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あれっ、日本政府もトランプ政権をリスキーと見てる?



日本政府のトランプ大統領誕生後の米国の見方


2017/1/25に、平成29年第1回財政諮問会議が開催され、議事要旨(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0125/gijiyoushi.pdf)が公開された。

この内、世耕経産大臣の発言が、今の安倍政権の考えを示しているものと思われる。以下はその一部抜粋。


『 (世耕議員) まず、米国との関係について申し上げる。

トランプ大統領御本人や政権の関係者の発言を見ていると、通商投資ルールにせよ、税制にせよ、個々の政策にとどまらず、自由主義経済の盟主たるアメリカの立場自体の変革まで言及しているものがある、ということが現状だと思っている。

政府としては、第一に、新政権は予見性が非常に低く、リスクがあるので、今の日本企業のせっかくの前向きな動きに水を差すことがないように、経済運営に当たってのリスクへの対応シナリオの検討を行っていかなければならない。

第二に、経済同盟国たる立ち位置の再認識と再確立だと思っている。日本はこれまで同盟国として、アメリカ経済に最大限貢献する形で、何度かの通商摩擦を乗り越えてきた歴史がある。これまでの努力の周知と、それを踏まえたルール作りを働きかける必要がある。

第三は、日米協調型の成長戦略を打ち立てていくことだと思っている。高速鉄道やロボット、サイバーセキュリティ、質の高いインフラなど、日米が協力して成長する、アジア市場を攻めるという形を作っていくような検討を進めていきたい。

それから、今後の検討課題について、やはり世界的に産業構造全体のゲームチェンジが起こりつつあるので、現状にとらわれることなく、日本の強みを活かした投資を戦略的に行っていくことが不可欠である。

そういう中で、今、アジェンダに挙げられている財政健全化への取組の審議に当たっては、先ほども申し上げたように、低金利下での緊縮財政にならないよう配慮しながら、将来の成長力強化を強く意識して、経済再生と財政健全化を一体的に議論することが重要である。 』


<まとめ>

1.新政権は予見性が非常に低く、リスクがある

2.経済同盟国たる立ち位置の再確立

3.日米協調型の成長戦略の確立

⇒ GPIFを活用した米国インフラ(ファンド)への投資(2017/2/2付日経新聞1面記事)はこの一環か

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テーマ : 安倍内閣
ジャンル : 政治・経済

あれっ、同一労働なのに、同一賃金でない?(その3)



同一労働同一賃金(その3)


 内閣府から、2016/12/16に「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会 中間報告」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000146064.pdf)が、また、同12/20に「同一労働同一賃金ガイドライン案」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai5/siryou3.pdf)が公表された。


<ガイドラインに見る安倍政権の目的・戦略・戦術>

 目的 : 新たな第一の矢希望を生み出す強い経済」という強い大きな目標を掲げ、誰もが活躍できる「一億総活躍社会」を実現し戦後最大の名目GDP600兆円を達成する

 戦略高齢者雇用の促進非正規雇用労働者の賃金改善を通じて賃金総額・可処分所得・消費支出の増大を図る

 戦術正規・非正規の不合理な格差を是正すべく、賃金決定能力と待遇の関連性を明確化したガイドラインを策定する


ニッポン一億総活躍プラン(平成28年6月2日閣議決定)(P6参照)」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/pdf/plan3.pdf#page=16


<企業法務ナビのレポート>
https://www.corporate-legal.jp/%e6%b3%95%e5%8b%99%e3%83%8b%e3%83%a5%e3%83%bc%e3%82%b9/%e8%a8%b4%e8%a8%9f%e3%83%bb%e8%a1%8c%e6%94%bf/9622)も踏まえて、「同一労働同一賃金ガイドライン」から一部を抜粋して、特に定年後の継続雇用について考えてみる。


『 2.有期雇用労働者及びパートタイム労働者

(注)無期雇用フルタイム労働者と定年後の継続雇用の有期雇用労働者の間の賃金格差については、実際に両者の間に職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情の違いがある場合は、その違いに応じた賃金差は許容される。なお、定年後の継続雇用について、退職一時金及び企業年金・公的年金の支給、定年後の継続雇用における給与の減額に対応した公的給付がなされていることを勘案することが許容されるか否かについては、今後の法改正の検討過程を含め、検討を行う。 』(太字は筆者)


 定年後の継続雇用における年金等の支給を勘案する(=無期雇用フルタイム労働者と賃金格差を設ける)ことが許容されるか等については、今後の法改正に伴って検討すべき項目として、先送りされた。

 これら賃金等の処遇は、本来、労使交渉によって決定すべきものであろうが、相当の時間がかかるものと思われるため、政府主導により、企業の立証責任説明責任を含めた「同一労働同一賃金ガイドライン」を早期に確立する必要があるように思われる。


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あれっ、同一労働なのに、同一賃金でない?(その2)



同一労働同一賃金(その2)


 内閣府から、2016/12/16に「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会 中間報告」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000146064.pdf)が、また、同12/20に「同一労働同一賃金ガイドライン案」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai5/siryou3.pdf)が公表された。


 政府が目指す「同一労働同一賃金」が実現しないのは、なぜか。

 八代尚宏先生のレポート(http://diamond.jp/articles/-/85778/http://diamond.jp/articles/-/112527?display=b)を踏まえて、考えてみる。


1.定年退職制の弊害

(1) 日本

 特定の企業内の限られた構成員の年齢と結びついた曖昧な能力を尊重

 ⇒ 年功賃金の傾きが大きな従業員1000人以上の大企業の93%60歳定年制を堅持(就労条件総合調査2014年)=年齢という客観的な基準で後進に道を譲ることは、公平な仕組みと見なされている

 (一方、中小企業では、仕事能力に見合った賃金であれば、企業の方から熟練労働者である高年齢者に辞めてもらうインセンティブは小さいため、定年制は65歳か、それ自体存在しない場合も少なくない)


(2) 欧米

 仕事能力を規準として同一労働・同一賃金の原則下の米国欧州主要国では定年退職制は原則禁止

 ⇒ 個人の仕事能力にかかわらず年齢のみを根拠とする解雇は、人種や性別と同様に「年齢による差別」となるから


2.雇用の流動化が進んでいないこと

 過去の高成長期に成功した、大量の新卒採用者を企業内で時間をかけて訓練する雇用慣行を維持するのではなく、正社員と非正社員に共通した職務給を普及させて、雇用の流動化を図ることが必要


3.正社員の年功賃金カーブの存在

 企業への貢献度を上回る年功賃金が大きな負担になるため、定年制による一律解雇せざるを得ない

 ⇒ 過去の高い成長期大企業を中心に普及した年功賃金は、今日の低成長期には社員間の生産性に見合わない賃金格差の主因となる



<高年齢者等の雇用の安定等に関する法律 : 第8~9条>(出所:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S46/S46HO068.html

『 (定年を定める場合の年齢)
第8条  事業主がその雇用する労働者の定年(以下単に「定年」という。)の定めをする場合には、当該定年は、六十歳を下回ることができない。(以下、略)

(高年齢者雇用確保措置)
第9条  定年(六十五歳未満のものに限る。以下この条において同じ。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の六十五歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいずれかを講じなければならない。

一  当該定年の引上げ

二  継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入

三  当該定年の定めの廃止 』(太字は筆者)


 そもそも、米国や欧州主要国では原則禁止されている「定年退職制」について、第8条で60歳定年制を所与とする考え方事態に問題があろう。また、正社員と非正社員間における同じ職種での賃金差の根拠を明確に示さない場合の罰則を謳うことも必要であるように思われる。

 日本でも個人の仕事の概念を明確化にして、職務給を普及させて、あいまいな人事評価を本格的に改めて、(1)定年退職制を原則禁止とし、(2)雇用の流動化を促進し、(3)正社員の年功賃金カーブを見直す、時期に来ているのではないか。


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あれっ、同一労働なのに、同一賃金でない?(その1)



同一労働同一賃金


 内閣府から、2016/12/16に「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会 中間報告」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000146064.pdf)が、また、同12/20に「同一労働同一賃金ガイドライン案」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai5/siryou3.pdf)が公表された。


 以下の「企業法務ナビ」のレポート(https://www.corporate-legal.jp/%E6%B3%95%E5%8B%99%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/9477)を踏まえて、「同一労働同一賃金」について考えてみる。


同一労働同一賃金に関する裁判例

 労働契約法20条では、有期労働契約を締結している労働者について、期間の定めがあることによる不合理な労働条件を課すことを禁止していますが、これまで同条違反を認めた判決はありませんでした。

 もっとも平成28年5月13日東京地裁判決においては、同条違反である事例として注目を集めました。

 この事件では、定年後嘱託従業員として再雇用されたトラック運転手が、定年前と同じ業務であるにも関わらず、賃金に格差が生じたことは違法であると主張しました。

 これに対し、「当該職務の内容及び配置の変更の範囲が無期契約労働者と同一であるにもかかわらず、労働者にとって重要な労働条件である賃金の額について、有期契約労働者無期契約労働者との間に相違を設ける」ことは、「その相違の程度にかかわらず、これを正当と解すべき特段の事情がない限り、不合理であるとの評価を免れないものというべきである。」とし、本事案においては「仕事の内容は正社員と同一と認められ、賃金に差があるのは労働契約法に反する」として、会社に対し正社員と同じ賃金の支払いを命じる判決を言い渡しました。 』(太字は筆者)


<平成28年5月13日東京地裁判決>(出所:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/349/086349_hanrei.pdf

『 本件において、嘱託社員と正社員との間に職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲に全く違いがないにもかかわらず、賃金の額に関する労働条件に相違を儲けることを正当と解すべき特段の事情は認められない。
 
 以上によれば、本件相違は、労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情に照らして不合理なものであり、労働契約法20条に違反するというべきである。 』(太字は筆者)


<労働契約法20条>(出所:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H19/H19HO128.html
(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない
(太字は筆者)


>>本判決に見られるように、今後益々高齢化が進展する中、定年退職後の継続雇用時の賃金のあり方について、高度経済成長期から続く年功賃金を含めた抜本的な考え方の見直しが必要なように思われる。


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