元証券マンが「あれっ」と思ったこと MBO
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あれっ、プロトコーポレーションもMBO?

 

【 プロトコーポレーション:MBO 】

 


 2025/2/4、プロトコーポレーションが、MBOをリリースした

 

 以下は、添付Webサイトからの一部抜粋

 

 

MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ
https://www.proto-g.co.jp/uploadcheck/?referer=/upload/file/news_release/5936/b656667f86ea8b56882e69bfc27fe97f.pdf

 

公開買付者:(株)フォーサイト(創業家資産管理会社夢現100%子会社) 
TOB価格:2,100円(1/31終値1,251円の67.87%のプレミアム)

 

TOB期間:2025/2/5~3/21(30営業日) 
TOB代理人:三菱UFJモルガン・スタンレー証券/同eスマート証券(副)

 

買付予定数下限:11,567千株(66.67%)(全株取得時:約526億円) 
TOB実施後:スクイーズアウト手続きによる完全子会社化

 

沿革:1977/10 創業、2001/9 ジャスダック(店頭)公開、2019/3 JASDAQ(スタンダード)⇒ 東証1部、2022/4 東証プライム

 


< TOB(MBO)の背景・目的等 > 
非公開化:
1)中長期的な成長を優先
2)当社の知名度や社会的な信用力は既に確立済
3)人的・金銭的コストの負担減、等

 

1.上場企業:短期的な業績に対してコミットメントが求められる、中長期的な成長を優先する意思決定:株価の下落 ⇒ 既存株主の利益を損なう可能性あり (1)

 

2.知名度の向上、優れた人材の確保、社会的な信用の向上等、上場会社として様々な上場メリットを享受できている (2)

 

3.間接金融を通じて必要に応じた資金調達が可能、かつ、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性が当面見込まれていない (2)

 

4.有価証券報告書やコーポレート・ガバナンスに関する報告書等を通じたステークホルダーに対する追加的かつ継続的な情報開示のための対応の負担増 (3)

 

5.株式上場を維持するために必要な会計監査人監査報酬や株主総会費用、証券代行関連費用等、人的・金銭的コストの負担増 (3)

 

6.長期的な視点で経営陣及び従業員が一丸となって当社グループのより一層の経営基盤強化に向けた、積極的に挑戦と進化を継続可能な体制の構築 (1)

 


< TOB(MBO)に至る経緯 >
12月6日 夢現 ⇒ 当社:意向表明書の提出、デュー・ディリジェンス実施意向の申し入れ

 

12月中旬 当社 ⇒ 夢現:特別委員会の設置、協議・交渉に応じる旨の連絡

 

12/18~1/24 夢現:当社の財務・税務及び法務デュー・ディリジェンスを実施

 

1/10~2/3 当社・特別委員会:TOBにおける買付け等の価格に関する協議・検討

 

1月10日 夢現 ⇒ 当社:初回提案 TOB価格@1800(当社⇒夢現:不十分な価格として再要請)

 

1月20日 夢現 ⇒ 当社:再提案 TOB価格@1900(同上)

 

1月24日 夢現 ⇒ 当社:再提案 TOB価格@1950(同上)

 

1月29日 夢現 ⇒ 当社:再提案 TOB価格@2000(同上)

 

1月31日 夢現 ⇒ 当社:再提案 TOB価格@2050(同上)

 

2月 3日 夢現 ⇒ 当社:最終提案 TOB価格@2100(当社⇒夢現:応諾)

 


ご参考)「グーネット」のプロトコーポ、架空取引で再発防止策
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD20AKJ0Q4A221C2000000/

 


<感想>
今後も、上場メリット(知名度・信用力、エクイテイ・ファイナンス、等)が不要となった会社は、MBOによる非公開化を選ぶケースが続くものと思われる

 

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あれっ、ハイブリッド型MBO?

 

【 APAMAN:事業分割譲渡付きMBO 】

 


 2024/8/19のNIKKEI Financialに、「借金に頼らない APAMAN発MBOの新境地」記事がけいさいされていた。
https://financial.nikkei.com/article/DGXZQOUC142590U4A810C2000000?s=2

 

 以下はその概要。

 


MBO(TOB)概要
MBO価格:729円(8/2終値507円×144%)
買付予定株数:約1835万株
買付予定総額:約134億円
(*所謂コングロマリット・ディスカウント状態)
MBO資金:複数銀行からの借入

 

譲渡対象事業:賃貸管理・サブリース・パーキング事業
譲渡先:NSSK
*譲渡金額:275億円>上記MBO買付予定総額約134億円
現在の管理戸数:7万戸
 →3〜5年で倍近くへ(目標)

APAMAN(事業分割譲渡後)
継続事業:アパマンショップのFC運営・社宅管理
スクウィーズアウト翌営業日に、NSSK宛て上記譲渡対象事業を275億円で売却
 →上記銀行借入を返済=実質的に借金に頼らないMBO

 


ご参考)ティーケーピー(大量保有報告書)
※MBO(TOB)に応募する意向


報告義務発生日:2024/2/5
保有株式数:2,591,800株(14%)
単価:505円(市場外取引)
保有目的:政策投資
取得資金:1,308,859円(自己資金)
売主:3D Investment Partners
→半年強の投資で+44%強(729÷505)

 


<感想>
本件は、1)コングロマリット・ディスカウントが発生、2)分離・売却可能な事業の存在、を前提としたMBO。PE(Private Equity)の力も借りた「ハイブリッド型」で、分離事業の売却ニーズが企業経営者側にあれば、今後、非常に有効な手段となり得ると思われる。

 

PS 2024年9月18日(水)18:30〜20:45、J-FLEC共催による「昭和女子大学専門職大学院のシンポジウム」(参加費無料)
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSd-XYQUlNbkx4bNNG_qVDtsXNkbMU2CWc5KHeDy2X3j6FIVew/viewform

 

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あれっ、創業家の所有比率向上が目的?

 

【 永谷園:MBOの目的 】

 


 2024/6/3、永谷園HDが、MBOを発表していた。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/2899/tdnet/2455061/00.pdf

 


現在の株式所有割合:代表取締役会長 永谷栄一郎氏(4.10%)、代表取締役社長 永谷泰次郎氏(4.10%)、取締役副社長 永谷祐一郎氏(0.61%)

 


ご参考1)創業家

https://keibatsugaku.com/nagatani-2/
◆永谷武蔵
 1897年 誕生
 1953年 永谷園本舗会長
   ◯長男:永谷嘉男
    男:永谷宗次
    男:永谷博
   ◯男:永谷明

◆永谷嘉男
 1923年 誕生
 1953年 永谷園本舗社長(-1990年)
 1990年 永谷園本舗会長
 1992年 永谷園会長
 1996年 永谷園名誉会長
 2005年 死去
  父:永谷武蔵
    長男:永谷栄一郎(会長)
    二男:永谷泰次郎(社長)

◆永谷明
 1936年 誕生
 1959年 永谷園本舗入社
 1961年 永谷園本舗取締役
 1974年 永谷園本舗常務
 1990年 永谷園本舗専務
 1992年 永谷園専務
 1994年 永谷園副社長
 2008年 永谷園副会長
 2011年 永谷園取締役相談役
 2015年 永谷園ホールディングス取締役相談役
  父:永谷武蔵
    長男:永谷祐一郎(副社長)


ご参考2)永谷園HD、MBOで非公開へ 買い付け価格は1株3100円https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC037K50T00C24A6000000/


ご参考3)永谷園ホールディングスのMBO
https://note.com/ma_watch/n/nd9cfedddcf24

 


<感想>
永谷園のMBOは、株価がPBR1倍割れが続いていた中、所有比率を1/3超にするという創業家の強い意志を感じた。

 

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あれっ、下方修正後のMBOのタイミング?


【 大正製薬HD:MBO→上場廃止 】

 


 2024/5/7、NIKKEI Financialの金融コンフィデンシャル欄に、添付記事が掲載された。

 以下は一部抜粋。

 


大正製薬MBOが呼ぶ怒り アクティビストの報復は
https://financial.nikkei.com/article/DGXZQOUC290PN0Z20C24A4000000?s=1

 


4月9日、大正製薬ホールディングス(HD)が上場廃止になった。MBO(経営陣が参加する買収)で自ら株式市場から退場する道を選んだからだ。過去最大の総額7000億円超の巨大MBOはPBR(株価純資産倍率)1倍割れの買い取り価格も物議を醸した。なんとか上場廃止に持ち込んだが、株主との延長戦が始まっている。

 


紛糾した臨時総会

黒田潤(取締役、肩書は当時、以下同)議長「(利害関係のある大株主を除いてTOBの成否を判断する)MoM(マジョリティー・オブ・マイノリティー)は(検討はしたものの)最終的に取り下げたということが唯一の事実です。よろしいでしょうか」

 

株主「よろしくないですよ。当初、会社の特別委員会・取締役会が提示した価格より低いプレミアムのままの状況で、MoMを取り下げているのはなぜか、お答えいただいていない」

 


3月18日、大正製薬HDは東京都豊島区の本社で臨時株主総会を開いた。MBOに伴うTOB(株式公開買い付け)は1月に成立済み。スクイーズアウト(株式の強制取得)に向けた株式併合に関する議案などを審議する臨時総会は本来、儀式的なものに過ぎないが、紛糾した。

 


渦巻く疑念と批判
2023年11月24日、大正製薬HDはMBOを発表した。オーナー家の上原茂副社長が代表を務める企業がTOBで大正製薬HDを買収するというものだ。最も大きな批判を浴びたのが1株あたり8620円のTOB価格だ。直近の終値を5割以上、上回るプレミアムがついたが、PBRでみると0.8倍台と1倍割れだった。

 

しかも大正製薬HDの株価は19年以降、下落基調を続けていた。18年末には1万3000円を超えており、その頃に大正製薬HD株を買った株主からすると、プレミアムが5割以上あろうが大きな損失になる。

 

批判に輪をかけたのが、大正製薬HDのここ数年の投資家向け広報(IR)姿勢だった。東京証券取引所の市場再編の際には、旧東証1部からプライム市場ではなくスタンダード市場への移行を選んだ。多くの機関投資家が抱いていた大正製薬HDはIRに後ろ向きとの感覚と符合する動きととらえられた。

 

ある機関投資家は「会社と面談した際、『リスクがあるから投資しない方がいい』と言われた。本来なら自社の魅力を語るのがIRの仕事のはずで明らかにおかしい」と指摘する。

 

大正製薬HD取締役と面談したことのある別の機関投資家も「『株主の言うことを聞くつもりはない』と言われた。スタンダード市場を選んだのも、昨秋の上期決算で進捗率が高いのにもかかわらず通期予想をほとんど上方修正しなかったのも、MBOに向けて株価を下げるための戦略だったのではないか」といぶかる。

 

MBOは買い手となる経営陣側に「安く買いたい」という動機が働くため、構造的に少数株主との間で利益相反が起きがちだ。こうした疑念の目に配慮するどころか、安く買うために計画的に時間をかけて株価を下落させてきたのではないか、との批判が集まった。

 


ご参考1)2023/11/10「第2四半期決算短信」
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4581/tdnet/2358108/00.pdf

 

業績下方修正に伴う株価終値の変化:
11/9 5,844、11/10 5,686
11/16 5,452、11/24 5,545
11/27 6,545、11/28 7,545
11/29 8,753、11/30 8,689
(TOB価格:8,620)

 


ご参考2)コスモHDが採用した「マジョリティー・オブ・マイノリティ(MoM)」とは!?
https://note.com/kwmjapan/n/n924044c22580

 

買収に関して利害関係を有する株主を排除し、それ以外の株主の過半数(マジョリティ)によって買収の許否を判断するということ

 


<感想>
会社が、MoMを取下げて、この記事の通り、1)リスクがあるから投資しない方が良い、2)株主の言うことを聞くつもりがない、と言ったとすれば、以前からMBOを検討/意識していて、(11/10の下方修正後、)TOB価格がターゲットに下がるまで待っていた可能性も考えられ得る。

 

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あれっ、TOB価格は高値の1/3未満?

 

【 スノーピーク:MBO 】

 


 2024/2/24、スノーピークが、MBOをリリースした。
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS03293/b242dabf/7a22/4490/b21f/c3d5f5feb81a/140120240220540135.pdf 

 以下はその概要。

 


1.出資比率
< MBO前 >
山内氏・不応募株主:28.54%
その他:71.47%

< MBO後:親会社SPC宛て >
山内氏・不応募株主:45%
BCPE Myoko:55%

 


2.買付総額(単位:百万円)
(1) 買付代金:34,064
・普通株式 約27,251千株×@1,250(TOB価格)

(2) 買付手数料:315
・公開買付代理人(SMBC日興証券)宛て

(3) その他:20
・公告掲載費、TOB説明書、その他印刷費等

 


3.資金調達(単位:百万円)
(1) タームローンA(7何、約定返済):6,600
・三菱UFJ・SMBC:各1,980、横浜:1,650、第四北越:990

 

(2) タームローンB(7年、期限一括返済):15,400
・三菱UFJ・SMBC:各4,620、横浜:3,850、第四北越:2,310

 


ご参考1)公開買付届出書
https://disclosure2.edinet-fsa.go.jp/WZEK0040.aspx?S100SXRE

 


ご参考2)日経電子版記事
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC203RK0Q4A220C2000000/

 


<感想>
スノーピークのMBOが、2月24日に正式にリリースされた。2021年11月には4千円超だった株価を考えるとプレミアムを考慮しても買い手側にもメリットがあったものと思われる。

 

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