弁証法的対話を通じた螺旋的発展?
【 使える弁証法 】
先日、「使える弁証法」(田坂広志著、東洋経済新報社)を読み返してみたhttps://str.toyokeizai.net/books/9784492042427/
以下は、最後半部分の一部抜粋
弁証法とは、「正」(テーゼ)「反」(アンチテーゼ)「合」(ジンテーゼ)というプロセスで思考を深めていく方法
分かりやすく言えば、一人が語った意見(正)に対して、もう一人が、その反対の意見(反)を語り、それぞれの意見にもとづく対話を通じて、二人がともに、二つの意見を包含し、統合し、止揚した、さらに深い理解(合)に到達するという方法
単に意見を戦わせる「討論」(ディベート)でもなく、単に意見を交換する「議論」(ディスカッション)でもない、互いの思考が深まっていくという意味で極めて創造的な「対話」(ディアレクティク)の方法
もし、我々が日常の「議論」の場において、この「弁証法的対話」の方法を用いているならば、その議論は、かならず創造的な議論になっていく
しかしながら、いま世の中で流行っているのは、いかにして相手を議論で打ち負かすかという「討議」(ディベート)の方法や、いかにして論理的に正しい結論に到達するかという「論理思考」(ロジカル・シンキング)の方法
「討議」の方法:多くの場合、相手の意見の問題を指摘し合い、自分の意見の優越性を主張し合うにとどまってしまい、互いが、謙虚に学び合い、さらに深い思考に向かうことのできない。不毛なものになってしまう
「論理思考」の方法:そもそも「論理的整合性」を重視し、「矛盾」を排除する思考であるため、物事の発展の原動力であり、生命力でもある「矛盾」について、それを「止揚」する視点をもたない そのため、素朴な問題の解決には、ある程度、役に立つが、難しい問題を深く考え、答えの無い問いを問うという「知の技法」としては、あまり役に立たない方法
弁証法という「知の技法」を身につけたとき、初めて、我々の前に、素晴らしい「知の世界」の扉が開かれる
弁証法を知ると「歴史観」が見につく
ヘーゲルの弁証法とは、壮大な「歴史哲学」として語られた思想 それゆえ、もし我々が、この弁証法を深く学ぶならば、歴史の未来が見えてくる それは「螺旋的発展」
歴史もまた、螺旋的に発展していく
ソクラテスの弁証法:対話を通じて「正」「反」「合」のプロセスでの進化が起こり、思考そのものが、螺旋的に発展していく
ヘーゲルの弁証法:歴史もまた、「正」「反」「合」のプロセスを経て、螺旋的に発展していく
その「歴史哲学」で、これからの人類の未来を見るならば、「東洋文明」と「西洋文明」の止揚が起こる
インターネット革命によって、「規律」「階層」「管理」にもとづく「機械的システム」から、「自由」「平等」「創発」にもとづく「生命的システム」へと、いま、資本主義が、経済が、社会が進化(「螺旋的発展」)しようとしている
西洋文明が開化させた最先端の科学技術と資本主義 東洋文明の根本にあった生命的世界観と精神性 その二つが、結びつき、融合し、21世紀の新たな文明を生み出そうとしている
この歴史の壮大な螺旋的発展において、21世紀、日本という国の果たすべき役割は、何か 21世紀の世界における、日本の歴史的使命は、何か
もし、我々が、この国の歴史的使命についてのビジョンを描きたいと思うならば、まず学ぶべきは、「歴史哲学」としての「弁証法」・弁証法の根本にある「螺旋的発展」の法則
<感想>
「討議」や「論理思考」ではなく、「弁証法」の創造的な「対話」を通じて、「知の世界」の扉を開けて、螺旋的発展を遂げてみたい
----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HP http://tsuruichi.blog.fc2.com/
同Twitter https://mobile.twitter.com/tsuruichipooh
----------------------------------------------------------------------