「ニッチを探して」
「ニッチを探して」(島田雅彦著、新潮社)より
地球上には生物の多様な生息環境があり、それぞれの生息に適した場所を占める。その場所もしくは条件を「ニッチ」と呼ぶ。
生物界に起きることは人にも当てはまるし、多くの人口を抱える都市でも見られる。都市生活者たちは誰しも自分に適ったニッチを見出し、ハッピーに暮らしたがっているが、誰もが似たような欲求を追求し、同じような生活スタイルを求めるので、競争が激しい。しかし、多少好みをずらせば、まだまだ空きニッチはある。元のニッチを追い出された人も、新たなニッチに潜り込み、別種の生き物に変わり得る。たとえば、環境の変化や排除を受けた者は、移住したり、転職したり、出家したり、ドロップアウトしたり、リセットしたりして、別のニッチに進出しようとする。
>>これからどんなニッチを探すことになるのだろう