【劇場漫才師の流儀】(241) 僕のモーニングルーティン
「僕のモーニングルーティンなんて誰が興味あんねん」ですね(笑)。一時期、『YouTube』で流行りましたよね。有名人が朝に起きてからの流れを動画で配信するの。編集者さんが「巨人さんのモーニングルーティンを教えて下さい!」と言うので、今回、動画ではありませんが、僕のモーニングルーティンを紹介したいと思います。まぁ、あんまり期待せんといてな。普通やから。起床時間は劇場の出番によって違うんやけど、大体8時過ぎ。まぁ、夜中に何回も目が覚めますが。僕は長袖の綿のパジャマを着て寝ています。オールシーズン、長袖です。寒がりやから、肌が出ているのが嫌なんですよ。布団も、夏場でも重たいのじゃないとだめ。人がひとり乗っかってても寝られるかも。目覚まし時計は1個だけかけます。それで十分。気付かずに寝坊した、なんてことは一度もないですね。布団を出たら、1時間くらいかけて準備をします。先ず顔を洗って、歯を磨いて、お白湯を1杯飲みます。朝に水分を補給するのは体にいいと聞いたのでね。朝食は大体、3パターンやな。“おかいさん”か、“ぶっかけ”か、トースト。おかいさんって、関東の人はわからんかな。お粥のことやね。“お粥さん”とも言うけど、大阪は“おかいさん”っていうことが多いな。“ぶっかけ”は卵かけご飯のことです。
おかいさんの食べ方は、ちょっと変わっていまして。大きめのどんぶりにおかいさんを入れて、上に目玉焼きをのっけるんです。そこにチューブ式のバターをかけて食べます。フロリダにロケに行った時に、地元の人がこれを食べていたんです。バターに塩分が含まれているので、目玉焼きも美味しく食べられるし、何より準備してくれる嫁が楽なんですよね。物足りない時は、色んな種類が入っている小袋のふりかけを、そこにひとつかけます。トーストの時も、嫁に目玉焼きは焼いてもらいます。前職が卵屋だったからか、朝は卵を食べんと落ち着かないんです。食事を終えて、神棚と仏壇にお茶とお水をあげて、線香に火をつける頃に、大体便意をもよおしてきます。このタイミングが一番多いな。なので、慌てて線香を立てて、トイレに駆け込むんです。新聞は『朝日新聞』と『日刊スポーツ』を定期購読しています。食事しながら野球の結果を確認して、芸能ニュースに目を通して。あと、何十年も必ずチェックする欄があります。裏1面を1枚めくると、占いのページがあるんです。『0学占星術』という運命学らしいんですけどね。その日のバイオリズムが書かれていて、滅茶苦茶よく当たるんですよ。なので、書いてある内容を参考に行動したりもします。ただ、最近は読んだ後直ぐに「あれっ、今朝は何て書いてあったっけ?」ってなるんです。なので、当たったかどうかもわからない。年を取るってこういうことですね。読んでも意味ないのかな。困ったもんです。 (聞き手・構成/ノンフィクションライター 中村計)
オール巨人(おーる・きょじん) 漫才コンビ『オール阪神・巨人』のボケ担当。1951年、大阪府生まれ。大阪商業高校卒業後、1974年7月に『吉本新喜劇』の岡八朗に弟子入り。翌1975年4月に素人演芸番組の常連だったオール阪神とコンビを結成。正統派漫才師として不動の地位を保つ。著書に『師弟 吉本新喜劇・岡八朗師匠と歩んだ31年』・『さいなら!C型肝炎 漫才師として舞台に立ちながら、治療に挑んだ500日の記録』(ワニブックス)。近著に『漫才論 僕が出会った素晴らしき芸人たち』(ヨシモトブックス)。
2022年11月7日号掲載
おかいさんの食べ方は、ちょっと変わっていまして。大きめのどんぶりにおかいさんを入れて、上に目玉焼きをのっけるんです。そこにチューブ式のバターをかけて食べます。フロリダにロケに行った時に、地元の人がこれを食べていたんです。バターに塩分が含まれているので、目玉焼きも美味しく食べられるし、何より準備してくれる嫁が楽なんですよね。物足りない時は、色んな種類が入っている小袋のふりかけを、そこにひとつかけます。トーストの時も、嫁に目玉焼きは焼いてもらいます。前職が卵屋だったからか、朝は卵を食べんと落ち着かないんです。食事を終えて、神棚と仏壇にお茶とお水をあげて、線香に火をつける頃に、大体便意をもよおしてきます。このタイミングが一番多いな。なので、慌てて線香を立てて、トイレに駆け込むんです。新聞は『朝日新聞』と『日刊スポーツ』を定期購読しています。食事しながら野球の結果を確認して、芸能ニュースに目を通して。あと、何十年も必ずチェックする欄があります。裏1面を1枚めくると、占いのページがあるんです。『0学占星術』という運命学らしいんですけどね。その日のバイオリズムが書かれていて、滅茶苦茶よく当たるんですよ。なので、書いてある内容を参考に行動したりもします。ただ、最近は読んだ後直ぐに「あれっ、今朝は何て書いてあったっけ?」ってなるんです。なので、当たったかどうかもわからない。年を取るってこういうことですね。読んでも意味ないのかな。困ったもんです。 (聞き手・構成/ノンフィクションライター 中村計)
オール巨人(おーる・きょじん) 漫才コンビ『オール阪神・巨人』のボケ担当。1951年、大阪府生まれ。大阪商業高校卒業後、1974年7月に『吉本新喜劇』の岡八朗に弟子入り。翌1975年4月に素人演芸番組の常連だったオール阪神とコンビを結成。正統派漫才師として不動の地位を保つ。著書に『師弟 吉本新喜劇・岡八朗師匠と歩んだ31年』・『さいなら!C型肝炎 漫才師として舞台に立ちながら、治療に挑んだ500日の記録』(ワニブックス)。近著に『漫才論 僕が出会った素晴らしき芸人たち』(ヨシモトブックス)。
2022年11月7日号掲載