著しく不適当な価額時の国税庁長官の指示?
【 相続対策:最高裁判決「借入金・不動産投資・相続税対策 】
以下は、2022年4月の最高裁判決『相続対策「借入金で不動産投資」を却下』からの一部抜粋。(出所:https://diamond.jp/articles/-/305730)
< 事案 >
高齢の企業経営者が、8億円超(うち信託銀行からの借入額6.3億円を充当)および5.5億円(同4.25億円)の不動 産を相次いで購入したという事実に対し、借入金によって高額の不動産を取得した場合は相続財産の圧縮により相続税の減免が可能かどうかを争ったケース
< 論点 >
納税者側が相続税路線価を基に申告した合計評価額は約3.3億円、これに対して国税側が主張した金額(鑑定評価 額)は約12.7億円であり、その評価額および相続税納付額を不服とする納税者側が国税当局を相手取って訴訟を提起
< 判決 >
裁判の結果は、訴訟以前の国税不服審判所、一審の東京地裁、二審の東京高裁に続いて最高裁でも納税者側の主張 が認められず、完全敗訴。その結果、納税者側の申告および主張は課税価格2826万円で相続税ゼロ円だったが、更正処分(納税者の提出した 申告書の内容に誤りがあると判断された際に求められる修正申告に応じなかった場合に税務署が納税額の修正もしくは決定をする手続き)によって、課税価格約8.9億円、相続税約2.4億円の賦課決定処分が確定
「著しく不適当」になりうる七つの事例とは
1.相続発生3年以内(36カ月以内)に購入した金額の大きい不動産であること
1988年に、租税特別措置法に相続開始前3年以内に取得した不動産は取得価額によって評価するという特例が新設(その後廃止) されたこともあり、取得3年以内というのがおよその目安とされている模様
2.相続開始後間もない時期に売却していること(36カ月以内が目安)
相続税納付後3年以内に売却して現金化するといったケース
3.借入金の完済予定日が購入者の平均余命を大きく逸脱していること
4.購入者が近い将来相続の発生が予想されるような高齢者であること
3および4はいずれも被相続人の“年齢要件”。3は借入金で購入する場合、4は自己資金で購入することを想定
5.主たる購入原資が借入金であること
自己資金ではなく、わざわざ借入金で購入することの合理性の確認
6.路線価算定で相続税評価額が市場価格の50%以下となるような不動産であること
タワーマンション節税などが典型的
7.当該不動産購入に“相続税逃れ”以外の合理的な目的が見当たらないこと
総合的に判断して相続税の軽減を主目的とした売買であるとしか考えられないと認定されるケース
< 評価通達6 >
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/01/01.htm
(この通達の定めにより難い場合の評価)
この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。
<感想>
今後、相続税評価価額が著しく不適当とされて、国税庁長官の指示に基づいた評価事案が増えるものと思われる。
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