「一生モノの受験活用術」②
「一生モノの受験活用術――仕事に効く知識とノウハウ」(鎌田浩毅著、祥伝社)より
「好きなことより、できること」
日本で暮らしていると、われわれはつい完璧主義になりがちですが、大学の進路指導では完璧主義をやめて、とりあえず入学できる大学に入るというフレキシブルな考え方でいいと思います。
大学に入れば、本当は、どうにかなります。途中で専攻を変えてもいいし、今は学部が文系でも、大学院で理系に進む学生も多い。専攻はいくらでも選び治せるし、もっと言えば、人生そのものが、いくらでも選び直せるのです。
したがって、最初に決めた目標にこだわる必要はまったくないのです。
私はいつも「人生は偶然に満ちている。その偶然を楽しめるかどうかがポイントだ」と言います。実際、これは地球科学に関連した話でもあります。
人生も偶然を楽しむことができるかどうかが一番大事であることも理解できるでしょう。出会った先生や、出会った授業が面白いと感じたら、迷わずそちらに進んだほうが良いのです。
偶然をプラスに捉える
京大生は国家から良い教育を与えられているので、社会に出てから人々に還元する義務があります。実は、京大生に限らず、すべての高校生にも同じことが言えます。この世で命を授かり、無事に高校に通っているだけで、ノーブル(高貴)な存在と言えるからです。
社会に還元すること自体が、人生で最も楽しいことなのです。このことを高校生や大学生をはじめとして若者にはぜひ伝えたいですし、この本を読んでおられるビジネスパーソンには、改めて、実感していただき、後輩たちに伝えてほしいと思います。
合格に必要なのはビジネスマインド
受験の目的を明確にしたうえで、その後の試験勉強は、徹底的に効率主義で取り組むことが肝心です。たかが試験とはいっても、いったん受けるとなると膨大な時間とお金とエネルギーを費やすことになるからです。
そして、採点する側が求めることに対して、ピンポイントで的確に答える。そのための準備を負担からコツコツとする。英語なら、まんべんなく単語を覚えるのではなくて、「出題される単語」から優先して覚える。このように試験勉強は、とてもシンプルな原理で成り立っているのです。
自分を「プロデュース」する
受験勉強は自分を「プロデュース」する壮大な実験です。こういう機会は長い人生でもそうあるものではありません。そして大学受験という経験が人間を大きく成長させるのは本当です。
日本人は受験勉強について誤解をしているから、すぐ「いったい何に役立つのか」などと疑うのです。しかし、チャレンジしないで一生を過ごすのはどうかと思います。私自身は正面から受験に向きあい、真剣に勉強したおかげで、今、とても面白い人生を歩んでいます。
受験勉強に対して誠実に取り組んでみれば、将来ためになることが必ずあります。これだけは間違いありません。
>>顧客が求めることに対して、ピンポイントで的確に答えられれば、ビジネスでも成功するに違いない