あれっ、官邸報償費の開示の限界?
【 石つぶて〜外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち~ 】
先日、Amazon プライムで、「石つぶて ~外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち~」を見た。
以下は、元ネタになった、調査報告書からの一部抜粋。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/gaisho/0101chosa.html
平成13年1月25日 大臣官房 調査委員会
「松尾前要人外国訪問支援室長による公金横領疑惑に関する調査報告書」
今後の対応
今回の調査の結果、少なくとも平成9年10月から平成11年3月までの間の競走馬5頭の購入及び種付けが、公金の横領によって賄われたのではないかという重大な嫌疑があることが明白となった。
今後の対応としては、第一に、松尾前室長に対し、今回の調査結果に基づいて、刑法第253条にいう業務上横領の罪の嫌疑で、刑事訴訟法第239条に基づいて、警視庁に対し、告発を行うことが必要である。
第二に、同人による公金の扱いは、国家公務員法第99条の義務に明らかに違反しているので、同法第82条1項1号及び3号に基づいて、同人を懲戒免職処分に処することが相当である。
第三に、このような不正経理を把握できなかった監督者の管理責任に対して相応の処分を下すことが必要である。監督者については、現在から松尾前室長の就任当時に遡り、その期間の全員の責任を追及することが相当である。
第四に、再発防止策に関しては、今後も検討するが、先ずは今月末日をもって、要人外国訪問支援室を廃止し、これに伴って、要人の外国訪問支援業務は、大臣官房総務課長の責任の下で行うべきである。就中、金銭の出納に関しては、二重、三重の監査の体制を導入することを検討するべきである。
一方、以下は、民主党政権時代の衆議院の答弁の一部抜粋。
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a174179.htm
質問主意書
「前回答弁書」では「これまでの経緯等を改めて確認したところ、かつて外務省の報償費が総理大臣官邸の外交用務に使われていたことがあったことが外務省において判明した。
これ以上の詳細については、報償費という経費の性質上、また、過去の政権下で行われたものであることから、お答えすることはできないが、少なくとも松尾元外務省要人外国訪問支援室長による公金横領事件以後は外務省の報償費が総理大臣官邸の外交用務に使われているということはないと承知している。」との答弁がなされている。右答弁には「これまでの経緯等を改めて確認した」とあるが、右の確認作業は具体的にどの様な方法で行われたのか説明されたい。
答弁書
先の答弁書(平成二十二年二月五日内閣衆質一七四第五三号)一から三までについてで述べたとおり、これまでの経緯等を改めて確認したところ、かつて外務省の報償費が総理大臣官邸の外交用務に使われていたことがあったことが外務省において判明した。これ以上の詳細については、報償費という経費の性質上、お答えすることはできない。
< ご参考 >
刑法 (業務上横領)
第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。
刑事訴訟法
第二百三十九条 何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。
2 官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。
国家公務員法
(信用失墜行為の禁止)
第九十九条 職員は、その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
(懲戒の場合)
第八十二条 職員が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。
一 この法律若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
<感想>
これは「石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの」(清武英利著、講談社)原作のドラマ。
国会答弁にもある通り、外務省の報償費が総理大臣官邸の外交用務に使われていたことは判明したが、報償費という性質上、開示には限界があった。
報償費は「必要悪」のブラックボックスで構わないが、私的流用は許されない。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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