もうずいぶん前の事です。
Jさんは、笑顔が印象的な仕事が好きな人でした。
数ヶ月前より右の背中が痛くなって近くの病院を受診しました。
胸のレントゲンを撮ると5cm程度の塊があると言われて紹介されてきました。
Jさんは、20過ぎからずっと会社勤めをしてきました。
定年になったときも会社からもう少し働いてくれと言われ、会社で決まっている定年より5年長く働いてリタイヤしたそうです。
好きでやってた仕事なので全く苦にならなかったそうです。
そして、リタイヤして1年経たない間に入院する事となってしまいました。
入院時に、肺がんの可能性があります。と説明しました。
Jさんは、『しゃあないな、タバコたくさん吸ってきたもんな。』とつぶやいています。
『先生、隠さんと全部話ししてや。』
気管支鏡検査などを行い4期の肺がんである事がわかりました。
JさんとJさんの家族に病名、治療法、平均的な余命が1年程度であることなどをお話ししました。
Jさんは、ある程度覚悟していたとはいえ相当ショックな様子でした。
『今まで、仕事ばっかりしてきて、好きでしてきたから後悔はせえへんけど。
しかし、仕事やめてのんびりしよ思てた矢先やな。
まあ、うまいこといったら2年3年生きられるんやんな。』
『その通りです。Jさんが今後どうなるかは誰にもわかりません。治療が効果的であれば、もっとのびる可能性がありますから。』
うかない顔をしたJさんでしたが、しばらくすると素敵な笑顔が戻ってきました。
『先生、やっと悟りを開きましたわ。
「あきらめ半分、前向き半分」ですわ。』
それから、抗がん剤治療を受けられました。
しんどい想いをしたけど、非常に効果がありました。
退院後は充実した人生を謳歌されたようです。
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短い言葉の中にJさんの気持ちがぎっしり詰まっていました。
忘れられない言葉の一つです。
去年の最後のエントリーでした。
ホントに味のある、深い言葉ですね。
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