2024年11月14日 - 寺島メソッド翻訳NEWS
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どちらの候補が勝っても、米国は世界平和を乱す「ならずもの国家」のまま

<記事原文 寺島先生推薦>
When an Immoral Nation Votes, Don’t Expect Change
筆者:ジョン・ヴァロリ(John Varoli)
出典:Internationalist 360° 2024年11月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月14日


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世界中で、米国政府は争い、戦争や抑圧、大量虐殺の主な原因となっている。いかなる選挙でもこの状況を変えることはできない。この体制は略奪的であり、米国民は無関心で不道徳である。

最近、ドナルド・トランプは、1世紀以上前にボルシェビキによってウクライナ・ソビエト共和国に恣意的に与えられたロシア民族の地域からモスクワ軍を撤退させるよう最後通牒を発令すると述べた。ドナルド・トランプが事実上、共産主義革命家の行動を認可しているというのは、なんと皮肉なことだろう。

ロシアとゼレンスキーの残忍な政権に対する個人の態度はリトマス試験紙である。つまり人権、正義、文明を支持するのか、それとも民族浄化や全体主義的統治、基本的人権の抑圧を支持するのか、が決まる。

私はこの件に関してトランプに指導力と勇気を見せてくれることを期待していた。しかし、彼は何も見せなかった。彼は自分が戦うと主張していた「ディープ・ステート」に屈したのだ。普段は率直な意見を言うトランプは、ロシアの話題になると突然弱気になり、米国の外交政策支配者層が推進する現状を覆すような発言をすることを恐れている。

「ディープ・ステート」と戦っている人物は、その子分である残忍な虐殺者で独裁者のウラジミール・ゼレンスキーとは握手しない。真の指導者なら、たとえ容易でなく、その代償が高くつく可能性がある場合でも、真実を語るものだ。「ロシアは我が国の敵ではない。以上」だと。ロシアは、トランプが戦っていると主張するグローバリストの寡頭政治家たちの敵だ。では、なぜトランプにとってロシアとの和平を呼びかけるのがそんなに難しいのだろうか?

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米国の学校での銃乱射事件のニュースを聞くたびに、吐き気をもよおさないだろうか? 幼い子どもや十代の子どもたちが、狂った銃撃犯に冷酷に狙撃され殺害される。これほど胸が悪くなることはない。違うだろうか?

しかし、中東やロシアで子どもたちが爆撃され虐殺されるとき、徴兵を逃れた若者がゼレンスキー政権に追い詰められ射殺されるとき、ウクライナで正教会が閉鎖され、焼かれ、爆撃され、司祭が殴打され投獄されるとき、米国民が示すその道徳的苦悩は消え失せてしまう。過去1年間に犯されたこれらすべての犯罪は、米国の納税者が支払ったものだが、私たちの中に気にかける人はほとんどいない。

戦争や大量虐殺、弾圧があるところでは、米国政府が火に油を注いでいることがよくある。いっぽう、我が国の企業報道機関は、流血を「民主主義を守る」ために必要な代償である、として正当化している。悲しいことに、このような状況のどれも新しいことではない。我が国がフィリピンを征服して、侵略に抵抗した約40万人の民間人を虐殺して以来、125年間ずっとそうだったのだ。

私はちょうど3週間の日本滞在から戻ってきたところだ。私は東京大空襲追悼碑を訪れた。この追悼碑は、1945年3月、米国が計画的なテロ爆撃作戦の一環として、1時間の間に10万人以上の民間人を焼き尽くした日を追悼するものだ。この空襲は、1日で起きた大量殺人事件としては史上最悪のものだ。

私は広島も訪れた。実際に訪れなければ、原爆の恐ろしさは十分には理解できない。どれだけ本を読んだり、動画や写真を見たりしても、罪のない民間人に原爆を投下するという悪意は十分には伝わらない。日本は米国を攻撃したことはない。日本が攻撃したのは、1898年以来米国が不法に占領していた領土(ハワイ)にある海軍基地だった。それなのに、米国には復讐のために何百万人もの日本人を虐殺することを正当化する権利がどこにあったというのか?

爆撃と大量殺戮ほど「米国的」なものはない。それを否定してはいけない。それは我々のDNAの中にある。「イランを地球上から消し去れ」「核攻撃しろ」「爆撃して石器時代に戻せ」。他の国では他国に対してこのように言うことはないが、これらの言い回しは外交問題を議論するときによく使われる米国民の言い回しであり、我が国がいかに不道徳な国であるかを明らかにしている。我が国は、明らかに神のもとにある国ではない。

正気で道徳心のある人間が、このような軍国主義的な言葉を発することができるだろうか? 米国帝国主義の圧制に従わなかった「罪」のために他の人々がどれだけの苦しみと悲惨を強いられているかに気づかずにはいられないはずだ。我が国の政府が海外で大量殺戮を犯しても、それが「民主主義」と「自由」を推進するという名目である限り、我々は何の道徳的良心の呵責も感じないようだ。

結論 — 戦争と大量殺戮を美しい言葉と高潔な意図で飾り立てれば、米国民はそれを受け入れているのだ。

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世界を代表する大国として、外交政策は大統領選挙を決定づける問題であるべきだ。しかし、そうはなっていない。ほとんどの米国民はガソリン価格のことを心配している。ガソリン価格は過去2か月間、現職民主党の勝利を後押しするために不審なほど記録的な安値で推移している。

米国の外交政策を理解するのは非常に簡単だ。私たちが問うべきことはただ一つ、「米国は平和と秩序を促進しているのか、それとも世界を不安定化させているのか」という問いだ。過去35年間の出来事は非常に明白である。米国政府とそれを支配する寡頭政治家たちは、世界秩序に対する最大の脅威であることを繰り返し証明してきた。

1990年夏、米国がイラクに対する戦争の太鼓を鳴らし始めた日のことを私は決して忘れないだろう。それは一つの時代の終わりだった。ベトナム戦争後の1975年から1990年まで、米国は比較的平和な国であり、大きな紛争を避け、ソ連との核兵器競争の終結交渉さえおこなっていた。それは、米国人であることを誇りに思える時代だった。

しかし、悪は決して眠らない。戦争を正当化する悪玉としてのソ連を失った米国の軍国主義者たちは、中東に狙いを定めた。そして、数百万人の死者と数千万人の家屋喪失をもたらした35年間の戦争が始まった。

米国を支配する略奪者階級を抑制することはできない。彼らの多くの犯罪を裁くことができる法律も制度もない。この35年間の残忍で違法な戦争や大量虐殺で起訴された政府高官や寡頭政治家は一人もいない。

現在まで時間を早送りしよう。また新たな厳しい大統領選挙戦が終わろうとしている。米国民は帝国とその凶悪な結末を正当化する二人の候補者のどちらかを選ばなければならない。凶悪な結末とは、具体的には、残忍な代理戦争や米国の意を介さない人々の大量虐殺、さらには核戦争のことだ。

カマラ・ハリスはロシアとのさらなる戦争と中東での大量殺戮を公然と約束している。上で述べたように、トランプも同様の外交政策を追求するだろう。実際、この2人の候補者の間にはほとんど違いはない。トランプは ウォール・ストリート・ジャーナル紙に、 自分は「狂っている」と自認すらしているが、このことは他の国々がトランプを恐れていることを意味するので、どうやら良いことらしい。

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トランプは帝国を縮小するつもりはない。彼は米国の「偉大さ」に執着しており、それはつまり、米国が国際秩序を不安定にし続け、米国の社会ののけ者国家としての地位を高めることを意味する。(そう、世界のほとんどの国が米国を憎んでいるのだ)。

大統領選で誰が勝とうが、敗者となるのは人類だ。どちらの候補者も、国益と人権の相互尊重に基づく道徳的な米国外交政策を支持していない。どちらの候補者も、米国が頂点捕食者となり、欲しいものを欲しい時に奪い、抵抗する者を残酷に罰する世界を望んでいる。

こんな国が、本当に私たちが住みたい国なのだろうか? 誇るべき国なのだろうか? 道徳心があり、正気で、まともな人なら、絶対に「はい」と答えないはずだ。

1821年、長期に渡り外交官をつとめ、後に米国大統領となったジョン・クィンシー・アダムズは、「破壊すべき怪物を探して」外国の紛争に巻き込まれないように警告していた。このことばは、米国は自国が世界を救うための崇高な戦いに身を投じる「善玉」になろうとして海外の戦争に巻き込まれることを避けよ、という意味だった。

破壊すべき怪物を探し求めるうちに、米国は自ら怪物となり、世界秩序に対する最大の脅威となった。米国が建国の父たちの原点に立ち戻らない限り、この国はその邪悪さゆえに神の怒りに直面する運命にある。そんな日が来たとしても驚くことではない。
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