何日かで1知識 アドラー
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「人生を変える勇気」②



「人生を変える勇気」(岸見一郎著、中公新書ラクレ)より


  第4章 勉強、就活のグズグズ

 大人になるってどういうこと?

  ●年齢とは関係ない


 大人になるというのは、年齢とは関係がありません。歳を重ねれば自動的に大人になれるわけではないということです。


  ●自分で決める

 大人になるというのはどういうことかといえば、次の三つのことがあります。
 一つは、自分が決めなければならないことを、自分で決められるということです。

 年齢的には大人になっているのに、自分の人生を自分では決められない人がいます。どの学校に行くのか、どんな仕事につくのか、誰と結婚するかというような選択についてです。
 決められないのは、うまく行かなかった時に、責任を他の人に転嫁したいからなのです。そのような人は「大人」とはいえません。


  ●自分の価値を自分で決められる

 大人であるためのさらにもう一つの条件は、自分の価値を自分で決められるということです。子どもの頃からほめられて育った人は、大人になってからは誰かに承認されたいといつも思うようになり、自分の価値を自分では認めることができなくなります。
 自分で自分の生き方の正しさを確信できず、誰かがそれでいいといえば喜び、批判されたら、たちまち自分の人生なのに生き方を変えるようでは、大人ではないということです。そのように人からの評価や承認を拠り所にする人は他者に依存しているのであり、大人であるとはいえません。


  ●自己中心性からの脱却

 第三に、自己中心的な考えから脱却できているということです。

 大人になるというのは、自分の課題は自分で解決できること、自分は決して自分が所属する共同体の中心にいるのではなく、他者は自分の期待を満たすために生きているのではないという事実を知っているということです。


>>自分の課題は自分で解決し、自分の価値を自分で認められる大人でいたい

「人生を変える勇気」①



「人生を変える勇気」(岸見一郎著、中公新書ラクレ)より
2016年6月25日発行


 はじめに--自分のことが好きですか?


  ■原因論は目的論に包摂される

 生きづらさや、幸せになれないのは過去の経験や今の社会状況などに原因があると考えること(これを「原因論」といいます)には「目的」があります。そのように考えれば、原因論は目的論に包摂されることがわかります。そのように、今の問題の原因を何かに求める限り、本来自分の責任で自分の生き方を改善しなければならないのに、そして実際、改善できるにもかかわらず、少なくとも積極的には自分の課題を解決しようとはしなくなります。


  ■これからどうするか

 私なら、「あなたはこれからどうしたいのですか」とたずねます。嫁姑問題に悩んでいる人に、積年の恨みを話してもらうのではなく、もしも、姑と仲良くしたいというのであれば(そう答える人は多くはないかもしれませんが・・・・・・)、あるいは、少なくとも今、姑に感じている不愉快な思いを軽減したいというのであれば、今後その姑とどのように関われば人生を穏やかに過ごせるか、どうすれば苦しまずにすむかを一緒に考え、そのように過ごせるために積極的に助言します。
 過去や他人のせいにしないことは、カウンセリングを受ける人にとってはずいぶんと厳しいことになります。今起こっていることの責任を、自分が引き受けるということだからです。ですから、私の講義を聞いた人が、「いい話だと思ったが、帰ってから腹が立った」ということがあります。もしも、「いい話」だと思った人は、私の話を少しも理解されなかったといわなければなりません。


  ■変えられることに注目しよう

 今となってはどうすることもできない過去の経験、あるいは、今自分が置かれている状況が、今の問題の原因であるということには「目的」があります。そのようなことをいう人は現状を変えるつもりはないのであり、現状を変えないために原因を持ち出しているのです。
 変えられないことについてではなく、変えられることに注目することが大切です。それは対人関係です。アドラーは「すべての悩みは対人関係の悩みである」といっています。アドラーは、神経症も心の問題ではなく、対人関係の問題だと考えます。その対人関係もこれまでどうであったかではなく、これからの対人関係の改善に努めることを提案します。 
 この対人関係は悩みの源泉であるだけではありません。人と関われば、どんな形であれ摩擦が起きないわけにはいきません。だからこそ、対人関係を避けようとする人は多いのですが、生きる喜び、幸福も対人関係を離れては考えられないのです。この対人関係をどう見るのかが悩みを解決する突破口になります。
 本書は前作『困った時のアドラー心理学』と同様、アドラーが創始した「個人心理学」(Individualpsychologie, individual psychology/日本では創始者の名前をとって「アドラー心理学」と呼ばれています)に依拠して、対人関係をめぐるさまざまな悩み相談に答える試みです。
 アドラーはこんなことをいっています。
「誤った見方をしている時は、心理学はほとんど役に立たない」(『子どもの教育』)
 私なら「まったく役に立たない」に言い換えます。アドラーを知ると、それまでいったいどうしてこんなことを知らなかったのかと思います。新しい見方ではありますが、思いもよらない考え方というよりも、腑に落ちる気がします。人生を変える勇気が沸いてきます。
 本書で取り上げられる多くの質問を通して、どのように問題解決の糸口を見いだしていけばいいかを学んでもらえたら嬉しいです。少しずつアドラー心理学の勘所がわかってくるはずです。

2016年5月  岸見一郎


>>問題の原因を何かに求めることなく、現状を変え続けてゆきたい

老親介護と「嫌われる勇気」②



老親介護と「嫌われる勇気」アドラー心理学が親子関係の悩みを解決する(岸見一郎、Voice 平成28年4月号)より


  「ベストな親を見てほしい」

岸見
  ある看護婦さんが、体を拭いて爪を切っているあいだおとなしくしていた父に「岸見さん、偉いわねえ」と声を掛けたことがありました。歳の離れた人生の大先輩に向かってその言葉はないだろう、と驚いたことがあります。

――褒め言葉は「能力のある人がない人に下す評価」であって、相手次第では馬鹿にしているように聞こえてしまう。

岸見  家族が知っている親は、若いことは何でもできて、いろいろなことを教えてくれた先達です。
介護の仕事に従事する方は、せめてその人が歩んできた歴史の一ページに思いを寄せて、敬意の眼差しを注いでもらいたいですね。


  「若さに価値がある」と思わない

岸見
  上手に年を重ねている方をロールモデルにしてみてはいかがでしょう。美術家の篠田桃紅先生や作家の曽野綾子先生などは、じつに上手に年を重ねていると思います。女優さんだったら、たとえば吉永小百合さんや杉村春子さん。
 
 「老化は悪い」という先入観を捨てて、老いることに肯定的なイメージをもつようにすれば、若返りのために不要な時間とお金を費やすこともなくなります。

 人生とは、スタートから目的地に向けて直線方向に進むものではありません。明日突然、死ぬこともあれば、百歳を超えて生き続けるかもしれない。未来のことは誰にもわからないのです。

 人生とは、ゴールをめざして走り抜くレースではなく、いまこの瞬間を旋回するダンスのような刹那の連続である、と私は考えるようにしています。どこに向かうのでもなく「いまこの瞬間、自分は充実している」という感覚こそ人間にとって完全で美しいものです。こうした考えに基づいて生きていれば、明日のことをいちいち心配することもないでしょうし、志半ばにして人生を終えることへの怯えもなくなります。

 ふと立ち止まったときに、「自分はこんなところまで来たのか」と気付かされる。それが老いです。だから私自身、「いつ人生が終わっても大丈夫」と思える生き方をしたいのです。


>>「いまこの瞬間、自分は充実している」という感覚を持ち続けて生きてゆきたい

老親介護と「嫌われる勇気」①



老親介護と「嫌われる勇気」アドラー心理学が親子関係の悩みを解決する(岸見一郎、Voice 平成28年4月号)より


 心理学の巨頭、アルフレッド・アドラーの思想を取り上げ、対人関係の処方箋を明快に提示したミリオンセラー『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)。著者(原案を担当)の岸見氏は脳梗塞で母親を亡くされたのち、晩年にアルツハイマー型の認知症を患った父親の介護に携わる。「アドラー心理学を学んだことで、幼いころからうまくいかなかった父親との関係を修復し、介護をスムーズにした」という。アドラーは「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と説く。介護に携わる人がかける人間関係の悩みは、アドラーの教えによってどのようにして解決されるのだろうか。岸見氏から介護体験を基にした親との関係の築き方、生きる姿勢を教わった。


  介護は新しい親子関係を築く

岸見
  「私は父との関係を改善させたくないので、殴られた過去の記憶を自ら持ち出しているだ」と。「あのとき殴られたから関係が悪くなった」というのは、フロイト的な原因論の発想です。対してアドラー的な目的論の立場から見ると、父との関係悪化は自分の人生がうまくいかないことを父のせいにしたい、という「目的」によるものだった。

 アドラーが指摘するように、人は他者を変えることができず、自分を変えることしかできないのです。


  親から承認されることを期待しない

岸見
  大切なことは二点です。一つは、理想の親を頭に描かないことです。

 子育てと違い、介護には希望がありません。「今日できなかったことが明日はできるかもしれない」という希望がもてる育児とは異なり、介護には「今日できたことが明日できなくなるかもしれない」恐怖がもてる育児とは異なり、介護には「今日できたことが明日できなくなるかもしれない」恐怖が伴います。だからこそ、家族の側が赤子に接するように「今日も息をしている」「生きていることだけで喜び」と思えるようになると、介護をする姿勢も変わってくる。

 もう一つ大切なのは、「親から承認されることを期待しないこと」です。

 承認欲求が強い人、つまり感謝されることを求める人ほど介護は辛いものになります。介護をするうえで、自分が親にしたことに何ら見返りを求めてはいけないのです。


  貢献感があればOK

岸見
  「自分が親の役に立っている」という貢献感があれば、承認欲求はおのずと消えます。

 自分の価値を生産性にしか置いてこなかった人にとって、老いは苦しいものになります。また、老いの現実を受け入れられなくなった人が、認知症という症状に逃げていることもあります。たとえば若いころから「先生」と呼ばれて尊敬される人生を送ってきた人が、退職した途端、誰からも「先生」と呼ばれなくなると、現実を受け入れられずにショックを受け、認知症になるケースがあります。

 その意味では、人生の早い段階から自分の価値を生産性や肩書きで図らないことが、認知症の予防にもつながります。

 アドラーも「人は、自分に価値があると思えたときにだけ、勇気をもてる」と述べています。家族の対応の仕方によって、認知症の症状をなくすことは不可能だとしても、親の性格はずいぶん穏やかになるはずです。


>>自分の価値を生産性や肩書きで図ることなく、また、他者を変えずに自分を変え続けてゆきたい

「幸せになる勇気」⑤



「幸せになる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教えⅡ」(岸見一郎、古賀史健著、ダイヤモンド社)より


  愛とは「決断」である

哲人
 誰かとの出会いに「運命」を感じ、その直感に従って結婚を決意した、という人は多いでしょう。しかしそれは、あらかじめ定められた運命だったのではなく、「運命だと信じること」を決意しただけなのです。

 フロムはこんな言葉を残しています。「誰かを愛するということはたんなる激しい感情ではない。それは決意であり、決断であり、約束である」と。

 出会いのかたちなど、どうでもいい。もしもそこからほんとうの愛を築いていく決意を固め、「ふたりで成し遂げる課題」に立ち向かうのであれば、いかなる相手との愛もありえます。

 ・・・・・・運命とは、自らの手でつくり上げるものなのです。
 
 われわれは運命の下僕になってはいけない。運命の主人であらねばならい。運命の人を求めるのではなく、運命といえるだけの関係を築き上げるのです。

 ・・・・・・やるべきことはひとつでしょう。そばにいる人の手を取り、いまの自分にできる精いっぱいのダンスを踊ってみる。運命は、そこからはじまるのです。


  ライフスタイルを再選択せよ

哲人
 愛の関係に待ち受けるのは、楽しいことばかりではありません。引き受けなければならない責任は大きく、つらいこと、予期しえぬ苦難もあるでしょう。それでもない、愛することができるか。どんな困難に襲われようとこの人を愛し、ともに歩むのだという決意をもっているか。その思いを約束できるか。

 フロムは言います。「愛とは信念の行為であり、わずかな信念しか持っていない人は、わずかにしか愛することができない」と。・・・・・・アドラーならこの「信念」を、「勇気」と言い換えるでしょう。

 愛する勇気、すなわちそれは、「幸せになる勇気」です。

 「楽をしたい」「楽になりたい」で生きている人は、つかの間の快楽を得ることはあっても、ほんとうの幸せをつかむことはできません。われわれは他者を愛することによってのみ、自己中心性から解放されます。他者を愛することによってのみ、自立を成しえます。そして他者を愛することによってのみ、共同体感覚にたどりつくのです。

 愛を知り、「わたしたち」を主語に生きるようになれば、変わります。生きている、ただそれだけで貢献し合えるような、人類のすべてを包括した「わたしたち」を実感します。

 「愛し、自立し、人生を選べ」と。


  シンプルであり続けること

哲人
 実際の人生は、なんでもない日々という試練は、「最初の一歩」を踏み出したあとからはじまります。ほんとうに試されるのは、歩み続けることの勇気なのです。ちょうど、哲学がそうであるように。


>>運命の下僕になることなく、信念を持って歩み続ける勇気があれば、きっと幸せは訪れるだろう

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