元証券マンが「あれっ」と思ったこと 2018年01月
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あれっ、黒田日銀総裁の不退転の決意?


【 日銀総裁記者会見要旨 】


 2018/1/24、1/23に実施された日銀の金融政策決定会合に関する総裁記者会見要旨が公表された。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk180124a.pdf


1.日銀の金融政策決定会合

[ 金融市場調節方針の維持 ]

長短金利操作、いわゆる「イールドカーブ・コントロール」のもとで、これまでの方針を賛成多数で決定

1)日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する

2)消費者物価指数(除、生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する

3)今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う

4)「貸出増加を支援するための資金供給」、「成長基盤強化を支援するための資金供給」、東日本大震災および熊本地震にかかる「被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーション」等の措置について、受付期間を1年間延長する


< 短期金利 >
日本銀行当座預金のうち政策金利残高に-0.1%のマイナス金利を適用

< 長期金利 >
10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う


2.展望レポート:先行きの経済・物価見通しと金融政策運営の基本的な考え方

[ わが国の景気の現状 ]

「所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している」

(1)輸出:増加基調(←海外経済:総じてみれば緩やかな成長が継続)
(2)設備投資:増加傾向継続(←企業収益や業況感が改善)

(3)個人消費:緩やかに増加(←雇用・所得環境の着実な改善)
(4)住宅投資:横這い圏内の動き

(5)公共投資:高めの水準を維持しつつ、横這い圏内で推移
(6)鉱工業生産:増加基調

(7)労働需給:着実な引締まりを継続
(8)金融環境:極めて緩和した状態

< 2018年度までのわが国経済の先行き >
1.海外経済が緩やかな成長を継続
2.極めて緩和的な金融環境
3.政府の既往の経済対策による下支えなど

⇒ 景気の拡大が続き、潜在成長率を上回る成長を維持するとみられる

< 2019年度 >
1.設備投資の循環的な減速
2.消費税率引上げの影響

⇒ 成長ペースは鈍化するものの、景気拡大が続くと見込まれる


< 実質GDP成長率に関する今回の見通し >

従来の見通しと比べると、概ね不変


[ 物価面 ]

< 今回の物価見通し >
従来の見通しと比べると、概ね不変

企業の賃金・価格設定スタンスがなお慎重
⇒ 弱めの動きが続く(除、エネルギー価格上昇の影響)

マクロ的な需給ギャップが改善を続けるもとで、企業の賃金・価格設定スタンスが次第に積極化
⇒ 中長期的な予想物価上昇率も上昇するとみられる

  ↓↓↓

この結果、消費者物価の前年比は、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられるが、なお力強さに欠けており、引き続き注意深く点検していく必要がある


<感想>
 本件は、黒田日銀総裁の、消費者物価の前年比+2%達成までは、現状の長短金利操作(「イールドカーブ・コ ントロール」)を維持するという強い意思が感じられる。
 が、デフレ脱却のためには、テクニカルな話ではなく、消費(支出)しても問題ないと思える、国民マインドの変革に繋がる、もっと踏み込んだ政策の導入が望まれる。

(ご参考)
https://ameblo.jp/tsuruichi1024/entry-12344393809.html

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あれっ、早くもコインチェック社への行政処分?


【 金融庁:コインチェック社に対する行政処分 】

 2018/1/29、関東財務局長がコインチェック社に対して行政処分を行った。
http://kantou.mof.go.jp/rizai/pagekthp0130000001_00004.html


1.コインチェック株式会社(資金決済に関する法律附則第8条に基づく仮想通貨交換業者)(以下、「当社」という。)においては、平成30年1月26日(金)に当社が保有していた仮想通貨(NEM)が不正に外部へ送信され、顧客からの預かり資産5億2,300万XEMが流出するという事故が発生した。
 これを踏まえ、同日(26日(金))、同法第63条の15第1項の規定に基づく報告を求めたところ、発生原因の究明や顧客への対応、再発防止策等に関し、不十分なことが認められた。


2.このため、本日、同社に対し、同法第63条の16の規定に基づき、下記の内容の業務改善命令を発出した。
(1) 本事案の事実関係及び原因の究明
(2) 顧客への適切な対応
(3) システムリスク管理態勢にかかる経営管理態勢の強化及び責任の所在の明確化
(4) 実効性あるシステムリスク管理態勢の構築及び再発防止策の策定等
(5) 上記(1)から(4)までについて、平成30年2月13日(火)までに、書面で報告すること。

< 資金決済に関する法律 >
(立入検査等)
第六十三条の十五 内閣総理大臣は、仮想通貨交換業の適正かつ確実な遂行のために必要があると認めるときは、仮想通貨交換業者に対し当該仮想通貨交換業者の業務若しくは財産に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に当該仮想通貨交換業者の営業所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関して質問させ、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

(業務改善命令)
第六十三条の十六 内閣総理大臣は、仮想通貨交換業の適正かつ確実な遂行のために必要があると認めるときは、その必要の限度において、仮想通貨交換業者に対し、業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置その他監督上必要な措置をとるべきことを命ずることができる。


<感想>
 コインチェック社の預かり資産流出事故が発生したのが1/26、金融庁の行政処分が翌営業日の1/29。
 仮想通貨交換業者に関する法律が用意されていることも知らなかったが、行政処分(業務改善命令)発出の早さには下を巻いた。
 金融庁は、民間からかなりの人数を採用していると聞くが、本件のような迅速な動きは評価に値すると思われる。

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あれっ、支配株主のTOBによる100%子会社化?


【 日本郵船:郵船ロジスティクスの完全子会社化 】


 2018/1/26、日本郵船(9101)の株式売渡請求に関する、郵船ロジスティクス(9370。「郵船ロジ」)の取締役会承認に伴う、上場廃止が開示された。
http://v4.eir-parts.net/DocumentTemp/20180128_070528413_3dbrtl45qhjbgcf0hge5oj55_0.pdf


1.特別支配株主*による株式売渡請求

[ 会社法改正により2015/5/1から利用可能に ]


「*議決権の90%以上を有する株主」(日本郵船)が、他の株主の全員(少数株主) に対し、その保有するその会社(郵船ロジ)の株式の全部を売り渡すことを請求できる会社法上の制度(スクイーズ・アウト、キャッシュ・アウトと呼ばれるM&A手法の一種)

(ご参考)
http://www.dir.co.jp/research/report/law-research/commercial/20150619_009841.pdf


2.17/10/31:日本郵船による当社(郵船ロジ)株式に対するTOB賛同の意見表明等
http://v4.eir-parts.net/DocumentTemp/20180128_065441133_hl2eg2v3hb2bh045dmneno55_0.pdf


(1)日本郵船がTOB実施に至った経緯 

[ これまで ]
企業価値向上を目的とした事業戦略を独自に進め、それぞれにおいて顧客接点の拡大と営業力の強化を図ってきた

[ これから ]
日本郵船の中核事業に位置付けてきた物流事業をより一層強化することが不可欠であり、両社が従来以上に一体となった運営を行うことにより、事業戦略の一元化と意思決定のスピードアップを図るとともに、グループ力の更なる強化を通じた付加価値の向上並びに差別化戦略を推進することが可能に

⇒ TOBによる完全子会社化が、日本郵船グループ全体の企業価値向上に最適であるとの結論に至る

[ TOB後に検討している事業戦略 ]
A) 運賃安定型事業である自動車関連物流の融合を通じた高付加価値化と収益安定性の向上

B) グローバルネットワークの相互活用による顧客接点の拡大と営業力強化を通じた競争力向上

C) 日本郵船グループ内の事業連携の深化を通じた収益力と競争力の強化

D) 日本郵船・郵船ロジを含むグループ各社における経営資源の有効活用によるコーポレートガバ ナンスとグループ経営力の強化


(2)当社(郵船ロジ)がTOB賛同に至った経緯

TOBによる完全子会社化により、フォワーディング事業とロジスティクス事業を中心とした事業戦略並びに地域戦略の強化、組織体制の最適化やビジネスプロセスの効率化などの抜本的な事業改革の実行、及び成長領域への積極的な投資等の重要施策の実現が容易になり、当社の企業価値の一層の向上に資するものであるとの結論に至る


<感想>
 本件は、郵船ロジのTOB後に特別支配株主(議決権90%以上)となった日本郵船の株式売渡請求に基づいて、郵船ロジが上場廃止となるもの。
 ソフトバンクグループのように、これから、新たに親子上場を検討する会社(⇒資金調達メリット)もあるが、本件のような(TOBを通じた)完全子会社化(⇒意思決定の迅速化等のメリット)の方が相対的には増えるように思われる。

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あれっ、新設分割で商社と資本業務提携?


【 テクマトリックス:新設分割で三井物産と提携 】


 2018/1/22、テクマトリックス(3762。「テ社」)が、新設分割を通じた、三井物産(8031)との合弁事業を開示した。
https://www.techmatrix.co.jp/ir/gk3doh000000d431-att/20180122.pdf


1.テ社:これまで、これから、狙い

(1)これまで
平成10年:医療機関向けに医用画像システムを開発、販売開始
平成24年:クラウドサービス「NOBORI」のサービスを開始

⇒ 累積契約施設数は720、「NOBORI」が保管する画像データの量は延べ2,000万人分、検査数は1億検査、総容量4PB(ペタバイト)と、大量の画像情報を蓄積


(2)これから
新しいサービスを開発、展開する上で、広範な提携も視野に検討を進めてきた

⇒ 三井物産との間で、事業を共同で推進することを目的として、合弁会社設立を伴う業務提携を行うことに合意


(3)狙い
(a)三井物産のグループ会社やその投資先との連携を進めるとともに、海外を含めたネットワークの活用が可能となる

(b)第三者割当増資(下記2(2))により、「NOBORI」サービスの拡販に向けた設備投資、新しいサービスの開発、さらには M&Aを含めた事業投資のための資金を得られる


2.新設分割と第三者割当増資

(1)新設分割
分割の効力発生日:18/4/1(予定)

テ社の100%子会社として(株)NOBORI を新たに設立し、医療システム事業・権利義務をNOBORI に承継させる分割について、NOBORI との間で分割契約を締結


(2)第三者割当増資等
第三者割当増資の払込日:18/4/19(予定)
払込金額:22億円(予定)
⇒ 三井物産の出資比率:33.34%(テ社:66.66%)

(a)NOBORIが行う第三者割当増資を三井物産が引き受ける出資契約
(b)NOBORIの運営等に関する株主間契約、を締結


<感想>
 本件は、テ社が三井物産との提携により、新設分割による連結子会社(議決権の2/3を保有)を通して、第三者割当増資(22億円。議決権1/3)をしたもの。

 今後、医療分野のクラウドサービス拡販に当たり、(1)自社1社で取り組む、or (2)三井物産と提携+1/3の議決権を渡して22億円調達する、ことを比較衡量して、(2)を選択するに至った。

 商社の持つ、海外を含めたネットワークの活用は、テ社にとっては大きなメリットでもあり、企業の特定分野における新設分割+他社との資本業務提携は、有効な選択であるように思われる。

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あれっ、株価1.5倍でロックアップが解除?


【 KDDI:ナレッジスイート株式をIPO直後に市場売却 】


 2018/1/16提出の大量保有変更報告書で、KDDIが、ナレッジスイート(3999)株式を市場売却したことを開示していた。


1.KDDI:大量保有変更報告書

(1)報告義務発生日:2018/1/15

(2)保有株式数:115,300株(発行済の4.85%)

(3)保有目的:当社とナレッジスイート社との協業関係を維持し、当社法人向け通信サービスの拡充を図るため

(4)重要な契約:17/12/18後90日目(19/3/17)までの期間中、いちよし証券の事前の書面による同意なしには、ナレッジスイート株式の売却(※ただし、その売却価格が募集・売出価格の1.5倍以上であって、いちよし証券を通じて行う東証における売却等は除く)等を行わない旨を合意

※ 通常、株価水準(上昇)をトリガーとして、ロックアップ条項(90日~180日間程度、大株主が主幹事の同意なしでは株式を売却できない条項)が解除されることはない

⇒ 株価が1.5倍以上に上昇した場合は、大株主から相当数の株式売却があっても、需給への影響は限定的との判断か


(5)売却株数等

(a)売却日:17/12/19~18/1/15

(b)累計売却株数:234,700株

(c)累計売却価格:974.4百万円(平均単価@4,152)

(6)当初大量保有報告書

(a)保有株式数:350,000株

(b)取得資金:357.0百万円(簿価@1,020)

⇒ *売却総額:1,453.1百万円(売却差益:1,096.1百万円)
(*平均単価@4,152で売却したものと仮定)


2.ナレッジスイートのIPO概要

(1)主幹事:いちよし証券

(2)IPO価格:2,000円

(3)株価推移:初値5,010円
上場来高値:5,110円(12/19)、同安値3,655円(1/9)

(4)その他:1/25終値4,185円(前日比+295円)


<感想>
 本件は、株価水準(IPO価格の1.5倍以上)をトリガーとしたロックアップ条項解除後に、大株主のKDDIが市場売却した事例。

 KDDIは、保有株式を、(1)IPO時の売出し(@2,000)ではなく、(2)IPO以降の株価上昇後の市場での売却を、早い段階から考えていた模様。(現状、IPO価格の倍以上(平均@4,152)で売却)

 IPO時のプライシング(条件決定)は、通常、タイト目な価格設定になることが多く、今後、このような株価トリガーのロックアップ解除条項付きIPO(PO)が増える可能性があるかもしれない。

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あれっ、REITの自己投資口取得?


【 日本リテールファンド:自己投資口の取得 】


 2018/1/23、日本リテールファンド(8953)が、自己投資口の取得終了に関する開示をした。
http://www.jrf-reit.com/upd3/irpr_news/pdf/xjs0215A66F3DE313961.pdf


1.自己投資口取得の概要

取得投資口の総数:49,181口(発行済の1.8%)
投資口の取得総額:約100億円
(平均取得価格:203,330円/口)
取得期間:2017/10/17~18/1/23
取得方法:証券会社との取引一任契約に基づく東証における市場買付け


2.2017/10/16:自己投資口取得に係る事項の決定に関するお知らせ
http://www.jrf-reit.com/upd3/irpr_news/pdf/xjs14159E45B325FE615.pdf

(1)取得理由
a)足元における「質・収益性を兼ね備えた物件」の取得機会減少 

b)潤沢なフリーキャッシュの活用

c)相対的に割安な投資口価格水準における有用な投資主還元


(2)ご参考
投資口総口数:2,667,198口(消却前)
1口当り分配金:4,330円

< 消却後の予想分配金 >
2018/2期:4,391円(+61円)
2018/8期:4,424円(+94円)


3.投資法人に関する制度改正(KPMGの参考資料)
https://assets.kpmg.com/content/dam/kpmg/pdf/2016/03/jp-j-reit-effect-20140715.pdf

・REITは大半を配当に回すため、利益剰余金がない状態で投資口を取得
⇒ 取得した投資口を決算期前に消却
⇒ 配当可能利益の90%以上を配当


<感想>
 本件は、一般事業会社の自己株式取得&消却と同様の、REITにおける実施事例。

 相対的に株価が割安時に、自己投資口取得&期末までの自己投資口消却により、1口当りの分配金を増やすことが可能。

 平均取得価格203,330円は、2016/3/23の高値274,800円の△26%。上記2(1)(c)にある通り、相対的に割安な投資口価格水準での自己投資口取得は、有用な投資主還元策と思われる。

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あれっ、報酬ではなく、各者の投資判断に基づいたストックオプション?


【 払込代金1円/株の有償ストックオプション 】


 2018/1/22、スターマイカ(3230)が、報酬としてではない、各者の投資判断に基づいて引き受けが行われるストックオプション(新株予約権(WT ))の開示をした。
https://www.starmica.co.jp/wp/wp-content/uploads/2018/01/180122-01.pdf


1.WT発行概要

(1)WT数:9,000個(100株/WT1個。90万株)
⇒ 全WT行使時の増加株式総数:90万株(発行済株式総数の4.7%)

(2)WT発行価額:100円/個(1円/株。1/29終値@1,781の0.06%)
⇒ 公正価格にて有償で発行(有利発行ではないため株主総会特別決議の承認不要)

(3)行使価額:1,781円/株(1/29終値)

(4)行使期間:2023/3/1~26/2/8

(5)行使の条件:

(a)18/11期~22/11期の連結営業利益の合計額が230億円を超過した場合、全てのWTを行使可能
(17/11期の連結営業利益:35.75億円。18/11期(予):36.69億円)

(b)WT行使時においても、当社・関係会社の役社員等であること(定年退職等、取締役会が認めた場合はOK)

(6)譲渡制限:WT譲渡は取締役会決議による承認が必要

(7)割当者:取締役 3名 7,400個、従業員15名 1,600個


2.会社の考え

(1)行使の条件(上記1(5)(a))は、過去の業績水準から相当程度高い水準となっており、その目標が達成されることは、 当社の企業価値・株主価値の向上に資するものと認識

(2)株式の希薄化(4.7%)への影響は合理的なものであると考えている


<感想>
 本件は、今後5年間の累計連結営業利益が230億円(単純平均46億円(17/11期対比+10億円超))超となった時に行使が可能となるWT発行事例。

 かなりストレッチした数値⇒WT価値抑制⇒100円/WT1個(1円/1株)という少額の払込でストックオプションを取得可能。

 100個のWT(WT行使で1万株取得)がたった1万円(100個×100円)であれば、取得しない選択肢はないだろう。
(仮に、5年後に株価が千円上昇していれば、グロスで1千万円(千円×1万株)の儲け)

 有償WTであれば、税制適格(無償)WTにおける行使金額の制限(WT行使価額/年≦1,200万円)もないため、今後、このような枠組のストックオプションが増えるかもしれない。

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あれっ、日本ペイントHDも筆頭株主から株主提案?


【 日本ペイントHD:提携先・筆頭株主から株主提案 】


 2018/1/22、日本ペイントHD(日ぺ)(4612)が、3月末に開催予定の定時株主総会における取締役選任に関する株主提案書を受領した旨の開示をした。
https://www.nipponpaint-holdings.com/ir/document/pdf/news_japanese_20180122_5a652c1a9ec92.pdf

 以下は、添付日経電子版等からの概要のまとめ。
https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=1&ng=DGXMZO25945370Q8A120C1000000&scode=4612&ba=1


1.株主提案の概要

(1)提出者:シンガポール塗料大手ウットラムグループ(筆頭株主)

(2)内容:推薦する6人を日ペの取締役候補とする株主提案(取締役の上限は10人)
 ⇒ 総会で可決されれば過半数を占める。日ペの経営陣がウットラム案に反発すれば委任状争奪戦に発展する可能性あり

(3)ゴー氏(ウットラムGのCEO、日ぺの取締役)の狙い
・1株利益(EPS)と配当からなる株主価値の最大化
 ⇒ 今回の5人の社外取締役候補はこの株主価値の最大化という考え方に賛同

(4)その他
・2017年末、日ぺが米塗料大手アクサルタ・コーティング・システムズの買収を断念したことの評価
 ⇒ 断念という判断はよかった(それ以上は守秘義務があるのでコメントできない)


2.NIL*の大量保有変更報告書より
(*ニプシー・インターナショナル・リミテッド)

(1)2014/12/5(下記3に基づく)
・第三者割当増資:60,000千株
・発行価額:1,705円/株

(2)現在の保有状況
・保有株数:126,906千株(保有比率39%)
・取得総額:2,260億円
・取得簿価:1,781円/株
 ⇒ 18/1/22終値@4,110(前日比+315)の時価総額:5,216億円(含み益+2,955億円)

(3)三者間の合意
・ゴー氏、ウットラムGと日ペ間で、NILがグループ企業外に株式を売却する場合は、日ペが自らまたは第三者を売却先に指定できる先買権を有することを合意

(4)保有目的の変更(報告義務発生日:2018/1/19)
http://www.kabupro.jp/edp/20180122/S100C5MK.pdf

・戦略的資本業務提携に関する発行者との合意に基づく株式の保有及び役員選任等の重要提案行為等を行うこと

・これ以前:戦略的資本業務提携に関する発行者との合意に基づく株式の保有
 ⇒ 後段の「役員選任等の重要提案行為等を行うこと」部分を追加


3.2014/2/3:ウットラムGとの協業関係深化に向けた戦略的提携等に関するお知らせ
https://www.nipponpaint-holdings.com/ir/document/pdf/news_japanese_20160225_56ceb2f0d9214.pdf

[ 目的 ]
 当社とウットラムGで運営するアジア地域の合弁会社の更なる企業価値向上と当社とウットラムGとの協業関係の深化、及びそれらを通じた当社の企業価値の向上


<感想>
 本件は、戦略的提携先かつ筆頭株主からの社外取締役選任に関する株主提案。
 両者の関係が良好であれば、このような事態にはならなかったはずであり、株主総会前の両者の話し合いを含めた、今後の動向が注目される。

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あれっ、スパークスGが増配と取締役任期短縮を株主提案?


【 スパークス・グループ:帝国繊維へ株主提案 】


 2018/1/19、スパークス・グループ(8739)が、帝国繊維株式会社(3302)に株主提案したことを開示した。
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1545553


1.概要

 連結子会社のスパーク・アセット・マネジメント(SAM)の運用するファンドは、帝国繊維が3月に開催予定の定時株主総会において以下の2つを株主提案(SAMが傘下の運用ファンドを通じて株主提案を行うのは11年ぶり2回目)

(1)剰余金の配当の件 
 期末配当として、90円/株を配当する(同社計画は30円/株)

 ⇒ 資本効率の更なる低下を防ぐため、 現金同等物の増加を抑制するのに必要な水準の配当の実施を提案


(2)定款の一部変更の件 
 取締役の任期を、現在の「選任後2年以内」から、「選任後1年以内」に短縮する 

 ⇒ 帝国繊維の取締役会が株主からの信任の機会を増やすことによって、巨額の持合い株式に代表される経営上の課題に株主の視点を加味して対処する体制を整えるよう、取締役の任期短縮を提案


2.背景

(1)株式市場での評価
 帝国繊維は優良な防災製品事業を営みながらも、時価総額は約594億円(17/12末)と、予想当期利益30億円、保有する金融資産約425億円*を考慮すると、株式市場で十分な評価を受けていないこと(*17/9末の現預金、有価証券・投資有価証券の合計値)

(2)主な要因
 同社の非効率な資本配分にあること

a)本業とシナジーの薄いヒューリックの持合い株式を約225億円(12/29終値@1,266)も保有している
b)成長投資にも株主還元にも使用されない現預金および有価証券を約208億円5保有
c)過去10年間(17/9 vs 07/12末)で利益剰余金(いわゆる「内部留保」)が約207億円増加

 ⇒ 自己資本利益率(ROE)上昇に対する重石となっている
 ⇒ 利益剰余金の増加分は事業性資産に充てられることなく、ほぼそのまま、現預金・有価証券として蓄積されている


(3)これまで
 過去4年間にわたり同社と対話の努力を継続し、(a)ヒューリック株式を合理的な期間内に売却すること、(b)成長投資と株主還元に関する明確な方針を示すこと、を提案してきた 

 ⇒ 帝国繊維が資本の有効な活用法を検討するよう要望
 

3.数値の比較(17/9末 vs 07/12末)

(億円)   17/9末 07/12末
流動資産
 現金預金   108  18(+89)
 有価証券   100  10(+90)
投資その他の資産
 投資有価証券 217  20(+197)
合 計     425  49(+376)

利益剰余金   286  79(+207)


<感想>
 本件は、SAMが傘下の運用ファンドを通じて、帝国繊維宛て増配と取締役任期短縮の株主提案を行うもの。
 当社に限らず、利益剰余金については、現預金・(投資)有価証券ではなく、より利益率の高い事業への成長投資に活用することが望まれよう。

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あれっ、資本性50%のハイブリッド社債を発行?


【 ヒューリック:ハイブリッド社債の発行 】



 2018/1/19、ヒューリック(3003)が、ハイブリッド社債の条件決定を開示した。
http://v4.eir-parts.net/DocumentTemp/20180120_064623283_cl0vwgvfwudz03rd1ekvbxfw_0.pdf



1.公募ハイブリッド社債(公募劣後特約付社債)の発行条件決定に関するお知らせ


 発行金額:500億円
 当初利率:年0.99%


 償還期限:2053/1/26
 期限前償還:2023/1/26以降の各利払日に当社の裁量で期限前償還可能


 資本性:日本格付研究所(JCR)・資本性「中・50%」

 取得格付:A-(JCR)(長期債格付A+から2ノッチ下)


 引受証券会社:みずほ証券(事務主幹事)、野村證券(共同主幹事)、 大和証券(共同主幹事)、SMBC 日興証券(シ団)


(注1) 負債であり株式の希薄化は発生しない
(注2) 2018/1/27~/1/26までは固定利率、2023/1/27以降は変動利率(23/1/27に金利のステップアップが発生)
(注3) 当社は、本社債を期限前償還する場合は、JCRから本社債と同等以上の資本性が認定される商品により、本社債を借り換えることを想定
 ただし、以下をいずれも満たす場合には、同等以上の資本性が認定された商品による借り換えを見送る可能性あり
1)連結BS上のデット・エクイティ・レシオ(D/Eレシオ)が3.00倍以下
(17/9末のD/E*レシオ:2.52倍)
2)連結BS上の自己資本の金額が、2017/9末対比で250億円以上増加(自己資本*17/9末vs16/9末:+351億円)
 (*:E=自己資本=純資産と仮置)



2.17/12/1:公募ハイブリッド社債(公募劣後特約付社債)の発行に関するお知らせ
http://v4.eir-parts.net/DocumentTemp/20180121_053137707_hgtwju451unzkein4pwq2u45_0.pdf


(1)目的・背景
 更なる成長戦略を推進する上で、株式希薄化による資本効率低下を回避しつつ、財務基盤の増強に資する資金調達手段として、本ハイブリッドファイナンスを検討・発行を決定


(2)特徴
 本社債は、資本と負債の中間的な性質を持ち、負債であり株式の希薄化は発生しない一方で、利息の任意繰延、超長期の返済期限、清算手続き及び倒産手続きにおける劣後性等、資本に類似した性質・特徴有り(格付機関(JCR)より資金調達額の 50%に対して資本性の認定予定)


(3)スケジュール・金額
 需要状況を見ながら、2018/1に発行金額等の条件を決定予定
 調達資金は、現時点では総額1,000~1,500億円程度の規模を目途としており、最終的な調達金額は需要状況や金利動向等の諸般の事情を総合的に勘案した上で決定予定



<感想>
 本件は、不動産業を営むヒューリックが、ハイブリッド社債の発行により、株式の希薄化なしの資本性(50%)認定により、財務基盤の増強を企図したもの。5年後以降に金利がステップアップする前の期限前償還を前提としている。


 発行金額(500億円)は、当初予定金額の1/3~1/2に留まり、大手証券4社でも需要の積み上げに苦労した模様。


 引き続き、金余り状況が続いていると思われる中、(1)投資家の運用スタンスが変化したのか、(2)(単に)発行会社のリスクテイクの問題なのか、需要が積み上がらなかった背景に興味がある。


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あれっ、新株予約権の行使要請に基づいた資金調達?


【 フィシリティ契約付新株予約権 】


 最近、新株予約権(WT)を活用した資金調達をよく見かける。今日は、萩原電気(7467)のファシリティ契約付WTをサンプルとして、概要を確認してみる。


1.18/1/18:WT大量行使に関するお知らせ
http://v4.eir-parts.net/DocumentTemp/20180119_075701972_uztt5hmnnnwsdd55dig1vu45_0.pdf

(1)月初からの行使株式数:78,800株(WT788個。WT総発行数の11.3%)

(2)平均行使価格:3,309円
(行使総額53,307千円÷78,800株)

※12/18以降の平均行使価格:3,253円
(行使総額365,633千円÷112,400株)


2.17/12/14:WT行使要請通知に関するお知らせ
http://v4.eir-parts.net/DocumentTemp/20180119_080246171_gveek555stvz5uabqknlppft_0.pdf

(1)WT行使要請期間:17/12/15~18/2/28

(2)WT行使要請個数:2,000個

(3)資金使途(概要):在庫量変動に対応可能な運転資金の確保


3.17/11/28:第三者割当による第2回WT(行使価額修正条項付)・ファシリティ契約に関するお知らせ
http://v4.eir-parts.net/DocumentTemp/20180119_102439106_vb2tpdfz0x3jms55bbvgin45_0.pdf

(1)WT個数:7,000個(100株/WT1個。潜在株式数は70万株。総議決権数の8.62%)

(2)WT発行価額:1,247円/WT(12.47円/株。11/24終値@3,500の0.36%)

(3)行使価額の修正:WT行使請求の効力発生日前日のVWAP(売買高加重平均価格)×91%(9%ディスカウント)

(4)行使可能期間:17/12/15~19/12/30

(5)ファシリティ契約の内容
・期間:17/12/15~19/9/30
・行使要請:SMBC日興証券(WT割当先)に対して、WT行使要請(期間:20取引日以上。個数:100個以上7,000個以内)することができる

⇒ 行使要請のオプションは、発行会社サイドにある(株価低迷時は行使要請をしなければ良い)


<感想>
 本件は、発行会社の行使要請に基づいて、割当先のWT行使を通じて、資金(エクイティ)調達をするもの。
 発行会社が、株価上昇局面で行使要請することで、結果的に、公募増資よりも調達額が大きくなることもあり得る。最大希薄化株数(本件70万株)も予め決定されてもあり、所謂MSCB(Moving Strike型CB)とは異なるものと考えられる。

(例)公募増資:引受手数料4%+販売ディスカウント率3%=7%
・11/24終値@3,500の7%ディスカウント=3,255円<3,309円(上記1(2))

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あれっ、村上ファンド系によりTOBが不成立?


【 東栄リーファーライン:TOB(MBO)不成立 】


 2018/1/12、東栄リーファーライン(9133)が、TOB(MBO)の不成立を開示した。
http://ir.toeireefer.co.jp/pdf/toeireefer20180112_1.pdf


1.TOB不成立の背景

(1)TOB成立のための下限株式数

下限株式数:3,689,400株 ](a)

・議決権株式数:5,535,243株(b)
=2017/9/30現在の対象者の発行済株式数(6,050,000株)から自己株式数(514,757株)を差し引いた株式数

・(a)の根拠:a÷b=66.7%(株主総会特別決議:議決権を持つ株主の過半数が総会に出席し、その議決権の3分の2以上の賛成が必要)
(参考:
https://r.nikkei.com/article/DGKKASGD28H6G_Y6A620C1EA2000


(2)TOB応募株式数

[ 2,520,429株 ](b)
(村上系の取得が明らかになった12/1以降(TOB期間:11/9~1/11)、株価は終始TOB価格(600円)を上回って推移したこともあり、半数超の株主はTOBに応募せず)


(3)結果:TOBは不成立

・a > b
(TOB応募株式数が、TOB成立条件の下限株式数を下回ったため)


2.オフィスサポート(村上ファンド系)の大量保有変更報告書

 報告義務発生日:2018/1/5
 提出日:2018/1/15(上記5営業日以内)
 事由:株券等保有割合が1%以上増加したこと及び単体株券等保有割合が1%以上増加したこと

 事業内容:投資業、等
 保有目的:投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと

・共同保有株券総数:1,010,200株(c)
(オフィスサポート549,700株、レノ460,500株)
⇒発行済株式数の16.7%

・取得価額:613,831千円(d)
(オフィスサポート329,211千円、レノ284,620千円)

・平均取得簿価:607.6円/株(d÷c)


3.1/10以降の株価推移(終値)

・1/10:765円:1/11:730円、1/12:720円、1/15:703円、1/16:691円、1/17:689円、1/18:688円、1/19:686円

(ご参考)
https://ameblo.jp/tsuruichi1024/entry-12333764696.html


<感想>
 本件は、村上ファンド系が大株主(保有比率16.7%)となって株価も上昇した結果、TOB(MBO)が不成立となった事例。
 今後、村上ファンド系からどのような「経営陣への助言、重要提案行為」(上記2の保有目的)が行われ、会社サイドがどのような対応策を選択するのかが注目される。

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あれっ、ドコモの自己株式TOB応募でNTTは1,997億円の個別特別利益を計上?


【 NTT:ドコモの自己株式TOBによる個別決算で特別利益を計上 】


 2018/1/16、NTTドコモ(9437)の自己株式TOBの結果が開示された。
http://www.ntt.co.jp/news2018/1801/180116a.html


1.NTTドコモによる自己株式TOBの結果

・NTT(9432)保有のドコモ普通株式のうち7,459万9,000株*を自己株式取得(2,681円/株)
(TOB応募株式総数:7,567万8,037株)


2.NTT個別決算での特別利益の計上について

・特別利益(関係会社株式売却益)1,997億円を計上する見込み
・逆算した簿価:4円/株
(*×(2,681円-4円)=1,997億円)


3.なぜ「自己株式TOB」なのか?

「みなし配当の益金不算入制度」の活用のため(と思われる)

・自己株式TOBの場合、法人(大株主)からの売却であれば、みなし配当の「益金不算入」制度(持株割合/益金不算入:(1)~5%/20%、(2)5%~1/3/50%、(3)1/3~/100%*)の活用が可能

< NTT:ドコモ株を1/3超保有 >
・みなし配当の額から*負債の利子の額のうち関係法人株式等に係る部分の金額を控除した残額は「益金の額に算入しない」
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2015_5/pdf/04.pdf


4.NTT の連結納税制度(17/3期有報P118)

「当社は、連結納税制度を適用した会計処理及び表示を行っております。(略)なお、平成29年3月31日現在における連結納税会社は、当社及び日本国内の完全子会社81社であり、NTT東日本、NTT西日本及びNTTコミュニケーションズが含まれております。」

⇒ NTT ドコモは完全子会社ではないため、NTTの連結納税の対象外
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/1282/qa/01.htm


(ご参考)
https://ameblo.jp/tsuruichi1024/entry-12335826262.html


<感想>
 本件は、(税効果を考慮したと思われる)NTTドコモの自己株式TOBへNTTが応募した結果に関する開示である。(ToSTNeT-3では益金不算入にならない。)
 社外流出する税金を抑えることができれば、その分、会社は内部留保(⇒将来の配当原資や更なる自己株式取得)や(残余のキャッシュ⇒)前向きな投資に振り向けることが可能となる。
 税効果を考慮することは、上記内容を通じて企業価値向上にも繋がり、会社・投資家双方にとってメリットがあるため、他社においても重要な施策の一つになり得るものと思われる。

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あれっ、大和証券グループが不動産AM事業を強化?


【 大和証券グループ本社の不動産アセットマネジメント事業 】


 2018/1/15、大和証券グループ本社(8601)が、「不動産アセットマネジメント事業の新たな取組み」を発表した。
http://www.daiwa-grp.jp/data/attach/2345_05_20180115a.pdf



1.サムティ・レジデンシャル投資法人(SRR)の第三者割当増資の引受
http://www.samty.co.jp/news/auto_20180115450846/pdfFile.pdf

・大和証券G本社:161,700投資口割当
 ⇒ 出資比率35.4%へ


2.サムティアセットマネジメント(SAM)への資本参加

・大和証券G本社:1,386株取得(サムティ(3244)から譲渡)
 ⇒ 出資比率33.0%へ


3.大和証券Gのこれまでの取組と狙い

(1)これまでの取組

<  大和リアル・エステート・アセット・マネジメント >
・平成21年:子会社化
 ⇒ 不動産アセットマネジメント(AM)事業に参入

・現在、上場 REIT の「大和証券オフィス投資法人」・「日本ヘルスケア投資法人」、非上場 REIT の「大和証券レジデンシャル・プライベート投資法人」を運用

< ミカサ・アセット・マネジメント >
・平成27年:子会社化
・現在、上場REIT「日本賃貸住宅投資法人」を運用


[ 運用資産額 ]
・上記1の4投資法人合計の運用資産額:約 8,580 億円


(2)狙い
・中計(Passion for the Best 2017)において「資産運用力の強化」を掲げ、不動産AM事業の拡大を積極的に推進中

 ⇒ 上記(1・2)の取組みを通じてSRR及び SAMの投資主価値及び企業価値向上に貢献し、 また、これを推進していくことで、大和証券Gの不動産AM事業の更なる発展に繋がるものと確信している


<感想>
 本件は、大和証券G本社による、(中計に掲げる)不動産AM事業を含めた「資産運用力の強化」の方針に沿った資本業務提携。
 今後益々、経済自体が複雑化する中、本業(証券業)単体のみではなく、周辺業務(不動産AM)等を含めた総合力が問われる時代(証券会社のみならず)になって行くものと思われる。

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あれっ、野村證券が株式買付け後に同株式を売出し?

 

【 象印マホービン:株主から株式買付け後の売出し 】


 2018/1/15、象印マホービン(7965)が東証1部指定に合わせた株式売出しを開示した。


1.株式売出し
https://www.zojirushi.co.jp/corp/ir/library/pdf/disclose/20180115_2.pdf

(1)株数:3,517,800株
(2)売出人:野村證券※
(3)売出価格:未定(2018/1/24~1/30のいずれかの日に決定)
(4)売出方法:野村證券を主幹事会社とする引受団に全株式を買取引受けさせる
(5)受渡期日:2018/2/5
(6)OA:527,600株(野村證券が当社株主から同株数を上限として借り入れる)

※野村證券が株主である協和興産より買取る当社普通株式について売出しを行うもの


2.野村證券の買付け
https://www.zojirushi.co.jp/corp/ir/library/pdf/disclose/20180115_3.pdf

・買い集め行為に該当(金商法167条1項・同法施行令31条)
 ⇒ 当該情報の公表なくしては、株式の買付け等はできない(金商法167条4項)

(1)対象銘柄:象印マホービン 普通株式
(2)買付先・買付数量:協和興産(株) 3,517,800株
(3)総株主等の議決権の数に対する割合:5.22%(総議決権数673,141個)
(4)買付日:2018/1/24~1/30までのいずれかの日(=上記1(3))
(5)受渡期日:2018/2/5(=上記1(5))



3.協和興産の大量保有変更報告書より
(1)事業内容
・不動産の所有・売買および賃貸
・有価証券の保有

(2)保有目的
・発行会社のオーナー一族の出資する会社であり、安定株主として長期保有

(3)保有株式数
・4,045,443株(発行済株式数の5.57%)


<感想>
 本件は、協和興産が直接の売出人とはならずに、野村證券が協和興産から一旦買付けた後で売出しをするもの。

 引受団の組成を予定しているとのことなので、「(協和興産からの)買付け価格(b)<(野村證券の)売出し価格(a)」の差額*(a-b)のスプレッド*を抜くために、野村證券を噛ましているようにも見える。


 東証1部指定に伴い、株価がある一定水準以上になったら上記スプレッド*を拡大させるオプション(例:1,300〜1,350円:1%、1,350〜1,400円:2%、1,400円〜:3%。1/16終値@1,383円(前日比+117円)を付与した枠組みかもしれないが、買付け価格の開示がないため、真相は当事者にしか分からない。

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あれっ、リカーディアン均衡からの脱却?


【 視点:マネタリーファイナンスはなぜ日本に必要か 】


 2018/1/10、ロイターに元英FSA長官※の以下の興味深い記事が掲載されたので、概要をまとめてみる。
https://jp.reuters.com/article/2018-views-adair-turner-idJPKBN1EY0T3

※アデア・ターナー元英金融サービス機構(FSA)長官/インスティテュート・フォー・ニューエコノミックシンキング会長


1.日本国民の問題点

・国民のマインド が、かなり強いリカーディアン均衡*の罠に陥っていること
 ⇒ 国民が貯蓄に走り(支出に回らず)、政策効果が損なわれている


2.日本政府や日銀の問題点

・国民に対して、今は正直に言っていないこと
 ⇒ 以下のようなことを正直に言う(説明する)こと

(1)公的債務負担**が実際のところは、国内総生産(GDP)比250%よりも大幅に低い水準であること

(2)日銀はいずれ保有する国債を市場で売却し、政府は財政赤字を財政黒字に転換して借金を返すという(信じ難い)シナリオから脱却して、バランスシート(BS)上の国債を実質的に「消却」すること(下記3(3))

 ⇒ 国民のマインド面にポジティブな影響を与える

*
http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/yasashii2/04.html
**日銀は大規模な量的緩和を実施 ⇒ 国債(=公的債務負担)の買入額はGDP比で90%に拡大


3.日本政府と日銀に対する3つの提案

(1)消費税引き上げの再延期
・政府は2019/10予定の消費税率引き上げ(8%⇒10%)を再延期し、高水準の財政赤字を計上し続けるべき
(民間貯蓄超過を穴埋めするためには、相当規模の公的赤字が2020年代半ばまで必要なことを甘受すべき)

(2)日銀による大規模国債購入の継続
・日銀は、政府による国債発行とほぼ同じペースで国債を購入し続けるべき
(日銀以外の主体が保有する国債が増えないようにする必要があり)

(3)無利子永久国債による実質的な「消却」
・日銀は、保有国債の一部を無利子永久国債としてバランスシート(BS)の資産に計上し、実質的に「消却」すべき
(一般企業グループの連結決算と同様、政府と中銀を会計的に一体として捉える統合政府の考え方に従って、日銀保有分を公的債務から差し引いて考えることも強調すべき)

 ⇒ 政府・日銀が姿勢を変えれば、国民はリカーディアン均衡から逃れられる


<感想>
 ターナー氏の上記3の3つの提案により、国民がリカーディアン均衡から逃れられて、結果的に日本がデフレから脱却できるような気がしてきた。

 政府・日銀には、デフレ脱却のために、過去を踏襲するのではなく、今こそ、国民のマインドを変化させる、これまでとは一線を画した大胆な発想に基づいた、ターナー氏的視点の政策を期待したい。

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あれっ、業務委託報酬を新株予約権で支払う?


【 ザッパラス:業務委託報酬としての新株予約権 】

 2018/1/12、ザッパラス(3770)が、新株予約権(「WT」)の条件決定を開示した。


1.1月12日:WT条件決定時の開示
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120180112449888.pdf

(1)WT条件決定概要
・割当先:1名(田中泰延)
・WT総数:264個 (普通株式100株/WT1個)
(全WT行使時:26,400株)
・WT払込金額:37,714円/WT1個(377.14円/株(a))
・WT行使価額:1円/株(b)(100円/WT1個)

(2)WT行使の条件に伴うディスカウント
・(a)+(b)=378.14円/株(c)
・1/12終値:413円(d)
・WT行使の条件(下記2(2))に伴うディスカウント:34.86円/株(d-c)


2.12月28日:WTローンチ時の開示
http://www.zappallas.com/wp-content/uploads/2017/12/ir_201712_stockoption_03ir-1.pdf

(1)目的及び理由
・現在当社は、潜在顧客層との新たな接点作りに向けて「占い TV」及び「占いフェス」(「本サービス」)へ集中的に資本を投下

・本サービスの制作に関する業務委託契約を締結するにあたり、当該業務委託先からその対価を将来における企業価値向上に紐づく形で受け取りたい旨の申し出があり、対価の支払い方法を現金の支払いに代えてWTを付与する事とした

・※発行するWTの数に発行価格を乗じた金額が本件業務委託報酬と同額になるようWTの個数を決定。また、行使価額を1円に設定することで、WTの公正価値が現在の当社株式価値に可能な範囲で近似するようにした

・WTがすべて行使された場合の増加株式総数は、発行済株式総数の0.19%に相当。業務委託先による企業価値向上への取り組みが期待できることから、WT発行による株式の希薄化規模は合理的であると考えている

※「業務委託報酬=WT個数×発行価格」の意味:私には理解できず


(2)WT概要
・行使期間:2018/2/1~2023/1/31
・行使の条件
(a) 2018/2/1~5/31:WT総数の40%まで
(b) 2018/6/1~9/30:同70%まで
(c) 2018/10/1~:同100%(制限なし)


3.株価水準⇒利益(報酬額)の関係例(除、株式売却手数料)

(1)株価:1,000円
・26,400株×(1,000円-378.14円)=16,417千円

(2)株価:500円
・26,400株×(500円-378.14円)=3,217千円

(3)株価:250円
・26,400株×△378.14円=△9,983千円(WT行使せず)


<感想>
 本件は、業務委託報酬を、現金の支払い(PL(費用)にヒット)に代えて、WTで支払う(PLにヒットしない資本取引)もの。

 割当先は個人であるため、報酬が「総合課税」(最高税率:55%(所得税45%+住民税10%))ではなく、「分離課税」(20.315%)で済むため、株価上昇時(上記3)の税効果考慮後のネット手取額は大幅に大きくなる。

 費用に関する、支払い側(PLにヒットしない)・受け取り側(株価上昇時のネット手取額は大幅にプラス)の双方にメリットのあるWTの活用は、新手の取り組みとして今後増える可能性があるようにも思われる。

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あれっ、結果的に一族の株式保有比率が減少?


【 大塚家具:一族の株式保有比率 】


 親子対立に伴い、一族の株式保有比率がどれほど減少する結果となったのか。個人的に確認可能な範囲で、大量保有変更報告書を追ってみた。


1.大量保有変更報告書(保有比率)
                (千株)
(1)大塚勝久+千代子=計
2008/3/27   4,800+370=5,170(26.7%)
2008/3/28  △1,300(市場外,@1,183)(a)
15/8/11-12/25△1,637
16/2/17- 3/23 △200
16/3/27- 5/30 △654
16/8/ 3 -8/12 △350
2016/8/12時点 600+306=906(4.7%)

(2)ききょう企画(社長:久美子(当初))
2008/3/27   592(3.05%)
2008/3/28 +1,300(市場外,@1,183)(a)
2016/5/12 △ 600(市場外,@1,232)(b)
同時点    1,292(6.7%)

(3)レオス・キャピタルワークス(ひふみ投信)
2016/5/12  + 600(市場外,@1,232)(3.1%)(b)
2016/5/31   984(平均@1,224)
2016/6/17  1,183(同@1,213)
2017/3/ 3  1,607(同@1,165)(8.3%)


2.まとめ(保有比率の変化)


(1)大塚勝久(匠会長)夫妻:26.7%⇒4.7%
(2)ききょう企画(久美子社長系):3.1%⇒6.7%
(3)レオス・キャピタルワークス:0%⇒8.3%


<感想>
 親子対立により、保有比率の変化は、(1)父母:△22%(16/8時点)、(2)ききょう企画(久美子社長系資産管理会社):+4%弱(16/5時点)、(3)レオス・キャピタルワークス(ひふみ投信):+8%強(17/3時点)。

 一族の保有比率は△18%強。結果的に、父(匠会長)が言っていた通り、資本と経営の分離が進み、株式保有を通じた経営の安定化が損なわれたことは否めまい。
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あれっ、議決権を考慮した事業承継が大事?


【 匠大塚会長が“父娘げんか”を経て語る「事業承継ここを誤った」】


 2018/1/9のDIAMOND ONLINEに、匠大塚会長の掲題記事が掲載されていた。
http://diamond.jp/articles/-/155073?display=b

 今日はこの記事の概要を、明日以降は具体的にどのような動きがあったのかを確認してみたい。


[ 記事の概要 ]


1.5人の自慢の子どもたち

・学校も自由に選び、父親の仕事を手伝いたいと皆が思っていた

<  大学での専攻 >
長女:経済(久美子社長。一橋大学経済学部塩野谷ゼミ)
長男:彫刻科(匠大塚の勝之社長)
二女:法律
三女:芸術学部
次男:建築

・誰もが「大塚家具のために役に立つだろう」と考えての選択だったようだ

⇒ 私は心の中では、長女と長男が協力してやっていくのが一番だと思っていた(長男の勝之が営業を担うなら、長女の久美子は財務を担うといった具合)


2.株式(資本)の承継

・将来的には大塚家が大塚家具の経営から身を退き、いわゆる「資本と経営の分離」の体制をつくることが望ましいと考えていた

・株式を5人の子どもたちに均等に承継(19%ぐらいずつ)

⇒ 後に私や長男の役員解任につながる結果に


3.バブル崩壊後

(1)大規模小売店舗法が改正
(2)完成建物で借りるテナントがなく、家賃は下がり続けた

⇒ この2つの流れを追い風に、大塚家具は全国に店舗網を拡大、急速に社員が増えたりして組織体制の構築が急務に


4.1994年

 長女(久美子社長)大塚家具入社

・富士銀行(現みずほFG)に初の女性総合職として入行

⇒ 人材育成などの内部体制づくりを任せるため大塚家具に入社


5.2009年

 事業(経営)の承継

・「それほどやりたいのならばやらせてみよう。なにしろ長女で、5人姉弟の一番上だし、長男は営業部門で頑張っているから大丈夫だろう」と考え、2009年、社長を譲ると決めた


6.2013年

 久美子社長との軋轢

・私が、会社を離れていた長男の復帰を求めたのに対して、ある社外取締役の就任を提案。自分の思う経営路線、私とは違う経営方針を推し進めるための準備であったのだろう。しかも、「その選任案が認められないのであれば、私は社長を辞める」という条件まで付いていた


7.2015年前後

 以後は、久美子社長解任と私の社長復帰、そして2015年の私の解任へと争い続く

・「姉弟の役割分担」を学ばせなかったことを深く反省する気持ちもある

・匠大塚の社長を務める長男の勝之は、すでに四半世紀にわたって私のそばで私の経営を見ている。久美子とは逆に、私の感性や営業への姿勢などは十二分に学んできた

⇒ いったい「私と長男」、「久美子」のどちらが今後の家具販売の潮流をつくれるのか


<感想>
 本件は、資本と経営を分離した結果、(1)資本(議決権)を押さえた長女(久美子社長)が大塚家具の経営権を握る一方、(2)父(匠会長)・長男(匠社長)はライバル会社(匠)を立ち上げる事態にとなった事例。

 今後益々、親子間で事業(会社経営)や資産(含む株式)の承継策を検討するケースが、増えて行くだろうが、身内同士で不幸に陥らないような対策が望まれる。

 上場会社においては直接的な導入が難しいが、例えば、大株主の資産管理会社において、(1)無議決権(種類株式)の活用(現状の税法上、議決権/無議決権の価額は同一)や、(2)管理信託での議決権指図特約の活用(受益権者:子ども、議決権指図者:親のまま)などにより、元気で健康である限り、親サイドに議決権をキープする枠組の構築を目指した方が良いように思われる。

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あれっ、早くもトランプの連邦法人税減税による恩恵?


【 マネックスグループ:米国の税制改革に伴う利益計上 】


 2018/1/10、マネックスグループ(8698)が、「米国の税制改革に伴う利益計上」の開示をした。
http://file.swcms.net/file/monexgroup/jp/news_release/auto_20180110448238/pdfFile.pdf


1.米国での減税⇒当期利益の増加

(1)米国での減税
・2017/12/22:米国における税制改革法の成立
⇒ 連邦法人税の最高税率:35%から21%へ引き下げ

(2)当期利益の増加
・米国セグメント:繰延税金資産・繰延税金負債の一部取崩し
・2018/3期第3Q連結決算
⇒ 法人所得税費用:約8百万ドル(約9億円*)減少
⇒ 当期利益:増加する見通し
*2017/12末レートで円換算


2.各種数値の確認

(1)連結BS(17/9末)
・繰延税金資産:ー
・繰延税金負債:3,019百万円

(2)連結当期利益(18/3期:予想非開示)
16/3期:3,516百万円
17/3期: 161百万円

(3)セグメント利益(百万円)
    日本  米国 アジア
16/3期:5,887 △525 △30
17/3期:1,768 △457 △97
(アジア:アジア・パシフィック)


<感想>
 本件は、先月成立した、トランプ政権による税制改革法(連邦法人税率引き下げ)の恩恵を受けたもの。
 マネックスグループの米国の法人所得税額は、全て最高税率として逆算すると57百万米ドル(8mil÷(35%-21%))。
 米国での事業利益が大きい会社におい
ては、減税相当分(繰延税金負債)の戻入益に伴い、今後業績上方修正もあり得ると思われる。

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あれっ、静岡銀行がユーロドル建CBを発行?


【 静岡銀行:ユーロドル建CB 】


 2018/1/9、静岡銀行(8355)がユーロドル建CBをローンチした。
http://www.shizuokabank.co.jp/pdf.php/3057/180109_NR.pdf


1.ユーロドル建CB発行概要
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120180109447618.pdf

(1)発行金額:3億米ドル
(2)期間:5年
(3)クーポン:3ヶ月米LIBOR-0.5%
(4)行使期間:2018/2/8~2023/1/11
(5)転換価額:14.05米ドル
(18/1/9終値@1,237円(10.98米ドル)、アップ率27.99%、1/9の15時(東京時間)のロイターJPNUの中値@112.69円/米ドル)
(6)希薄化率:3.6%(当初転換価額で転換された場合)

2.各種付帯条項
(1)転換制限条項
・転換可能価額を転換価額の200%から開始し、130%まで段階的に低下。ただし、最後の3ヶ月間は制限解除
⇒ 普通株式への転換可能性を抑制することを企図(前回債は130%で一定)

(2)取得条項
< 額面現金決済型のイメージ >
以下は全て米ドルベース:
転換時点でのCB価値=(a)額面部分は現金+(b)「それを上回る部分÷その時点の株価」相当の株式、で取得するもの

[ 簡易的イメージ例 ]
・当初為替レート:100円
・転換価額:10米ドル
・株価:1,000円

< 米ドルベースのCB価値(額面1000)が倍になった場合 >
ケース1)円/米ドル:変化なし、株価:2倍
ケース2)株価:変化なし、円/米ドル:2倍(50円/米ドル)
⇒ 米ドルベースの株価:20米ドル

※CB価値2000=現金1000米ドル+株式50株(1000÷20)

・通常のCB(額面1000)=株式100株(1000÷10)

⇒ 額面部分を現金で取得するため、希薄化は抑制される

a)自動行使型取得条項(額面現金決済型)
⇒2022/10/25以前のCB転換請求の都度、自動的額面現金決済型取得条項により希薄化抑制を企図

・行使取得転換価値:(額面金額÷行使取得最終日転換価額)×1株当たり行使取得平均VWAP
・1株当たり行使取得平均VWAP:CB転換請求の日から2取引日後の日に始まる10連続取引日に含まれる各取引日において東証の売買高加重平均価格をそれぞれの取引日における為替レートにより米ドルに換算した金額の平均値
・行使取得最終日転換価額:1 株当たり行使取得平均VWAP の計算期間の最終日の転換価額

b)一括型取得条項(額面現金決済型)
⇒ 2023/1に行使できる会社側のオプション

・転換価値:(額面金額÷最終日転換価額)×1株当たり平均VWAP 
・1株当たり平均VWAP:2023/1/5の30取引日前の日に始まる20連続取引日に含まれる各取引日において東証が発表するVWAPをそれぞれの取引日における為替レートにより米ドルに換算した平均値

(3)変動金利型
・3M米ドルLIBOR-0.5%を付与
⇒ オプション価値を高める
⇒ 転換価額のアップ率を高めて、希薄化を抑制する


3.資金使途:米ドル建の貸出金
<  外貨建貸出金(平残)>
 2012年度:2,610億円
 2017年2Q:6,231億円
(2017年2Qの貸出金利息:円貨建425億円、外貨建68億円)


<感想>
 本件は、外貨建貸付金に対応するユーロ米ドル建CBを発行するもの。
 米ドルベースの投資家にとっては、円高・株高になることが望ましい。

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あれっ、ファンド保有株式を自己株式取得?


【 リョーサン:シルチェスター保有株式を自己株式取得 】



 2018/1/5、リョーサン(8140)が、自己株式取得状況の開示(12月:ゼロ)をしたので、それまでの実績を確認してみた。
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120180105446362.pdf


1.自己株式取得状況
(1)期間:2017/5/15~12/29
(2)取得株式:3,612千株
(3)取得金額:約158.5億円(取得簿価@4,388円)
※17/5/12の発表時(下記4)の上限:4,500千株、200億円

2.内、ToSTNeT-3
(1)17/6/19:取得株式:686千株、金額:約28.7億円(@4,185)
(2)17/8/31:取得株式:1,333.3千株、金額:約61.6億円(@4,620)

3.変更報告書(大量保有報告書)
(1)提出者:シルチェスター・インターナショナル・インベスターズ・LLP(英投資ファンド)
(2)提出概要
< 17/6/19:上記2(1)と同様 >
 売却後保有株式:15,284,900株
 取得資金:6,178.8百万円(@2,474/株)
 ⇒ 686千株の売却益:1,174百万円(@1,711/株)

< 17/8/31:上記2(2)と同様 >
 売却後保有株式:12,001,200株
 取得資金:4,845.5百万円(@2,477/株)
 ⇒ 1,333.3千株の売却益:2,858百万円(@2,143/株)

(3)大量保有報告書(当初:2007/3)
http://www.kabupro.jp/edp/20070313/0070FHB7.pdf
 取得株式:1,827,400株(5.01%)、金額:5,460百万円(@2,988/株)

4.リョーサン:2017/5/12プレスリリース
http://www.ryosan.co.jp/ir/files/2017/05/170512_第9次中期経営計画における追加的な資本効率化施策(第二弾)のお知らせ.pdf
(1)自己株式の取得額の増額(年間300万株⇒450万株)
(2)実施期間の延長(1年間延長)
(3)自己株式の消却(総額300万株)

5.リョーサン:株式の出来高(左記:月間、右記:1日平均)
 17/10:1,538,500株、73,262株(21営業日)
 17/11:1,812,800株、90,640株(20営業日)
 17/12:1,047,900株、49,900株(21営業日)

6.(参考)東証市場を利用した自己株式取得に関するQA集
http://www.jpx.co.jp/equities/trading/own-company-shares/tvdivq0000006haj-att/OwnShareQA.pdf


<感想>
 出来高(上記5)を見る限り、シルチェスターが保有する株式を市場で大量売却することは難しい。

 ToSTNeT-3による自己株式取得は、会社の資本効率化施策にも合致する(上記4)ため、売り手(株主)・買い手(会社)双方にとってメリットがあるとも言える。

 事前公表型のToSTNeT-3は、売り方である株主が自己株式取得情報を入手しているため、当該情報の公表によって自己株式取得に係るインサイダー取引規制の問題を回避するもの。

 取引の公正の確保のため適当と認められる方法と位置付けられているが、上記2=上記3(他の売り手なし)の通り、他の株主は15時以降の公表後、終値での売却を即決することは通常難しいように思われる。

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あれっ、自己株式消却で希薄化の恐れを払拭?


【 宝HD:自己株式消却のアナウンスメント効果 】

 2017/12/29、宝ホールディングス(2531)が、自己株式消却を開示した。
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120171228444570.pdf


1.自己株式消却の概要
(1)自己株式数
 消却前:18,069,154株
 消却数:16,000,000株(消却前発行済株式総数の7.35%)
 消却後: 2,069,154株

(2)消却日:2017/12/29


2.直近の自己株式取得概要
(1)取得株式:1,592,500株
(2)取得総額:約20億円(平均単価@1,256)
(3)取得期間:2017/11/10~11/24
(4)取得方法:東証における市場買付


3.自己株式消却開示前・消却後の株価・各種指標の比較
 < 前提 >
 2018/3期当期利益:104億円(a)
 発行済株式総数
 消却前:217,699,743株(b)、EPS:47.8円(c=a÷b)
 消却後:201,699,743株(d)、EPS:51.6円(e=a÷d)

(1)2017/11/7(上記1・2の自己株式取得・消却の開示*日)
*
http://ir.takara.co.jp/ja/Filing/Filing-3343098993750043673.html
 終値:1,143円(f)
 PER:23.9倍(g=f÷c)

(2)2018/1/5
 終値:1,367円(h)
 PER:26.5倍(i=h÷e)

 ⇒ i÷g = 1.1倍

(ご参考)
https://ameblo.jp/tsuruichi1024/entry-12326565761.html


<感想>
 自己株式消却前後のPERは、23.9倍⇒26.5倍(上記3)となっており、消却スタンス(自己株式は発行済株式総数の1%程度を目安とし、それを超える株式は原則として消却する)のアナウンスメント効果があったものと思われる。

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あれっ、四国の地銀4行のアライアンス?

【 四国アライアンス 】


 2018/1/5、四国の地銀4行(伊予銀行、阿波銀行、百十四銀行および四国銀行)が、四国アライアンスに基づいたファンド運営会社を共同で設立した。




・四国の4県それぞれに本店を置く4行が、独立経営のもと、健全な競争関係を維持しつつ、4行それぞれの強みやノウハウを結集し、四国創生に向け取組むことで、地域の魅力を高め、地域・顧客と4行が持続的に成長・発展することを目的とした包括提携



2.主な動き
(1)2017/10/10:東証との提携

・四国の地方銀行4行と東証が四国創生を目指して連携 -基本協定を締結-
 ⇒ 四国4行と東証との協働により、四国地域の企業の成長を促進し、当地域の更なる経済活性化や発展に寄与することを期待


(2)2017/11/10:「四国アライアンス証券」へ社名変更
http://www.iyobank.co.jp/library/new/press/17-297.pdf

・「いよぎん証券の共同活用」に伴う社名変更

(3)2018/1/5:四国アライアンスキャピタルの設立
http://www.iyobank.co.jp/library/new/press/18-004.pdf

・事業内容:株式・社債等への投資業務、投資ファンドの運営 等


<感想>
 本件は、日銀のゼロ金利政策等により、地銀の収益が厳しさを増す中での四国エリアの広範なアライアンスに基づいた動きの一環。
 業務の一部のみの提携では迫力には欠けるが、今後もこの種の地銀同士の(or メガバンクも含めた)アライアンス(or 統合)が増えて行かざるを得ないものと思われる。

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あれっ、持株比率キープのための新株予約権を割当?


【 ハーモニック・ドライブ・システムズ:公募増資、自己株式処分、新株予約権の発行 】 


 2018/1/5、ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)が、公募増資、自己株式処分と第三者割当の新株予約権(「WT」)の発行を決議した。
https://www.hds.co.jp/news/uploadfile/docs/180105新株式発行に関するお知らせ.pdf


1.公募増資・自己株式処分(「グローバル・オファリング」)
 新株式発行:1,566,100株
 自己株式処分:3,100,000株
 売出し:1,400,000株(KODEN HD100万株、伊藤光昌・太田美保各20万株)
 OAによる売出し:333,900株


2.WTの発行
 WTの総数:12,619個
 潜在株式数:1,261,900株
 払込金額:グローバル・オファリングにおける募集価格の6.77%×100
 (WT価値:6.77%)
 行使期間:2018/2/9~2023/2/8(5年)
 行使価額:グローバル・オファリングの募集価格と同額
 行使価額の修正:行使期間最終日の行使価額は、当該最終日前日の東証終値に修正される


3.ナブテスコの持株比率
(1)上記1前:19.33%
(2)上記1後:18.95%
(3)上記2後:20.00%


<感想>
 ハーモニック・ドライブ・システムズの公募増資・自己株式処分の希薄化に伴う、ナブテスコの持株比率(20%)維持のためのナブテスコ宛て第三者割当WT。

 行使期間最終日前日の株価に行使価額が修正されるため(株価上昇時:修正前行使価額でWT行使。株価下落時:修正後行使価額でWT行使)、WTの持株比率維持には有効な手段と言えよう。

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あれっ、鴻海宛て割り当てたシャープC種種類株式をインセンティブ・プログラム用に譲渡?


【 シャープ:C種種類株式を譲渡承認 】


 2017/12/29(19時)、シャープ(6753)が2016/8に鴻海精密工業(「鴻海」)宛てに第三者割当した、C種種類株式の譲渡を開示した。
www.sharp.co.jp/corporate/ir/pdf/2017/171229-1.pdf


1.2016/8の鴻海宛第三者割当増資:C種種類株式

(1)発行概要
・株式数:11,363,636株(株式併合前)
・単価:8,800円/株(同上)
・総額:1,000億円

(2)取得条項(株式併合前)           
・当社(シャープ)は、2017/7/1以降、C種種類株式1株当たりにつき、100株の普通株式の交付と引換えに、C種類株式の全部又は一部を取得することができる。
       
(3)譲渡制限
・C種種類株式を譲渡による取得するには、当社の取締役会の承認を受けなければならない。


2.2017/12プレスリリース:C種種類株式の譲渡
(1)譲渡の概要(C種種類株式全て)
・株式数:1,136,363株(2017/10/1の株式併合(10株→1株)に伴うもの)
 ⇒ 付与割合は1:10(上記1(2)。株式併合後)のため、普通株式11,363,630株に相当
 ⇒ 発行済株式数(49,831,656株)の22.8%に相当
・譲渡価格:310,192円/株(普通株式ベース:*3,101.92円/株)
・総額:3,524.9億円
・譲渡方法:市場外取引
・譲渡日:2018/1/30(予定)
*12/29終値3,870円の約20%ディスカウント


(2)譲渡の理由(プレスリリースより)
・鴻海によれば、そのグループ企業(「鴻海グループ」)の役員・従業員で構成された持株会社である ES Platform LPに対して譲渡し、同社において、鴻海グループの役員・従業員に対するインセンティブ・プログラムを構築する、とのことです。当社としては、これにより鴻海グループの役員・従業員が当社企業価値及び株式価値向上に対してインセンティブを持つことになることから、取締役会において譲渡を承認しております。 

(3)C種類株式に関する譲渡総額/譲渡益・含み益
・投資期間:約1.5年
(a)鴻海の譲渡総額/譲渡益:約3,525億円/約2,525億円(投資元本:千億円)
(b)ES Platform LPの含み益:約935億円(2018/1/5終値@3,925ベース)

3.2016/8の鴻海等宛て第三者割当増資:普通株式
(1)発行概要
・株式数:3,281,950,697株(株式併合前)
・単価:88円/株(同上)
・総額:2,888.12億円   

(2)当該普通株式に関する時価総額・含み益
(a)時価総額:1兆2,882億円(投資元本:2,888億円)
(b)含み益:9,994億円(1/5終値@3,925ベース)

<感想>
 2016/8にシャープ宛て総額3,888億円(普通株式(2,888億円)、C種種類株式(千億円))を出資して、シャープのリスクを取った鴻海(等)。


 第三者割当時の価格@880(株式併合(10株→1株)勘案後)は4.5倍の@3,925(1/5終値)になり、投資期間約1.5年で既にC種種類株式の譲渡だけでその90%超(3,525億円/3,888億円)を回収した。(報道によれば鴻海の益出しニーズがあった模様)


 更に、普通株式の含み益は約1兆円(+上記2(3)の含み益(約935億円))で、リスクを取った場合のリターンは絶大であることが理解できる。


 C種種類株式の潜在株比率(普通株式転換後)は発行済株式数の22.8%に相当し、鴻海グループの役員・従業員に対するインセンティブ・プログラムとしての規模の大きさも日本の常識では考えられないもの。(益出しのための受け皿として特別だった可能性あり)


 本件開示後の株価推移(12/29:3,870円、1/4:3,895円、1/5:3,925円)を見る限り、C種種類株式の普通株式への転換後の希薄化は織り込まれていないように思われ、今後の株価動向が注目される。

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あれっ、本業の拡張・革新・協業に貢献する投資?


【 丸井グループ:本業の拡張・革新・協業に貢献する投資 】


 年始にあたり、戦略に興味がある、丸井グループ(8252)の社長メッセージ等を確認してみた。(その5)
http://www.0101maruigroup.co.jp/ir/message/ceo.html


< 中期経営計画(5カ年)の成長投資 >


[ 投資ポリシー ]
 純投資ではなく、投資・協業を通じて本業の拡張と革新に貢献する
⇒ 成長投資900億円のうち300億円を新規事業に投資する
   ↓↓
[ 投資領域 ]
・フィンテック:決済/資産運用
・シェアリング:モノ/スペース
・EC
   ↓↓
[ 投資先・基準* ]
*調査部・新規事業推進部が、投資事業をもとに対象企業への投資・協業をすすめる

1)丸井グループ内で事業投資
 投資基準:ROI 10%以上

2)理念を共有でき、高い技術を持つベンチャー企業(VB)への投資
 投資基準:IRR 30%以上

3)広いネットワークと目利き力を持つベンチャーキャピタル(VC)への投資
 投資基準:IRR 15%以上


<感想>
 丸井Gの(1)百貨店ビジネスから不動産型の店舗に転換する小売り事業、(2) 本業の拡張・革新・協業に貢献するフィンテック事業への投資、による成長。

 この2つの事業を中心として、今後の世の中の変化に確り対応し続けて行くことができるのか、今後も注視していきたい。

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら http://tsuru1.blog.fc2.com/
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あれっ、フィンテック事業における今後10年間の機会と脅威への対応?


【 丸井グループ:フィンテック事業における今後の機会と脅威 】

 年始にあたり、戦略に興味がある、丸井グループ(8252)の社長メッセージ等を確認してみた。(その4)
http://www.0101maruigroup.co.jp/ir/message/ceo.html


[ フィンテック事業における今後10年間の機会と脅威 ]



1.機会

- キャッシュレス化:
1)EC化
2)モノ消費からコト消費への移行
3)シェアリングエコノミーの台頭、クレジットカード市場は過去10年並みの年平均7%成長が継続

- 貯蓄から投資へ:
家計の金融資産に占める株式・投信債権の構成は日本15%、欧米30~50%


2.脅威

- キャッシュレス化(キャッシング):
キャッシング市場は縮小の可能性

- キャッシュレス化(決済手段の多様化):
クレジットカード以外の決済手段が台頭


3.当社の対応

- 新規事業(さまざまな金融サービス)

- カード会員増、メインカード化


<感想>
 丸井Gのフィンテック事業における、新規事業(さまざまな金融サービス)、カード会員増、メインカード化。
 今後10年間の機会と脅威を考えた戦略が、今後の世の中の変化に確り対応し続けて行くことができるのか、今後も注視していきたい。

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら
http://tsuru1.blog.fc2.com/
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あれっ、小売り事業における今後10年間の機会と脅威への対応?


【 丸井グループ:小売り事業における今後の機会と脅威 】

 年始にあたり、戦略に興味がある、丸井グループ(8252)の社長メッセージ等を確認してみた。(その3)
http://www.0101maruigroup.co.jp/ir/message/ceo.html


[ 小売り事業における今後10年間の機会と脅威 ]


1.機会
- インバウンド需要の拡大:訪日客数は2千万人→4千万人へ


2.脅威
- EC化:EC化率は5%→20%
- モノ消費からコト消費への移行:衣料品販売額3%減が今後も継続
- シェアリングエコノミーの台頭:シェアリング利用者は2%→10%へ拡大
- 少子高齢化:生産年齢人口が7,100万人に(7%減)


3.当社の対応
- SC・定借化:店舗を「百貨店型」から「不動産型」へ変更し、事業の収益性を高める
- オムニチャネル化:店舗・カード・Webの三位一体型ビジネスを創造
- お客さまのダイバーシティ&インクルージョン
- 新規事業によるシェアリングエコノミーへの対応(モノ・スペース)


<感想>
 丸井Gの小売り事業における、SC・定借化(店舗:「百貨店型」⇒「不動産型」)やオムニチャネル化(店舗・カード・Webの三位一体型ビジネスの創造)による収益性を高める戦略。

 今後10年間の機会と脅威を考えた戦略が、今後の世の中の変化に確り対応し続けて行くことができるのか、今後も注視していきたい。

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あれっ、ROIC>WACC⇒企業価値創造?


【 丸井グループ:ROIC>WACC 】


 年始にあたり、戦略に興味がある、丸井グループ(8252)のCFOメッセージ等を確認してみた。(その2)
http://www.0101maruigroup.co.jp/ir/pdf/i_report/2017/j/i_report2017_16.pdf


[ ROIC > WACCによる企業価値創造 ]


1.目指すべきバランスシート 

< 2021/3期 >(計画)(億円)
 自己資本  3,000(自己資本比率30%)
 総資産   10,000
 営業債権  6,800
 有利子負債 5,900(営業債権の9割程度)

< 2005/期 >(参考)
 純資産   4,363(純資産比率61%)
 総資産   7,126
 営業債権  2,493
 有利子負債 1,811(営業債権の7割強)

⇒ 調達主体のシフト:株主資本(コスト高い)から負債(コスト安い)へ


2.2017/3期

(1)ROIC*(投下資本利益率):3.1%
 *Return on Invested Capital

 フィンテック事業:3.9%
 小売事業:2.5%


(2)WACC*(加重平均資本コスト):3.0%
 *Weighted Average Cost of Capital

 負債コスト:0.2%
 株主資本コスト:7.2%

< ROICの向上とWACCの引き下げ >
 ROICがWACCを安定的に上回る構造をめざす財務戦略が着実に進行

⇒ 2017/3期:ROIC(3.1%)>WACC(3.0%)
・・・超過利益を実現


<感想>
  丸井Gは、株主資本コストが高いことを意識して、調達主体を負債中心にシフトして、WACCを下げて、17/3期にROIC>WACC(⇒企業価値創造)を達成した。
 丸井Gの各種戦略への取り組みの進捗状況については今後もウォッチして行きたい。

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