原因を糖質の摂取だけで説明するには少々無理があるのではないかと考えていました。
例えば、下記に示す炭水化物摂取量の変化を見てみると
摂取総カロリー、蛋白、脂質、炭水化物比の変化日本人1人1日当たり栄養素摂取量の推移炭水化物摂取量はむしろ昔よりも減っています。
ただし、これはあくまでも炭水化物としてカウントされているので、野菜などの繊維質とご飯やパンなどの主な糖質の割合は不明です。
なので、そこはあれこれ推測してみないといけません。
炭水化物摂取量は減少しているのに糖尿病患者が増えている理由として考えやすいのは、炭水化物に占める繊維質が減少し、ご飯やパン等のデンプンや清涼飲料水、ケーキなどの糖質の割合が増加している可能性が考えられます。
実際、ラーメン屋とかマクドナルドとか牛丼屋等の外食産業が増えて高糖質食を食べる機会が増えたり、コンビニで手軽におにぎりやパンやお菓子等が手に入るようになって、昔よりも遥かに糖質摂取の割合が増加しているのは確かです。
ところが、外食産業や清涼飲料水売り上げなどそれぞれの統計などを様々に見ても、糖尿病患者の増加率と糖質摂取増加率が今ひとつリンクしないというか、納得できないのです。
(ホントはデータを提示したいのですがかなり広範囲で複雑なのでまとめきれませんので、ここは割愛させてもらいます)
又、昔の日本人も米を大量に食べていますが糖尿病患者は少なかった。
仮に清涼飲料水や菓子パンなど、高糖質の増加が原因であれば、それらをやめて米だけ食べればすみやかに糖尿病患者数は改善しそうな気がしますが、実際には米を食べると正常人でも血糖値が大きく上昇する例をみますとやはり米を食べると糖尿病になりやすいと考えざるを得ません。
昔の人は米を食べても糖尿病になりにくかった。しかし現代人は米を食べると糖尿病になりやすい。
その違いはどこから生じるのか考えていると、それは腸内細菌叢の変化ではないだろうかと思うのです。
腸内細菌、特に酪酸菌が繁殖しやすい食事を考えてみます。
それには、大量の食物繊維とデンプンが必要となります。
食事でいえば、麦、大豆などの雑穀、人参やゴボウ等の根菜類、サツマイモ、じゃがいも等のイモ類ですが、これら食物繊維の摂取割合が現代ではかなり減っています。
それはこんなデータにあらわれています。
日本人の食物繊維摂取量の推移野菜の消費をめぐる状況又、酪酸菌はミヤリサンの例でもわかるように、もともと腸内には定着しにくいのではないだろうかと思います。
なので、定期的に酪酸菌が体内に入ってくる必要があると考えると、そこで大きな役割をはたすのが「お漬物」です。
特にぬか漬け。ぬか床には乳酸菌と酪酸菌がいます。酪酸菌が繁殖しすぎると悪臭が強くなるので普通1日に一回程度ぬか床をかき混ぜて酸素を供給し、嫌気性である酪酸菌を繁殖しすぎないようにします。
(ちなみに酪酸菌が少なすぎると単に乳酸菌の酸味だけになり、味に深みがなくなるので、酪酸菌と乳酸菌のバランスは重要らしいです)
つまり、ぬか漬けを毎日食べれば毎日ミヤリサンを飲んでると同じ効果が期待できます。
(まだ実験してませんが)
他の漬物に関しては酪酸菌がいるかどうかは確証が持てませんが、ぬか床の例で考えると、ぬか床を作る際に特に人間の手で酪酸菌や乳酸菌を入れなくても、勝手に繁殖してきます。
ということは、野菜に酪酸菌が付着しているのか、あるいは実は空気中に芽胞として結構漂っているのかもしれません。
なので、ぬか漬け以外の漬物にも少しは酪酸菌がいる可能性は考えられますし、あるいは酪酸菌がいなくても乳酸菌による酪酸菌増殖効果や乳酸菌自体の効果ももちろん期待できます。
これらの事から酪酸菌にお腹の中でしっかり働いてもらうには、漬物の摂取も欠かせないのですが、調べてみるとやはり漬物の消費量もかなり減っています。
この資料のP7、P15をご確認下さい。
~漬物と塩の美味しい関係~漬物由来の乳酸菌摂取量としてこんなデータもあります。
日本人の乳酸菌摂取量推移余談ですが、漬物は腸内細菌叢を良い状態に維持するために非常に重要と思われるのに、漬物摂取量が減少している原因にこんな事もあります。
ページの下の方にある
漬物の食べすぎにご用心を見て下さい。
実に短絡的なバカげた考えです。
主に酪酸菌をメインに腸内細菌叢を健全に保つ食事について考えると、豊富な繊維質と漬物の摂取が重要と考えられますが、結局これ、まさに所謂「昔ながらの健康的な食事」なんですよね(笑)
現代でも、100歳とかのご長寿の方の食事はだいたい
「雑穀も食べ、イモ類も多く、漬物を食べる」と共通してます。
こういう方は普通にご飯も食べていますが、全く糖尿病等とは無縁の健康でいるようです。
今まで漠然と、そういった長寿の方の食事メニューを見ても、糖質制限的観点で考えると、決して身体に良いとは言い切れないよな、と思っていたのですが、その食事は腸内細菌が大喜びな食事であるとわかると、これ又一転、ご長寿の理由がとても納得出来ます。
ご長寿の秘密は、健全な腸内細菌叢だったのです。
そして、健全な腸内細菌叢であれば、ご飯などの糖質を食べてもおそらく身体には全く悪影響がないのだと考えられます。
まだ話は続きますが、とりあえあず、今日のところはここまで(~_~;)
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