あれっ、尊属殺重罰規定違憲判決?
【 虎に翼:尊属殺重罰規定違憲判決 】
本日は、先日終了した「虎に翼」の最終週に取り上げられた事案は、「尊属殺重罰規定違憲判決」について、以下はWebサイトからの一部抜粋。
「虎に翼」の最後で「尊属殺重罰規定違憲判決」が描かれる驚き
https://president.jp/articles/-/86168?page=1
「虎に翼」が残り3週になったところに、父親を殺したという美位子(石橋菜津美)という女性が登場し、いきなりデカいネタを放り込んできたことに驚いた。どうやら制作陣は戦後の法制史において、重要なポイントは全部触っていくつもりらしい。
【憲法14条1項】
《すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない》
山田轟事務所の壁に大書されている視聴者にお馴染みの文言である。14条は「平等原則」と呼ばれる。人の命はみな平等なのに、「普通殺」「尊属殺」で刑罰の重さを変えていることはその原則に反する、というのが弁護側の論理である。
新憲法下で行われた1950(昭和25)年の最高裁判決で合憲判決が下されている。ドラマでも寅子の恩師である穂高重親判事(小林薫)が違憲論を主張したシーンがあった。
一審判決が刑法200条は違憲無効、過剰防衛により刑の執行を免除する判決。二審の東京高裁では逆に刑法200条は合憲、懲役3年6月の実刑判決という逆転有罪の判決が出た。そして最高裁へ、という流れである。
実際の裁判では、1973(昭和48)年4月4日、最高裁は判例を変更して、刑法200条は憲法14条に違反して無効、と判決した。そして刑法199条のもと情状を酌量して懲役2年6月、執行猶予3年の刑をくだした。
違憲判決が救ったのはAだけではなかった。判決が出るや、現在進行形で裁判をしていた検察官の起訴状から刑法200条が消え、同条で服役している人たちに恩赦が施された。
刑法200条は違憲無効となったのちも、六法からしばらく削除されず、使われない条文として残った。「家制度」の残滓を守りたい人たちがそれほどいた、ということだろう。六法から同200条が削除されるのは、なんと1995(平成7)年の刑法改正においてだった。それまで同200条は亡霊のように六法のなかにたたずんでいたのである。これでようやく、六法から「家制度」の残滓は全て一掃された……かな? はて?
ご参考1)「尊属殺の重罰規定は違憲判決! でも刑法改正はなんと22年後だった!?」
https://steranet.jp/articles/-/3574
ご参考2)違憲判決
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E9%81%95%E6%86%B2%E5%88%A4%E6%B1%BA
最高裁判所で違憲判決を出すには、15名で構成される大法廷において最低9人が出席し(最高裁判所裁判事務処理規則7条)、最低8人が違憲判決を支持することが必要である(同規則12条)。違憲判決は、その要旨が官報において公告され、かつその裁判書正本が内閣に送付される。法令違憲判決については、国会にも正本が送付される(同規則14条)。
ご参考3)NHK朝ドラ「虎に翼」をより楽しむために(その6)尊属殺人違憲判決
https://www.kyotolaw.jp/introduction/muramatsu/blogs/2024/07/6820.html
2024年7月3日、最高裁大法廷は、旧優生保護法の下で不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、障害者らが国に損害賠償を求めた事件で、旧法を「立法時点で違憲だった」とし、憲法13条・14条に違反すると判断しました。
<感想>
寅子の恩師であった穂高重親判事(小林薫)が最高裁の尊属殺の重罰規定に反対(賛成13、反対2)した1950(昭和25)年から23年後の1973(昭和48)年、同規定は違憲(違憲に賛成14、反対1)とされた。時代の流れと共に判断が変わることは良いことだと思う。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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