資本配分を頻繁に変更して危機に備える?
「マッキンゼーが予測する未来 近未来のビジネスは、4つの力に支配されている」(リチャード・ドッブス他著、ダイヤモンド社)
以下は掲題書からの一部抜粋。
第2部 直観力をリセットするための戦略思考
第8章 労働力需給のギャップを解消する
ーー技術革新が生み出す新たな労働市場のミスマッチ
成熟経済化では、就業機会の増加の大半は複雑な問題解決「インタラクション」業務であり、同じルーチンを繰り返す生産および定型的「トランザクション」業務ではない
2001年から2009年にアメリカで生まれたタイプ別就業機会
問題解決「インタラクション」職種 +480万人
複雑な問題解決、経験、文脈の理解が必要な対話を要求される
(例:弁護士、医師)
定型的「トランザクション」職種 ▲70万人
顧客とのやりとりを台本に記述、ルーチン化、自動化が可能
(例:銀行の窓口担当、小売業のレジ係)
生産型職種 ▲270万人
物理的原料・素材を最終製品に加工するプロセスを実施する
(例:工場労働者、農業従事者)
今後、世界には高度なスキルを持つ労働者が不足し、
一方で低スキルの労働者には就業機会が不足する可能性が高い
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今から10年後も私たちが同じ産業で、同じポジションで、あるいは同じ企業で働いているだろう、と確信を持って言える人は一人もいないのではないだろうか。今新たに創造され、生まれたばかりの産業には、私たちには今日理解できないスキルや能力が要求されることだろう。そして、最新のトレンドと技術にただ追いついていくためだけに、不断の教育の継続と各種スキルの維持が必要なのだ。
第9章 小魚がサメに変貌するとき
──新たな競合の出現と競争のルールの変化
2025年までに、フォーチュン誌によるグローバル500社中、ほぼ230社が新興地域の諸国の企業になると思われる。
2013年には、この数は130社であった。
新興国企業は、先進国企業に比べ、
世界中のどの市場でも高い成長を達成している
惰性に陥ることを避けよ
この「競争の新時代」には、企業経営者はこれまでよりもっと敏捷にならなくてはいけない。経営者は、現状維持に陥ることを警戒し、新しいスキル、とくに資本の配分と技術に関するスキルを磨かなくてはならない。
事業の拡張と自社の競合の監視にとどまらず、資本配分とその有効活用にも敏捷になれるよう、自己を訓練しなければならない。事実、私たちが発見したのは、毎年資本配分を変更し、敏捷性に関して高い成績の企業は、リスクを大幅に低減させているということだ。1600社を超える企業のデータを調査したところ、敏捷性、すなわち頻繁に資本配分比率の変更を行う点で上位3分の1に入る企業の株主へのトータルリターンは、毎年資本配分を固定している敏捷性低位グループの企業よりも、30%も高かったのである。
<感想>
現状維持に陥ることを警戒し、資本配分と技術に関するスキルを磨いて、外からの危機に備えなければなるまい。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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