何日かで1知識 「政府は必ず嘘をつく」③
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「政府は必ず嘘をつく」③



「政府は必ず嘘をつく」(堤未果著、角川マガジンズ)より


 第2章  「違和感」という直感を見逃すな

  「私の国であれだけ政府に都合がいい報道をさせようとしたら、ジャーナリストを拷問することになるでしょう。いったい日本政府は、どんは方法を使っているのですか?」  --ジプロー・トーブ(ロシア人ジャーナリスト)


  従順な人間を作る教育ファシズム

 「アメリカの<失われた10年>で元も打撃を受けたのは、何と言っても<公教育>です」

 「9・11以降、政府がすすめてきた教育改革は、強力に規格化された点数至上主義と厳罰化による教育現場の締め付けでした。<恐怖>は国民を萎縮させ、統制するのに有効なツールです。テストでいい点数を取れなければ、生徒は学校から切り捨てられ、教師は無能だとして処罰される。効果はあったようです。その結果、皆が怖がってモノを言わなくなってきましたから」

 「現場をまるで理解していない政府は、<国際的に通用する人材>と<落ちこぼれ>の二極化が、インセンティブを生むという。ですが、学力を全て数値化する点数至上主義は、教育から多様性を奪うのです。生徒の好奇心や批判的思考、物事の根拠を追求する姿勢や正当性のない権威に抗議するような姿勢を圧殺することにつながる」

 「子供たちは自分の頭でものを考えなくなる。<改革>というと何か希望をもたらす印象を受けますが、実態は新しいタイプのファシズムです。これは生徒だけではなく教員も同じです。私たちは地域の人々や親たちではなく、政府が管理する共通テストだけで評価されるようになった。点数を上げるノウハウを除いて、教師にとって授業内容を深める工夫をしたり、学校の教育方針に意見を言ったりする自由はなくなりました。私が高校生だった頃のように、もっと本を読むように勧めてくれる教師は激減してしまったのです」

 「サッチャー首相が、やはり市場原理ベースの教育改革をやって失敗しています。イギリスの教育現場は荒廃し、学力は伸びなかった。<落ちこぼれゼロ法>はサッチャー改革の失敗から学ぶどころか、むしろさらに内容を過激にしたのです」

 大阪府の<教育基本条例>の内容を伝えると、ポールは驚いたように言った。

 「教育を“商品”に、子供たちや保護者を“消費者”にし、テストの点数というサービスを提供できない教師は処分され、結果が出せない学校は売り上げの悪い店舗のようにつぶされてゆく。これは今まさに、アメリカのあらゆる分野で行われていることと同じです」

 大阪の橋下視聴を「ファシストだ」と批判する声も少なくない。だが、本当にそうだろうか。人間の歴史を振り返れば、ファシズムを産み育てるのはいつだって大衆の無知と無関心だ。


 日本でも2010年の尖閣諸島問題をきっかけに、外交、防衛、治安の幅広い分野で、安全保障に関わる情報を「特別秘密」とし、公務員等による漏えいに厳罰を科す「秘密保全法案」が持ち上がっている。民主党政府が2012年の通常国会に提出する予定の同法案が通過すれば、国民の知る権利や取材の自由は大きく規制されることになる。

 「言論の自由の統制は、もはや全体国家だけで起こるものではありません。グローバル経済が拡大するほどに、効率化を阻む多様性を抑圧する動きは、ますます世界で同時進行してゆくでしょう。それを理解するために、海の向うで起きている点と点をつなぐのです。政府は言論と表現の自由の最後の砦であるインターネットを検閲できるように、管理下に置こうとしている。そしてその背後には、99%である私たちと逆側の人々がいます」

 アメリカの<愛国者法>は他人事ではないのだ。この10年でアメリカ国内に起きたことの数々は、違和感という直感を見逃し続けたことの積み重ねだった。それらの例は、政府によってこっそりおかしな監視法案が通されないよう、決して政治から目を離さないことの大切さを私たちに警告していくれている。


>>無知と無関心に陥ることなく、また違和感という直感を見逃さないようにしたい

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