何日かで1知識 2023年10月
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取締役会は単なる会議体?

 

【 取締役会の機能:しょせん会議体なのか 】

 


 2023/10/29の三井住友信託銀行名誉顧問・高橋温氏の「私の履歴書」に、社外取締役の役割についての以下内容が掲載されていた。

 


『長年の取締役の経験、注力した「日本取締役協会」の活動から、取締役会の機能、社外取締役の役割について少し私見を述べたい。

 

今日、多くの企業で取締役会が執行と監視を兼ねているのは疑問だ。取締役会はしょせん会議体であり、物事を推進・遂行する力はない。その基本的役割は、社長の選解任、経営戦略、内部統制、業績評価等の決定に対するモニタリング(監視)である。

現在、上場企業の大半は監査役会設置会社か監査等委員会設置会社であり、取締役会をモニタリング・ボードと明確に位置付ける指名委員会等設置会社は90社程に過ぎぬ。

 

「社外取締役を主たる構成員とする取締役会の監視機能への特化」を会社法が打ち出すべきではないか。

 

CEO(最高経営責任者)選びに際した社外取締役の自覚と見識は重大となる。

 

CEOの多くが内部昇格者だが、その選定において「理想のCEO像」から逆算し「万遍なくキャリアを積んでいる」「海外経験が豊富だ」「人柄も良い」といった基準を設け、これを満たす人材を選びがちだ。実はこれが最も良くない。CEOは学校秀才を選ぶのとは全く異なる。

 

問われるのは会社の社会的存在意義を常にアップデートする「構想力」であり、新たな市場と顧客の開拓に挑戦する「志」であり、その思いをステークホルダーに訴求する「発信力」であろう。』

 


<会社法>
(取締役会設置会社の取締役の権限)

第三百六十三条 次に掲げる取締役は、取締役会設置会社の業務を執行する。

一 代表取締役

二 代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの

 

2 前項各号に掲げる取締役は、三箇月に一回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない。

 


<感想>
恐らく長年の信託銀行での経験からの「取締役会はしょせん会議体」との発言であろうが、業務執行の報告の場としての取締役会は、本来、単なる会議体以上のもっと重要な位置付けのように思われる。

 

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法令諸規則を知るメリット?


【 ゼイチョー:税金滞納者の権利 】

 


 この秋のドラマの内、『ゼイチヨー「払えない」にはワケがある』を観ている。
https://www.ntv.co.jp/zeicho/

 


 以下は、講談社コミックプラスのWebサイトからの一部抜粋。
https://news.kodansha.co.jp/20160613_c01

 


知っていれば助けになるはず

作者である漫画家の慎結(しん・ゆい)さんは、数年前に納税の仕事を手伝ったことをきっかけに、この漫画の構想を得たという。

 

「行政のサービスは国民の守られた権利なので、もっと使った方が良いのに、なかなか知る機会が少ないのは残念」と語る。そして「納税について知っていれば役立つことが多いので、例えば義務教育で確定申告まで教えるなど、積極的に税金について教えてくれる場ができ、自然と知識が身に着く環境ができたら理想的だと思います」と続けた。

 

『ゼイチョー!』に登場する滞納者たちは、さまざまな権利を知らなかったがために苦労をする人たちばかりだ。


たとえばアルバイトをしながら病気の母親を扶養する浅川は、扶養控除と医療費控除を知らず、高い税金を納めていた。そんな浅川に対して華子は「更生の請求」、確定申告のやり直しをすすめる。控除分を再計算して所得に合った税額を割り出し、過払い分については返還される。

 


徴税吏員は税金を徴収するだけの存在ではなく、個人の経済状況や事情を総合的に判断して、適正な額の税金を納める方法を一緒に考える税金のプロなのだ。

 

読者からは「税金について知ることができてうれしい」という感想が多く寄せられるという。同じくらい多いのが、「市役所や公務員に対してのイメージが変わった」という感想だ。


はじめて滞納者の自宅を訪れた華子は、「納税課です」と名乗ろうとして先輩吏員にたしなめられる。滞納者の立場をおもんばかった細やかな配慮など、一般には知らない人が多い事実も多く、とても興味深い。

 


困窮した母子家庭で育ち、税金の未納に伴う行政の強制執行を受けた過去が華子という人格をつくり、税金のプロになる道を選ばせた。
「公務員なめんなよ」という啖呵は「私はあなたを支えたい。だから遠慮なんてせずに頼って欲しい」という意思表示なのだ。

 

華子が提案する方法はすべて実際にわれわれ国民が持つ権利ばかり。妻を亡くした夫への控除「寡夫控除」など聞きなれないものも登場する。制度や知識が、そして何よりそれを扱う人間が、人を救うこともあると思わせてくれる一作だ。

 


<感想>
税金のみならず、法令諸規則等を知ることで、メリットを享受できる可能性は高まるため、常にアンテナは高く保っておきたいように思う。

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MoM要件での決議は事案次第?

 

【 東京機械製作所:MoM要件の決議 】

 


東京機械製作所事件:3か月弱の期間で約4割の株式を取得したADCらによる「利害関係者を除く78.96%の株主の賛成をもってADCらの買収防衛策の発動(新株予約権の無償割当て)の差止め」の訴えは認められなかった事案

 

 以下は、東京機械製作所事件のマジョリティー・オブ・マイノリティー(MoM)について、添付Webサイトからの一部抜粋。(その2)
https://www.jpx.co.jp/corporate/research-study/research-group/cg27su00000086b6-att/20221125_1.pdf

 


3.本件で MoM要件による決議を選択したことの当否

(1)問題の所在

我が国の判例法理が採用する判断枠組みは、原則として、勧告的決議を含む株主総会決議を通じた多数株主の意思が買収防衛を是とする場合に買収防衛策の必要性を認めるというものであるため、当該事案の下で株主総会決議を通じた株主意思の適正な発現であると評価できる場合には、利害関係者が保有する株式の議決権行使を認めずに集計された決議、すなわちMoM要件による決議であっても、その内容を裁判所としては尊重すべきということになるからです。

 


(2)ADCらによる株式買い集めの手法とMoM要件による株主意思の確認

この問題を考えるに当たり本件で特に注目すべきであると思われる事情は、本件の原審決定及び抗告審決定においても詳細に認定されているところではあるのですが、短期間に市場内で東京機械製作所株式の約4割を買い集めたADCらの買収手法であるといえそうです。

 

プラスアルファの事情として、株式の買い集めの手法に問題があることなどを理由に、当該買収者に売却された株式については必ずしも買収に賛同して売却されたわけではないということが、MoM要件の採用を正当化するためには指摘される必要があると考えます。

 

そのように考えますと、ADCらが市場内で買い集めた東京機械製作所株式について、当該株式の元株主、すなわち売主がADCらによる買収に賛同しているから当該株式を売却したと一般に推認することは必ずしも適切ではない事案であるということができますので、当該株式について株主総会でADCらが買収防衛策に反対する方向で議決権行使をすることを認めるべきではないという議論が成り立ち得るように思われます。

 

強圧性が相当程度認められる状況下で買い集められた株式であると解されることからすれば、買い集められた株式の全てについて、買収者による買収を是とする方向での(すなわち買収防衛を否とする方向での)議決権行使を認めることは、多数株主の意思の適正な発現を阻害する要因であって、適切ではないと考えることができるからです。

 

そうしますと、本件の原審決定及び抗告審決定は、ADCらによる株式の買い集めにおける強圧性の存在やその程度を中心的な理由として、利害関係者が保有する株式の議決権行使を認めない形で集計された株主総会決議であっても、その内容を裁判所としては尊重すべきという立場を示していますが、妥当な判示であると評価できるとともに、そのような立場は、従来の我が国の買収防衛策を巡る判例法理及びその背後にある考え方からしても異質なものではないと解されます。

 


(3)市場内買い集め(一般)とMoM要件による株主意思の確認

本件では、原審決定及び抗告審決定において、MoM要件による株主意思確認決議が是認されましたが、これまで見てきましたように、本件の敵対的買収者、すなわちADCらによる株式の買い集めの態様の特殊性とその評価に起因して、買収防衛策の発動を巡る株主意思確認決議においてADCらの議決権行使を認めないという対応が正当化されると考えられる点には、やはり十分に留意する必要があるように思われます。

 

ですので、市場内で株式を買い集めるタイプの買収については強圧性が認められるからMoM要件による決議が正当化できるという議論は、そこまで一般化して理解することには疑問の余地があるようにも思われまして、私自身の立場としては、あくまで事案次第で考える必要があるのではないかと考えています。

 


<感想>
「市場内で株式を買い集めるタイプの買収=強圧性が認められる⇒MoM要件による決議が正当化できる」という一般化には疑問で、あくまで事案次第という意見に賛成だ。

 

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利害関係者の議決権は認めない?

 

【 東京機械製作所:利害関係者の議決権 】

 


東京機械製作所事件:3か月弱の期間で約4割の株式を取得したADCらによる「利害関係者を除く78.96%の株主の賛成をもってADCらの買収防衛策の発動(新株予約権の無償割当て)の差止め」の訴えは認められなかった事案

 

 以下は、東京機械製作所事件のマジョリティー・オブ・マイノリティー(MoM)について、添付Webサイトからの一部抜粋。(その1)
https://www.jpx.co.jp/corporate/research-study/research-group/cg27su00000086b6-att/20221125_1.pdf

 


最近の買収防衛策を巡る動向(2)-富士興産事件、東京機械製作所事件-


東京機械製作所事件

 

1.事案の概要と裁判所の判断

東京機械製作所事件の事案の重要な特徴としましては、1)ADCらによる東京機械製作所株式の短期間での株式の買い集め、具体的には3か月弱の期間で約4割の株式を買い集めたという事案だったわけですが、この短期間での大量の株式の買い集めは、公開買付けを通じて行われたのではなく、市場内での買い集めであったこと、

 

及び2)当該無償割当ての実施の是非を判断する株主総会において、ADCら及びその関係者と東京機械製作所の取締役及びその関係者(以下、これらの者を総称して「利害関係者」といいます)の議決権行使は認めないとされていたことが挙げられます。

 

すなわち、いわゆるMoM要件による決議が選択されたという点が、重要な特徴の一つであると考えられるところです。

 

なお、2021年10月22日に開催された東京機械製作所の臨時株主総会では、2)に掲げた利害関係者を除く形で出席株主による議決権行使結果を集計したところ、78.96%の株主の賛成をもって本件対抗措置の発動(当該無償割当ての実施)は承認されています。

 


2.MoM要件による株主意思の確認と勧告的決議

東京機械製作所事件における最大の争点は、買収防衛策の導入・発動の是非を判断する株主総会決議において、敵対的買収者であるADCら及びその関係者と買収対象会社である東京機械製作所の取締役及びその関係者、すなわち利害関係者が保有する株式の議決権行使を認めない形で行使結果の集計をした東京機械製作所の対応が許容され、買収防衛策の導入・発動を巡る同社の株主総会の判断を、ブルドックソース事件最高裁決定に代表される我が国の判例法理に従い、裁判所として尊重してよいかどうかという点にあると考えられます。

(次へ続く)

 


<感想>
本件は、2年前の臨時株主総会で、利害関係者を除く出席株主の78.96%の株主の賛成をもって買収防衛策(対抗措置の発動:当該無償割当ての実施)が承認された事案。
当該買収者に市場売却された株式は必ずしも買収に賛同して売却されたわけではないから、当該議決権を除くという理屈は納得できる。

 

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コスモHDが改めて株主総会で決議?


【 コスモHDの株主総会:MoM ⇒ 普通決議 】

 


 2023/10/25、日経電子版に、「コスモ買収防衛策決議へ12月株主総会 村上世彰氏に対抗」記事が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC241J50U3A021C2000000/

 以下は一部抜粋。

 


6月の株主総会で買収防衛策を決議した時は村上氏側を除いた株主で決める「マジョリティー・オブ・マイノリティー(MoM)」を採用したが、今回は普通決議にする。コスモは「村上氏側が(手続きに従って)趣旨説明書を提出していることなど総合的に勘案した」と変更した理由を説明した。

 


ご参考)東京機械製作所事件
https://www.jpx.co.jp/corporate/research-study/research-group/cg27su00000086b6-att/20221125_1.pdf

 


<感想>
東京機械製作所とは前提が違うため、コスモHDは、MoM(6月)だけではなく、改めて普通決議(12月)も実施することにしたものと思われる。
MoMについては、明日以降、改めて触れてみたい。

 

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準共有株式の株式売渡請求?


【 同族会社株式の相続:株式の準共有と会社法 】

 


 本日は、昨日の著者・仲卓真氏の添付資料からの一部抜粋。

 


京都大学博士(法学)(当時)仲卓真
株式の準共有関係と会社法106条に関する規律―主に事業承継の場面を中心に―(Digest_要約)
2018-03-26(出所:https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/232193/2/ghogk00215.pdf)

研究課題名:同族会社の株式の相続に関する会社法上の諸制度の検討
(出所:https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-19K20854/19K20854seika.pdf)

 


1.株式が共同相続された場合における当該株式の帰趨

 まず、株式が共同相続された場合に、当該株式が、複数の共同相続人間で準共有されるのか、当然に分割されるのかという議論を扱う。この議論についての本論文の立場は、この場合に当該株式が複数の共同相続人間で準共有されるというものである。

 

 その理由は、次の2点にある。第1に、少なくとも権利帰属の客体としては一株の株式が単位となり、その一株の株式ごとに共同相続されることになるところ、その一株の株式は、株式の不可分性によると、複数の共同相続人間で分割されることはない。第2に、共同相続された株式を遺産分割の対象に含めることを優先するべきである。

 


2.会社法106条の目的
 準共有者による一体的な権利行使の確保、および、準共有者間の内部関係の不明確性からの会社の保護であると考えられる。

 


3.各準共有者による不統一行使
 複数の準共有株式についての議決権が、同一の準共有関係の下で全体として集合的に取り扱われることを前提として、そのような議決権については、民法264条による準用の際に、原則として、民法252条は適用されず、民法249条に基づいて準共有持分の割合に応じた使用をすることができる。そして、各準共有者は、このような準共有者間の内部関係の規律に基づいて権利行使者に対して不統一行使の指図をすることによって、権利行使者を通じて会社に対して議決権を不統一的に行使することができる。

 


4.今後の課題
 相続人等に対する株式売渡請求制度は、相続人等に株式の売渡しを請求することによって株主構成に変更をもたらすことになるものであるところ、そのような制度について検討するためには、同族会社にとってどのような株主構成が望ましいのか、同族会社の支配権を誰に与え、どのように分配するべきなのかというような点を検討することが必要である。

 


民法
(共有物の使用)
第二百四十九条
 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

 

(共有物の管理)
第二百五十二条
 共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。

 

(準共有)
第二百六十四条
 この節の規定は、数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する。ただし、法令に特別の定めがあるときは、この限りでない。

 


会社法(共有者による権利の行使)
第百六条
 株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。

 


<感想>
同族会社の準共有株式について、有力な不統一行使説をベースに、株式売渡請求制度等の活用が有効であるように思われる。

 

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準共有株式の不統一行使説


【 株式の相続:株式の準共有 】

 


 日本証券業協会のWebサイトに、添付資料が掲載されていた。
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/202310nakayouyaku2.pdf

 以下は一部抜粋。

 


2023年10月
「株式の相続―株式の準共有を中心に」
第8期 客員研究員 大阪公立大学大学院法学研究科 准教授 仲 卓真

 


1.準共有株式についての権利の行使を規律する会社法106条本文の適用範囲について

 

最高裁は、会社訴訟を提起する権利についても会社法106条本文が原則として適用されると判示しているものの、従来の学説では、会社訴訟を提起する権利については会社法106条本文が適用されないという見解も主張されていた。

 

これに対して、近時の会社法理論では、このような従来の学説の理由づけが説得的ではないことが示されるとともに、会社訴訟を提起する権利が裁判所を介して行使されるという理由から、この権利について会社法106条本文を適用する必要がないことを基礎づけることができるということが明らかにされた。

 


2.会社法106条にいう権利行使者の指定の方法について

 

従来、準共有者の全員一致によってのみ権利行使者を指定できるという見解も主張されていたものの、判例および多くの論者は、準共有者の準共有持分の過半数によって権利行使者を指定できると考えてきた。

 

これに対して、近時の会社法理論では、共有物の保存行為に準じて各準共有者が単独で権利行使者を指定できるという見解が主張されている。この見解に対しては、単独での権利行使者の指定が競合した場合にはどの指定が優先すると考えるのかというような疑問もあるものの、この見解は、準共有株式についての議決権の不統一行使の実効性を確保する方途の一つを示すものとして今後更に検討されるべき可能性を有している。

 


3.準共有者の権利行使に係る意思決定の方法について

 

従来は、民法の共有に関する規定がそのまま適用され、例えば、準共有株式についての議決権の行使に係る意思決定は、 特段の事情のない限り、民法252 条1項により、準共有者の準共有持分の過半数で決すると考えられてきたものの、準共有株式についての議決権の行使に係る意思決定において各準共有者がその準共有持分の割合に応じた不統一行使を主張できるという見解(以下「不統一行使説」という)も主張されていた。

 

そして、近時の会社法理論では、このような不統一行使説がより円滑な事業承継の実現という観点からも基礎づけられると主張されているとともに、不統一行使説を実現するための法的構成として2つの見解が主張されている。

 


民法
(共有物の変更)
第二百五十一条
 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)を加えることができない。

 

(共有物の管理)
第二百五十二条
 共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。

 

(準共有)
第二百六十四条
 この節の規定は、数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する。ただし、法令に特別の定めがあるときは、この限りでない。

 


会社法(共有者による権利の行使)
第百六条
 株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。

 


<感想>
近時の会社法理論では、準共有株式について、不統一行使説が有力なようなので、50%超押さえれば問題ない(議決権100%行使可能)という考えは危ういように思われる。

 

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臨時国会での税法改正?

 

【 臨時国会:税法改正+補正予算 】

 


 2023/10/23、高橋洋一さんが、現代ビジネスで、『「増税メガネ」岸田首相の「失策」がここで連発…所得税減税でブレブレの自民党』掲載された。
https://gendai.media/articles/-/118113

 以下は一部抜粋。

 

 

自民党はブレブレ


10月1日、森山総務会長、減税なら「国民の審判仰ぐ必要」と、減税解散を示唆した。世耕参院会長や自民党内の若手・中堅の積極財政を求めるグループの減税を求める声に呼応した形だ。

 

しかし、その後財務省からの巻き返し強くマスコミを通じた反論が多くなり解散風が止むとともに、公明党の山口那津男代表は12日、所得税減税について税制改正を伴うものは年末の税調の議論を経て法改正した上で実行するとした。

 

15日になると、森山総務会長は所得税減税について慎重対応とし、財政規律を重視する立場からけん制した。

 

しかし、22日の衆参補選を睨み、これでは分が悪いとみるや、19日、岸田首相が所得税減税自民・公明両党に検討指示した。

 

これだけみても、所得税減税で自民党がブレているのがよくわかる。

 


ただし、筆者としては、この間の減税論争には不満がある。政策作りの常識として、まず今の財源精査がある。2021,22年度の補正後税収見通しと税収実績の差、23年度の税収見通しとそこからの上振れ見通しを全て合算すると15兆円程度。それに安倍・菅政権の経済対策の使い残し、外為特会などの円安による含み益などをすべて合算すると50兆円程度と筆者は見ている。

 

さらに、今のGDPギャップがどうなるか。政府や日銀はギャップがほとんどないという見方だが、両者は過去にも過小推計をしてきた「前科」があるので、筆者は3%程度と見ている。

 

となると、真水15~20兆円の経済対策が必要となる。各党の議論では、この規模感の議論が少ないように見受けられる。

 


税法改正案などが臨時国会にでてくるか、それとも12月の来年度税制改正大綱の中なのか。どうも後者のような気がするが、それだと税法改正が来年3月、実施は来年10月以降だろう。夏のボーナスにも間に合わないような気がする。

 

消費税対応でレジ電子化やマイナンバーで個人銀行口座とのリンクが容易になった以上、政策コストを考えても、減税実施が遅れるとしても、消費減税や給付金は、今国会で補正予算や税法改正を手当すれば、かなり迅速に処理できるだろう。

 


ご参考)岸田首相 所信表明演説の一部抜粋
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231023/amp/k10014234351000.html

 

「変化の流れをつかみ取る」ための「一丁目一番地」は経済です。

今回の総合経済対策の第一のポイントは、「供給力の強化」です。

 


<感想>
今の臨時国会での税法改正(&減税)+真水20兆円規模の補正予算&経済対策(⇒供給力の強化によるGDPギャップ解消)を期待したい。

 

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silentメンバーによる木10ドラマ?

 

【 silentチームによるいちばんすきな花 】

 


 フジテレビの木曜日10時枠に、silentメンバーによる「いちばんすきな花」が始まった。

 以下は、「『silent』で引退考えるも…チーム再集結『いちばんすきな花』村瀬健Pが“男女の友情”をテーマにした理由」と題するWebサイトからの一部抜粋。
https://news.mynavi.jp/article/20230911-ichibansukina_hana/

 


“男女の間に友情は成立するのか?”というテーマは、村瀬Pが発案。「僕自身、“男女の間に友情は成立しない”という考えを持ってきました。でも、そう思って生きてきた僕の一番の親友は妻なんですよね。結果的に、男女の間に友情が成立している。けど、それは恋愛関係と婚姻関係を経てのことであって。この体験一つとっても、今回のテーマはきっと面白いものになるんじゃないかと思ったんです」と着想のきっかけを明かす。


“クアトロ主演”4人のうち、現在発表されているキャストは、多部未華子と松下洸平。“男女の間に友情は成立するのか?”というテーマで最初に浮かんだ組み合わせが、この2人だったという。

 


ご参考)今田美桜、木曜劇場『いちばんすきな花』最後の主演の1人に 「今からワクワクしています」
https://realsound.jp/movie/2023/09/post-1435827.html

 


<感想>
20代の残り2人は、神尾楓珠と、最後に今田美桜に決まった。
2話を見る限り、silent同様の話題作になるような気配を感じられ、今後の展開が注目される。 

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ハマス等のパレスチナ武装勢力?


【 ハマスのテロ行為 vs イスラエルの自衛権行使 】

 


 2023/10/16、高橋洋一さんが、現代ビジネスに、『ハマスのイスラエル急襲はやはり「テロ行為」だ…遅きに失する日本政府の対応、そして忍び寄る「第三次世界大戦」への懸念点』を掲載された。
https://gendai.media/articles/-/117812?imp=0

 以下は、一部抜粋。

 


7日にハマスがイスラエルを急襲し、戦争状態と表現した。その後ハマスは大規模なミサイル攻撃を続け、複数の箇所でイスラエル領内に侵入した。イスラエルは不意を突かれて今後は猛烈な報復に出るだろう。

 

まず、イスラエルとハマス、パレスチナ、アラブ諸国の関係を整理しておこう。

 

ハマスはテロ組織でイスラエル殲滅を目標としているが、パレスチナの「代表」ではない。ハマスはガザを実効支配し、パレスチナ人を抑圧している。

 


パレスチナはイスラエルと長い間争っているが、それは第一次世界大戦中に秘密協定を結んだ英国がアラブ人にもユダヤ人にも独立国家建設を約束した「二枚舌」によるものだ。

 

イスラエルとパレスチナ問題は、国際的には二国家解決という方向性が出ている。イスラエルと米国はこれに反対してきたが、バイデン政権は容認している。

 


筆者は、今回のハマスの急襲は、歴史問題というよりテロ行為として理解すべきだと思っている。

 

そこで番組の中でも、ハマスは公安調査庁の資料でもテロ組織とされていることをいい、平和的な音楽祭を襲い、欧米人を含む多くの人を惨殺し人質にしたことからも今回が単なるテロ行為であることを明白に示しているとした。

 


米国、英国、ドイツ、フランス、イタリアの各国首脳は電話会談し共同声明を出したが、この共同声明はハマスによるテロとし、イスラエルの自衛権行使は当然としている。

 

もちろん、イスラエルの自衛権行使としても、国際法に則ったものであることは必要だ。

 

ここでの国際法とは、主に1949年のジュネーブ条約、1977年のジュネーブ諸条約第一追加議定書、1907年のハーグ条約(陸戦の法規慣例に関する条約)および慣習諸規則をいうだろうとのロジックであり、少し乱暴だ。

 

岸田文雄首相は、8日にXにポストした。しかし、冒頭から「ハマス等パレスチナ武装勢力」とハマスとパレスチナが分けられていない。欧米では、ハマスだけを取り上げ、ハマスとパレスチナは分けられている。

 

しかも、テロという言葉がなかった。これは不味い。12日になってようやく松野博一官房長官から「テロ攻撃」という表現が出た。あまりに現状認識が遅すぎる。

 

さらに、岸田首相は、「全ての当事者に最大限の自制を求めます」とした。ここは、国際法に基づく自制とすべきだろう。当然、自衛権行使は国際法の範囲内であればかまわない。文雄首相は、8日にXにポストした。しかし、冒頭から「ハマス等パレスチナ武装勢力」とハマスとパレスチナが分けられていない。欧米では、ハマスだけを取り上げ、ハマスとパレスチナは分けられている。

 

しかも、テロという言葉がなかった。これは不味い。12日になってようやく松野博一官房長官から「テロ攻撃」という表現が出た。あまりに現状認識が遅すぎる。

 

さらに、岸田首相は、「全ての当事者に最大限の自制を求めます」とした。ここは、国際法に基づく自制とすべきだろう。当然、自衛権行使は国際法の範囲内であればかまわない。

 

岸田文雄首相は、8日にXにポストした。しかし、冒頭から「ハマス等パレスチナ武装勢力」とハマスとパレスチナが分けられていない。欧米では、ハマスだけを取り上げ、ハマスとパレスチナは分けられている。

 

しかも、テロという言葉がなかった。これは不味い。12日になってようやく松野博一官房長官から「テロ攻撃」という表現が出た。あまりに現状認識が遅すぎる。

 

さらに、岸田首相は、「全ての当事者に最大限の自制を求めます」とした。ここは、国際法に基づく自制とすべきだろう。当然、自衛権行使は国際法の範囲内であればかまわない。

 


岸田文雄首相は、8日にXにポストした。しかし、冒頭から「ハマス等パレスチナ武装勢力」とハマスとパレスチナが分けられていない。欧米では、ハマスだけを取り上げ、ハマスとパレスチナは分けられている。

しかも、テロという言葉がなかった。これは不味い。12日になってようやく松野博一官房長官から「テロ攻撃」という表現が出た。あまりに現状認識が遅すぎる。

 

さらに、岸田首相は、「全ての当事者に最大限の自制を求めます」とした。ここは、国際法に基づく自制とすべきだろう。当然、自衛権行使は国際法の範囲内であればかまわない。

 


ご参考)2023/10/17 上川外務大臣臨時会見記録
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/kaiken5_000003.html
・・・今般のハマス等のパレスチナ武装勢力によるテロ攻撃について、特に罪のない一般市民に対する攻撃や誘拐は、どのような理由であれ正当化し得ず、日本としてこれを断固として非難すること・・・

 


<感想>
10月17日になっても「ハマス等のパレスチナ武装勢力」によるテロ攻撃という表現が使われているが、高橋洋一さんのご指摘通り、「ハマスのテロ攻撃」に統一すべきものと思われる。

 

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使いこなせるかは政治家次第?


【 台湾侵攻戦争:国家安全保障局の活用 】

 


 先日、「完全シミュレーション台湾侵攻戦争」(山下裕貴著、講談社+α新書)を読んだ。
 以下は、あとがきの抜粋。

 

  あとがき

 

 本書を通じて理解していいただきたいことは、台湾有事が発生すれば日本の南西諸島及び海域は戦場となり、好むと好まざるとにかかわらず日本は必ず巻き込まれるということである。

 

 日本有事に、国民の生命と財産を守るために、いま何をしなければならないのか。防衛力を抜本的に強化し、抑止力を高めるとともに、政府は事態の推移を的確に読み取り、適切な状況判断に基づいて国民保護や防衛作戦の準備及び防衛作戦を行わなければならない。

 

 私は陸上幕僚副長として、2013年9月に行われた自衛隊高級幹部会同の総理主催のレセプションに参加した。

 

 その席上、自衛隊最高指揮官である安倍晋三総理(当時)に質問する機会を得た。

 

「総理が創設された国家安全保障局が、いざというとにき日本の司令塔として役に立ちますね」

 

「副長。組織を作っても使いこなせるかは政治家次第だよ。その時の総理がいかに使うかだ。有事の際に君たちが全力で戦えるようにするのも政治家だ。政治家の責任は重い」

 

 政治家の矜持について静かに語った安倍総理の顔をいまも忘れない。

 

 一度、戦争が開始されたら多くの自衛隊員や兵士が死傷し、一般市民にも多くの犠牲者が発生する。

 

 もちろん台湾有事が発生しないように、外交努力を最大限に行うことは論を俟たない。クラウゼヴィッツは「戦争は政治の延長線上にあり、外交が失敗すれば戦争になる」と述べている。外交にはその後ろ盾となる防衛力が必要である。抜本的に強化された防衛力を抑止力として、平和構築の外交手段として政治家は活用しなければならない。

 

 戦争には勝者も敗者も存在せず、あるのは荒廃した国土と多くの人々の犠牲と悲しみである。

 

 2023年4月   元中部方面総監・陸将 山下裕貴

 


<感想>
発生確率が高まっている台湾有事を想定した、国家としての外交・防衛に関するBCP策を国民全体で早急に検討する必要がある。

 

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ベトナムの民族解放と社会主義の結合?

 

【 ハノイ:ベトナム共産党の正当性 】

 


 先週、ハノイに行ってきた。


 以下は、「現代ベトナムを知るための63章」(岩井美佐紀編著、明石書店)からの一部抜粋。

 


 第46章 ドイモイ憲法とベトナム共産党

 

 1986年にドイモイを提唱したベトナムは、国際政治からの衝撃に巻き込まれた。1989年の冷戦終結と1991年のソ連解体である。ベトナムは、なぜこれからも社会主義体制を堅持していくのかという「説明」を迫られた。共産党は、1991年、「ホーチミン思想」を登場させ、1992年憲法および2013年憲法にも、ホーチミン思想が盛り込まれ、現在では、学校の教科として定着させている。それでは、ホーチミン思想とは何であろう。

 

 簡略すれば、マルクス・レーニン主義の普遍性を説きつつ、ベトナムの特殊性として、共産党の創始者であるホー・チ・ミンの民主主義的な姿勢、ベトナムの伝統や道徳を強調したものである。すなわち、民族解放と社会主義との結合を説くものであった。なお、「ホーおじさん」とも称されるホー・チ・ミンの遺体が安置されているホーチミン廟は、ホー・チ・ミンの表象としての役割を果たしている。

 

 それでは、今後、ベトナムにおいて共産党の一党支配の行方はどうなるのであろうか。今日における共産党支配は、歴史的な貢献を基礎としている。すなわち、1930年の結党(党名は、ベトナム共産党、インドシナ共産党、ベトナム労働党、ベトナム共産党へと改称されている)以来、フランス植民地・日本軍支配から脱却し、抗仏戦争(第一次インドシナ戦争)、抗米救国戦争(ベトナム戦争)に勝利し、民族の解放と独立、さらには統一を勝ち取った「正しい指導性」が強調されてきた。

 

 またドイモイ以降、市場経済化が促進されるなか、共産党は、発展途上国の開発体制(開発独裁)としての存在理由をもっているようにみえる。これは、権威主義的政権による「政治的安定」の下で、外資導入による経済成長を目標とするという意味である。したがって、今日の「戦争を知らない世代」の時代において、そして将来的には「国家による開発」以降の時代において、ベトナム共産党は、その支配の正当性や民主化という試練に立ち向かい続けなければならないであろう。

 


<感想>
 ホーチミン廟、ホアロー収容所、ベトナム軍地歴史博物館を観てきたが、上記にある通り、いずれも民族解放(抗仏・抗米)と社会主義(ホーチミン思想)の結合を説いていたように感じられた。

 

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ブラック・ジャックでどん底から復活?


【 手塚治虫:ブラック・ジャックによる復活 】

 


 先日、「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」の「手塚治虫 ブラック・ジャックからの伝言」を観た。
https://www.nhk.jp/p/anotherstories/ts/VWRZ1WWNYP/episode/te/N1N55Q76JK/

 

 以下は、添付Webサイト(2017/11/02)からの一部抜粋。
https://amass.jp/96774/

 


【この番組を取材するなかで新しい発見や、驚いたことはありましたか?】

まず面白かったのは、この物語が誕生するとき、誰も期待ぜず、誰も評価しなかったということです。存外知られた話ではありますが、本当に誰もいなかったんだ!と改めて、ヒット作誕生というのは難しく、面白いものなんだな、と感じました。

 


【見てくださる方に一言】

「ブラック・ジャック」が誕生して44年。医学や科学が発展し、医師だけでなく私たち一般の人々も、「医療とはなにか?」「医者はなにをすべきか?」考えなくてはいけない難しい時代になってきました。そしてこの難題を問いかけ続けたのが、ブラック・ジャックです。
もの思う秋、ブラック・ジャックの伝言に思いを馳せながらご覧いただけるとうれしいです。

(番組ディレクター)

 


<感想>
虫プロが倒産した1973年のどん底時に、「手塚の死に水を取る」ために、チャンピオンで連載が始まった「ブラック・ジャック」が大ヒットした。
大阪帝国大学附属医学専門部卒業の手塚治虫が、自らの知識をベースに、魂込めてストーリーを生み出す姿勢に、成功の秘訣があったものと思われる。

 

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子どもたちが自ら考える少年野球?


【 教えてくれるのは、いつも子どもたち 】

 


 先日、ビデオで、「プロフェッショナル 仕事の流儀 教えてくれるのは、いつも子どもたち 〜少年野球監督 辻正人〜」
https://www.nhk.jp/p/professional/ts/8X88ZVMGV5/episode/te/L67PV396YP/


 以下は、添付Webサイト(【指導者必見】教えてくれるのは、いつも子どもたち)からの一部抜粋。
https://ameblo.jp/kenjiotsuka77/entry-12823472384.html

 


多くのチームでは監督が作戦を考え、サインを送り指示を出します。しかし、辻監督にその様子はありません(ノーサイン)。子どもたちに作戦を考えさせ、指示出しも任せています。辻監督は正解も不正解も示しません。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
『答えは、子どもたちの中にある』

 

『ランナーを進めていく方法がいくらでも。あいつらの引き出しの中にあるということです。ノーサインっていたっら、個人個人が監督じゃないですか。だから野球を試合を運ぶための監督っていう当事者になる。いわば社会に出たときの起業した社長みたいな感じ、みんなが。そんな子どもたちになってほしいですね。』

 


<感想>
会社のメンバー一人ひとりにも、自分が監督となって、自ら作戦/答えを考えて欲しい。

 

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取締役会で事業ポートフォリオを議論?

 

【 能力伴う多様性の確保へ 企業統治の課題 】

 


 10月6日の日経新聞「経済教室」に、興味深い添付記事が掲載されていた。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD2647W0W3A920C2000000/

 以下は一部抜粋。(その2)



事業ポートフォリオマネジメントの不備:複数の事業を有する多角化企業では、この弱点は一層深刻となる

 


事業ポートフォリオ:株式市場で投資家が運用する投資ポートフォリオとバッティングするため、投資家からひときわ厳しい眼が向けられる

 

・執行側としては事業の撤退や経営資源配分の変更など厳しい意思決定を余儀なくされることも多い

 

⇒ 監督機能が一層必要になる分野にもかかわらず、筆者の調査でも、事業別の定量シナリオを策定・活用する企業はせいぜい1割程度、資本コストを踏まえた収益性を管理している企業に至っては約7%にすぎない(日本企業における経営管理の弱さは明らかであり、円滑なモニタリングや議論の障壁となっている)

 


企業統治指針:「経営戦略」「サステナビリティー」「リスクマネジメント」「事業ポートフォリオマネジメント」は、いずれも取締役会での議論が要請される項目である(東証:この要請に対するコンプライ(順守)率はいずれも9割前後と高い。筆者の研究:取締役会で事業ポートフォリオの議論を行っている企業は実際には3割程度にすぎない)

 

⇒ 形式と実質のギャップを示す結果だろう

 

 

コーポレートガバナンスの実効性強化:まずこれらの実質的な議論がなされているか、監督側のチェックも必要だろう(とはいえ、企業経営の主役は監督ではなく執行である)

 

・コーポレートガバナンスが有効に機能するかどうかは、ひとえに「マネジメントの覚悟」にかかっていると言っても過言ではない

 

⇒ 最も重要なのは有能なマネジメントを選ぶことである

 


指名委員会の実効性:昨今、取締役会以上に注目されている

 

・人的資本改革が叫ばれて久しいが、コーポレートガバナンス的な視点で見た際の優先順位は明らか(第1:マネジメント人材の育成、第2:ボード・ダイバーシティーを含む中核人材の多様性の確保)

 

⇒ これらを指名委員会において十分に議論できているか

 


指名委員会の最も重要な役割:トップの後継者計画および選解任の議論だが、日本のように内部登用が主流の場合、役員層までスコープを広げた設定も効果的だろう

 

⇒ ただし、それは内部の経営者候補が外部人材市場でも十分に経営者として通用することを前提とする方向に働くべき

 


独立社外取締役:人事権を掌握したかのように振る舞う勘違いも多いと聞くが、この役職の機能はあくまで監督であり、外部人材との比較も含めて適正なプロセスが踏まれ、企業理念や選任基準に合致した人材が選任されているかをチェックすることにある

 


多様性:女性取締役の登用が先行し、機関投資家の判断基準にも組み込まれている(ジェンダーギャップ指数125位の我が国としては当然取り組むべき分野)

 

・ただ学術的には、女性取締役登用と業績との相関はないという研究結果も多い(有力な理由:「トークニズム(お飾り)」)

 

・一方、筆者の研究では、お飾りでない多様性の確保は業績につながる

 

・同条件の比較では、女性社外取締役の存在は業績と無関係だったが、実力で勝ち上がってきた女性執行役員の存在は業績にプラスの影響を与えた(図2参照)

 

・また、ジェンダーなど人口統計上の属性にまつわる多様性をデモグラフィー型多様性と呼ぶ一方、スキルや知見、経験などの多様性をタスク型多様性と呼び、こちらは業績にプラスの影響をもたらすという研究もある

 

⇒ 形式ではなく、意思決定の成功確率を上げるための経営人材確保という観点から、多様性に取り組む必要がありそう

 


<感想>
企業統治指針の要請に対するコンプライ(順守)率は9割前後と高い一方で、取締役会で事業ポートフォリオの議論を行っている企業は3割程度にすぎないとの指摘に、思わず自省した。

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リスクマネジメントと連携した経営戦略?


【 能力伴う多様性の確保へ 企業統治の課題 】

 


 10月6日の日経新聞「経済教室」に、興味深い添付記事が掲載されていた。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD2647W0W3A920C2000000/

 以下は一部抜粋。

 


2023/10/6
能力伴う多様性の確保へ 企業統治の課題
松田千恵子・東京都立大学教授 #経済教室

 


ポイント
○日本の取締役会は機能見直しが必須条件
○経営戦略がシナリオ化されず管理不能に
○人的資本改革は経営人材の多様性を核に

 

・各社のコーポレートガバナンス(企業統治)を巡る動き:先進企業とそうではない企業の取り組みの差が開いてきた

 

・その違いは、経営における意思決定のありかたや経営人材に対する考え方など、自社のマネジメント変革へと昇華できているかどうかにかかっているようだ

 


外部環境の変化:2023年に入り、コーポレートガバナンスの実質化が強く求められるようになってきた

 

・東証:「資本コストや株価を意識した経営」の要請

 

・金融庁(フォローアップ会議)【アクション・プログラム】:
 (1)資本コストを踏まえた収益性・成長性
 (2)人的資本を含むサステナビリティー(持続可能性)課題への取り組み
 (3)独立社外取締役の機能発揮――などを企業に要請

 


独立社外取締役:コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の「独立かつ客観的な経営の監督の実効性」(原則4-2)を担う存在ながら、全体として十分に機能を発揮しているとは言い難い(啓発活動などの強化に加え、独立社外取締役の評価も避けては通れないだろう)

 


投資家との直接対話の機会:筆者らの研究では、6割以上の企業が独立社外取締役の負担を理由に、設けていなかった(「監督」機能としての説明責任を果たすことも期待される)

 


【アクション・プログラム】(1)(2):より実質的な企業内部における「執行」を問うている
 執行における意思決定のありかたを、監督機能を前提とした仕様にバージョンアップさせる必要がある(←取締役会の機能の見直しが不可欠)

 


プランニングからモニタリングに至るマネジメントサイクル:機能として最も重要(プランニングがなければモニタリングはできない)

 


監督側が最重要視するプランニング:企業理念と、それを具体化するにあたっての経営戦略の確立

 


取締役会で経営戦略を議論する時間:全体の2割にすぎないというデータがある(取締役会の「最も重要な役割・責務」(原則4-1)を果たすには不足)

 


経営戦略:サステナビリティーの要素を統合することは今や必須条件だが、実効性ある議論は少ない

 

・筆者らの研究からは、企業内ではいまだに社会的責任や倫理・道義的な問題と位置付けられ、将来に向けた成長機会やリスク・リターンとのつながりを期待する投資家との認識ギャップがうかがえる

 

・経営戦略が十分に議論されたとしても、それがリスクマネジメントと連携していないと、モニタリングは困難になる(基本線として示された経営戦略が、経営に深刻な影響を与えるほど下振れするリスクについては十分な認識と議論が必要)

 

・内部統制や内部監査といった、「執行」側にモニタリングを依拠している分野も同様である(これらについても取締役会における議論は少ない)

 

⇒ さらにモニタリングを困難にするのが、経営戦略がシナリオとして定量化されず、目標や指標が曖昧であること

 


<感想>
リスクマネジメントと連携した「経営戦略」のプランニングからモニタリングまで、もっと取締役会で議論される必要がある、という松田教授の指摘は、その通りだと思う。

 

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カタリン・カリコ氏のパンデミックへの覚悟?


【 スペインかぜ 恐怖の連鎖 】

 


 先日、NHKプラスで「スペインかぜ 恐怖の連鎖」を観た。
https://www.nhk.jp/p/butterfly/ts/9N81M92LXV/episode/te/J5PYJ1PQKX/

 以下は、番組の案内や字幕等。(その2)

 


「スペインかぜ 恐怖の連鎖」
初回放送日: 2022年4月25日

カタリン・カリコ氏のノーベル賞受賞を受け再放送。百年前、米カンザス州で広まったスペインかぜは、第一次世界大戦へ向かう兵士たちと共にヨーロッパへ渡り4千万の命を奪った。講和会議の最中に米大統領ウイルソンが感染したことで、ヒトラーが台頭する一因にもなった。一方、ウィルスと闘った米ペンシルベニア大学は感染症研究の中心地となり、ハンガリーから来たカタリンとの出会いを経て、コロナワクチン開発へとつながる。
配信中

 


カタリン・カリコの言葉より

 

『スペイン風邪が蔓延した100年前から続く経験と発見がなければ
かつてペンシルバニア大学の経験がなければ
私たちはワクチンを得られていなかったでしょう

 

「ワクチンの開発者だ」と拍手がわきました
これまでのさまざまな感情が込み上げてきて
涙ぐんでしまいました

 

私のことをヒーローという人がいますが
それは違います

 

患者を治療する医師や看護師
それに清掃業の人たち
いつの時代の感染症でも
命を危険にさらしている彼らこそが真のヒーローです

 

私たちは100年前のスペイン風邪がいかに深刻で
ウイルスがいかに致命的であったかということを知っています

 

刻々と物事が変化する中で
人類は常に学び続けなければなりません

 

今後 新たなパンデミックという試練に襲われても
世界中で知恵を出し合い
果敢に立ち向かっていかなければなりません』

 


<感想>
カリコ氏の「新たなパンデミックの試練に襲われても世界中で知恵を出し合い 果敢に立ち向かっていかなければならない」の言葉は、とても心強い。

 

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もしウィルソン大統領がスペインかぜにならなければ?


【 スペインかぜ 恐怖の連鎖 】

 


 先日、NHKプラスで「スペインかぜ 恐怖の連鎖」を観た。
https://www.nhk.jp/p/butterfly/ts/9N81M92LXV/episode/te/J5PYJ1PQKX/

 

 以下は、番組の案内や字幕等。

 


「スペインかぜ 恐怖の連鎖」
初回放送日:2022年4月25日

カタリン・カリコ氏のノーベル賞受賞を受け再放送。百年前、米カンザス州で広まったスペインかぜは、第一次世界大戦へ向かう兵士たちと共にヨーロッパへ渡り4千万の命を奪った。講和会議の最中に米大統領ウイルソンが感染したことで、ヒトラーが台頭する一因にもなった。一方、ウィルスと闘った米ペンシルベニア大学は感染症研究の中心地となり、ハンガリーから来たカタリンとの出会いを経て、コロナワクチン開発へとつながる。
配信中

 


ウィルソン・アメリカ大統領
「アメリカはドイツに多額の賠償金を課すことに反対」

 

クレマンソー・フランス首相
ロイド・ジョージ・イギリス首相

「フランスとイギリスはドイツに多額の賠償金を求めた」

 


ハーバート・フーバー(後のアメリカ大統領)の言葉より

「ウィルソンはいつも俊敏で
物事の本質をすばやく見抜き
すぐに結論を出す人物だった

ところが今は私だけでなく
みんなそう言うのだが
(スペイン風邪に罹患後は)
覇気がなく決断を迫られても
のらりくらりとはっきりせず
それはもう大変なのである」

 


パリ講和条約 調印式 1919年6月

ウィルソン
「私がドイツ人なら 何があっても署名しないだろう」

 

スペイン風邪に
世界で5億人が感染(全世界の1/3)
4000万人が死亡(推定)

 


新しいドイツ帝国首相アドルフ・ヒトラーです!

何億とあった金はすっかりなくなった
インフレーションという愚行を犯し
国が荒れ果て 不当な利子が外国から突きつけられた
ドイツ万歳!

 


<感想>
もし、ウィルソン大統領がスペインかぜに罹患せず、ドイツに多額の賠償金を求めることなく、結果的にヒトラーを生むことがなかったかもしれないと思うとスペインかぜが恨めしい。

 

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言い淀んだときには言葉を迎えに行かない?

 

【 水野良樹のHIROBA:鷲田清一との対談 】

 


 いきものがかりの水野良樹さんが、HIROBAの新公式サイトに、鷲田清一さんとの対談を掲載していた。

 

 以下は一部抜粋。(その4)

https://hirobaweb.com/washidakiyokazu_4/

 


鷲田清一(哲学者)第4回

 

鷲田:ただね、友だちとか相談相手っているじゃないですか。話をよく聞いてくれるし、よくわかってくれるように思えるひと。たとえば、僕が言い淀んでいるとき、「こういうことが言いたいんじゃないの?」とか「こう思ったんじゃないの?」とか言ってくれるひと。こちらはそれに飛びつくわけです。

 

水野:はい。

 

鷲田:でも、その聞き方ってヤバいなと思っていて。つまり、本来は僕が必死で苦しんで、物語らないといけない部分を代わりに物語ってくれるから、僕は楽になれて、乗っかってしまう。その瞬間はすごく感謝するんですよ。「ああ、こいつ本当に俺のことよくわかってくれている。よく見てくれているな」って。だけど自分でそこにたどり着いていないから、彼がいないときに同じ状態に陥ったら、元の木阿弥になってしまうということがあってね。だから聞き手が言葉を横取りしたり、物語をつくって返してあげたりするのは、本当に危ないなって。

 

水野:あぁ…。

 

鷲田:相手がうまく言葉にできなくて苦しんでいるとき、聞くほうもしんどいんですよ。沈黙もしんどいし。だからつい言葉を迎えに行ってしまう。でもそれは根本的な解決にならないんです。とにかく結論を出さないまま聞いて、「そんなふうに思うのかぁ」とか返してあげるほうが大事なのかなと思います。

 

 親子でもそうですよね。親が子どもに面と向かって、「何を悩んでいるの?」とか聞いても、なかなか子どもは言いにくい。だけどお母さんがキッチンでまな板に向かっているときとか、家計簿をつけているときとかに、肩越しに「あんなぁ…」って。横からボソボソ言うシチュエーションだったら、子どももちょっと話せたりする。聞いていないふりして、本当は聞いているぐらいのさりげない感じが、話すほうとしてはいちばん楽なのかなって思います。

 


<感想>
プライベートで悩んでいる場合には、鷲田さんの言われる通りだと思われるが、もしビジネスでもそうだとすると、危ないことをしていることになりそうだ。

 

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金融リテラシーの向上が望まれる?

 

【 個人金融資産:米英との比較 】

 


 昨日、『退職世代の「投資から貯蓄へ」を抑制へ〜人口減少社会で高齢者の社会貢献を後押しする金融リテールサービス〜』(フィンウェル代表野尻哲史)資料を拝見した。

 以下は一部抜粋。

 


1.個人金融資産の拡大が急務
  ー資金流入と内部成長の両面が必要

 

2.3000万人の現役層が減少するなかで
  日本経済を支えるのは高齢者に

 

3.退職世代の「投資から貯蓄へ」を抑制へ
  ー制度の見直しと考え方の普及を

 


個人金融資産
 日本:+633.6兆円(+44.9%)米国:3.4倍 英国:2.3倍
 日本:
 2002年末 1409.3兆円 米国:   英国:
 2022年末 2042.8兆円 13604兆円 1180兆円


2022年 vs 2002年
個人金融資産増加額

 日本:1.4倍 米国:3.4倍 英国:2.3倍
運用リターンによる家計金融資産
 日本:1.2倍 米国:2.6倍 英国:1.6倍

 


日本の個人金融資産の内部成長額:251.7兆円(aーb)(2002年の残高の17.9%に相当)
 個人金融資産増加額 633.6兆円(a)
 年間流入額合計   381.9兆円(b)

 


<感想>
個人の金融資産が10年前から随分伸びたなぁ(1.4倍)と思っていたが、米国(3.4倍)・英国(2.3倍)と比較すると全く冴えないことが分かった。
低金利下での現金預金比率の高さ(2012年54.3%、2022年54.2%)が主な要因であるが、今こそ運用リターンを上げるための金融リテラシーの向上が望まれる。

 

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聴いているひとに自由に捉えられる音楽?

 

【 水野良樹のHIROBA:鷲田清一との対談 】


 いきものがかりの水野良樹さんが、HIROBAの新公式サイトに、鷲田清一さんとの対談を掲載していた。
https://hirobaweb.com/washidakiyokazu_2/

 

 以下は一部抜粋。(その3)

 


ひとは生きている”しるし”の集まり

 

水野:伺っていて思ったのは、僕らもいつも思うんですけど、目に見えないじゃないですか。音楽って。ものではないので。先生の前で「現象」という単語を使うのは勇気が要るんですけど。現象じゃないですか。だからこそ断片でいいというか。僕らはある順番でメロディーをつくって、地図を一旦つくって、「こういうものですよ」って提示はするんですけど。ただ、感動する主体っていうのは、聴き手なんですね。まぁ、僕らも演奏をしながら同時に聴き手でもあるんですけれど。音楽に対して、演奏をしながらも、その音楽を聴いている。

 

鷲田:ああ、なるほど。

 

水野:なので客席にいる方と、僕らって実は同じものを聴いていて。だから主格が僕らだけじゃない。シンプルに考えると、演奏しているから、主格は僕らなんじゃないかと思われがちなんですが、常に“聴いているひと”がそれぞれの頭のなかで想像して作品ができあがっていくものだと思うんです。

だから、もともとそこにある構成された“モノ”としての作品が、どれくらい大きいか小さいかとかって話ではなくて。常に音楽はみなさんの頭のなかで湧き上がるもので。あるひとにとっては、そのひとの人生を変えるような巨大なものになるかもしれないし、あるひとにとっては、日常のなかの些細なもので終わるかもしれない。そんなふうに個別の可変性が常に許されているのが音楽で。先生がおっしゃられるように断片とか、自由な捉え方ができることが僕は音楽の可能性だと思うんですけど。

 


鷲田:失恋の歌でも、「これは僕のことじゃない」と言えるから、逆にものすごく情感を込めて、自分が失恋真っ只中のどん底にいるかのように歌える。歌のおもしろいところってそういうところにもある気がします。

おとぎ話や民話なんかも結構しんみりしていて。お嫁に行っていじめられたこととか、子どもを失ったときのこととか、シビアな恨み言や悲しみを語るのに、飄々と「むかしむかし…」って語るじゃないですか。あれもやっぱり他人の話だという前置きがあるから、情感を込めて語られていく。ある地域で語られたことが、「こういうひとの話」というところまで普遍化して、隣の村でも語られるようになっていくと、やがて“昔話”になる。誰が言い出したのか、歌い出したのか知らない。

 

水野:詠み人知らずみたいな。

 

鷲田:そう。代々語り継がれる普遍的な物語として残る。歌ってきっとそういうところがある。本当の歌は100年後、誰が作ったか誰も知らないけれど、語り継がれていく。

 

水野:そこを目指したいんですよね。

 

鷲田:あぁ、目指したいんだ。

 

水野:目指したいですね。大胆過ぎるのかもしれないですけど。

 


<感想>
目に見えない音楽の主客は常に“聴いているひと”で、それぞれの頭のなかで想像して湧き上がり、自由な捉え方ができるという話に大いに納得。

 

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自分の内側の問題を解決するHIROBA?

 

【 水野良樹のHIROBA:鷲田清一との対談 】

 


 いきものがかりの水野良樹さんが、HIROBAの新公式サイトに、鷲田清一さんとの対談を掲載していた。
https://hirobaweb.com/washidakiyokazu_2/

 

 以下は一部抜粋。(その2)

 


ひとは生きている”しるし”の集まり

 

鷲田:視点がひとつじゃないことを書いている。てつがくカフェもそうだと思う。同じ悩みのように見えるものでも実は違うかたちで語るひとがいることを知ると、もう1回自分を見つめ直すきっかけになるじゃないですか。その多視点性を経験できるのが、てつがくカフェとか、この小説とか、HIROBAというプロジェクトのおもしろさだと思う。水野さんが自分の本職から離れたひとに会いたいとおっしゃるのも、そういうことなんじゃないかな。

 

水野:おっしゃるとおり、他者の視点を見てみたい、自分だけの視点が寂しくてしょうがないというのがあって。他の分野の方と曲づくりをするのも、曲という“焚火のような存在”をあいだに置いてみて、それを眺めて語り合うことで、ひとつの物語のなかでは一緒になれるみたいなことを表現したいと思ってやっていたんです。

 

 

水野:いい意味でも悪い意味でも、自分がコントロールできない外側の存在からの応答なり、やり取りが、自分の内側の問題を解決していく、ちょっといいほうに動かしたりする。そういうことが絶えず行われ続けている場所としててつがくカフェに惹かれて、そこに僕が悩んでいることのヒントがあるんじゃないかと思ってしまって。

 


鷲田:今、焚火という言葉をおっしゃって「そうか、音楽って焚火みたいなものか」って思ってね。焚火ってまず暖かいじゃないですか。それから、会議室だったら沈黙のとき、「居づらいな…」って思うけど、焚火のまわりっていうのは不思議なもので、無理に話をしなくても、何も考えなくてもそこにいられる。他者による脅迫みたいな怖さを感じることもなく、一緒にいられる。だから焚火っていい比喩だなと。

 


水野:東日本大震災のときに、こういう仕事をしていると、「ひとを励ます歌をつくってくれ」と言われがちなんですね。もちろんつくれるものならつくりたいけれど、今「元気出せよ!」って歌をつくったら、確実に傷つけてしまうひとがいる。

 

だから何をつくっていいかわからない。そうやって無力感に苛まれていたとき、テレビのニュースで、自身も被災した中学生たちが僕らの「YELL」という歌を同じように被災された方々に対して歌っていた映像を観たんですよ。つくった人間はこんなに悩んでいるけれど、歌は悲しみの当事者とほどよく距離をとっている。

 

悲しみの状態にある方も、自分の悲しみに合わせて歌と向き合っている。悲しみが重過ぎれば聴かないし、悲しみに寄り添ってほしいと思ったら、僕らが思う以上に深く歌を聴いているはずで。そういうふうに、歌のような“人間でないもの”のほうがひとを助けるのかもしれないなって感じて。それはたとえば焚火であったり、毎年咲く桜であったり。そういう存在になれないかな、なれないな…っていう堂々巡りをしているんです。

 


<感想>
水野良樹さんのHIROBAは、他の分野の方との曲という“焚火のような存在”を通じて、自分の内側の問題を解決する”場”であるように思われた。

 

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肩書きでない「さん」付で会話の質も変化?

 

【 水野良樹のHIROBA:鷲田清一との対談 】

 


 いきものがかりの水野良樹さんが、HIROBAの新公式サイトに、鷲田清一さんとの対談を掲載していた。
https://hirobaweb.com/washidakiyokazu_1/

 以下は一部抜粋。

 


鷲田さんに”場”について聞いてみる

 

水野:僕はいきものがかりという音楽グループで世に出たのですが、HIROBAというプロジェクトもしていまして。小説家や詩人、俳優や芸人など、音楽とは異なる分野で活躍される方とお話をしたり、ときには一緒にものをつくったりする活動をしています。

 

人間が中心になるのではなく、“場”があって、そこでひとが出会って、何かができていくということを表現できないかなと。そこで、今まで「臨床哲学(※)」という言葉のもとに様々な活動をされ、「せんだいメディアテーク(※)」のような、ひとが出会う場所、ひとが一緒に考える場所をつくってこられた鷲田さんが、どのように場づくりをされてきたかというところからお話を伺えたらと思います。

 

※臨床哲学
社会のさまざまな問題発生の現場に赴き、そこで問題となっている事柄が何かを現場の人たちとともに考える「哲学」の活動。

 

※せんだいメディアテーク
宮城県仙台市青葉区にあり、美術や映像文化の活動拠点であると同時に、すべての人々がさまざまなメディアを通じて自由に情報のやりとりができるようお手伝いする公共施設。仙台市民図書館、イベントスペース、ギャラリー、スタジオなどからなる。

 

鷲田:たとえば「てつがくカフェ(※)」の場合には、最初に約束をするんです。まず「名前は名乗らなくていいですよ」って。それから「どこに住んでいるか、どんな職業かなどは言わないでくださいね」って。それと「演説はしない」、「ひとの発言中は途中で遮らないで最後まで聞く」。あとは「喋りたくないひとは喋らなくていいですよ」って。5つぐらいをあらかじめ約束事としてスタートします。

 

・名前は名乗らなくていい
・職業や住んでいる場所について話さない
・演説はしない
・他のひとの発言は遮らず、最後まで聞く
・喋らなくてもいい

 

鷲田:それはひとの話をきちっと聞く練習でもあるんですけれど、もうひとつ、土俵づくりをしないためなんですね。日本の社会では、コミュニケーションとか対話っていうと、まず土俵づくりから始まるんですよ。共通点を探す。

 

「今日はどちらからいらしたんですか?」「あぁ、うち近所です!」とかね。共通点があると安心するから、雑談で土俵をつくってから、やっと話を始めるじゃないですか。でも我々は、会話のチャンネルを変えるってことは、もう最初から、名前を持たず、属性をすべて外して、ひとりの市民として、個人として話し合いをしようと。だからこそ、普段と違うコミュニケーションができるんですよ、と。

 

鷲田:もちろん名前を取るというのは、名前を言ってはいけないのではなしに、最初に自分が呼んでほしい名前を書いて。その場だけの名前をね。
 そういうことを考えたのは、大学の授業をしていると、それこそ学生はみんな「先生」って呼ぶでしょう。学生同士でも、男の子は「~くん」で女の子は「~さん」で呼ぶ。

 

でも、大学でてつがくカフェをやり始めたときに「それを全部やめよう」って言ったんです。


全部「~さん」で統一する。あと、教室って演説用の構造になっていますよね。一方が教壇に立って、学生さんたちにずーっと話す。それもやめて、ゆるい円形の座席に変えたんですよ。円形の輪に入りたくないひとは、外に出てもいいよって。そうしたらね、最初は学生たち、僕のことを名前で呼ぶのに抵抗があったんですけど、数回授業をやったらもう慣れるんです。廊下でも普通に「鷲田さん」と呼んでくれるようになった。それでね、やっぱり会話の質まで変わるんです。

 

※てつがくカフェ
街なかの喫茶店などで数人から数十人が集まって、テーマについてその場に居合わせたひとたちと話して、聴いて、考えるイベント。

 


<感想>
”場”をゆるい円形の座席に変え、呼び方を「~さん」に統一したら、会話の質まで変わったという。
会社でも、肩書きではなく、「さん」付で統一してゆきたい。

 

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熱を込めて戦術で勝つ?

 

【 確率思考の戦略論:数字に熱を込める 】

 


 先日、久しぶりに森岡毅氏の「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」(今西聖貴・共著、角川書店)を読み返してみた。

 

 以下は一部抜粋。(その5)

 


第4章 数字に熱を込めろ!

「熱」を込めて戦術で勝つ

 戦略がある程度正しいことは、成功するための必要条件ですが、それだけでは全く十分ではないのです。戦略だけでは決して成功しない。ビジネスにおける最終的な成功確率は、戦略と戦術の両方を合わせて決まるのです。

「戦術的勝利」がなければどれだけ優れた戦略でも絵に描いた餅で終わります。もちろん優秀な軍師がいて、勝つ確率の高い戦と正しい戦略を選べている場合は、よほどマズイ戦術でない限り勝てる場合が多いものです。しかしながら、同じ価値でも、戦術の出来具合によっては価値の度合い(戦果)に雲泥の差が生まれるのです。だから戦術が何としても大切。戦術で勝たねばなりません。


 戦略家の立場で、組織を戦術で勝たせるためにはどうするか?多岐にわたって広がる多種多様な戦術レベルの課題があります。それらを把握し、細かく指示を出して、勝ちをコントロールできるスーパーマンならば素晴らしいですが、実際には時間と気力、体力などの個人のキャパシティーがパンクしてしまします。そこで戦略家は、1)自分自身の時間をどこに集中して使えば戦果が最大化するか、2)自分以外の人々をどこにどう集中させて使えば戦果が最大化するか、この2つを冷静に考えるのです。

 槍をとったら天下無双のような豪勇の士であれば、戦術の最前線で大きな槍働きをするのが一番でしょう。しかし戦略を統率するリーダーの最も大切な仕事は、人々をより生き生きと動かすために自分の時間を集中することだと私は考えています。

 人を動かすために最前線に出ることはあっても、戦術で槍を振り回すことは目的ではないのです。しかし戦術レベルの仕事が大好きで部下の仕事のスペースを圧迫している上司は少なからずいます。それでは本末転倒です。もちろん自分がいないとどうしても勝てない重要戦局ならば、槍をとってでも最前線で戦わねばありませんが、それは戦略家本来の役割ではないのです。


 私にとって、最前線の現場を頻繁に視察して指示を出す最大の目的は、戦術の重要性を組織全体に浸透させて、戦術局面に従事する人々の士気を高めて良い仕事をしてもらうことです。私自身がどれだけ戦術を重要視しているか、私自身の勝ちへの執念、その「熱量」を現場に伝えるためです。

 もちろんマーケティングのプロとしての戦略眼で、さまざまな課題を早く理解して対処するために有効なのですが、私個人が現場に出て解決できることは実はたいしたことではないのです。私1人がどれだけ槍を振り回しても、組織全体の能力の総和に比すれば、ちっぽけな仕事量しか生み出さないことは、数学的にも自明です(笑)。だから私は人々を動かすために戦術の現場に出るのです。端的に言えば「人に良い仕事をさせる」のが私の仕事です。


 「熱」は人に伝わるのです。人々の中心に立つリーダーの圧倒的な熱量は、直接それに触れた人から、その部下や周辺へ、そしてそのまた周辺へ、拡散していきます。最初の熱源が「熱い」のと「ぬるい」のでは、組織全体の体温に決定的な差が生まれます。

 後者では組織は低体温症になり、末端では凍りついて仕事をしない(できない)人が増えていくのです。だからリーダーは戦術のど真ん中へ出向いて、彼らが達成すべき目的が何なのか、彼らの困難が何のためなのか、彼らの頑張りが組織の未来にとってどれだけ大切か、「熱」を伝えなくてはいけません。できるだけ現場の直面している困難やバリアを理解して、彼らが良い結果を出しやすいように「決めること」や、場合によっては「援軍(追加リソース)」を送り込むことが重要です。絶対に勝つのだという気迫とともに。


 人をどこかへ連れていきたい人は、誰よりも「熱」を持っていなければならないと思います。なぜならば、ビジネスにおいて1人で達成できることなど1つもないからです。USJのV字回復においても、私1人で成し遂げたことなど1つもありません。組織に属する人は皆が同じでしょう。
 多くの人を巻き込んで動かしていることでしか、大きな成果は達成できないのです。氷のような戦略の行きつく先にあるのは、できる限りのあらゆる「熱量」を注ぎ込んでいく戦術なのです。そうやって成功する確率(戦略+戦術)をできる限りギリギリまで上げてから、人事を尽くして天命を待つのです。そう、最後の最後に確率の神様のランダムの審判が待っています。

 合理的に準備して、精神的に戦うのです。この戦術面での強さ、現場の団結力、士気や規律意識の高さ、勤勉さなどは、日本人の卓越した強みだと思います。確率思考を始め戦略の合理性を増すことは、日本人の戦術面の強みをもっと活かすことに他なりません。100%は絶対にない世界で、残りの数%なり数十%なりの不確定さや想定外の困難を乗り越えていくのは、ギリギリまで戦術にこだわって確率を高めていく、戦略家本人の意志の力であり情熱の力です。それが「数字に熱を込める」ということ。

 左手には数字に裏打ちされた氷のような冷徹さを、右手には枯れることのない執念を燃やしマグマのような情熱を、それぞれ両手に備えて、ようやく困難なゴールに辿り着く、私はそう考えています。

 


<感想>
数字に熱を込めて、どこにどう集中すべきかの戦術を明確にして、組織全体で勝ち抜いてゆきたい。

 

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目的達成時の状況を徹底的に考える?

 

 【 確率思考の戦略論:目的達成時の主なビジネスドライバー 】

 


 先日、久しぶりに森岡毅氏の「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」(今西聖貴・共著、角川書店)を読み返してみた。

 以下は一部抜粋。(その4)

 


第3章 戦略はどうつくるのか?

 

3.戦略はゴールから考える

 

◆ いかに到達地点の景色を明瞭にできるか?

いくら戦況分析の能力に秀でていようとも、数式やデータを使いこなせようとも、それだけでは戦略をつくることはできません。なぜならば、戦略とは明確な「目的」がないのであれば存在するものではないからです。企業のリーダーにとって、その目的設定こそが最初で最重要な仕事になります。「結局。どうしたいの?」という話です。そこに人間の生み出す強烈な意志がなければ目的は生まれようがなく、まして戦略の出番など永遠にありません。

 

達成したい目的があるとき、次になすべきことは、その目的が達成できているときの状況を想像力と数値を使って徹底的に考えることです。ここはずいぶんとアートな部分ですから、後に必ずサイエンスで検証をしなくてはなりません。

 

しかし、とにかく最初にやるべきはゴールの達成状況を具現化していくことです。特に目的達成時に主なビジネスドライバーがどうなっているべきか、具体的な数値を当てはめていきます。そうすると、目的達成に必要ないくつかのクリティカルな条件が見えてきます。次に、その条件を達成するために、今日とのギャップをどう埋めていくか? そのための戦略を考えていくのです。そのように私はゴールを具現化するところから始めます。

 

戦略は必ず達成したい目的付近の地景を明確にしてから逆算で組んでいくのです。そうしないと、あらゆる無駄な道に迷い込んで時間と労力を消耗するだけでなく、正しい戦略に辿りつかなくなる恐れも大きいのです。

 

ベストだと思える目的から逆算したシナリオ(戦略)を導き出すとき、私が必ずやることにしていることがあります。同じ目的を、そのベストシナリオとはできるだけ違う道筋で達成する戦略をもう1つ考えてみるのです。一番良いと思えるプランAに対して必ずプランBを考えてみる、この習慣は多くの局面で私の危機を未然に防いでくれました。プランBを考える過程で、プランAを相対化することができるのです。それによって想定の脆弱さや盲点に事前に気がつくことができる。場合によってはプランBの方が成功確率が高くなることもあります。

 

登りたい壁があるならば、まず足場をつくる技術が必要なのです。高い壁があった時に一気に壁を飛び越えることしか考えられない人は、無理だと思って諦めます。そのような人は、階段(=戦略)をつくる方法を知らないだけです。目的が高いところにあっても、目的から現在を逆算して、巧みに足場を組んでいく技術があれば、ガウスのように辿りつけるのです。どれだけ壁が高くても、階段さえ作れば必ず登れる。まずはそれを信じることです。

 


<まとめ>
1.明確な目的設定(「どうしたいのか」を明確化)して、目的達成時の状況を想像力と数値を使って徹底的に考える(ゴールを具現化する)。

 

2.目的達成時に主なビジネスドライバーがどうなっているべきか、具体的な数値を当てはめて、目的を達成するための必要な条件・戦略(今日とのギャップをどう埋めていくか?)を考える。

 

3.目的が高いところにある時は、目的から現在を逆算して、巧みに足場(戦略)を作って必ず登り切る。

 

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