動物たちの不思議な生態の秘密
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動物たちの不思議な生態の秘密
元動物園獣医師・ただいま五十三次どうぶつ病院獣医師、動物たちの不思議にせまります。
プロフィール

つきまるにゃん

Author:つきまるにゃん
生き物を飼うことが
大好きな獣医師です。
いろいろな生き物に
“咬まれ・蹴られ・踏まれ・刺され”
こんな経験から
動物達の不思議な生態にせまります。

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動物達の不思議な生態の秘密
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2019.03.15_11:58


誇り高き”サスケ”


「ついに食べた」
“サスケ”は鋭い爪でしっかりとヒヨコを掴み、
尖った嘴でヒヨコの足をちぎり、
頭を上に向け頭を振りながら、
小さくちぎった足を嘴の奥に運び、
目を閉じながら飲み込みました。
その後も、頭、羽、内臓、次々と飲み込みます。
よほどお腹が空いていたのか、
5分ほどですべて平らげました。
 
サスケはオオタカ、
脳震盪と羽の怪我で動物園にやってきました。
3日ほどで、自力で立ち上がるほど回復しました。
しかし、羽の怪我はまだひどく飛ぶことはできません。
これからは野生復帰のためのリハビリです。
サスケは保護されてから、何も食べていません。
水も飲みません。
このままでは羽の回復の前に衰弱により死亡してしまいます。
マウス・ピンクマウス・ヒヨコを目の前に置きますが、
全く興味をしめしません。
しょうがないので押さえつけ、嘴の中に押し込みます。
しかし、頑なに食べるのを拒み、
口の中に入ったピンクマウスを吐き出します。
マウスもヒヨコも同様に吐き出します。
オオタカの誇りか、僕からの餌など絶対食べないという態度です。
保護してから1週間、胸の肉が落ち見るからにガリガリ、
止まり木に捕まっているのもやっと、
仕方なく点滴をするのですが全く栄養が足りません。
このままでは野性復帰どころか、
命も危ない様子。
いちかばちか、サスケの生きる力にかけることにしました。
点滴をやめ、部屋を暗くし、静かな環境、世話も1日1回
餌を投げ入れるだけにしました。
全く食べません。
そして、点滴をやめ1週間目の時でした、
いつものようにヒヨコをもってサスケの暗い部屋に入った時
バランスを崩しながらサスケは僕に向かってとんできました。
サスケの鋭い脚はぼくの持っていたヒヨコを掴み、
止まり木に戻っていきました。
ヒヨコを食べました。

翌日からは僕が入るとものすごい速さで手からヒヨコをとり、
止まり木に戻り食べました。
1か月ほどすると僕の腕に乗り、そこでヒヨコを食べるようになりました。
サスケは僕を受け入れてくれた様子。
ヒヨコ、時々マウスを食べ、筋肉も戻り、覇気が出てきました。
傷ついていた羽も生え代わりバランスも良くなりました。
いよいよリハビリです。
足革をつけ、野外での飛ぶ練習です。
まずは僕の腕からお気に入りの松の木の枝まで飛びます。
僕がポッケからヒヨコを出すと、
今度は僕の腕に向かって飛んできます。
最初は傾きながら飛んでいましたが、
徐々にバランスを取り戻し力強く飛べるようになってきました。
今度は生きたマウスを与えることにしました。
狩りです。
野外に置いた衣装ケースにマウスを放し、
サスケを20メートルほど離したところから飛ばします。
逃げるマウスをものすごいスピードで鋭い爪でつかみ
お気に入りの松の枝に戻り、
嘴でちぎりながらあっという間に食べました。
食べ終わると僕の腕に戻ってきました。
野外でのリハビリを始めて1週間、行動範囲も広くなってきました。
いよいよ足革をはずしました。
羽はほとんど完治、
飛ぶスピードも速くなりました。
そろそろお別れの時です。
野外リハビリを始め10日、
衣装ケースのマウスの数を増やしました。
松の木を何度も往復しながらマウスを食べました。
食べた後、お気に入りの松の木にとまったままの時間が長くなってきました。
リハビリを始め3週間、
よく晴れた風のない穏やかの日、
サスケはマウスをお腹いっぱい食べお気に入りの木の枝にとまり、
いつものように遠くの山を見ていました。
僕はわかりました、お別れの時です。
サスケは僕の方を見て、2度ほど頭を上下に振ると
“ピューーイ”と甲高い雄たけびをあげ
力強く、青い空に飛んでいきました。
その後数日間、外に置いた衣装ケースにヒヨコを入れておきました。
サスケが食べていたのかわかりませんが、
いつのまにかなくなっていました。
そのうち、ヒヨコがのこったままになるようになったので
衣装ケースもやめました。
2か月ほど経った夕方
“ピューー”
白黒のはっきりした細かな縞模様のオオタカが
上空を円を描きながらとんでいました。
上空から僕の姿を見つけたのか、
そのオオタカは松の木の枝にとんできました。
サスケ?
僕が声をかけると頭を2度上下させ、
“ピューイ”
ぼくが見たサスケの最後です。








<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 〒143-0012 東京都大田区大森東1-5-2
 病院の診療時間 午前9:00~12:00  午後13:00~19:30
         日曜日は午後17:00までとなります。  
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4月29日(月)~30日(火) 5月3日(金)~6日(月)
都合により休診いたします。



2019.02.15_17:03

LGBT

「ただいま~」
手術を終え、夜の10時過ぎに帰宅。

玄関のドアを開けると
“ぱーていー いず おーばー
それでも 踊りたかった~“
甲高い、女の子の歌声が
響いていました。

この声の主は“女王蜂”のボーカル「アブちゃん」
どう聴いても女の子、
でも実際は男の子らしい。
女王蜂は日本のロックバンド
年齢、性別不明のアブちゃんがあやしく歌います。

キッチンから、
「お帰り、ゴハンどうする?」
ノリノリの妻の声が聞こえます。
女王蜂を聴いているのは、娘ではありません。
我が妻です。

一昨年、僕は妻と平井堅のKen's Barに行きました。
「やっぱり座ってゆっくり聴けて、
ドリンクまでつくライブはいいね、大人よね」
「ノリノリのライブはね・・・。」
「今度はジャズバーなんかもいいね」と話しました。
「部屋も落ち着いた雰囲気にして
『いい音』聴きながらすごすのもいいよね」

それなのに、現在、我が家に流れる音楽は、
“女王蜂”“ふぉ~りみてっどささびーず”
“わんおくろっく”“すーぱーびーばー”
“うーばー・・なんちゃら”
激しいロックが・・・。

昨年、妻は娘と渋谷に行きました。
その時たまたま、女王蜂の路上ライブがあったそうで、
その時、娘は妻に
「私は最前列に行くけど、
お母さんは絶対前の方に行ったらダメだからね」
と、言われていたのに・・・。
いわれた通り、最初は後ろに立っていたのですが、
後ろにどんどん人が増えてきて前に押され、
いつの間にか、前から六番目ぐらいになっていたそうです。
女王蜂が出てきて演奏が始まると一斉に周りの人が
手をあげてジャンプ、
妻が言うには、
「ここでは立っているだけの方が危ないから、
しょうがないから一緒にジャンプしたの、
おかげで疲れちゃったは・・・。」
その時はとってもいやいやそうに言っていました。

女王蜂のアブちゃんは
身体は男の子で心は女の子
トランスジェンダーらしいのです。
人間以外の生物にLGBTはあるのか?
★性別がない
細菌や単細胞生物にはそもそも性別がありません、
★環境によって雌雄が決まる。
ウミガメの性別は卵の時の温度で決まります。
温度が高くなれば雌になります。
★雌雄同体生物。
ウナギは成長過程で雄になったり雌になったりします。
カクレクマノミは生まれた時は全てオスで、
群れの中で一番大きいヤツがメスになります。
ナメクジ・ウミウシ・ミミズは1個体で両性を持っています。
★植物の性別
同一個体、同じ花の中におしべとめしべの両方の性を持っているものがほとんどです。
ほんの少数ですがイチョウやクワのように雄花や雌花を別の個体にもつものもいます。

地球上の多細胞生物の99%は植物、
そのほとんどが、同じ花の中におしべとめしべを持つ「両性花」
性別がある人間の方が少数派なのです。
LGBTを問題となる方が、
“マイノリティ”ということ

先日、妻は“ふぉ~りみてっどささびーず”
のライブに行きました。
ライブ後に感想をきくと、
2階席で見ていたらしいのですが、
「1階では人の上に人が転がっていた!」
興奮気味に僕に語りました。
「危ないよね」
あの目つきは、絶対興味がある目。
御願いです、あなたの年齢と体力を考えてください。
ライブに行くのはいいですが、
絶対「ダイブ」はダメ。
怪我します。

今度は女王蜂のライブに行くらしいのですが、
どんなお化粧していこうかなやんでいる様子、
行ってもいいですが、
普通のおばさんの化粧で行ってください。

以前の僕はユーロビート、ヘビメタ、ハードロック
などなど、重低音がきいた音楽が好きでした。
最近は出来るだけシンプルな音楽が好みに、
ジャズやクラシックにも興味が、
そこで、クリスマスプレゼントとして自分に、
ハイレゾ対応のちょっと高級なスピーカーを買いました。
部屋全体に優しい音が広がり、
柔らかく響くのがとってもいいのです。
大人のおしゃれな空間を作るためのスピーカー。
これでいい音楽を聴きながら、動物たちのお世話。

我妻はそんなスピーカーで、
重低音をドンドンきかした激しいビートをならしています。
寝る前に静かに音楽を聴くはずが、
女王蜂で寝ることに、
でも毎日聴いているとつい口ずさんでいる僕が、
来年ぐらいにはもしかして、
濃いめのお化粧で、チャイナドレス、ジュリ扇もって
2人でライブにいくのかも・・・。


<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
 〒143-0012 東京都大田区大森東1-5-2
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         日曜日は午後17:00までとなります。  
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カンチャンと茂雄さん



「先生、みなさん、おはようございます」
パナマハットをかぶり、上質なツイードのジャケット、
背筋のピンと伸びた、
とってもおしゃれなお爺ちゃんの声が病院に響き渡ります。
“茂雄さん”が柴犬の“カンチャン”を連れてやってきました。
カンチャンはリードを2本つけています。
1本は茂雄さんのベルトに縛り、
もう1本は右手で握っています。
受付の前に来ると、
茂雄さんはポケットから、
お金の入った封筒とメモ用紙を取り出し、
メモを大きな声で読み上げます。
「予防の薬、心臓のくすり、爪切り・肛門、お願いします」
自分の孫ぐらいの看護師さんに深々と頭を下げます。
そして封筒とメモ用紙を看護師さんに渡します。
封筒の裏には、
奥さんのやさしい字で
「足りないときは、次回もたせます。
 病院を出たら、私に連絡お願いします」
カンチャンは、茂雄さんの横に座り、
茂雄さんの顔をじっと見ています。

順番になり、診察室に入ってもらいます。
「カンチャン、元気ですか?」
少し耳も遠いため、僕ははっきりと大きな声でたずねます。
「はい 元気です」
「何か心配なことありますか?」
「ありません」
2人の大きな声が病院中に響きわたります。

茂雄さんは72才、
4年ほど前から物忘れが始まりました。
病院に来たけど、何しに来たか忘れてしまい照れながら帰ったことも、
一度は、茂雄さんだけきて、カンチャンがいない、
ビックリして外を探してみると、
自動車の行きかう交差点を
カンチャンがリードをずるずる引きずりながらポツポツと歩いてきました。
あわてて、病院に連れて行きました。
茂雄さんを見つけると、尻尾を振り振り、茂雄さんの横にお座り。
この時以降は奥さんと相談して、リードは2本、
1本はベルトに結びつけることにしました。

最近の茂雄さんは、だんだんと感情の起伏が激しくなり、
時々癇癪をおこすようになってきたそうです。
お嫁に行った子供の顔と名前も、忘れてしまったことも、
子供がたまに来ると「どちら様?」・・・。
「私のことも時々忘れ始めている」と、
奥さんはぼやいていました。
外出は必ず奥さんと一緒に出掛けるのですが、
動物病院に来るのだけは、カンチャンと2人で大丈夫だそうです。
カンチャンと一緒の時は、
怒ることが一切ありません。
いつもニコニコしています。
名前もしっかり覚えているし、
病院でもカンチャンと一緒だとしっかりしていました。
家でもカンチャンのゴハンとお水は茂雄さんがやっているそうです。

以前は、茂雄さんの前を元気いっぱい好き勝手に歩き回るカンチャンを、
茂雄さんがリードで引っ張って散歩をしていました。
今のカンチャンは散歩中の茂雄さんの横、
車道側にぴったりと寄り添い、
いつものコースを歩きます、
違う道に行きそうになると、
カンチャンはお座りをして動かず、
「ワン」の一言
正しい道を教えます。

ある朝、奥さんが庭の鉢植えに水をあげている時、
いつもは必ずかける玄関の鍵をかけ忘れてしまい、
茂雄さんが一人で、家から出てしまいました。
あわてて、奥さんが家の周りを探しますがどこにもいません。

そんな時、カンチャンも家を飛び出してしまいました。
奥さんはパニック、
近所のスーパー、海辺の公園を探しましたが、
2人とも見つかりません。
動物病院にも探しに来ました。
警察に届け出をして
警察、御近所さん、散歩仲間、みんなで探しました。
奥さんは家で待ってもらうことに、

いなくなって3時間ほどたった昼すぎ、
家でじっと待つことができない奥さんは、
玄関の前でオロオロしていました。
そんな時“ワンワン”カンチャンの声が、
声の方向を見ると、
カンチャンが、茂雄さんとお坊さんを引き連れて歩いてきました。

お坊さんの話によると、
お寺の境内で、
茂雄さんが「かんちゃ~ん、かんちゃーん」
名前を呼びながら、ウロウロしていたそうです。
大きな声と、はだしのままの茂雄さん、
お坊さんが心配になり声をかけると、
「カンチャンがいない・・・」と、
とりあえず、お坊さんの雪駄を貸して、
一緒にカンチャンを探しました。

そこに、大きな柴犬が走ってきました。
「カンチャン」
お父さんが呼ぶと
カンチャンは尻尾をブルンブルン振りながら、
お父さんのまわりをグルグル走り回りました。
「カンチャン、探したぞ」
お父さんはカンチャンの頭をナデナデ。

14年前の暑い夏の朝、
お寺の縁の下で“く~んく~ん”
やっと目が開いたばかりの子犬がないていました。
いつも境内でお参りしてから会社に向かうお父さん。
子犬を抱き上げると、チュウチュウ指を吸い出したそうです。
とりあえず住職さんに預け、会社に向かいました。
その日会社は早退、ペットショップでミルクと哺乳瓶を買って、
「かんちゃん」を迎えに行きました。

お寺は2人の散歩コースとなりました。
しかし、家から歩いて30分、
お寺に行くためには大通りを超えなくてはいけないため、
最近はお寺に来ることはなくなりました。

お坊さんは植木用の麻紐をリードの代わりにかんちゃんの首輪に結んで、
茂雄さんにもってもらいました。
カンチャンと会えた茂雄さん、
落ち着きを取り戻し少ししっかりしました。
そして、カンチャンが茂雄さんを引っ張りながら、
2人でお寺を出て行きました。
心配のためお坊さんも一緒についてきてくれたのです。

認知症と肝臓病のお父さん、
白内障で目があまりよく見えず、
心臓の病気のカンチャン。
毎日2人はお互いに助け合いながら散歩をしています。


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高橋くんとシャンパンとウーロン茶

最近の僕は、
世界最高級の“ウーロン茶を飲んでいます。
この時期、忘年会・新年会のお誘いが多く
宴会は好きなので参加しますが、
実は、下戸
ノンアルコールで過ごします。
僕の身体はアルコールを拒否します。
奥さんと焼肉や、居酒屋に行っても、
奥さんはチューハイ、僕はノンアルコールです。
僕の身体にはアルコールを分解する能力がないため、
酔って気持ちよくなる前に、気持ち悪くなってしまいます。
若かりし僕は、飲めば強くなると信じ、
吐いては飲みを繰り返してみましたが、
いっこうに強くなる気配はなく、
どんなに頑張っても、強くなることはありませんでした。
僕の適量、ほろ酔いはビールでコップ2杯ぐらいです。

お酒を飲むのは人間だけ❔
いやいや、アルコールを摂取する動物は結構います。
地球上でアルコールがもっとも強い生き物は、
“高橋くん(人間)”ではなく“ハネオツパイ”
尾に羽のようなものをつけた体長15cm程の、
リスのような、サルのようなとってもかわいい動物です。
ハネオツパイは自然発酵したアルコール度数3.8%の花の蜜を、
主食としています。
ということは毎食アルコールを摂取していることに、
高橋君だって平日は夕ご飯の時しか飲みません。

常に酔っている?
いやいや、
ハネオツパイはアルコールの分解能力がすごく発達していて、
全く酔いません。
高橋君は飲むと、ず~とブツブツ同じことを言い続けます。

お酒を飲むといっても、
基本的に果実や樹液などが発酵したものを食べることにより、
アルコールを摂取することになります。
高橋くんと違い、動物たちは酔って、楽しむために飲むのではなく、
たまたま生息地に発酵した食べ物があったため
食べるようになっただけ、
しかし、食べるたびに酔ってフラフラしていたら、
あっという間に天敵に襲われてしまうため、
アルコールを多く摂取する動物たちは、
強力なアルコール分解能力を持つように、
酔わないように進化したのです。

たまにしかアルコール度数の高い食べ物を食べない動物は酔います。
ヘラジカなどはリンゴが大好きなため、
時々、発酵したリンゴを食べるのですが、
新橋の高橋くんと同じように、
食べた後にフラフラになって木にぶつかったりもします。

野性のチンパンジーは自発的に酔うために酒を飲みます。
人間がヤシの樹液をとるために設置した容器の
樹液が発酵し酒になったものを飲みます。
そして、酔います。
実際、僕もストレスのたまった飼育下のチンパンジーに
日本酒を飲ませたことがありますが飲みます。
最初は日本酒の牛乳割りをあげたのですが、
一気に飲んでしまいました。
次は日本酒のままあげると、それもグイグイ飲みました。
飲み終わるとフラフラと千鳥足、麻袋をかぶり寝てしまいました。

昨日も新年会がありました。
1次会は居酒屋でおいしいお刺身と土手鍋、
乾杯のビールを1杯だけ飲みました。
フワフワした気分で、たのしい会話とおいしい料理を楽しみました。
次は2次会、参加者は5名。
僕の身体のアルコールの許容量はもういっぱいのため、
ウーロン茶を頼みました。
お腹もいっぱいのため、おつまみも食べません。
ハイボールを続けて4杯ほど飲んで絶好調の高橋くん、
お店の人の「シャンパンでお祝いしよう」の一言に対し、
「いいよ、持ってきて」

“あ~言っちゃたよ!” 僕の心の声

僕の前にも細長いシャンパングラスが置かれました。
そして、いつの間にかグラスの中に シュワシュワの飲み物が。
僕は飲めません。隣の人にそっと上げます。
僕はウーロン茶をもう一杯頼みました。
合計2杯のウーロン茶を飲みました。
会計を見てびっくり!
世界最高級のウーロン茶を飲むこととなりました。
来週も高橋くんとサントリーの最高級、ウーロン茶を飲みます。




<五十三次どうぶつ病院  北澤 功>
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2018.12.28_17:24

猪突猛進


イチョウの葉が黄色く色づき始めると、
いよいよ楽しみな収穫の季節、
僕は鍬とスコップをもって畑に向かいました。
あれ、何か変、
今までは畑一面を覆っていた葉っぱと蔓が、
ずたずたに切れて茶色い土が見えていました。

昨日、葉っぱが枯れ始めたので、
そろそろかなと試し堀をすると、
ソフトボール大から2リットルのペットボトル大の
見事なサツマイモが採れました。
僕は畑を借りてサツマイモを作っていました。
「明日はいよいよ収穫だ!」
朝日とともに起き、鍬とスコップを持ち畑に向かいました。

畑を目の前に僕は立ち尽くしてしまいました。
畑は見事に掘り起こされ、
サツマイモが盗まれていたのです。
苗を植え4か月、
お芋に栄養が行くように試行錯誤しながらの肥料、
日照りの時は近くのため池からのバケツでの水やり、
立派なお芋ができていたはずなのに、
収穫の喜び、
焼き芋好きの愛する奥さんの笑顔、
冬の薪ストーブでの焼き芋、
全てが奪われてしまいました。

憎っくき泥棒め!
絶対捕まえてやる。
畑で泥棒の証拠を見つけるための捜査を開始しました。
畑には小さな小山がいっぱいできていました。
これだけのパワー、複数犯だ、
足跡らしきものが、
特殊な靴を履いているのか、
Vの字の足跡、
畑で捜査活動をしていると、
近所のおじさんが軽トラック止まりました。
「お前のところもやられたか・・・。」
「おじさんのところも?」
「俺の所は電気柵やっているから大丈夫」
「隣の畑は全部食われちまった」
食われた?
「生で?」
「当たり前だろ・・・。」
「猪が火を使うわけないだろ」
「猪!」
犯人は猪でした。

日本に生息する猪は、
本州・四国・九州の日本猪と、
奄美大島や沖縄の琉球猪です。
近年豚の交配によって生まれた猪豚も増えてきました。

猪と人間の戦いは、
はるか昔、人が作物を作りだすとともに始まりました。
日本人も猪から畑を守るため
猪垣を作るなど対抗してきました。
その猪たちが最近生息数を増やし、
生息地も山間部だけにとどまらず都市部にも出てきて、
人間たちを驚かしています。
我が畑のある場所も、
以前は、猪がいませんでした。
雪が降る地方には生息できないのですが、
最近の温暖化により生息地を北に広げ、
僕のサツマイモ畑の周辺でも暮らし始めたのでした。

猪突猛進
とにかく運動能力がすごい
猪は直進しかできないかというと、急な方向転換もできます。
しかし、100kg近い体で、時速45kmで野山をかけめくるため、
猪突猛進のイメージができました。
ジャンプ力もすごく助走なしで1.2mぐらいはらくらく飛び越えます。
助走をつけたらもっともっと飛び越えます。
噛む力も強く、噛まれると指ぐらいなら簡単にかみ切られてしまいます。
そして、とにかく鼻がすごい、
鼻が強く鼻先だけで70kgの物を軽々持ち上げます。
この鼻を使い硬い地面でも穴を掘ります。
それなのに先は柔らかく、鼻を左右上下に自由に動かすことができます。
視力は弱く視力0.1もありません。
餌や敵の発見も嗅覚に頼っています。

そんな大きく強い猪も、
実は怖がりの小心者、
非常に神経質で、見慣れないものなどは出来るだけ避けます。
本当は昼間に行動するのですが、人に会わないように
夜に行動したりします。
そして、人と出会ってしまったときは
基本逃げようとするのですが、
近い距離で突然出会ってしまったときは、
背中の毛を逆立てて、クチャクチャと謎の音を発し、
後ろ脚で土を蹴り上げ“猪突猛進”の準備、
一気に体当たりをしてきます。
100kgの時速45km、まともにぶつかると飛ばされて大けがとなります。

翌年、猪と僕の戦いの始まりです。
サツマイモの苗を畑に植え付けた後
畑を見ながら、僕は考えました。
石を積み上げ猪垣でも作ろうか、
電気柵で回りを囲おうか、
それともワナを仕掛けようか、

そんな時、近くの林から何かまん丸のフォルムの動く生き物が顔をだしました。
それも8匹も、
30~40cmほどで垂れた目
上を向いた小さな鼻、
大きな耳とふかふかの毛、
背中の縞模様、
短い脚で“ぴょこぴょこ”と
みんなでぶつかりながら走っています。
可愛い
うり坊です。
その後ろから70kgはありそうな大きなお母さんが出てきました。
猪の家族です。
僕のサツマイモがこの“うり坊”たちになったのでした。

長野にいた時の僕と猪の思い出です。




年末年始休診のお知らせ


12月30日(日)~ 1月4日(金)は休診となります。


臨時休診のお知らせ

2月10日(日)
都合により休診いたします。